とりっこ文店で近大マグロ
カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹
ここは仙台でもコアな呑み屋街、文化横丁です。昭和の面影が濃く残っているゾーンですね。夜の帳が降り始め、夜の灯火が街をエネルギッシュに輝かせ始める昼夜の境界。このような薄暮から呑み始められるのもあと少し。暑いながらも秋は確実にやってきています。本日はこの文横で近大マグロやマダイが食べられるお店で宴を張ります。
実はこちらのお店、とりっこさんは比内地鶏の専門店なのです。
脱サラされたご主人が苦労を重ねてこの店に行き着きました。
突き出しは3品。枝豆、ササミの和え物、そして、ホヤのへそです。
もちろんホヤは哺乳類ではありませんのでへそはありません。蒸しホヤを加工する時に殻ごと根元を切り落としますが、その時に根元側に切り離された身の一部です。専門的に言いますと、筋膜の底部ですね。果物のビワのような外見と純粋に筋肉だけの均一な食感が特徴です。
おおっと、ここでいきなり、鯛のあら煮。あらといっても兜も入っています。
実はこれも近畿大学水産研究所で生産されたマダイです。近大では種苗生産から養殖事業まで広く手がけてきましたが、近年は魚料店も経営しています。私立大学の自由度とポテンシャルの高さを感じます。
鯛の煮付けや焼き物の楽しみは鯛の鯛を取り出すこと。鯛の体の中にある鯛という意味です。
左右の胸鰭の付け根から必ず1個ずつ見付かるはず。よく見ますと、穴のあいた肩甲骨と細い尾を持つ烏口骨に分かれます。肩甲骨の穴を目玉と見なします。この骨はどの魚にもあり、それぞれ個性のある形状をしていますので探し出すのが楽しみです。^^
さて、本日は綿屋シリーズを呑み倒します。これは特別純米酒幸之助院殿。
このお酒は漢方薬を飼料に混ぜた牛の堆肥で栽培したひとめぼれで醸されたお酒です。綿屋らしく前に出る香りではなく、食事の脇役としての柔らかな風味と口当たりが特徴です。
とりっこさんの十八番、比内地鶏の焼き鳥オンパレードです。
どれも素晴らしいのですが、温かい温泉卵で食べるお月見つくねや胸肉を皮で包んだ胸ぽんは肉汁たっぷりで秀逸でした。
さぁ、出ました、本日の真打、近大マグロのお造りです。近大マダイも脇に盛られています。
本マグロですが赤身もトロも脂が細やかに乗っていて、メバチのひがしもののような上品さがあります。完全養殖のためか、トロにも筋っぽさが全くありません。市販されるようになったわけですから、完全養殖でも採算が取れるようになったのでしょう。
ここで夏限定の綿屋特別純米酒ブルーボトルに切り替えます。
先ほどの院殿も酒米はひとめぼれですが、こちらは夏らしくすきっとしていますね。
最後に文さんが手土産に持ち込んだ揚げ蒲鉾を焼いて下さいました。
炙りたての揚げ蒲鉾を染おろしで頂くのも乙なものです。
すっかり世も更けた文化横丁。
入口の電照が闇にくっきり浮かび上がって、少し哀愁も感じさせます。
いつもの気の置けない仲間とこだわりの酒肴を提供してくれるお店で、それぞれの異なる分野の話を聞かせてもらえるのは実に有難いことです。その潤滑剤として宮城の地酒があればもう言うことなしです。とりっこさんの比内地鶏も素晴らしかった。鶏料理だけでも満足なのに、日本で初めて完全養殖に成功した近大マグロが体験できるとは贅沢すぎますね。近大マグロは近大主催のセミナーを受講したお店しか扱えないので当面は仙台ではとりっこさんになるのではないでしょうか。
とりっこ 文店
・所在地 :仙台市青葉区一番町2-3-41 文化横丁
・電 話 :022-224-6990
・営業時間 :11:30~14:00/17:30~23:00(土曜ランチ休み)
・定休日 :日・祝
・駐車場 :なし