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2 KLM オランダ航空とスキポール空港

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 今回のイタリアミッションでは、行きも帰りもKLMオランダ航空にお世話になりました。今までのイタリア行きはALITALIAイタリア航空しか利用したことがなかったので、何か新鮮な気持ちです。ところで、オランダは江戸時代の鎖国中も日本と交易を続け、西洋の医学、物理学、天文学など多くの有益な情報を提供してくれた国でしたよね。西洋の学問をひっくるめて蘭学と呼んでいました。


 江戸時代当初にはポルトガルスペインとあれほどねんごろだったのに、その後、見限ったのは交易の条件にキリスト教の布教を強く押し付けてきたからです。増え続けるキリシタンに脅威を感じ幕府も弾圧にかかりました。オランダはカトリックではなく、ヨーロッパで支持の厚いプロテスタントだったので、日本に執拗に布教を迫る必要がなかったのでしょう。このように日本とは400年も前から交流があった国ですが、海面より低い土地風車チューリップくらいしか思い当たらないのは情けないですね。


 食べ物もゴーダやエダムなどのチーズは世界的に有名なのですが、オランダ料理と言われても想像することができません。プロテスタントの国でひとまとめにはできませんが、イギリスのように質素なのかなぁという先入観が捨て切れません。今回、オランダ国内には滞在しませんが、アムステルダムスキポール空港にはトランジットで立ち寄りますし、機内食からも多少はその実態を垣間見ることができるかも知れません。


 ところで、オランダは英語でNederlandですよね。オランダ航空のKLMは何の略字なんでしょうか。これは、オランダ語の王立航空会社Koninklijke Luchtvaart Maatschappij の略でした。世界でも歴史の古い由緒ある航空会社でした。日本ではオランダと言いますが、これは、オランダ国内の州名であるHollandが一人歩きし、日本へはポルトガル人が Holanda(オランダ)として伝えたからとされています。



 さて、いつものように前置きが長くなりました。さっそく、成田からKLMで飛び立ちましょう。。。





 ところが、西日本の悪天候により飛行に必要な機材等が届かないという理由でフライトが実質5時間近く遅れました。掲示板には14:00に変更となっていますが、実際に飛んだのは15:00過ぎでした。
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 チェックインカウンターの前は大行列。約5時間遅れたことでアムステルダムからの新たな乗り継ぎの手配に時間が掛かっているようです。行列の進行は時速10m以下ではないでしょうか。3時間くらい並んだ頃にカウンターが臨時増設されて出発1時間前になんとか搭乗ロビーに入れました。

 


 どうにか飛び立ちましたが、待ちくたびれました。水平飛行に入りますとCAさんが飲み物を薦めてくれましたので、すかさず、VINO ROSSO !! あっ、オランダ航空だったぅ。^^
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 エコノミーなのですが、アルコール類もチョイスできます。それに各席の正面にはモニターが付いていて、映画は勿論、フライト情報やサーブされる献立までも見ることができます。これ好いですね。ワインの産地なども事前に把握できました。

 搭乗してすぐに抱いた印象は、CAさんも男子クルーもみんな大きい。男女とも180cmを優に超えています。そういえば、トランジットのスキポール空港の男子トイレも位置が日本人には高杉でしたね。^^

 ラテン系の方々との付き合いが長いと、北欧から西欧に分布するゲルマン人は威圧感を感じます。イギリスのアングロサクソンゲルマン人から派生していますので、やはりオランダの食文化もイギリスと似ているのかなぁ。




 うんと遅めのランチはを選べます。当然、を選んだのですが、和食でした。
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 肉はビーフシチューで洋食でした。モニターで調べたら、機内の和食はミシュランの星を獲得したホテルオークラ・アムステルダムの和食レストラン「山里」の富川正則料理長が考案しているとのこと。どれどれ、じっくり味わいましょう。




 主菜は白鮭の照り焼きで山椒の利いた餡が掛かっています。副菜は海の幸の酢の物と南蛮漬け。
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 鮭の脇には懐かしいそぼろご飯。幼稚園の頃にお弁当でよく登場したなぁ。味付けも諄くなく秀逸。


 デザートはちょっと苦手なあんみつクリームどら焼き。^^
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 デザートにも和食の心が溢れ、女性には好評でしょうね。。。って、これ日本人シェフの料理でしたね。オランダ弁当はないのかなぁ。そういえば、日本料理の手法にオランダ煮と言うのがありますが、オランダと関係あるのかなぁ。




 11時間に及ぶロングフライトはまだ始まったばかり。今やっとシベリア上空です。ここで、おやつ
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 おやつは明治のスーパーカップ、水もトルコのhamidiyeだし、オランダどーした。好きな時にモニターで現在地や高度、外気温などがわかるのは楽しいですね。シベリアは果てしなく原生林が続き、河川も三日月湖だらけで野放しのようです。ましてや道路や建築物は見当たりません。




 西に向かって飛んでいますのでいつまでも日が暮れません。でも、これがたぶん夕食なんでしょう。
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 無選択で出された食事は赤ワインに合いそう。体をずっと動かしていないので、これでもカロリー過剰ですけどね。^^




 ペンネリガーテのトマトソースにツナ入りルシアンサラダ
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 美味しいのですけど、イタリアンにインターナショナルなお総菜。




 さすがに食傷気味でフルーツが爽やかです。
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 パンも毎回、温かいのが嬉しいのですが、食べられませんでした。




 フライトが10時間を越える頃から高度が下がり始めて、オランダの土地が見えてきました。
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 水路が張り巡らされ、その中にびっしりと耕作地が見えます。農業が盛んなようです。




 アムステルダムのスキポール空港は想像以上に広いです。
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 トランジットのために1Km近く歩かされたように思います。搭乗口はB~Hに区分され、Dだけでも1~57まであります。




 な、な、なんと、寿司バーがあります。 KIOSK SUSHI & NOODLES だそうです。
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   円柱の筒のような容器に入った日本蕎麦をすすっているのは、ほとんどが日本人。禁断症状が出てきたんだろうな。。。^^




 ただ、どれも高いです。この巻物と握りが盛り込まれた寿司は22.5EURO(3150円)もします。日本のスーパーでは、700円程度でしょうね。
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 話のネタに摘まんでみようかとも思ったのですが、これでは手が出ません。



 そこで、オランダと言えばビールですよね。Heineken はオランダの世界的ブランド。
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 サンドウィッチのパンはしっかり噛まないと飲み込めません。オランダ人が日本の溶けるようにふわふわなコンビニサンドを食べたらどんな評価をするのでしょう。



 さて、KLMの機内食をまとめるためにイタリアを飛ばして、もう帰路になります。
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 デンマークとスカンジナビア半島を横断して、ロシア上空へ侵入します。



 またまた、ワインタイム
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 この南アフリカのELEMENTS、往復のフライトで一体、何本飲むことになるのだろう。^^


 食中酒にも同じワイン。でも、料理の雰囲気が往路とは違ってますね。
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 鶏の煮込みをメインにしたランチですが、盛り込み方が少しワイルドです。煮込みに添えられたライスはピラフのような炒飯のような。。。オランダ風なのでしょうか。

 ※ このライスはインドネシアのナシゴレンでした。その訳は文末の追記をご覧下さい。風写さんコメントありがとうございました。m(_ _)m




 古典的なヴィネグレット系のコールスローにババロアのカシスソース
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 パンも往路より固くなったように感じます。日本人の作った料理とは何か違いを感じます。


 さてさて、最後の機内食は日本海上空に達してからのサーブでしたので朝食に相当するのでしょうか。
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 日本時間だとたぶん午前7時頃でしょう。さすがにワインは要求しませんでした。


 メインはポレンタのようなスクランブルエッグにトマトソースと温野菜添え。
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 左端の四角い物体は豆腐のようなはんぺんのような練り物風のソテー。大雑把な味付けですが、柔らかい物が多くて寝不足の朝食には胃に優しくて有り難し。


 フルーツの細々と苺のヨーグルト。パンとコーヒーも付きますが、日本人の朝食には、これらだけでも良いくらい。。。
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 フルーツの盛り付けも行きの成田から積み込んだものとはかなり違いますね。
 


 今回はイタリアから話題の寄り道をしてオランダ航空の機内食やスキポール空港のフードからオランダの食文化を垣間見ようとしましたが、ちょっと材料が足りませんでした。ただ、これから向かうイタリアとはかなりの差があるものと想像できます。イタリアではローマ帝国時代から貴族に使える料理人が腕を競って新しい料理を開発し、それらが庶民に伝わり、それぞれの家庭のマンマの味として拡散して行きました。

 16世紀には南米からトマトも伝わり、華やかな色合いと旨味も加わりました。それにイタリアは小さな王国の集合体、それぞれの国で独自に栽培されてきた伝統野菜も種類が多く、さらに日本と同じく南北に長い国土ゆえ食材も実に多様です。ドイツとフランスに挟まれたスイスほどの小さな国であるオランダとは比較になりません。ですが、オランダ国内で確認したわけではないので、これ以上の推論は控えます。オランダも農業や漁業が盛んです。良い食材が手に入るところには必ず美味しいものがあるはずです。機会あれば、オランダにも数日滞在してみたいですねぇ。



【追記】
 上記のようにKLMの帰りの機内食でインドネシアナシゴレンが登場しました。オランダは日本とも交易を始めた約400年前にジャワ島に進出して植民地化し、イギリスとも争いながらその領域を確実に広げていきました。その後、コーヒーやサトウキビなどのプランテーションを拡大し、それらをヨーロッパに転売して膨大な利益を上げました。第二次世界大戦では日本軍がオランダ領の東インドに侵攻したため、戦後もしばらく気まずい関係が続いています。
 それはともかく、オランダの食文化は現在のインドネシアを中心とする東インドの食文化が影響していることが一つの特徴と言えそうです。


 
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2015/08/30(日) 15:05 | trackback(0) | comment(2)

1 なぜイタリア? 平成遣欧使節団

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 イタリアミッションの発端は忘れもしない東日本大震災。あれから4年半、海辺の街はまだまだ復興途上です。
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 この地震による巨大津波は、当初、平安時代前期869年の貞観三陸地震以来と報道され、1000年に一度の大災害として世に広まりました。しかし、歴史記録や仙台平野の堆積物調査から、ちょうど400年前の江戸時代初期1611年に発生した慶長三陸津波が同規模であったことがわかっています。宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)の濱田直嗣館長は当時の藩主である伊達政宗はこの震災復興のために太平洋の対岸のヌエバ・エスパーニャ(現在のメキシコ)との貿易を考えたと推察しています。

 徳川家康の許可を得て、難破して船を失ったスペイン人のセバスチャン・ビスカイノの力も借りてガレオン船(大航海時代の大型運搬船)を建造します。震災から2年後の1613年には藩士支倉常長や宣教師ルイス・ソテロを代表とした慶長遣欧使節は牡鹿半島の月浦を出航しました。その翌年にはアカプルコに到着しますが、ヌエバ・エスパーニャでは通商の承諾を得られず、結局、宗主国のスペイン経由でイタリアのローマ法王にまで謁見することになりました。ローマ法王との謁見は本年からちょうど400年前の1615年になります。
 あれから400年。伊達藩民の末裔である私達はイタリアとの交流と交易を目指した平成の使節団として立ち上がりました。とは、言っても皆様、職種も違えば目的も様々。それでも、お互い協力し合ってそれぞれの目的を達成しましょうという緩やかな関係です。日本酒メーカーの方はイタリアで試飲による紹介を、蒲鉾メーカーの方は世界中にカニかまは広がっているのに対して本来の蒲鉾が伝わっていないことを正そうとして。また、新たに宮城でオリーブ栽培を始めようとする方はイタリアの北限で栽培している農家との交流を求めて渡航します。
 

さて、私の目的ですが、実は学生時代からのイタリア人の親友がいます。留学生として来日し、同じ研究室で学んだのでした。
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  その彼の職場(イタリア国立環境保護研究所)はベネティアと同じベネト州のキオッジャ市 Chioggiaにあります。卒業後も10年間隔くらいで行き来しておりました。このキオッジャ市は地理的にも歴史的にも産業的にも社会的にも宮城県の塩竃市とそっくりなのです。その共通性をリストアップすると以下のようになります。



 塩竃市キオッジャ市の共通点

① 遠浅な内湾の南西岸に位置し、近隣に有名な観光地がある(松島とベネティア)。
地図2

② 大きな漁港と魚市場のある人口5万の港町である。
③ 魚料理のレストランや料理屋が多い。
④ 観光船や定期船のターミナルがある。
⑤ ヨットハーバーやマリーナがある。
⑥ 海洋環境や水産資源に関する国立の研究所がある。
⑦ (タラ)を使った郷土料理や加工品がある(ブワタラとバッカラ)。
⑧ 郷土料理に使われる(ハゼ)が有名である(仙台雑煮とリゾット)。
⑨ 古くから製塩が盛んに行われていた。


⑩ そして。。。地名のスペルが5文字一致。


  HIOGAM
 
   CHIOGGI
  
 8文字の文字列のうち5文字が位置とともに一致します。
 


この驚くべき類似性にキオッジャ市も大いに盛り上がり、一般市民も参加する文化交流シンポジウムを開催しようということになってしまいました。早々にポスターも作成してしまう熱の入れよう。シンポのタイトルは CHIOGGIA incontra SHIOGAMA (キオッジャが塩竃に出逢った)です。
塩竃市観光物産協会さんのお力添えで塩竈市長親書も預かることができ、交流と交易を目指す平成遣欧使節団としての風格も帯びてきたのです。^^

  
 さて、異なる思惑を持った有志の集団ですが、イタリアとの新たな交流交易という目的では一致します。今回のミッションを礎に宮城の食産業がイタリアと新たに繋がり、二つの港町の交流が芽生えれば、大成功と言うことができます。それに向けてのアクションを連載で書いて参ります。もちろん食べ物BLOGですので、を話題として話を進めます。お楽しみに。連載予定の目次は書き終わるまで先頭から2番目の記事に執筆状況とともに貼り付けておきます。記載済みの記事は目次からも入れるようにリンクを張っておきます。
 

なお、イタリア北部の地名がよく登場しますので、その位置関係がわかるように地図を乗せました。

Italia Map




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2015/08/29(土) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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