シオーモな夜に参加しました
カテゴリー: 料理:買い魚
明日は仙台で「シオーモな夜」が開催されます。「シオーモな夜」とは、塩竈の食材にこだわり、塩竈ならではのメニュー開発をする集団、及びそれらを求評する晩餐会のことです。会場は一番町のSharcafe(シェアカフェ)となります。
さらに、シオーモと言いますのは宮澤賢治が彼の作品『ポラーノの広場』の中で 塩竃をイメージして名付けた架空の街です。モリーオ市の博物局に勤務する主人公が、標本採集のためイーハトーヴォ地方の海岸を旅行するのですが、その途中でシオーモの港に上陸します。引用しますと、、、
【第5章センダード市の毒蛾】より
「~そして八月三十日の午ごろ、わたくしは小さな汽船でとなりの県のシオーモの港に着き、そこから汽車でセンダードの市に行きました。~」
センダート市は間違いなく、仙台市でしょう。ここで理科大学の標本を見ることになっています。
さて、今回のメニューは以下のとおりでしたが、当日は私も厨房にこもりきりで自分で作った料理しか撮影できませんでした。
●シオーモサラダ
●シオーモカルパッチョ
●南米風鮪のたたき
●ハッチー仙台白菜餃子
●海藻の和風お惣菜2品
●フノリとキャベツの浅漬け
●イタリア人でも食べられる味噌おでん
●吉次のリゾット
●桜藻塩ジェラート
このうち、私はカネシゲ高嶋商店さんと組んで、南米風鮪のたたきと吉次のリゾットを担当します。それとマルブン食品さんが担当する味噌おでんで試す番外のソースも準備します。
その番外のソース、現在、イタリアはミラノに在住のShimasue Midoriさんからレシピを頂きましたが、マルブンさんがおでんで試したいとのことで前日に作って持ち込みます。
それは、オリーブベースのソースでケッパー(カッペリ)とアンチョビーも使います。面白いのは、香り付けにニンニクではなく、生姜を使うことです。イタリアにも日本と同じような生姜があり、イタリア人も好むということです。これは主に肉料理に使われるのですが、果たしておでん種に適合するでしょうか。頂いたレシピでは辛味に唐辛子とありましたが、近所の先輩が栽培加工されたハラペーニョの酢漬けを使ってみます。
お手軽にハンディーミキサーでオリーブから攪拌し、その他の材料を加えながらペースト状にします。
滑りやすいおでん種にかけますので、少し粘りが出るまで攪拌しておきます。
オリーブオイルを入れる前に味見をしたところ、酸味と塩味が尖っており、丸味が足りないと感じたので蜂蜜を加えました。
味が決まりましたら、オリーブオイルを加えてさらに攪拌。これで滑らかさも加わってソースとして一応完成。
早速、手短なもので食材との相性を確認。
おでん種がなかったので、トースト、ハム、豆腐です。トーストはソースの味を強く感じ過ぎて負けています。ハムもそれ自体の味がソースとバッティング。肉は薄味のステーキやボリート(茹で肉)でないと相性は今一のようです。
意外なのが豆腐。
豆腐の水分ときめ細やかな食感がこの強めのソースをうまく受け止めています。これはおでん種でもなんとか行けそう。
さて、当日、18時にシェアカフェに入場。キッチンはカウンターの後方にありますが大人二人がやっと立てる狭さ。
すれ違いの時に体がかなり接触し、変な気分になります。^^ しかも、装備された包丁も少なく、ほとんど切れない。アボカドの皮で跳ね返されました。これは相当の苦戦が予想されます。体格の良い高嶋さんと今夜は運命を共にします。
リゾット用のブロードをとっている間に番外おでんソースをチェック。
想定通り水分の多い薄味な食材にはよく合いました。このソースはイタリア人が実際に使っているものなので、イタリアで味噌おでんを普及させる時の一つのツールとして使えそうです。隠し味で白味噌を使っても良いかも。
担当した南米風鮪のたたきをまず作ってしまいます。鮪のすき身をたたき、オリーブ、アボカド、玉葱、パプリカの細々を添えます。
チリのサンチャゴではマグロではなく、ホヤでもこのような料理を頂きましたね。ワインに最適でした。
食べる直前に塩竈の藻塩、レモン汁、オリーブオイルで調味して、トーストやクラッカーで頂きます。
本当はカウンターやテーブルで皆さんの見ている前で仕上げたかったのですが、会場があまりに狭く、厨房で混ぜ合わせてから送り出しました。お客様は50人。これを3皿作りました。
続いて決戦の吉次のリゾットです。これの主材料は高嶋商店さんの最高級吉次の干物です。30cmクラスの大物でした。
焼いた干物だからこそ、中骨や頭から最高級のブロード(ダシ)が取れるのです。ただ、大きな鍋がなく、この土鍋で15人前くらいずつ3回に分けて炊いてきます。
仕上げはほぐした吉次の身とパルメザン、ミツバの細々でイタリアントリコロールです。
銘々でよく混ぜて頂いてもらいます。自慢じゃありませんが、仕上げにバターを使う必要がないほど濃厚なダシが利いています。今まで作ったリゾットの中で最高峰でしょう。
料理を作り終え、サロンの方に出てみますと、皆さん上機嫌でホッとしました。
厨房を二人で占拠しましたので、餃子担当の蜂屋さんはカウンターで持参したガスコンロで焼いていました。
いやー、おもせがった。(It was very interesting.) 厨房は狭く熱く道具は乏しくて辛かったですが、良い勉強になりました。どのような環境でも料理を完成させる実地訓練となりました。それにしても、このシオーモな夜、リーダー格のマルブンさんをはじめ塩竈の加工屋さんの若旦那衆の熱き思いを体感できました。
このシェアカフェで定期的にこのようなイベントを主催(コミュニティーレストラン食卓のココロ仙台店・○はた)されているNPOファイブブリッジ理事長の畠山さんのバイタリティーにも、いつもながら圧倒されます。疲れ果てましたが、新しいネルギーも充填できました。また、このような機会がありましたら、微力ながらマイ調理道具を持参して馳せ参じます。