fc2ブログ

【山形県河北町谷地】冷たい肉蕎麦の故郷を訪ねる

カテゴリー: 外食:蕎麦

kahoku1.jpg kahoku9.jpg
 前記事で東仙台にある冷たい肉そば専門店をご紹介しましたが、妙に上品に感じて違和感も覚えました。肉そば発祥の地であるかほく(河北町)を店名にされているので、原点に近いとは思うのですが。。。残念ながら、今まで河北町肉そばを食べたことがありませんでした。隣接する東根市、天童市、西川町などではさんざん食べてきたのですが、もっと野趣のある力強い蕎麦だった記憶があります。まず蕎麦がもっと黒い田舎蕎麦でつゆももっと濃い甘辛味だったはずです。元祖はこのように上品なのか、それとも仙台人向けにモディファイしているのか、居ても立っても居られなくなり、峠を越えて調査してきました。^^



 ここで山形の肉そばについて、少し触れておきましょう。河北町HPによりますと、その昔、居酒屋というものがなく、蕎麦屋がその代わりをしていたそうな。馬肉の煮込みで酒を呑み、〆に板そばを食べるのが河北町の旦那衆の定番だったとか。ある時、残った煮汁に蕎麦を入れてみたら、なんということでしょう。いまだかつて経験したことのない味わいになっているではありませんか。



 そこで、蕎麦屋さんも改良を加え、そばが伸びにくいように冷たいつゆを張ったそうです。ただ、大戦が近づくと、は軍用に徴用され、馬肉も手に入らなくなったため、鶏肉に替えてみたところ、これがまたイケた。お客の評判も良く、戦後は鶏肉を使った肉そばが定着し、現在に至っています。河北町は人口2万人弱の小さな町ですが、谷地地区を中心に肉そばを食べさせるお店が20軒ほどあります。今回はその中でも一世紀近く創業を続けてきた二つの老舗の暖簾を潜りました。そのために朝食を抜いて立ち向かいます。^^




 さて、気になる調査結果ですが、最初に二大老舗の一つ一寸亭本店(ちょっとていさんを訪問しました。大正5(1916)年の創業、元祖冷たい肉蕎麦のお店です。
kahokuniku1.jpg 
kahokuniku2.jpg

 開店の11時少し前には着いたのですが、既に待合席には10人ほどが座ってます。上の写真は食べ終わって出てきた11時20分頃の状況ですが、駐車場は満車、待合席は埋まって、立ちの行列まで出来ていました。しかも県外ナンバーが目立ちます。恐るべし、一寸亭。。。




 入店すると、店主が小気味よく座席を捌いていきます。おすすめメニューの他にも献立は意外に多く、ソースカツ丼やラーメン類もありましたよ。
kahokuniku3.jpg

 でも脇目も振らず、無心に冷たい肉そば(並)650円をオーダー致します。大盛りを頼む方も多かったですね。さすが麺食い王国、山形。^^




さっそく運ばれてきました本場河北町谷地冷たい肉そばです。
kahokuniku4.jpg

 外見は近隣市町のものとほとんど差がありません。ただ、葱の周囲に固まりかけた鶏脂を発見。麺量は200g位でしょうか。そんなに多くは感じません。副菜はつぼ漬け風の大根でした。なお、テーブル上の薬味は一味唐辛子でした。




鶏肉はやや薄めですが、親鶏ですのでコリコリとした食感で、噛むほどに旨味が溢れてきます。
kahokuniku5.jpg

 ももと胸を取り合わせて5枚でした。期待していたほど多くはありませんね。




そして、蕎麦ですが、やはり、色黒の田舎蕎麦でした。
kahokuniku6.jpg

 かなり硬めでよく噛む必要があります。太さもそれほど太くなく、食べやすい中太ですね。




一寸亭さんの肉そばの最大の特徴はこのでしょうね。
kahokuniku7.jpg

 敢えて浮かせているといった感じです。ラーメンで言えば醤油味こってり系?? 少なくとも周辺市町も含めて冷たい肉そば界では、断トツのこってり加減ですね。スープ自体はがっちりダシが利いていて、味付けもメリハリが付いていますが、決してこってりではなく、飲めるくらいのスッキリなのですが、水面を漂う半流動体のがスープの間に立ちはだかります。100円増しのおろし肉そばというのもあり、結構出ていましたね。のくどさをスッキリさせるのでしょうけど、なんかおかしいな。かつてはも貴重な栄養だったのでしょうね。



 さて、1軒目の一寸亭さんをクリアーし、次の老舗に向かいますが、若い頃と違って連食は応えます。それに、通常の肉そばは740Kcalくらいはありますが、あの肉そばはもっとハイカロリーでしょう。スープを飲み干してはいませんが、700Kcalは摂取したはずです。そこで、町内を5000歩程歩いて200Kcal消費、その後、温泉に小一時間浸かって240Kcal、合わせて440Kcalほど消費させました。^^ 




 こちらは温泉施設のひなの湯です。なんと入浴料がたったの250円。いいなぁ山形は。
kahokuniku8.jpg

hinano1.jpghinano2.jpg
 結構混んでいたので、浴室内の写真はひなの湯HPよりお借りしました。浸かって休んでお茶飲んで、また浸かって休んでお茶飲んでをゆっくり繰り返します。シャンプーやドライアーなどの装備はありますが、寝っ転がれる畳の部屋は全て有料でした。




 さて、お腹も少しこなれたところで、2軒目の老舗、いろは本店さんを訪ねます。こちらも一寸亭さんとほぼ同じ頃の大正9(1920)年創業です。
kahokuniku9.jpg 
kahokuniku10.jpg

 午後2時頃だったのですが、駐車場はまだ8割方埋まってます。こちらも絶大な人気ですね。いろはさんは本店の他に支店と分店が河北町谷地内にあります。店内では若い女性店員さんがファミレス風の発声で案内してくれました。^^




メニューの構成や値段は一寸亭さんとよく似ていますが、ソースカツ丼のようなご飯ものはないようです。
kahokuniku11.jpg kahokuniku12.jpg

 一寸亭さんと大きく異なるのはきしめんではなくてうどんがあることです。もちろん比較のために冷たい肉そば普通盛650円をお願いします。



 
 これがいろは本店さんの冷たい肉そば(普通盛)です。一寸亭さんより少し鶏肉が多いかな。 
kahokuniku13.jpg
 もさほど目立たず、ごく普通の顔立ちです。鶏と長葱だけのシンプルな具、薬味も一味唐辛子ですね。




 鶏肉は肉そばの特徴である硬いけど味のある親鳥です。やはりももと胸を使っており、味付けもしっかりしています。6枚乗ってます。
kahokuniku14.jpg

 6枚乗ってますが、一寸亭さんより少し薄くなったような気もします。この鶏は一度加熱して冷やしてから薄切りにしているのでしょうか。生の鶏をこのように切るには冷凍物の半解凍状態でしか出来ないように思います。




 蕎麦はもちろん色黒の田舎蕎麦、一寸亭と同じく中太ですが、決定的な違いは縮れが付けてあることです。
kahokuniku15.jpg

 ラーメンの縮れ麺のように打った後に揉み込むのでしょうか。当然ながら、麺つゆの絡みはこちらの方がずっと良いですね。




 つゆに浮かぶ脂球は透明です。温度も一寸亭さんよりは高めですね。
kahokuniku16.jpg

 分厚い固まりかけたが浮いていないので、つゆを安心して飲むことが出来ます。味付けは甘味塩味がしっかりしています。


 さて、調査結果ですが、今回は冷たい肉蕎麦発祥の地山形県河北町谷地でも特に歴史の深い老舗の2軒で食べて参りました。たった2軒ですが、それぞれの支店分店を含めると、消費される肉そばの多くの割合を占めている思われます。そして元祖の地における肉そばの共通点はこうではないでしょうか。。。


 ① 麺は中太色黒の田舎蕎麦でかなり硬めに茹でられている。
 ② つゆはがっつり鶏だしが利いており、醤油ベースの甘辛い味付けである。
 ③ 具となる肉は老鶏のももと胸を薄切りし、しっかり煮染めてある。
 ④ つゆの温度はキンキンに冷たいわけではなく、ほんのり冷たい。
 ⑤ 鶏以外の具は長葱だけ。卓上の薬味は一味唐辛子。
 ⑥ お値段は普通盛で650円前後。


 という点からしますと、東仙台の冷たい肉蕎麦専門店かほくさんの商品は、の麺は現地よりかなり白くなっており、のスープのダシや味付けもやや淡泊、の具材は少な目ですが容認範囲、その他の少なさ等からいろは系肉そばを仙台人に向けに改良されているのではないかという結論に達しました。世界の中国料理や寿司はその国の嗜好によって様々な形に変わって普及しています。それは仕方がないことですが、現代は本場の味を求める人も増えています。そういうお店が地元を離れても経営できると良いのですがねぇ。。。
 



一寸亭本店


・所在地   :山形県西村山郡河北町谷地所岡2-11-2
・電 話   :0237-72-3733
・営業時間  :11:00~15:00/17:00~19:00
          土・日・祝 11:00~19:00
・定休日   :水曜日
・駐車場   :あり



いろは本店


・所在地   :山形県西村山郡河北町谷地中央2-1-15
・電 話   :0237-72-3175
・営業時間  :11:00~18:30(売り切れ次第終了)
・定休日   :木曜日
・駐車場   :あり



温泉施設 ひなの湯


・所在地   :山形県西村山郡河北町谷地字下野269番地
・電 話   :0237-71-0333
・入館時間  :6:00~22:00
・料 金   :大人 250円
・定休日   :第二木曜日
・駐車場   :あり 

スポンサーサイト



2013/08/29(木) 05:00 | trackback(0) | comment(7)

冷たい肉そば専門店

カテゴリー: 外食:蕎麦

kahoku2.jpg 
 いつだったか、仙台から利府街道を松島方面に走っていた時、燕沢周辺で左手に冷たい肉蕎麦の看板がちらりと見えた気がしました。山形の肉そばなんだろうかと思いつつもすぐに忘れ、またしばらく経って通過した際、今度は山形名物かほくの文字も確認できました。「間違いない。河北町谷地の冷たい肉そばだ。」 でも、この周辺の利府街道は止まるのもスピードを緩めるのも難しく、駐車場までは確認できませんでした。




 ネット調べると店の西側に駐車場があるとの情報を得て、慎重に運転してきたのですが、1回目は通り過ぎ、転回して戻ってきて反対車線から右折でなんとか入れました。
kahoku3.jpg kahoku4.jpg

 とにかく分かり難い、店から東に少し離れて駐車スペースがあるので、仙台方面からだと見付けにくいのです。それにこの辺は皆さんかなりのスピードで走ってますし。。。相当の動体視力が必要ですね。それに急な減速も危険ですので、十分に気を付けて下さい。




 間違いなく、山形県河北町冷たい肉そば専門店です。
kahoku1.jpg

 河北町
といえば、肉そばの発祥地と言われていますね。周辺の西川町、東根市、天童市では何度も食べているのですが、元祖河北町のは初めてです。期待で胸が膨らみます。




 店内は蕎麦屋と言うより殺風景な居酒屋みたいな感じ。
kahoku5.jpg

 テーブル3卓に、カウンター4席。あまり表現するものがありません。水はセルフなのですが、初めてだと出されるものだと思って待ってしまいます。カウンター上にはお酒も並べてあり、夜は居酒屋になるのでしょうか。一応、営業時間は日中だけですが。




 冷たい肉蕎麦並盛600円をお願いします。 山形系の麺類の大盛りは時として暴力的な量となりますので、初めての処では並盛でチェックしましょう。^^
kahoku6.jpg

 年配の女性が食堂係で、若い男性が厨房です。親子なのでしょうか。いずれにしろ、山形県河北町のご出身と信じても良いのでしょうか。ほどなく、タイマーのピピッと言う音が聞こえ、水道水でジャーッと麺を洗う音が厨房から伝わってきます。




 やって来ました。山形県河北町谷地の冷たい肉そばです。量は宮城の並とさほど変わりません。
kahoku7.jpg

 肉(鶏)と長葱だけで潔いのですが、なんだろう、想像していたのより全体的に上品だなぁ。キラキラと透明な油が浮くくらいのスープの温度であるところは本物っぽい。



 肉も上品。。。いや、薄くて数が少ない。
kahoku8.jpg kahoku9.jpg

 食べてみると味はよく染みていて、老鶏らしく噛み締めるほどに味が出ます。でも、もう少し厚くても罰は当たらないでしょう。^^ そう言えば、副菜のキュウリの漬け物も見事に薄い。つゆはダシもそこそこに利いていますが、いつまでも飲んでいられる位さっぱりしています。透明感のあるスープは清々しいのですが、野趣に欠けます。。。




 極め付けはこの蕎麦。本当に河北ではこんなに白くて細いの???
kahoku10.jpg

 これは仙台人にも受け入れられ易いようにモディファイしているのでしょうか。河北周辺の市町で食べた肉そばは何処もいわゆる田舎蕎麦で噛むのに時間が掛かった記憶があるのですが。。。この蕎麦も噛み応えはあるのですが、田舎蕎麦とは異なりますね。




 謎が深まる河北肉そば。ネットではかなり好評なのは仙台人好みにされているからでしょうか。やはり峠を越えて本物の河北町谷地肉そばを確かめに行く必要がありますね。朝飯抜いて朝飯の代わりにまず1杯、温泉に入って遅めの昼飯にもう1杯で2カ所を検証してみましょう。いろは系列店一寸亭本店の暖簾を潜ってみようかなぁ。^^




 冷たい肉蕎麦専門店かほく


・所在地   :仙台市宮城野区燕沢東2丁目1-28
・電 話   :022-253-2977
・営業時間  :11:00~14:00
・定休日   :不定休
・駐車場   :店の西側4台(分かり難い)

2013/08/26(月) 05:00 | trackback(0) | comment(2)

【塩竈市】台湾料理で暑気払い

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

abu1.jpg 
 幾分朝夕は過ごしやすくなったとはいえ、まだまだ暑い日が続いております。この残暑を乗り切るため、船頭会の長老より暑気払い開催の勅が発せられました。呑み友とも相談した結果、会場を塩竈の尾島町にあります台湾料理阿母さんに決定。あははではありません。中国語であぶーと読みます。尾島町でも最もディープなエリアに位置するプロムナード佐精、ここにはお気に入りの花宴さんも入っています(関連記事)。




 阿母さんは店の造りこそ居酒屋ですが、台湾出身の李ママが本格的な台湾料理を食べさせてくれます。
abu2.jpg
 阿母とは母親を親しんで呼ぶ言葉だとか。おかあちゃんでしょうか。沖縄や奄美でも阿母と書いて、「あんまぁ」と言うそうですよ。




 カウンターの中では、元気な李ママが高速で料理を作っております。^^
abu3.jpg
 たった一人で接客から料理までこなしておりますので驚きです。入店すると、日本語で「いらっしゃ~い」と上がり口まで出てきておしぼりを手渡ししてくれます。




 今日は2500円で料理をお願いしています。
abu4.jpg
 前菜はヤリイカの魚卵詰め。たぶん加工品だと思いますが、歯触り楽しいですね。 




 台湾といえば、これですよね。大根餅です。
abu5.jpg 
abu6.jpg
 30年ほど前に台北で食べて、虜になりました。干し海老の香りが堪りません。阿母特製のタレで頂きます。




 続いて点心の定番小龍包。口内火傷必至で頬張ります。^^
abu7.jpg 
abu8.jpg
 溢れるスープの美味しいこと。下のキャベツにも噴出したスープが染みて、こっちも美味い。




 これは台湾風のチヂミなんだそうです。
abu9.jpg
 韓国のとはまた違った美味しさです。




 空芯菜の炒め物。一皿ずつ、何回かに分けて炒めてくれます。
abu10.jpg
 まとめて炒めると火の通りにムラが出るからでしょうね。30年前の台湾では、街の食堂でこの炒め物とご飯に肉団子のスープがついて200円位でした。




 これは初めて食べました。牛タンエビの炒め物です。
abu11.jpg
 よく茹でて柔らかくなったタンを炒めるとは、素晴らしい発想です。




 こちらは焼いた銀ムツに炒め野菜を乗せたもの。これは銘々に出されました。
abu12.jpg
 こういう発想も日本料理からは出てこないなぁ。




 最後は大根の旨煮だったように記憶していますが、酔って失念。これはさんの撮影です。
abu13-1.jpg
 2500円でこれだけ食べられれば大満足ですよね。しかも目の前で作ったばかりのものを頂けるのですから、熱い冷たいのメリハリもついています。それにしても李ママは凄腕だな。食べてみたいメニューもたくさんありました。再訪決定ですね。^^




 全員、李ママの料理に大満足。
abu14.jpg
 海の話から昭和の思い出まで話題が尽きることを知りません。




 美味い台湾料理に酒も量が行き、すっかり呑み過ごしてしまいました。塩竈には本格的でも庶民的なお店が多々あります。シャッターが閉じたままのお店もありますが、こういう李ママのような元気な方に譲ってあげてもらいたいものです。




台湾料理 阿母


・所在地   :宮城県塩竈市尾島町23-18
・電 話   :022-365-8639
・営業時間  :17:00には開いてました。
・定休日   :不明
・駐車場   :なし

 

2013/08/22(木) 05:00 | trackback(0) | comment(4)

【福島県いわき市】割烹一平の復興に勝つ 鰹あぶり重

カテゴリー: 外食:丼・オーバーライス

ippei1.jpg
 震災の前年に逝去された恩師の別荘が福島県のいわき市にあります。奥様が時々来て、管理されているのですが、以前より食器を処分するので取りに来てほしいと言われておりました。我が家は東日本大震災で3割くらいの食器を失ったので大変有り難く、図々しくも頂きに上がりました。その際、名物女将のいる割烹が近くにあるので、お昼をご馳走すると仰いました。じぇじぇ、食器を頂いた上に割烹でランチなんか飛んでもございませんと尻込みしたのですが、震災以降、庶民価格の献立も出すようになったとのことです。




 その割烹は一平さんと言います。夏はウニ、冬はアンコウで名を成した有名店です。
ippei2-1.jpg
 歩くうにって何だろうと思ったら、要するに活ウニのことで殻を開けた後もしばらくは棘を動かしてうごめくからなんでしょうね。




 暖簾を潜ると和風庭園の通路となり、手水鉢には水が滴り落ちています。
ippei2.jpgippei3.jpg
 料亭や割烹なんぞはそうそう来られる処ではありませんので、緊張感が走ります。^^




 通されたのは宴会でもするような大広間。でも、座卓やテーブル席が並べてありました。
ippei4.jpg
 高齢者で畳に座るのが困難な方もいらっしゃるのでこの配慮は優しいですね。




 本来、ランチでも3,000円以上する割烹ですが、震災以降に出すようになった鰹あぶり重はセットで800円です。
ippei5.jpg
 それにしても安いですね。副菜やコーヒーも付くようですし、その辺の食堂と変わらないお値段です。




 最初に緑の豆腐にダシの利いた餡がかけられて登場します。こういうところが料理屋さんですね。
ippei6.jpg
 葛で固めた抹茶豆腐かと思ったら、モロに豆腐でした。抹茶入り豆腐かな。。。




 豆腐を食べ終わったところにタイミングよく、鰹あぶり重が出されます。
ippei8.jpg 
ippei9.jpg
 炙った鰹をご飯に乗せただけではありません。イクラやフカヒレなどの高級食材も惜しみなく使われています。炙った鰹にドレッシングのようなものを塗してありますね。




 漬け物は大根の梅酢漬け小茄子にいわき名産の紫蘇巻きです。
ippei7.jpg
 福島県の紫蘇巻きは腹帯のように巻くのですね。塩漬けした大根を拍子木に切って、同じく塩漬けされた青紫蘇の葉で巻いてあります。単にしそ巻きと言いますと宮城ではクルミ味噌を巻いて揚げた物を指しますね。




 奥様が私のために煮魚も頼んで下さいました。これはサメガレイの煮付けです。宮城ではホンダガレイと呼びます。
ippei10.jpg
 味付けは割烹にしてはかなり甘め、お客筋の好みなんでしょうか。食後にはコーヒーまで付いて、充実の800円でした。ただし、追加の煮魚は900円でした。

 

 


 食事の後半、女将の長谷川雅子さんがそばに座られて福島第一原発事故による放射性物質汚染の悲惨さをお話になりました。一平さんはウニやアンコウなど、いわきに水揚げされる前浜物を料理して提供してきましたが、現在、福島県では安全が確保された軟体動物のごく一部を試験操業する以外、漁業は全面的に規制されています。それがいつまで続くのか全く先が見えておりません。名物のアンコウも青森県から、ウニは北海道から仕入れているそうです。いわきの観光にも尽力されてきた長谷川さんは本当に悔しそうでした。


 目の前に広がる広大な海の恵みが何年にも亘り、利用することが出来ないのが福島の現実です。それに、現在でも汚染された地下水が毎日、何百トンも海に流れ込んでいます。事故から2年以上経過した先月から、観測用井戸のセシウム、トリチウム、ストロンチウムが急上昇しているのは溶解した炉心がメルトアウトして、水脈に達したからではないでしょうか。でも、それだったら大規模な水蒸気爆発が起きますよね。厚い湛水層でなければ、爆発も起きないのでしょうか。。。


 一体、原発敷地内の地下で何が起こっているのでしょうか。この辺の合理的な説明を電力もマスコミも規制委員会も保安院もしてくれていないように思います。事故により国土のみならず、貴重な資源までが汚染され、その補償で支払われる金額や果てしなく続く事故処理に掛かる経費を考えると、原発は決して安い発電方法とは思えないんですけど。。。不信だらけの原発がこの国では、これからも稼働していくのですね。やっぱ、日米原子力協定の縛りなのかな。




割烹一平


・所在地   :福島県いわき市小名浜字下町75
・電 話   :0246-54-3311/0120-54-3316
・営業時間  :11:00~20:00(日~15:00、祝~19:00)
・定休日   :月曜日、年末年始
・駐車場   :あり


2013/08/19(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

【美里町青生地区】三陸海の幸勉強会+料理教室夏バージョン

カテゴリー: 未分類

aou1.jpg 
 昨年から被災地の水産業復興を少しでも後押しできたらと、生産が戻りつつある養殖物漁獲物を材料にした料理教室をボランティアとして開催しております。調理の前には水産業の復興状況や水産物の安全確保のための取組などをプレゼンさせて頂いております。それに続いて産地から運んできた食材を料理し、その美味しさに目覚めて頂きます。そして、今後も買い支え食べ支えて頂こうというのが目的です。誰にでも出来る復興支援、それが県内の水産物農産物を買って食べることなのです。




 先週末8月10日の会場は美里町青生コミュニティーセンターでした。こちらでは初めての開催となります。
aou2.jpg aou3.jpg
 
田んぼの中に突然近代的な建物が現れたような青生コミュセン。築5年ほどで会議室も調理実習室もまだピッカピカ。小さな体育館もあって、子供たちも利用している様子。




 みなさま熱心に聞いて下さいます。初めての会場では震災の被災状況もお見せしますのでちょっとショッキングかも知れません。
aou4.jpg

 大学と違って、寝る人がいないのがいいですね。^^ 本日は草香麺を販売されている(株)ユームの佐藤社長も応援に駆け付けてくれました。




 本日は、冷たい塩竈そば紫蘇若布餃子海の幸の餡かけ豆腐銀鮭若布めしの4品を作ります。(レシピはこちらの記事をご覧下さい)
aou5.jpg

 人生のベテランの方が多いので、手際が良いですね。どんどん進んでいきます。




 面倒な餃子包みも大勢でこなしますのであっという間に終わりました。
aou6.jpg

 中に大葉(青紫蘇の葉)も包み込みますので、通常より包みにくいのですが。。。




 今日は餃子の焼き方をバッチリ覚えて頂きます。
aou7.jpg aou8.jpg

 受講生の中にも餃子の皮がパリッと焼けないと仰る方がおりました。たぶん、最初から底面に焦げを付けようとして蒸し焼きにしようとされているのではないでしょうか。焼き餃子はただ焼くのではなく、茹でてから底面を焦がす感じです。


 三日月型で底面を平らになるように包み、熱したフライパンにお互いが軽く触れる程度に並べていきます。この時に少し餃子がフライパンにくっ付く位でよいのです。続いて熱湯を餃子が半分くらい沈む程度に注ぎ、蓋をします。熱湯が飛び跳ねて餃子の上部も茹でてくれます。


 5分ほどして皮に透明感が出てきたら、おを捨て、油を回しかけて再び蓋をしてさらに5分ほど弱火で焼き込みます。たまにフライ返しで底面を確認し、好みの焦げが付いていたら、フライパンから剥がして皿に盛ります。




旨味たっぷりの餡かけ豆腐も出来ました。
aou9.jpg aou10.jpg

 帆立貝にはダシになってもらいましたが、加熱してもほぐせば柔らかくなります。海老はサッとだけ加熱してぷりぷり感を維持。




 ご飯が炊き上がりましたら、刻んで塩を加えた生銀鮭と水で戻して同じく刻んだ塩蔵ワカメも混ぜ込みます。
aou11.jpg

  は事前に焼いたり煮たりしておりませんので、ふっくら仕上がります。ご飯の余熱だけで加熱しています。 




 さて、お楽しみの試食です。いただきま~す。
aou12.jpg aou13.jpg
 
1時間半くらい立ちっ放しで調理でしたから、お疲れになったでしょう。ゆっくりとご賞味くださいませ。




本日はレシピのの4品の他に特別に一品加えています。
aou14.jpg

 炭水化物が若干多いので普段の食事よりもお腹に溜まると思います。^^




 これは汁物替わりの冷たい塩竈そばです。
aou15.jpg

 茹でなくてお湯や水に浸すだけで食べられる内モンゴルの草香麺で作りました。塩竈らしく藻塩で潮仕立てとし、名産のマグロを使ったつみれとワンタンを乗せました。夏の暑い日に最適なように、つゆも氷でキンキンに冷やしておきます。草香麺は非常食にも最適ですので、震災を忘れないためにもこの塩竈そばに採用しました。詳しくはこちらをご覧下さい。




 餃子もこれくらいこんがり焼ければ、多少時間が経ってもふやけません。
aou16.jpg

 ワカメをたっぷり入れていますので、シャキシャキ感も楽しい餃子になっています。




 ホタテの甘味が溢れる餡かけ豆腐です。豆腐にも旨味を含ませてあります。
aou17.jpg

 ホタテの柱は多少煮込んでも硬くならないのが有り難いですね。海老はサッとしか熱を通しておりません。




 銀鮭と若布タップリの混ぜご飯。私はこれを復興めしと呼んでいます。^^
aou18.jpg

 生銀鮭が手に入らない季節は、塩銀鮭を使うことになりますが、作り方は同じですが、塩は混ぜ込んで加熱してから味見して、必要があれば加えます。




 本日のおまけ。内モンゴルご出身の佐藤タナさんが作ったモンゴル風の草香麺
aou19.jpg

 作り方は草香麺に香り油(花椒、長葱で香りを移す)、蒸して潰したじゃが芋、キュウリ、カニかまを混ぜ合わせました。味付けは醤油です。じゃが芋がこなれてソースの役目を果たしています。



 今回、初めて訪問した青生コミュニティーセンターさんでしたが、事務局長の鈴木さんがレシピやテキストを綺麗なデザインでプリントして下さり、感激致しました。内陸部ではなかなか生の銀鮭を食べるということはないと思います。輸入物の塩銀鮭とはまるで別物であることを実感して頂けたことでしょう。気仙沼市本吉町の蔵内から運んだ塩蔵ワカメも大好評で、是非買いたいという声が多く、教室から携帯で配送をお願いしたほどでした。参加された皆様、事務局長の鈴木さん、応援に駆け付けてくれた草香麺の佐藤タナさん、本当にお疲れ様でした。また、冬バージョンの料理教室もやりましょうね。^^

2013/08/15(木) 05:00 | trackback(0) | comment(0)