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ウイスキーに合う料理はあるのか。。。

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 妻が里帰りの土産にウイスキーを持って帰ってきた。それも2本も。珍しいことがあるものだ。ワインだったら、ごくたまにあったけど。。。実は車椅子生活になった相模原の義母を親族で旅行に連れ出し、山梨のサントリー白州蒸留所を見学したそうだ。一本は妻から、もう一本は義母からだった。いつも呑み杉だと説教されているのにどういう風の吹き回しだろうか。まんず有り難いことだけど。




 言わずと知れた白州はシングルモルト(左)、はブレンデッドの最高峰です(右)。
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 シングルモルトの白州は高原を吹き渡る風のように爽やか。でも、アルコールの苦味は少し強めかな。一方、ブレンディドのは様々な鳥の声が聞こえる森のように華やか。甘味も強く、フルーティーでしっかりした味わい、苦味もマスクされている感じ。



 最高のウイスキーには何をマリアージュさせようかなぁ。。。いや待てよ。そもそも、ウイスキーに合う料理なんてあるのだろうか。。。学生時代の部室コンパではよくブラックニッカサントリーホワイトのお世話になり、手に入りやすいサバの味噌煮缶魚肉ソーセージなどでやったものだけど、飢えていたから何でも美味しく感じたなぁ。^^


 ちょっと気になって、イギリスのパブ(Public House)の料理を調べてみたら、結構あるじゃありませんか。かの有名なフィッシュ&チップスコテージパイオニオンリングスコッチエッグ等々。イタリアスペインと比べるとお粗末だけど、食中酒のワイン文化圏じゃないからね。。。あれっ、もしかしたら、イギリスのパブってビールを飲むところでしたね。これらのアブラギッシュな料理はウイスキーじゃなくてビールのつまみじゃん。

 そこで、Whisky Food Pairing Whisky with Food 等でググって英国のサイトを漁っていますと、有用な情報が得られました。やはり、元来、スコッチウイスキーは暖を取るためとその香りを楽しむためのもので、近年まで料理との組み合わせどころか水や氷の使用も通人からは無粋な事とされていたようです。しかし、現在は自由に楽しむのがベストとされ、食品とのペアリングも研究されているようです。

 ウイスキーにも様々な個性がありますが、共通する香りを持つ食品がよくマッチするという欧米特有のフードペアリング理論の展開が多くのサイトで見られました。その結果、燻製ナッツ類チーズドライフルーツハーブスパイスを利かせた食品が推奨されています。その傍ら、日本のウイスキーのように軽い香りのものには寿司も合うと書いてあったけど、ホントかなぁ。。。寿司と言っても英国の寿司だろうし。



 そこで私が考えたウイスキーとの実験的ペア料理は以下の7品。


  

 (1) 揚げ蒲鉾とたらこのライトスモーク
 (2) 燻玉のサラダ(ソーセージとキュウリ)
 (3) 豆腐ポテトパイ ローズマリー風味
 (4) いんげんのアーモンド和え シナモン風味
 (5) ギンザケとクリームチーズのカナッペ パクチー風味
 (6) 海の幸のアヒージョ ニンニクを利かせて
 (7) 薩摩芋とラムレーズンの凍らせたん


 これらの料理に共通するのは香りです。果たして、白州にはどの料理が合うでしょうか。それではまずは料理からご紹介します。




 
 最初にライトスモークにする食材をまとめて燻煙掛けします。
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 中華鍋にアルミホイルを敷いて、スモークチップを少々。その上に焼き網を乗せて食材を置き、ボールをかぶせてスモークします。ライトスモークなので煙が出始めたら5分くらいで終了です。

 



(1) 揚げ蒲鉾とたらこのライトスモーク
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 揚げ蒲鉾がほんのりとスモーキーになりました。たらこも熱で固まらない程度にさっと燻煙しました。これ日本酒だったら最高のペアリングなんですが、ウイスキーとはどうでしょう。




(2) 燻玉のサラダ(ソーセージとキュウリ)
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 卵サンドのフィリングとは全く異なります。味付けは塩胡椒、オリーブオイル、レモン汁だけです。優しい卵サラダからスモーク臭が漂い意表を突かれます。




(3) 豆腐ポテトパイ ローズマリー風味
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 これはいわゆるイギリスのコテージパイ(シェパーズパイ)をヒントに軽さを出すため、ポテトに脱水した豆腐を擂って混ぜています。新ジャガで水分も多く、それに豆腐が加わるのでふわふわです。ローズマリーの新芽を刻み込んだ豆腐ポテト生地の間にはミートソースが入ります。 




(4) いんげんのアーモンド和え シナモン風味
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 和風に見えますが、胡麻の代わりにアーモンドを使い、シナモンの風味も加えています。アーモンドなどのナッツ類はウイスキーに合いますがどうなるでしょう。




(5) ギンザケとクリームチーズのカナッペ パクチー風味
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 焼いた宮城県産甘塩ギンザケを解して、クリームチーズとヨーグルトをよく混ぜ合わせ、刻んだパクチーも加えて香り付けしています。マヨネーズを使いますとどれも似たような味になるので使いません。いまは畑のパクチー食べ放題ですからたっぷり使いました。クラッカーは余計な味が付いていないシンプルなものを添えます。




(6) 海の幸のアヒージョ ニンニクを利かせて
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 昨今人気のアヒージョです。ニンニクをたっぷり使って香り豊か。いつも思うのですが、このオリーブオイルをパンなどに浸して食べ切ってしまってはカロリーオーバーも良いところです。でも、海の幸の旨味も加わったオイルはパスタや炒め物でゆるゆる利用しましょう。^^




(7) 薩摩芋とラムレーズンの凍らせたん(ルイベ
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 レーズンバターに見えますが、実は蒸かした薩摩芋を裏漉しして、ヨーグルト、バニラエッセンス、シナモン等を加えて生地にして、ラム酒に浸したレーズンを刻んで加えたものです。さらにそれを冷凍してから輪切りにしました。アイスクリームのような味わいです。




 さて準備はできました。この中で白秋に合う料理はあるのでしょうか。
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 香りを意識して作った料理ですが、ウイスキーに通じてベストなマリアージュになってくれるでしょうか。




 対戦するウイスキー側はストレートハイボールにしてみました。
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 ハイボールにすると白秋は苦味が薄れ、上品な香りが引き立ち秀逸です。一方、のハイボールは美味しいのですが、甘味や香りが薄まるだけで、本来の良さがあまり反映されていません。



 なお、酒と食材のペアリングの方法ですが、次の3通りがあります。 (1)最初に食材を食べてその余韻が残っている間に酒を追従させる。(2)(1)と逆に酒の余韻が残っている間に食材を食べる。(3)食材を咀嚼中に酒を含む。今回は(3)のやり方で相性を検証しています。2種類のウイスキーをストレートハイボールで7種類の料理を検証するのですから、都合28回はウイスキーを飲むことになります。まさに体を張った一大実験です。^^




 結果を発表します。各項目5点満点で相性度を評価しています。ただ、スモークは揚げ蒲たらことを分けて評価しています。
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 まず、ウイスキーごとの合計得点を見ますと、白州ストレートよりハイボールの方が各種料理に合いやすい結果となっていますが、それらの差は僅かになっています。そもそも、合計値は40点が最高値ですが、それに比べてどれも23~29点の範囲にあり、100点満点に換算しますと、どれも73点以下になります。バッチリ合うものはないのかも知れません。


 ストレートよりハイボールに料理が合いやすいのは、強い芳香や強いアルコールの苦味が薄れたからであり、本来のウイスキーとはかけ離れ、ビール的な感覚になります。従って、ストレートに相性の良い料理こそ相性度が高いと言えましょう。その点からしますと、ストレートで高得点を出している豆腐ポテトパイや芋レーズンルイベなどが合う料理となります。薫玉サラダや銀鮭カナッペは白州で4点を記録していますが、では3点になり、ウイスキーの種類による相性の違いも見えてきました。


 総じて言えることはウイスキーの強い芳香や苦味を瞬時に癒してくれるような味わいを持つ料理は合いやすいと言えそうです。ふわふわのポテトパイや甘い薩摩芋とレーズンのルイベ等がその典型で、従来から言われているようにマスキング効果の高いチーズアイスクリームの相性度が高いことと結び付きます。


 残念だったことは水産物との相性が今一だったことです。銀鮭のカナッペ白州と合いましたが、これはクリームチーズヨーグルトの効果でしょう。特にたらこのように熟れた水産物の風味とはまるで合わないようです。海の幸のアヒージョもニンニクの香りでマッチするかと思ったのですが、残念な結果でした。魚貝類はフライや唐揚げにすると合うような気がしました。さらに野菜もナッツの力を借りましたが、どうもしっくり来ません。


 今回の結果は白州の差にも見られたように、ウイスキーの種類によっても料理の相性は異なります。ですが、全般的には、日本酒に合うような魚貝類野菜の料理は合わせにくく、日本料理でもクリーミーでコクのあるものは合う可能性が残されました。
 

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2015/06/24(水) 05:00 | trackback(0) | comment(9)
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