創作郷土料理 ヨモギはっとの改良
カテゴリー: 料理:山菜・筍・茸
昨年の今頃にも提案させて頂いたみちのくの創作郷土料理ヨモギはっとに関する話題です。ヨモギは全国的に利用されているのにその殆どは草餅です。古くから餡を塗したり、きな粉を振ったりであまり変化がないようです。
ところが、沖縄ではヨモギでフーチバージューシーという炊き込みご飯や雑炊で日常食として利用しているのです。甘い物が苦手の私もこれなら積極的な料理開発が出来ると勇んで、昨年、フーチバージューシー味のヨモギはっとを創作しました。でも、みちのくの郷土料理を作ろうとしているのに沖縄風はないよね。。。と考え直し、今年はより簡単に出来る和風に改良しました。
【過去のヨモギ料理】
材料はヨモギと中力粉は外せませんが、あとは好きな和ダシと冷蔵庫にある野菜で結構です。生姜は入れた方が風味に芯が通りますね。
今回は人参、乾椎茸、エノキ、長葱、玉葱、小松菜、塩蔵若布などです。具沢山なので中力粉は一人分50gあれば良いでしょう。片栗粉を加えるとはっとに弾力が加わります。
最初にヨモギの葉だけを集め、細かく切っていきます。その後、水とともにブレンダー(ミキサー)にかけます。
細かく切ってから撹拌しないとどうしても長い繊維が残ってしまいます。昨年は茹でてから、擂りましたが、香りが弱過ぎてしまいました。今年はダイレクトにヨモギの香り全開で参ります。^^
ヨモギ液はまず粉の分量の半量を加えて様子を見ます。
最低10分くらいはこね続け、水分や粉を加減しながら耳たぶくらいの硬さにまとめ上げます。蕎麦打ちの水回しのような難しさがないので気楽に仕事が進みます。まとめた生地はラップをかけて最低数時間は寝かせて下さい。できれば一日。
さて、この間にダシを取ります。
具にも使える乾椎茸と市販の田舎ダシパックを使いました。後で麺つゆを使う場合でもダシはきちんと取りましょう。
フライパンに胡麻油を敷いて、生姜の千切りを炒めて香りを移します。その後、火の通りにくい野菜から炒めて行きます。
ワカメと青菜の葉の部分は炒めずに取っておきます。再度加熱しますので、7分くらいの火の通りで十分です。
炒めた野菜、ワカメや青菜を麺つゆと醤油で調味したはっとつゆに投入します。
麺つゆだけで調味しますと甘くなり過ぎますので、醤油で味を補います。
さて、寝かせておいたヨモギはっとの生地を一気に伸ばしていきます。
打ち粉を敷いたキッチントップで菓子用の麺棒を使い、厚さ2mmに伸ばします。量が多い場合は半量ずつ伸ばしましょう。蕎麦のように四角にきちんと角出しが出来なくても何とかなります。^^
半分に切ってから、妖怪一反木綿のように切り出して行きます。^^
もちろん、短冊型でも構いませんよ。お好きな形に切って楽しみましょう。
茹でると不透明な鶯色だったはっとが見る見る透明感のある緑色に変化します。
多少長く煮ても伸びませんが、色は悪くなっていきますので、適度な時間で仕上げましょう。
季節限定ヨモギはっとの完成です。
天盛りに生のヨモギの葉を使ってますが、結構筋っぽいので、枝先の若い葉にしています。ヨモギの香りを消さないように辛味が欲しい時は一味唐辛子を使いましょう。精進では物足りないという向きには、揚げ蒲鉾や鶏肉を加えてはいかがでしょうか。
このツルッとしていて、クチュっとした食感が堪りません。はっとってもっと見直されるべきだなぁ。
今回はヨモギを生のまま使い、ヨモギ液を粉の半量程度加えていますので、野性的な野山の香りも鼻腔に広がります。
みちのくの創作郷土料理として提案しているヨモギはっと。今回は昨年の沖縄風を改良して、みちのくにも馴染みのあるスタイルにしました。でも、みちのくといっても宮城でははっとを食べる習慣のある登米市周辺に限定されるのかも。。。毎年、開かれる全国はっとフェスティバルは12月だし、季節限定を謳うと使ってもらえそうもありませんね。はっとを冬限定ではなく、初夏までこれでつなげると思うのではっとを提供するお店で是非ヨモギはっとを使ってもらいたいなぁ。。。
【 再 掲 】
庭で栽培しているヨモギ(山野草専門店で購入)も本格的に利用すればすぐになくなります。やはり、野生のヨモギを見分ける目が必要と感じてヨモギについて少し勉強しました。キク科キク亜科ヨモギ属の植物は日本に30種類くらいありますが、ごく普通に見られて、比較的葉っぱの形状が似ているのは次の3種類だそうです。
・オオヨモギ Artemisia. montana (Nakai) Pamp
・ヨモギ Artemisia indica var. maximowiczii
・ニシヨモギ Artemisia indica Willd. var. orientalis
沖縄でフーチバージューシーに使われるニシヨモギは関東以西に分布します。従って、みちのくにはよく似たオオヨモギとヨモギが混在することになります。ですが、有り難いことにこの両者は仮托葉の有無で簡単に見分けられるのです。仮托葉とは、葉の基部に着生する2~3枚の小さな葉のことです。これを目印に野原で手当たり次第、ヨモギらしい草を10枝ほど取ってきました。
ヨモギの区別は葉の付け根の小さな葉、仮托葉の有無です(右2枚)。
左はたぶん、ヤマヨモギやエゾヨモギとも呼ばれるオオヨモギでしょう。右の2枚は葉の形が異なりますが、仮托葉が付いており、ヨモギと思われます。同じヨモギでも葉の形状にかなり変異があるようです。今まで野外で自信を持って、これがヨモギだと決められなかったのは、この変異性が原因だったみたいです。
ただ、オオヨモギもヨモギもみちのくでは区別されることなく、モヅグサ(餅草)として利用されてきましたのでどっちでもよいのでした。臭いの強弱は成長段階や環境によるものだったのでしょう。加熱しますと、かなり香りも弱まりますので、今後は気にしないで摘んでくることが出来そうです。