そばつゆを調製しました
カテゴリー: 料理:麺類
以前、独学で蕎麦を打っていたこともあるのですが、ボツボツ切れたり、太さも田舎蕎麦の域を超えることが出来ず、挫折しておりました。意を決して、先日、蕎麦打ち名人の個人レッスンを受けました(関連記事)。技術に磨きをかけるために、これから定期的に蕎麦打ちをしなければなりません。蕎麦もたくさん食べることになりそうです。でも蕎麦を食べるためには、ただ蕎麦を打って茹でるだけではありません。以下のような工程が伴います。
1 返しを作り、寝かせる。
2 だしを取る。
3 返しと合わせた蕎麦つゆを寝かせる。
4 蕎麦を打つ。
5 蕎麦を茹でる。
6 食べる(好みで薬味を用意する)。
各工程の一つ一つで記事が書けるくらい奥が深いのですが、この記事では、先生に教わった1~3 の蕎麦つゆ作りをまとめて記載します。なお、秘伝の部分もありますので、分量等はネット上で公開されている配合を参考にして記載しました。
まず返しを作ります。返しには加熱する本返しと非加熱の生返しがありますが、以下は本返し作りの奮戦記です。
材料ですが、とりあえずスーパーで手に入るものと家にあったもので作ります。
メインの醤油は必ず丸大豆で作られたもので濃口と薄口の2種類を配合します。先生は陸前高田にある八木澤商店の生揚げ(非加熱)を使ってきましたが、現在、完全には復旧しておらず、生揚げは生産していないようです。
味醂は純米本みりんを用意しました。先生は三河の本みりんを使ってます。糖類は甜菜糖と果糖を使うそうですが、家にあったきび糖とグラニュー糖にしました。なんかいい加減だなぁ。でも、白ザラメだけでやっている蕎麦屋さんもあったり、かなり好みの強い世界みたいです。
まず、鍋で本みりんを煮切ります。この作業は日本料理をやっているなぁと実感できますね。
人によっては味醂を沸騰させずにじっくり時間をかけてアルコールを飛ばす人もいますが、その差がよくわかりません。煮切った味醂に糖類を溶かし込みます。
糖類の溶け込んだ煮切り味醂に醤油を注ぎ込みます。
醤油と味醂(ml)及び糖類(g)の分量ですが、一般的には10:2:2ですね。この時、梅干を入れる人もいるそうです。
その後、弱火でアクを取りながら加熱し、沸騰手前で火を止めます。
熱湯で滅菌したガラス容器に収容し、冷暗所で1週間以上寝かせます。寝かせることで醤油の角が取れ、甘味としっくり馴染んできます。この本返し、日本料理の万能調味料となり、薄め加減で蕎麦つゆだけではなく、煮物や割り下などに活用できます。
本返しが馴染んだら、いよいよ、だしとの調合です。
だしもこだわればキリがないのですが、入手しやすいものを集めました。先生は本枯れ節を2時間かけて削るのだそうです。私は子供の頃、好きだった吉祥寺の蕎麦屋さんが厚削りの鰹節を使っていたのを見て育ったので、それに、昆布と干し椎茸、煮干を加えてみます。
だしも正に千差万別。大きく分けると関東では厚削りで煮出して取る感じ。一方、西日本は薄削りでさっと引く感じですね。まだ、初心者なので昆布や椎茸などに手を出すのは早いかも知れませんが、度を過ぎなければ、不味くはならないでしょう。
だしを煮出す前日に昆布、干し椎茸、頭と内蔵を取った煮干しを浄化水に漬け込みます。
本返しとだしの分量比率もかなり幅が有り、1:2~1:4。本返しを700mlほど作りましたので、1:3で調合するためには、だしが仕上がりで2100ml必要です。煮詰めることを考慮して、3000mlの浄化水に漬け込みます。
一晩、経ったら火にかけ、沸騰直前に昆布と椎茸を引き上げ、その後、2分ほどで煮干も取り出します。
やはり、鰹節の香りが主役なので、脇役のダシは軽めにしておきます。
弱火にした鍋に鰹節を入れ、鍋の端にだけ火を当てて、ゆっくり鰹節が対流するようにします。
蓋を外して40分ほどゆっくり煮出します。もちろんアクは小まめに取ります。
出来上がっただしは布で漉します。濾しただしは香り味とも濃厚です。
なお、だしガラは先ほどの昆布や煮干と合わせて二番だしが取れます。煮物や味噌汁に役立てましょう。
さて、本返しとだしを合わせますが、プロは合わせた後にタンポと呼ばれる土器で湯煎をして馴染ませます。
タンポがなくても、70℃前後の温度を維持するようにして20分位トロ火にかけたり、火を止めたりすればよいのです。
これを滅菌した幾つかの瓶に分けて詰め、冷蔵庫で保存します。
開封しなければ、数ヶ月は持つそうです。家庭での利用の場合、一度には多く使いませんので、小分けして冷蔵した方が便利ですね。
だしガラで二番だしを取っています。二番でもよく煮出せば濃いだしが取れます。
だしを取り終わった昆布と椎茸は適当に切って、先ほど調製したそばつゆで煮染めます。ライトな佃煮ですね。フライパンでやると短時間で作れますよ。
今回は蕎麦つゆ作りで終わりましたが、蕎麦の世界は果てしないです。そう簡単に習得できる技術ではなさそうです。でも、蕎麦つゆはそれなりに美味しく出来ましたので早くこの蕎麦つゆで打ち立ての蕎麦を食べてみたいですねぇ。蕎麦つゆ作りに比べると、蕎麦打ちは遥かに高度な技術です。これからこの技術に磨きをかけてゆく過程で相当の蕎麦が消費されることでしょう。食べ過ぎて蕎麦を嫌いにならないと良いのですが。。。^^