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 今年もまた生ヒジキが味わえました。

カテゴリー: 未分類

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 4月から新しい職場に勤務していますが、かなり体を使う仕事なのですっかり腰を痛めてしまいました。生き物にも対人関係にも気を遣う職場でもあり、たまの休みもグロッキー気味です。そんなこんなですっかり記事の更新をサボってしまいました。

 気付いてみると春も名残、各浜では磯の海藻類の開口もたけなわとなり、大潮の日にはマツモ、フノリなどが摘み取られています。そして、楽しみの生ヒジキもこの季節限定の春の味覚です。今年も楽しみにされていた皆様と喜びを分かち合いました。

 ヒジキと言いますと他の海藻類より無機ヒ素の含有量が多いので、不安に思われる方もおりますが、これまで我が国ではヒジキによる健康被害は報告されておりません。従前通りの食べ方であれば問題はなく、むしろ、ミネラルや食物繊維を多く含むヒジキを忌み嫌うことの方が不健全な思考と言えます。生ヒジキはこの季節でしか食べることが出来ず、年中食べ続けることはできません。文末に食品安全委員会や厚労省のHPからヒジキに関するQ&Aを掲載しておきます。


 生ヒジキは湯がいてから料理します。加熱しますと鮮やかな緑色に変身します。
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 かなり硬いので好みの硬さになるまで茹でてて下さい。茹で湯が褐色になりますのでザルに上げて水洗いします。


 短期保存であればそのまま小分け冷凍します。
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 冷凍すると少ししわしわして柔らかくなりますが、加熱すると緑になります。


 一応、無機ヒ素の耐用週間摂取量から体重60Kgの場合の生ヒジキ週間摂食量を計算しますと、70gになります。これは生涯食べ続けても問題ない量です。
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 ただし、ヒ素は茹でることにより減少し、ヒジキの消化しにくさも考慮しますとこれは過小な重量と言えます。写真は冷凍後茹でたものですが、70gって結構ボリュームがあります。



 昨年から生ヒジキの様々な料理を考えています。
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 まずはあまり手を加えないでサラダとメカブとの叩き和えで頂きました。これらにはポン酢がよく合います。


 麺類で2品。パスタとラーメンです。
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春キャベツと炒め合わせたスパゲッティです。ラーメンはメカブ等も加えた海藻ラーメン仕様です。

 
 新玉葱とのかき揚げも美味しそうに揚がりました。。。。。が、、、
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 これは失敗でした。生ヒジキは一応茹でてから揚げているのですが、新玉葱に熱が通る頃にはヒジキからすっかり水分が奪われ硬い紐のようになってしまいました。


 で、リベンジ。じっくりと薄味で炊いてから薄衣でさっと揚げてみました。
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 揚げる前よりは硬くなりますが、柔らかく煮てからのさっと揚げなので抵抗なく頂けました。


 それでは皆様の作品をご紹介いたします。まずは文さんのキムチ和え納豆和えです
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 これはどちらもご飯にぴったりですね。納豆には人参の千切りなどカリッとした食感の持つ食材がよく合います。

 続いて、小濱さんの肉ヒジキ炒めとまさみさんのオリーブオイル煮並びにそれを使ったキーマカリーです。
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  ヒジキがボリュームある主菜となりました。オイル煮はもちろんイタリアの最高級オリーブオイル、サルバーニョを使っています。オイル煮にしてからの展開が色々期待できそうです。


 kaffe tomteのひゃくさんは毎回様々な生ヒジキ料理を考案してくれます。
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上左から、ポン酢漬けラー油和え。下は豆腐との炒め合わせガーリックライスです。思はず箸が伸びる品々ですね。


 最後は釣舟さんの3品。炊き込みご飯と定番の煮物珍しい生ヒジキ入りキッシュです。
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 パンも上手な釣舟さんには生ヒジキを使ったパンも開発して頂きたいです。

 その季節しか食べることのできない本物の旬味が少なくなっている現代ですが、その季節を待ち遠しく待って、待望の味覚にまた逢える喜びを大事にしたいと思って生きてきました。保存食はもちろん大切ですが、それ以上にの生鮮物の味わいを大切にしてきた日本人。これを忘れたら日本人の魅力がまた一つ失われるような気が致します。


■ 内閣府食品安全委員会 食の安全ダイヤルより
http://www.fsc.go.jp/koukan/qa1508_qa_2.html#2-20
Q.英国食品基準庁がヒジキに無機ヒ素が含まれているとして、食べないように注意喚起していますが、ヒジキの安全性について教えてください。
A.ヒジキに無機ヒ素が、他の食品に比べ比較的高濃度で含まれていることが文献などで報告されています。ヒジキについては、伝統的な食材として古くから食べられておりますが、これまでにヒジキを食べてヒ素中毒を起こすなど健康に悪影響が生じたとの報告はありません。ヒジキを極端に多く食べない限り、健康上のリスクが高まるとは考えられません。また、海そう類はミネラルに富む食品であり、健康維持のためには、これらをバランスよく食べることが重要です。

■ ヒジキ中のヒ素に関するQ&A(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html
Q.ヒジキを食べることで、健康上のリスク(危険性)は高まりますか。 
A.平成14年度の国民栄養調査によれば、日本人の一日あたりの海藻摂取量は、14.6gですが、これは、海苔や昆布といった他の海藻類を含んだ量です。海藻類の国内生産量、輸入量及び輸出量から、海藻類のうちのヒジキの占める割合を試算したところ、6.1%であり、摂取量の割合もこれと大きな差はないと推定すれば、ヒジキの一日あたりの摂取量は約0.9gとなります。
  一方、WHOが1988年に定めた無機ヒ素のPTWI(暫定的耐容週間摂取量)は15μg/kg体重/週であり、体重50kgの人の場合、107μg/人/日(750μg/人/週)に相当します。FSAが調査した乾燥品を水戻ししたヒジキ中の無機ヒ素濃度は最大で22.7mg/kgでしたが、仮にこのヒジキを摂食するとしても、毎日4.7g(一週間当たり33g)以上を継続的に摂取しない限り、ヒ素のPTWIを超えることはありません。
 海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません。また、ヒジキは食物繊維を豊富に含み、必須ミネラルも含んでいます。
  以上から、ヒジキを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心がければ健康上のリスクが高まることはないと思われます。 
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2016/04/26(火) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

蒲しゃぶとCAMの水産加工品

カテゴリー: 料理:水産加工品

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 塩竈の揚げ蒲鉾の老舗、マルブン食品さんがユニークな蒲鉾の食べ方を発案しました。蒲鉾のしゃぶしゃぶ、略して蒲しゃぶです。最初、聞いた時しゃぶしゃぶ用に平べったい帯状のニュータイプの蒲鉾でも作ったのかと思ったのですが、通常の蒲鉾で良いとのこと。すなわち、食べ方の提案なのでした。しかも、もうすでに登録商標も取っているとか。早速、本塩釜の東洋の場末の酒場さらいさんで試食会です。



 用意するものは蒲鉾類と昆布だしです。醤油や塩などで調味は致しません。
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 その中に蒲鉾類を沈めて温めるのですが、決して煮立ててはいけません。しゃぶしゃぶと言うよりは湯豆腐に近い感じです。



 それを好みのたれで頂くのですが、私はタイスキのすり身団子のイメージからタイ風のタレを2品用意しました。
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 これらの台風のタレの作り方は前記事で報告しています。丑田さんが作った胡麻油とサムジャンを利かせた韓国風のタレ(下の写真)もベストマッチでしたよ。もちろん和風にポン酢や辛子醤油でも行けますが、今回は新しい可能性の探索でした。^^



 この蒲しゃぶ、いくつかの凄い点があります。


1 醤油や味醂などの調味料が染み込まず、蒲鉾本来の味を楽しむことができること。
2 作り立てに近い味わいが楽しめること。
3 様々なタレや薬味と蒲鉾との新たなマリアージュが探索できること。
4 蒲鉾の質が悪いと水分を吸って膨らんだり溶けたりすること。(正体がバレる)
 



 蒲しゃぶの最後にはダシに蒲鉾の旨味も加わりますので、具材を足して雑炊や麺類を楽しめます。
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 写真はブラウンエノキ(柿の木茸)をどっさり入れたところです。最近よく見かけるこのキノコはエノキダケの原種に近い菌とのことで太陽の光に当てて栽培しています。



 さて、本日のもう一つのハイライトはイタリアのシーフード食品です。
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 昨年の7月末にイタリアの港町キオッジャで情報交換と食文化交流会関連記事)を行った水産流通加工会社CAMさんの水産加工品をマルブンさんが取り寄せたのです。全て冷凍のシーフード加工品です。デザインセンスはさすがイタリアですね。




 まずはバッカラです。塩乾品のタラの身を戻してからミルクで煮てオリーブオイルを加えながら練り上げたベネツィアの郷土料理です(製品の外観写真はマルブンさん提供です。以下同)。
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 これはイタリアで食べたバッカラより、かなり原魚の風味を強く感じます。これをご飯の上に乗せて、醤油を垂らしてもよさげです。



 こちらは北イタリアで有名なクモガニのほぐし身です。クモガニといっても日本のズワイくらいの大きさになります。
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 これの美味しさは言うまでもありませんね。タラバガニくらいの噛み応えがあります。



 続いて、冷凍のスープですが、大振りの具もゴロゴロ出てきます。
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 濃厚な海鮮シチューと言ったところ。一箱でたっぷり二人前はあります。便利で美味しくてありがたいのですが、冷凍庫のスペースにゆとりがないと厳しいですね。



 こちらはムール貝のトマトソース煮でした。アップの写真は撮り忘れましたが、下の写真の右端のような状態です。
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 そのまま食べましたが、パスタを和えれば、Pasta alla cozze e pomodoro がすぐにできます。それにしてもテーブルの上は蒲しゃぶ用のタレやらイタリアンの食材やらで実に賑やかです。^^



 和食離れ魚離れが深刻な現代ですが、伝統を守りつつも現代の若い世代にもすんなりと食べてもらえる食べ方やスタイルは常に研究していく必要があります。おでんを継承しつつも新しい蒲しゃぶを世に問う姿勢は学ぶべきものがあります。イタリアのシーフード加工品も若い世代には受けが良いかも知れません。ただ、日本の水産物消費を考えるとイタリアの企業を誘致するか、提携により日本企業がイタリア製品と同じもの(パッケージデザインも含め)を日本の材料で生産する方法が考えられます。とにかく、あの手この手で日本の水産物を食べて頂くための努力を続けて行かねば、この国の水産業は息絶えてしまいます。。。




 東洋の場末の酒場 さらい

・所在地   :宮城県塩竈市本町(壱番館裏)
・電 話   :不明
・営業時間  :18:00頃~
・定休日   :日曜祭日らしいがやっている時もある
・駐車場   :なし

2016/04/04(月) 05:00 | trackback(0) | comment(3)
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