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10 ピッツァ三昧 @ Milano,Velona e Chioggia

カテゴリー: 外食:その他

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  今回のミッションではミラノを皮切りにベローナキオッジャとイタリア半島の付け根を西から東に横断し、その街々で様々な料理を楽しんできました。日本人にもっとも馴染みの深いイタリア料理はパスタピッツァですが、パスタは以前の記事で2・3紹介しておりますので、ここでは主にピッツァについて書いてみたいと思います。ただ、地域性を論じられるほど食べてはいませんので、お店ごとの特徴を報告できればと思っております。では。




 まず、ミラノですが、当地在住の日本人妻 MIDORIさんのご案内でRistorante-Pizzeria Del Ponteに参りました。
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 ピッツァだけの専門店ではなく、看板にリストランテとも書いてあるので料理もかなり自信がありそうです。ミラノのへそ、ドゥオモ(大聖堂)から南西に2㎞位の静かな街並にあります。



 まずは銘々が好きな酒で乾杯です。私はロッソを頼みましたが、これが大正解。
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 この赤、デカンターで来るので銘柄はわかりませんでしたが、微発砲なんです。今日も一日暑かったので喉に染み渡ります。店内は明るく、スタッフが忙しそうに歩き回る活気に溢れた雰囲気です。



 驚いたのはこのシステム。黙っていても最初にピッツァが適当に運ばれてきます。上からジェノベーゼ、プロシュートと黒オリーブ、トマトとバジリコ。
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 イタリアはどこでピッツァを食べても生地が美味い。耳までふっくら気泡で膨らんでいます。ですので、重くないのです。



 8分の1といえど、3種類も頂くと結構、効きますね。チーズは軽めで後の料理に影響しないような配慮はあるのですが。
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 11人で来ていますので、これくらい出てきたのでしょうけど、二人だった場合はどうなるのでしょう。小さめのピッツァが1種類だけ出てくるのだろうか。


 
 これが驚きでした。La focaccia di Recco col formaggio、、、レッコのチーズ入りフォカッチャと言えば良いのかな。
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 まず、Recco(レッコ)ですが、ミラノから南に100Km位にあるリグーリア州の州都ジェノバの東にある海辺の町です。ここの名物がチーズ入りフォカッチャなのです。フォカッチャと言っても普段日本で食べている1㎝位の厚みのある物ではなく、クレープくらいなのです。この極薄の生地にストラッキーノ・チーズの一種であるプレッシンソア(または柔らかいクレシェンツァ)を挟み込んで焼き上げたものです。生地にイーストを使わないのも特徴ですね。

 もうこれは夢のような味わいです。口の中でとろけます。味を忘れないうちに日本で手に入るクリーミータイプのフレッシュチーズで試してみたくなりました。でも、是非とも本場レッコで味わってみないといけませんね。^^


 
 ピッツァを紹介すると言っておきながらですが、こちらのお店、料理も豊富。イタリア定番の焼いた茄子とズッキーニです。
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 野菜に限らず、イタリアでは直火焼の場合、グリルの焼き網の縞模様を大切にしますね。



 続いて、魚料理。マグロのタルタルとキビナゴのように見える小魚のフリット
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 マグロは普通ですね。なにせ宮城から来ていますので。^^ キビナゴはもちろん地中海にはいないので、この写真をイタリア人の親友に送って鑑定を仰いだのですが、さすがに無理とのこと。なんだろう、もしかしたら、ただのAcciuga(ヨーロッパカタクチイワシ)でしょうか。でも、肉がイワシっぽくなかったのですよ。



 これもイタリア定番。プロシュートモッツァレラビステッカ
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 生ハムの美味さは言うまでもないですね。安くはないのですが、こんなのが無造作に出てくるところがイタリアっぽい。ビステッカはTボーンのBistecca alla Fiorentinaフィレンツェ風ステーキが有名ですが、これは赤身のどこの部分だろう。柔らかくてとろけます。




 パスタ2品です。ニョッキのチーズクリームカルボナーラカルボナーラはブカトーニだったかな。。。この頃、かなり酔ってます。^^
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 こちらのお店、どれも美味しかった。ミラノに行けれる方はお勧めです。なお、ミラノの伝統的な料理でしたら、既報のrattoria Masuelli San Marcoをお勧めします。






 続きまして、ベローナのピッツェリアをご紹介します。PIZZA TRADIZIONALEです。
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 伝統的ピッツァに惹かれたのですが。。。




 お店の能書きをよく見ますと、napolitana(ナポリの)とあります。
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 ナポリ発祥のチェーン店なのでしょうか。まぁ、ピッツァはナポリの発祥。高温の窯で短時間で焼き上げるのが特徴で生地もぷっくり膨れ上がります。北イタリアですが、本場のピッツァを試せるのはかえってラッキーかも知れません。



 お店のエントランスを入ると目の前にピッツアの調理台があります。サッカー選手のような職人さんが生地を操っています。
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 この巨大な生地は160枚分とか。そして同じく巨大な窯で焼いています。それにしても、この髭の職人さんは格好いいなぁ。。。^^




 
ピッツァが焼き上がるまでにプロセッコをちびりちびり。^^
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 プロセッコはベネト州で生産されるブドウの品種のことですが、これで醸されるスプマンテもそう呼びます。後味すっきりなドライなスプマンテです。




 さて、焼けました。生地の膨らみはさすがナポリターナ。まずは Margheritaマルゲリータ。
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 400度以上の高温で耳だけではなく、中央部まで凸凹に膨らんでいます。




 こちらはPizza all'ortolanaオルトラーナ(菜園風)だと思います。。。
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 ただ、菜園風だとパプリカも乗って華やかなんだけど。そう言えば、焼き野菜のピッツァと言っていたような気がします。




 インサラータも頂きます。
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 卓上にあるバルサミコ酢、オリーブオイル、塩で自分の好みに調味します。




 こちらは珍しい豚の脂身の塩漬けを乗せるピッツァ。つまり、パンチェッタの脂身の部分ですね。
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  それを焼き立てのプレーンの生地に乗せるとみるみる溶けていき、塩味と脂がよい調味料になるのです。シンプルだけど味わいの深いピッツァでした。






 続きまして、キオッジャのリゾート地区ソットマリーナにあるfacecook。。。facebookではなくcookk。^^
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 出発前にイタリア人の親友から、キオッジャ初日のランチはfacecookにするとメールをもらった時、ミスタイプかと思いましたよ。この店のご主人は Maggio Simoneさんと言いまして、帰国後、本当にfacebookで繋がりました。^^




 湘南のような海岸道路に面した清潔感あふれる明るい店内。テーブルの上のお洒落です。
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 ピッツアをメインにしているようですが、他の料理もできるようです。




 早速、ピッツァの登場。テーブル上の円卓に乗せられます。マルゲリータですが、かなりでかい。
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 トマトとモッツァレラとバジリコのトリコロールがイタリアの国旗を連想させます。同じ具材でも上記のナポリ式ピッツァとは生地が微妙に異なります。




 ハムとキュウリの千切り乗せ。
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 ピッツアと言うより、サンドイッチの具材を乗せたフォカッチャのようです。




 これは珍しいカルボナーラとのことで溶き卵が乗せてあります。
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 ビスマルクのような半熟目玉焼きではなく、しっかり固まっています。




 これも変わっていますね。トマトソースで焼いた記事にボイルエビとルッコラを乗せています。
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 これもピッツァというより、クロスティーニのような感覚。




 ここでインサラータ三連発。しかも、器は深皿風に焼いたフォカッチャ。@@
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 一番上のサラダにはフノリのようなものがかかっていますが、実はこれ、馬肉のフレークです。コーンビーフのように繊維状にして、乾したもののようです。中段は雑穀米のサラダ。食感はもそもそ。一番下はPalmito(椰子の芽)のように見えましたが、スライスして巻いたチーズでした。





 パスタも大盛りで出てきます。最初はムールのスパゲッティ。
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 一面のムールの下にロッソのパスタがマグマのように見えています。




 一方、こちらはビアンコですが、シーフードが目一杯入っています。
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 エビとイカが主体のようです。ランチなのにこんなにいっぱい食べて、午後の仕事に影響しそうです。^^





 ナポリ発祥のピッツァは今やイタリア全土、さらには海外も制覇しています。日本へは戦後、アメリカ経由でパンのような生地とタバスコがセットで伝わりましたが、近年のイタ飯ブーム以降、元来の伝統的イタリアンピッツァに修正されてきたように思えます。

 ですが、当のイタリアでもソースとチーズと具材を乗せて高温で短時間で焼き上げる古典的タイプからクロスティーニのように焼き上がった生地にフレッシュな具材を乗せるタイプまで変化を遂げているようです。伝統を守るイタリアでは、真のナポリピッツァ協会ナポリピッツァ職人協会などを設立して、材料や製法を定めています。これらの協会は日本にも支部があるようです。 
 


 
Ristorante-Pizzeria Del Ponte  http://www.delponteristorantemilano.it/
Via Pier Candido Decembrio, 26,20137,Milano, Italia
+39 (0)2 5519 9500


PIZZA TRADIZIONALE napoletana STG  http://www.peperinopizza.it/it/verona
Piazzetta Municipio 10, Verona,Vwneto, Italia
+39 (0)4 58029016


Facecook  http://www.sottomarina.net/facecook/
Lungomare Adriatico, 30015 Sottomarina, Chioggia,Veneto, Italia
+39 (0)4 14764484 


     
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2015/09/30(水) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

9 魚貝類料理満喫 @ Verona e Chioggia

カテゴリー: 未分類

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 前記事イタリア人の一人当たりの年間水産物消費量が日本人の半分以下と書きましたが、これは平均的な話でシチリア州ベネト州のように漁業の盛んな地域では日本に近づくと思います。ただ、内陸の都市の伝統料理には海産物は少なく、乾物のタラであるバッカラのペーストくらいでした。同じ内陸の街でもVeronaベローナにはナイスな魚料理専門店があったりするのです。内陸といえどもベネト州だからでしょうか。今回はベネト州の3つのリストランテで体験した魚貝類料理をご紹介します。




 まずはベネト州ベローナからですが、この街には北限のオリーブ調査で参りました(関連記事)。
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 実はベローナは内陸の街であるし、近くにイタリア最大のガルダ湖があるので、ホワイトフィッシュやカワマス等の淡水魚料理を試したいと以前から考えていたのですが、どうもそういうのを提供するのはガルダ湖畔のリストランテだけのようで、ホテルで聞いてもベローナ市街地では知らないというのです。


 ガックリしているとシーフードならあるとのこと。なんだかなぁ。。。まるで長野や山梨に旅行に来て海鮮料理を頂くようですね。。。でも、港町キオッジャからも直線距離で100Kmほど。築地の魚を高崎や宇都宮に運ぶようなものでしょう。現代ならわけないことですね。





 で、ご紹介頂いたリストランテ Al Capitan della Cittadellaです。(外観写真はお店のHPより)
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 チェックインしたHotel Mastinoからも歩いて5分位で公園に面したナイスなロケーション。店名は城砦の船長という意味でしょう。




 店内は水槽こそありませんが、水族館のホールのような装飾。魚好きには堪らん空間。
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 縞シャツのシニョリーナが三人で接客してくれます。勝手に三姉妹ということにしてしまいました。しっかり者で落ち着いて優しさ溢れる長女、ツンとしてクールを装う次女、あどけなさが残っていて一生懸命の三女。なんてね。でも、家族全員で運営するお店がイタリアには普通なのでもしかしたらそうなのかも。(^^




 最初に数種類のパンが木箱盛で出されます。
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 パンに付けるオリーブオイルも瓶で出てきました。




 食前酒にカンパリソーダをお願いしたらないとのこと。
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 そこで、イタリアの薬草酒 Amaro(アマーロ)に似たのがあるのでそれをソーダで割ってもらいました。カンパリより複雑な風味でしたが、モリモリ食欲が湧いてきました。^^




 こちらのリストランテでもアミューズが提供されました。いわゆる日本の突き出しですね。メニューにはありません。
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 クリームチーズやトマト煮込みの乗ったクロスティーニです。イタリアでもアミューズはすっかり定着したようですね。




 魚貝類のアンティパストはみんなでシェアしながら頂きます。
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 それぞれの料理は一人前16~19ユーロ(2100~2500円)、決して安くはありません。数人でシェアしないと何種類も食べることはできません。



 
 こちらはヨーロッパクモガニのほぐし身家盛りです。甲羅の大きさも大人の掌くらいあります。
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 メニューにはイタリア語でベネティア蟹と書いてありましたが、日本ではこれをヨーロッパクモガニと呼びます。その姿や大きさは水産会社の記事でご確認下さい。この料理はオリーブオイルを混ぜたくらいのシンプル味付けですが、甘みの強いカニなのでこれで十分でした。




 イカの炒め物です。見えませんが、下にポレンタが敷いてあります。
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 イカ腑の入ったクリームソースが絶妙でした。ポレンタはトウモロコシの粉をお湯やスープで練った蕎麦がきのような食べ物。半流動体から切り分ける固体まで様々な硬さで作られます。




 ボイルしたエビを赤い調味油で和えた冷製です。
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 エビの種類はわかりませんが、熱の通し方が実にちょうど好い。




 プリモにはこのリストランテの看板メニュー、Zottoliと豆とバジルのリゾットです。中粒米が程よい弾力を歯に感じさせます。
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 Zottoliはちらほら見え隠れする小イカのようなのですが、種類がわかりません。ホタルイカというよりミミイカの仲間ように見えます。そこで、イタリア人の親友へメールを打つとすぐに返事が帰ってきました。




 学名(Sepiola rondeletii)から判断すると日本にいるダンゴイカの仲間になるようです。(写真はhttp://folpifolopettieseppie.blogspot.it/より)
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 ですが、この種類だけではなく小型のイカ数種類がZottoliと呼ばれているとのことです。まとまった量が獲れず、あまり店頭に出回ることもないようです。このリゾットを日本のホタルイカで作ったらもっと美味しくなるだろうなぁと思いました。





 プリモでもう一品。トマトとマグロのキタッラ(Spaghetti alla chitarra)です。
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 キタッラはスパゲッティの一種で断面が四角いうどんのようなロングパスタです。




 キタッラはイタリア語でギターのことです。ギターの弦のように張ったワイヤーで製麺します。http://lacucinadilalla.com/
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 このパスタはイタリア中部のアドリア海側アブルッツォ州の郷土料理で普通ラグー系ソースと合わせます。





 セコンドまでは到達できず、ギブアップを告げますと、ドルチェが出てきました。
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 ビスコッティのようにも見えますが、私は食べなかったので硬さが確認できませんでした。最後はもちろんエスプレッソ。ここで、カプチーノやカフェラッテを頼むと陰で笑われます。ミルク系は朝の飲み物、夜飲んでいるのは外国人だけです。^^





 さて、今度はキオッジャです。まさに港町であり、魚市場もある水産都市ですから魚料理は大いに期待できます。
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 小さなベネティアとも言われるように市街地には2本の水路が走り、船が航行します。





 最初のリストランテはホテル・グランデ・イタリアです。(ホテルのHPより)
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 こじんまりとしたホテルで、レストランは1階になります。こちらで文化交流会前の軽いディナーとのことです。




 この日は正式なコースではなく略式だそうです。小エビのフリトにポレンタです。
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 ベネト州名物のポレンタは必ずと言ってもよいほど出てきます。フリトのエビはスジエビというより、ヌマエビを大きくしたような形です。




 イタヤガイの仲間のグリルです。間引き養殖ホタテぐらいの大きさです。ウロを丁寧に外していますね。
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 生殖腺に色分け(雌雄同体)が見られるのでホタテガイより日本のイタヤガイに近い種類でしょう。殻を持ち帰りませんでしたが、多分、最も生産量の多いPecten maximusだと思います。




 これは豪快です。魚3種のグリル盛り合わせです。これで1人前ですからたまげます。プリモに相当するパスタやリゾットは省略した形になりました。
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 手前からヨーロッパウナギオラータ(ヨーロッパヘダイ)シタビラメでした。塩を振って焼いてあり、バジルのソースもかけてあるのですが、正直、ウナギは山葵と醤油で、ヘダイは大根おろしと醤油で食べたかったです。シタビラメは宮城でもよく獲れるアカシタビラメとあまり変わりありません。ウナギの脂の乗りも素晴らしく、蒲焼きにしても絶品だったでしょう。




 インサラータが最後に出る珍しい形。それにしても量が多い。
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 ドルチェはここでもティラミス。イタリア人好みなのでしょうか。





 キオッジャの二日目は、リゾートエリアであるSottomarinaソットマリーナのリストランテGARIBALDIです。
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 親子2代でやっている家庭的なリストランテです。




 昨晩の文化交流会、本日午前中の貝類養殖セミナーも無事終了し、心置きなく乾杯です。サルーテ!!
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 昼食会ですが、この後はミラノへ戻るだけですので程よく酔いに浸りたいですね。^^



 
 いきなりドルチェかと思ったら、例のBaccala mantecato alla Venezianaでした。
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 北欧で獲れるタラを塩乾したものをバッカラと言いますが、それを脱塩してからオリーブオイルとよくすり合わせたペーストです。本場のバッカラは実にクリーミー。




 揚げた魚4種類のマリネなんですが、衣もやや厚くご飯に乗せれば天丼になりそうです。
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 当然、酸味が口に広がると思いきや拍子抜けするほど穏やかな味。ほとんど酸味を感じません。




 パスタは港町らしくペスカトーレでした。
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 ムールやボンゴレ、エビも入っていましたね。




 こちらはTagliatelle al Nero di Seppia、イカ墨のタリアテッレ。Zottoliのような小イカではなくスルメイカのような肉片や腕が見えます。
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 厨房を覗いた時に数袋に分けて冷凍された真っ黒いソースが見えました。ですが、仕上がりの色が薄いのでコウイカ類ではなくツツイカ類で作ったのではないでしょうか。イカ腑も入ったコクのある味わいではあります。タリアテッレも乱れ打ちで自家製かも知れません。





 これは珍しい甘草のジェラートです。
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 甘草は日本でも生薬として知られるマメ科の植物です。根に甘味成分であるグリチルチンなどを含みローカロリーな甘味として欧米では人気があります。




 
 さて、ベネト州の3つのリストランテで魚貝類の料理を楽しみましたが、どれも完全なフルコースではありませんでした。それでもお気付きのようにどれもボリュームがあり、カロリーも高そうでした。我々日本人にはシェアしてちょうど良いくらいなのです。もちろんイタリア人も毎日フルコースで食べているわけはないでしょうけど、オリーブオイルは相当に摂取しているはずです。


 ところが、街中を歩いていますと、水卜アナくらいの少しポッチャリはいても、アメリカによくいる歩くより転がした方が速そうな極度の肥満体は見当たりません。もちろん民族間の遺伝的な体質の違いもあるのでしょうけど、イタリアの食べ物の質と食事の摂り方に大きな差があるように思えます。


 イタリア人はなるべく鮮度の違いが判る原料に近い料理を食べたがります。それにスローフードの国だけにジャンキーなファストフードはそれほど食べません(若い世代は食べるようになったらしい)。さらに、ヘルシー志向の高まりが質の良い食材を求めるようになっています。


 イタリア人の食生活ですが、サラリーマンの場合、朝食は自宅かバールでカプチーノとブリオッシュなどの菓子パンだけで済ませる人が多いのです。朝から甘い物なんて思われるかも知れませんが、他に何も食べないので脳の活性剤としては期待できます。なかにはプチーノやカフェラッテだけの人もいるそうですし、最近はヨーグルトやフルーツなんて人もいるとか。いずれにしろ、軽いのです。


 ランチを自宅に帰って食べるというのは専業主婦が多かった時代のこと。イタリア人の親友も単身赴任なのでランチは外食ですが、パスタや肉のほか結構、意識して野菜を多く食べていました。日本のように牛丼やラーメンだけということはなく、インサラータやコントルノで野菜を取ります。


 ディナーが遅いのが健康的なのか不明ですが、大体20時以降に食べているのではないでしょうか。このことが翌朝の食事の軽さに繋がっているのかも知れません。ディナーも家庭の場合、簡単なアンティパスト、パスタ、ワインということもあります。友人との夕飯でピッツアとワインだけだったこともありました。概して夜は昼より軽かったように思えます。


 ただ、前にも触れましたが、イタリアでも若い世代は水産物をあまり好まず、ファストフードへの傾倒が始まっているようです。アメリカ型の食事が弊害をもたらすことは沖縄県の寿命の低下を見れば明らかです。イタリアでも次の世代は肥満が多くなるのかも知れません。魚貝類を食べるということは単にカロリーを抑えるだけではないのは今さら言うまでもないですね。ヘルシー志向が高まる半面、水産物消費が減るという矛盾に早く気が付いて欲しいです。



 
                    
Al Capitan della Cittadella http://www.alcapitan.it/
Piazza Cittadella, 7/A, 37122 Verona,Veneto,Italy
+39 (0)45 595157
19:00-23:00


Hotel Grand Italia   http://www.hotelgrandeitalia.com
Rione S. Andrea 597 Piazzetta Vigo, 30015 Chioggia, Veneto, Italy
+39 (0)41 400 515


RISTRANTE GARIBALDI
Via San Marco 1924, 30019 Sottomarina, Chioggia,Veneto, Italy
+39 (0)41 5540042



2015/09/25(金) 05:00 | trackback(0) | comment(4)

8 水産流通・加工会社CAMを訪ねる @ Chioggia

カテゴリー: 未分類

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 キオッジャ二日目の午前中は貝類養殖セミナーでの講演があり、ちょっとナーバスになっているのですが、その前にこの地区で最大の水産会社での見学と情報交換です。今、この会社の専用岸壁からベネティア湾越しにまさにベネティアの方を眺めていますが、直線距離で20Kmもあり、ベネティアには高層ビルもないのでよくわかりません(下図)。

 今日、お邪魔するのは、CAM(カム)という水産会社です。CAMConservificio Allevatori Molluschi の頭文字で強引に直訳しますと、貝類生産者の加工場でしょうか。元々はこの海岸を所有していた一族だったらしいのですが、遠浅なベネティア湾でもこの一帯は湾外から続く天然の澪筋になっており、沖からの漁船が漁獲物を水揚げするのに適していたそうです。 

 かつては停泊料を取って水揚げをさせていたのですが、やがて、この水産物を扱う流通業を始めたそうです。それが成功して現在は水産加工も手掛けるようになっています。





 ベネティアもキオッジャ(旧市街地)も内湾の人工島なのですが、ゲルマン人からの攻撃から逃れるために侵入しにくい干潟で生活するようになったのが発端とか。(赤い矢印は上の写真の遠望方向)
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 島だと周囲を船に囲まれて焼き討ちにされそうですが、遠浅なベネティア湾は干潮時に干潟となるところが多く、澪筋を熟知していないと座礁してしまうそうです。冒頭の写真にも澪を示すが並んでいますが、敵の襲来を察知すると抜いてしまったそうです。

 軟弱な干潟に土地を造成するのは容易ではなく、夥しい数の木が打ち込んであるそうで、ベネティアをひっくり返すとになるとも言われます。それでも、時代とともに沈下は進行しており、Scirocco(シロッコ)と呼ばれるアフリカからの南風が吹き込むと海面が上昇し、冠水してしまうエリアもあるのです。以前、ベネティアを訪れた時は、サン・マルコ広場が冠水していて板を渡した応急の橋を観光客が恐る恐る渡っていました。




 CAM の貝類畜養出荷施設を見学します。衛生管理のためにディスポの白衣、シューズカバー、キャップを装着します。
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 畜養出荷施設でもこの厳重な防疫対策は立派です。大陸ですから伝染病で何度も悲惨な目に遭ってきたのでしょう。



 アサリムールが出荷のために袋詰めされていました。
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 このアサリはイギリス経由で導入した日本のアサリと同種です。23年前、キオッジャに近いGOROのアサリ種苗生産施設を見学しています。年間2億個のアサリ種苗を生産し、干潟に蒔いて着実に生産量を伸ばしていました。

 こちらのムールは日本に帰化して、日本中の岸壁に張り付いたムラサキイガイとは別種で、幾分小型ですが、味はこちらの方が美味しかったですね。


 こちらは出荷待ちのコンテナを自動で入出庫する装置です。
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 フォークリフトが床のレールに沿って動き、命令されたコンテナを引き出しています。


 
 貝類だけではなく甲殻類も扱っています。これはヨーロッパクモガニ、北イタリアで蟹料理というと大概これですね。
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 日本ではクモガニというとイッカククモガニなどの小型種を連想しますが、こちらではこんなに大きくなるんですね。そういえば、巨大になる深海性のタカアシガニもクモガニ科でした。




 こちらはヨーロッパイチョウガニです。甲羅の形が特徴的です。
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 日本のイチョウガニは小型で食用にはされていませんね。



 活ロブスターも扱っています。
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 上は日本のイセエビに近いスパイニーロブスター。でも種類がわかりません。白い斑点があるのでカノコイセエビに似ているのですが、大触覚の斑紋が異なります。下は有名なオマール、つまりヨーロピアンロブスターですね。



 畜養出荷施設から水産加工場へと移ります。水揚げから畜養、流通、加工と一気通貫の生産システムですねぇ。
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 この施設はまだ新しく、加工の歴史はまだ浅いとのこと。ですから、日本の水産加工技術に高い関心があるのでしょう。



 最初のマルブン食品の佐藤社長が揚げ蒲鉾の生産工程をDVDで解説。その後、CAM側の生産理念やシステムをプレゼン。
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 イタリアでも若い世代の魚離れが見られるとのこと。魚をより食べやすい形にして提供することが必要。でも、ちゃんと料理したい人もいるので、加工レベルを4つのカテゴリーに区分しています。 

 内臓や鱗を取った一次処理魚フィレ-やポーション半調理製品温めれば食べられる調理済み食品の4段階で製品を区分します。多様なニーズにも応えようという理念ですね。これって大変なことです。



 様々な加工マシンを見せて頂きます。どれもピカピカ。
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 でも、日本のハイテクマシンに比べるとごく普通の洗浄機・焼成機・パッキングマシンに見えます。


 
 このような雑魚があまり利用されていないそうです。
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 CAMではこれらの商品開発を行っています。よく見ると、日本のミシマオコゼやカサゴ、エソの仲間のようです。日本人にはどれも美味しそうに見えるのですが。。。



 現在の試作品はこの2種類。
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 どうやらスープとハンバーグのようです。皿の縁にはイタリアと日本の国旗がソースやペーストで描かれています。この辺りのホスピタリティーがイタリア人らしいですね。ゲルマン人ではこうは行きません。


 肝心のお味ですが、、、
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 スープはブイヤベースのようで濃厚で魚の旨味がよく出ています。これは日本人も気に入るでしょう。一方、ハンバーグはサーモンも混ぜ込んでいるのですが、モソモソとして家庭的な味です。日本人としては野菜をもう少しくわえ、ハーブやスパイスで非日常的な香りが欲しいところです。



 宮城にも鮮魚や冷凍魚の販売と加工品の製造販売まで手掛ける水産会社も多々ありますが、加工技術に関して比較しますとかなり高度に発達しています。その背景には水産物の伝統的な食文化があり、多種多様な加工品を生み出されるのだろうと思われます。イタリアも深い食文化がありますが、一人当たりの年間水産物消費量は日本の半分以下で基本的には畜肉や乳製品からの蛋白摂取が主体です。そういう日本も年々ランキングの順位を下げつつあり、食事の欧米化とともに水産物の消費が年々減っています。世界で和食が注目されてきている反面、当のご本家では欧米化しつつあるのですから困ったものです。


     
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2015/09/22(火) 05:00 | trackback(0) | comment(2)

7 北限のオリーブを訪ねる @ Verona

カテゴリー: 未分類

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 今回のミッションメンバーの中に宮城県で本格的なオリーブ栽培を始めようとしている方がおります。おそらく、宮城県は日本におけるオリーブ栽培北限になるはずです。オリーブは-5℃位までは耐えられますが、湿気が伴うと持たないそうです。その点からすれば、降雪の少ない本県の仙南部は比較的適しています。





 イタリアではオリーブはほぼ全域で栽培されていますが、ミラノとベネティアのほぼ中間にガルダ湖というイタリアで一番大きな湖があり、その周辺がイタリアにおけるオリーブ栽培北限であることがわかりました。
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 北限同士、しかも目的地間の移動途中に寄ることができるなど、なにか運命的なものを感じてしまいます。北限オリーブは成長こそ遅いものの虫害も少なく、香りも穏やかな高品質のオイルが生産できるそうなのです。

 イタリア人の親友にガルダ湖に隣接するVeronaベローナ地区のオリーブ農家でも最高級オリーブオイルを生産するSalvagnoさんと主に苗木の生産販売をしているBeniniさんを紹介してもらいました。





 ミラノ中央駅 Milano Centraleから国際列車ユーロスターに乗ってベローナに向かいます。
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  ミラノ中央駅はまるで宮殿か大聖堂のようです。建築様式は建築年代がアール・ヌーヴォーからアールデコへと移り変わった頃なので二つの様式が混在するそうです。ユーロスターは見かけは好いのですが、速度や車内の居住性、サービス、どれを取っても日本の新幹線の方が優れていますね。決して自国贔屓ではなく。。。

 左下の写真に M が見えますが、アメリカのジャンクフードショップではありません。Metropolitana (地下鉄)のでした。最初、街の至る所で見かけるのでずいぶん蔓延ったなと勘違いしてしまいました。^^


 

 80分ほどでベローナに着きました。どんな街かと思ったら。。。まるで小ローマ。
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 古代ローマ時代のコロシアムや凱旋門などが残り、ゴミ一つない綺麗な街並みが続きます。知らなかったのですが、ロミオとジュリエットはこの地の実話に基づいているそうです。




 最初に訪れたオリーブ農園は街の中心部からタクシーで20分ほどの所にあるSalvagnoオリーブ園。1923年の創業です。
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 これまた、奇麗に整備された農園です。オリーヴァと名付けられたラブちゃんのお出迎えを受けました。この子は大変人懐っこく、小石をくわえてきては足下に落とし、「偉いでしょ。」とドヤ顔で擦り寄ってきます。因みにオリーヴァって、オリーブのイタリア語です。





 最初にオリーブオイル工場の見学です。こちらの搾油ラインは古い物ですが今でも使っているそうです。
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 完熟の手前の実を左の石臼で種ごと擂潰して、ペースト状になった物を丸い座布団のようなフィルターに挟んで圧搾します。絞り滓は乾燥させ燃料として利用するそうです。オイル製造は11月から1ヶ月半くらい毎日続きます。この時期(夏)は製造していないので、最初にビデオで収穫から製造までの一連の工程を見せて頂きました。




 これは電動化される前後の搾油機を比較した写真です。
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 原理は同じですが、右は木ねじの穴の空いた部分に棒を挿して家畜の力でプレスしたとのこと。




 一方こちらは最新式の製油ラインです。600Kgのオリーブを15分で処理するそうです。
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 発熱しにくい石臼を使うのは同じですが、抽出には遠心分離機を使い、最後の水分の除去も遠心分離なのでオイルが酸化することなく生産できるとのこと。しかもオペレーターはたった二人でよいそうです。




 生産したオイルはこちらのタンクに貯蔵します。
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 案内してくれました従業員の方が、「こちらは我が社の銀行(金庫)です。」と仰いました。なるほどねぇ。とは言ってもオリーブオイルは抽出後8ヶ月で劣化が始まります。長く寝かせて良いものではないそうです。ベローナには「オーリオは新しく、ヴィーノは古く」の諺があるそうです。



 
 続いて、瓶詰めマシンです。じぇじぇ、ラベルに日本語が。。。@@
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 実はこちらSalvagnoさんのオイルは神戸のサンヨー・エンタープライズさんが輸入しているのです。なにせ、高品質有機栽培のオリーブオイルなので一流のシェフの御用達とか。宣伝文をお借りしますと、、、

 「イタリアのフードショウCIBUSで開かれる、オリーブオイルの国際コンクールで優勝の実績を持つこちらのオイル。有機栽培オリーブの実から搾られる、大変まろやかで芳醇な香りのEXバージン オリーブオイルです。どんな料理にも合うとても使いやすいタイプ。ベローナで有名なレストラン イル・デスコ、ボッテガ・デルヴィーノ等でも愛用されています。ミラノの有名なデリカテッセンPECK(ペック)でも販売されています。




 それでは最高のオリーブオイルの試飲です。佳いオイルは飲めるのです。パンに付けても試してみます。ワインが欲しい。
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 試飲の作法を教えて頂きました。まず、オイルの入ったグラスを手で温め、香りを確認します。続いて、口全体に回し、シーっと息を吸い込んで香りを鼻腔に送ります。真似してみますと、最初、ナッツの香ばしい香りと草の匂いが広がり、飲み込んだ後には喉にピリッと辛味を感じました。オリーブのペーストもパンに最高。ワインがないのは拷問です。^^

 オリーブオイルの生産は、量ではスペインですが、質ではイタリアとのこと。イタリア国内では南に行くほど香りや味が濃くなるが、北方では上品で円やかになるそうです。



 続いて、タクシーで40分くらい山道をぶっ飛ばして(本当に飛ばした...コワ)、種苗生産・販売のBeniniさんを伺います。
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 こちらでは主に寒冷地におけるオリーブの栽培方法などについて、お話しを伺いました。



 二つの農園で薦められた寒冷地に適したオリーブの品種は数種類ありましたが、共通するのはこれら二種。グリニャーノ種フラントイオ種です。
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 これらの他にもこの周辺のオリーブオイルに関するDOC(統制原産地呼称)に定められる品種はカザリーヴァ種、ファヴァロル種、ラザーラ種、レッチーノ種があります。ただ、これらは日本でも入手できるのでしょうか。「オリーブ 苗木 (品種名)」で検索しますと、フラントイオは日本でも販売されていましたが、グリニャーノは見つけられませんでした。


 

 さて、日本の北限のオリーブはどの品種でスタートするのでしょうか。一応、イタリアの北限のオリーブ農園ともコンタクトは付きましたので、あとはメールなどで交信を続けて頂きたいものです。技術指導だけではなく、北限同士の繋がりを今後も大切にして行きましょう。私も片隅に1本植えさせて頂き、収穫の一部を塩漬けにしてみたいですね。それをつまみにオリーブの木の下でゆっくりとワインを楽しみたいものです。^^


     
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2015/09/18(金) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

6 イタリア人に揚げ蒲鉾を問う @ Milano e Chioggia

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 今まで8カ国ほどに足跡を残してきましたが、どこの国でも見かけるのがカニ風味蒲鉾、いわゆるカニカマってやつですね。それが寿司ネタやサラダ、揚げ物などで出てきます。もちろんどこの国でも、それが本物のカニだとは思っていないのですが、口に合うのかとにかくよく売れています。ただ、日本より作り方が雑で色もどぎついのです。聞いたら大部分が韓国製でした。




 それはまだしも、23年前にキオッジャの魚市場で鮮魚の横に無造作にカニカマが売られているのに仰天しました。(1992.10 キオッジャ魚市場にて)
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 それを彼らはSURIMI と呼んでいるのです。最初、イタリア語かと思って辞書を引きました。でも、彼らは日本語だと言うので、原料の擂り身がどういう加減で伝わったのかカニカマの名称になってしまったのです。なにか日本の多様な蒲鉾文化が変に矮小化されて伝わったようで悔しさを覚えました。その後、南米にも何回か行きましたが、同じ思いをさせられました。




 昨今、このことを忘れかけていたのですが、この度のイタリアミッションで塩竈の名産、揚げ蒲鉾の老舗マルブン食品の佐藤社長がイタリア人に揚げ蒲鉾を食べさせたいというので、それならキオッジャの文化交流会で揚げ蒲の紹介とSURIMI の誤解解きを同時に成し遂げようという趣旨で以下のようなプレゼン用スライドを作ってみました。





 まず、SURIMI とは日本語で擂った魚の肉のことであり、カニカマではないことを説明します。
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 パンや麺類の生地と同じ状態なので伊訳すると Pasta di pesce になります。このPasta di pesceをGoogle翻訳にかけるとちゃんとすり身になりますね。




 そして、このSURIMI を加熱すると蒲鉾になり、加熱手法によって異なるタイプの蒲鉾が出来ることを知ってもらいます。
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 揚げた蒲鉾はイタリアの方のお口にも合いますよと塩竈の特産揚げ蒲鉾へと話しを繋げて布石を打ちます。





 イタリア人の親友から未利用・低利用の低級魚を何とかしたいと事前に相談されていました。
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 そこですかさず、蒲鉾は今では北太平洋のスケトウダラSURIMI が主原料ですが、日本各地のローカルな魚でも作られており、イタリアでも多獲されるニギスやタチウオ(下左端の黄色枠)でも作ることができますよと関心を高めます。




 さらに、色や食感は異なりますが、日本の技術でニシン、イワシ、アジなどの青魚でも蒲鉾が作れるのですと自慢します。
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 大型のニシンは地中海にはいませんが、ニシン科の小魚Spratは多獲されます。それにイワシやアジの仲間は世界中にいます。日本の蒲鉾は魚を無駄にしませんとイタリア人のエコ心をくすぐります。それに青魚はEPAやDHA等ω-3脂肪酸も豊富に含みますよとヘルシーフードに敏感なイタリア人に波状攻撃を加えます。^^




 揚げ蒲鉾には様々な食材を混ぜ込むことが出来ますと今度はイタリア人の舌に訴えます。
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 タコやイカはイタリア人を始めラテン系民族も大好き、イタリア野菜は彼らの自慢、卵やチーズも彼らの好物。揚げ蒲鉾に親近感を持たせます。^^





 そして最後に日本の蒲鉾技術とイタリアの食材で新しいワインに合う揚げ蒲鉾を作りませんかと持ち掛けます。
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 たぶんイタリア人の食欲に火が点いたはずです。これが実現すれば、イタリア国内の問題も解決し、ヘルシーフードをイタリア国民に提供することも出来ます。マルブン食品さんには是非頑張って頂きたいですね。





 話しだけでは伝わりませんので、ミラノキオッジャでのイベントで実際に揚げ蒲鉾を味わって頂きました。こちらはミラノのエノクラブでの浦霞試飲会での提供したもの。
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 和食のプレートの片隅ですが、ズッキーニや焼き茄子とともに串打ちした揚げ蒲鉾を乗せました。ワンプレートに2串ずつ乗せて全部で42プレート提供しましたが、食べ残しはたったの2本だけでした。ほぼ完食と言って良いでしょう。




 キオッジャでの市民文化交流会の後でも揚げ蒲鉾を主体としたプレートを浦霞とともにお出ししました。
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 これまた、ほぼ完食。イタリア人に揚げ蒲鉾は相性が良さそうですよ。^^





 これまでは冷蔵して運んだ揚げ蒲鉾でしたが、キオッジャの2日目はリストランテの厨房を借りて、佐藤社長自ら半油調品を揚げてお出ししました。
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  工場で食べる揚げ立ての蒲鉾は別格ですが、これもかなりそれに近いです。当然ながら皆様お気に召したようであっという間に完食でした。それにしても揚げ蒲鉾をナイフとフォークで食べる光景はちょっと奇妙でしたね。^^




 イタリア人も魚貝類が大好きですが、加工技術に関しては日本の方が圧倒的に進んでいます。イタリア人の親友からもトロールで混獲される雑魚を日本の技術でなんとかヘルシーフードに変えられないかと相談をされていました。その雑魚の写真と学名を送ってもらったところ、なんと、ニギス、タチウオの仲間や小型ニシンではありませんか。これならば、蒲鉾しかあるまいと思い、冒頭のプレゼンテーションになったわけです。


 キオッジャで地元の水産会社とも情報交換ができ、塩竈の揚げ蒲鉾に大変関心を持って頂きました。既に会社同士の折衝が始まったようです。これでこそ、400年前の慶長遣欧使節団の目的であった交易の始まりです。イタリア人がその鋭い味覚と美的センスでどのような揚げ蒲鉾を作り出すか実に楽しみです。


     
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2015/09/15(火) 05:00 | trackback(0) | comment(0)