【塩竈市】マルブン食品工場見学会
カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料
この赤い橋が渡された小さな島は塩釜港に浮かぶ曲木(籬;まがき)島と言います。この島には塩竈神社の末社、籬神社があり、籬島明神が祀られています。この曲木島は平安の時代から塩竈とともに歌枕に使われ、古今集、 続後撰集などにはこの島を詠んだ歌が数多く見られます。
わが背子をみやこに遣りて塩竈のまがきの島のまつぞ恋しき (古今和歌集 東歌)
夫を都に送り出し、帰りを待つ恋しさを詠ったものです。曲木の由来は幾つかあり、かつて曲がった柏槇(ビャクシン)の老木が生えていたとか、塩竈神社築造の際、曲木を巧みに用いた籬島明神からとか言われています。この辺りは大震災の津波で岸壁の上、人の背丈くらいまで浸水していますが、曲木島の社や鳥居は無事でした。でも、岸壁は現在、修復中です。
地盤沈下した分を嵩上げして港の機能を回復させています。
地震と津波による岸壁の破壊に加え、地盤沈下の影響は甚大です。被災地では資材不足が深刻な問題で復旧もスムーズに進みません。
塩竈の加工団地は気仙沼や石巻に比べるとかなり温存されました。
気仙沼(上)や石巻(下)の加工団地は壊滅的な被災を受けました。地盤地下の嵩上げも遅れており、新たな場所に工場を再建して生産を再開する加工屋さんも徐々に増えています。
本日は二つの工場のうち一つは被災しましたが、残った第2工場で元気に揚げ蒲鉾を生産している塩竈のマルブン食品さんの工場見学です。
マルブン食品さんはいわゆる揚げ蒲鉾(薩摩揚げ)の老舗ですが、味や健康を重視して、合成保存料や着色料、化学調味料などの添加物を使わない製品作りに努めています。そのため、賞味期間が他社の製品より3~4日短くなります。量販店からは扱いづらいと言われているそうですが、そのコンセプトは揺るぎません。
最初に佐藤常務から生産工程に関するレクチャーがありました。
工場が一つになって生産量は減りましたが、安全安心な食品を求める消費者のニーズに応えるため、年中無休でフル稼働しています。今後も新しい第2工場での見学会を開催していくとのことで、プレゼン用のスライドもいくつ用意してありました。
見学者も工場内の生産ラインまで入りますので、白装束白衣を身にまといます。
キャップとマスクも不可欠です。髪の毛1本でも入れば、消費者からのクレームが来ますし、お店のイメージにも影響しますからね。
手も徹底的に洗って、エアシャワーを浴びてから工場内に入ります。
お借りした長靴も消毒液に浸けて滅菌します。外部からの細菌やウイルスの持ち込みは、保存料を使わないマルブンさんでは特に気を遣います。
工場は大きく二つのブロックに分かれます。製造エリアと包装エリアです。こちらは製造エリアの振り出しですり身の擂潰マシーンが並びます。
ここでの作業はもう終わっているようで、丁寧に洗浄しているところでした。1960年代にスケトウの船上冷凍すり身が普及する以前は、水揚げされる魚を捌くところからすり身作りが始まりました。ですので、前浜の魚が原料となり、蒲鉾に地域性が濃く出ていました。今でも愛媛のじゃこ天は地元のホタルジャコという小魚を原料としていますし、静岡の黒はんぺんは地元に水揚げされる鯖や鰯などの青魚で作られています。
擂潰マシーンですり身の調味と野菜類の混合が終わった生地です。
これを形成して揚げれば、薩摩揚げ。焼けば竹輪のような焼き蒲鉾、蒸したり茹でたりすれば、色の白い蒲鉾に仕上がります。味に深みを出すために、冷凍すり身もスケトウだけではなく何種類もブレンドして使っています。
フライヤーを主体とした幾つかの生産ラインでそれぞれ異なる製品が同時進行で作られていました。
これは我が家の野菜天の一次揚げ工程。低温でじっくり揚げることで野菜がすり身の中で蒸されていきます。
高温の二次揚げ工程で美味しそうな狐色に仕上がっていきます。
油から上がった揚げ蒲鉾は吸収シートで表面の余分な油が吸い取られます。
美味そうだなぁ。。 という顔を露骨にしていましたら、ちゃんと食べさせてくれました。な、なんじゃ、こりゃ!! ふわっふわのしゃきしゃきで口の中でほろけます。
これはマルブンさんのヒット商品、お好み揚げです。こんな揚げ蒲鉾は食べたことがありません。残念ながらこの味は揚げ立てでしか味わえないそうです。これは加工品と言うより料理ですね。しゃきしゃき野菜のふんわりすり身揚げというお料理。不謹慎ながら、ここで酒が飲めたらどんだけ幸せなんだろう。。。^^
続いて、包装エリアに入ります。もちろん、こちらでも手の洗浄とエアシャワーの洗礼を受けます。
徹底した衛生管理で安全安心な食品が作られるのですね。それからすると家庭の調理は隙だらけだなぁ。私は床に落ちた物も3秒以内なら食べているし。^^ (もちろん人様にはお出ししませんよ)
製造エリアからベルトコンベアーで運ばれてきた揚げ蒲鉾は発泡スチロールのトレーとラップで包装されます。
製品ごとにラベルが貼られて、これぞれの箱に詰められています。
箱詰めされた製品は直ちに冷蔵室で保管されて、出荷を待ちます。
保存料を使わないマルブンさんの製品は温度管理も万全です。
こちらはイトーヨーカドーさんの通い箱。使い捨ての紙箱を使わず、このケースが通い箱となります。
一端、配送センターに運ばれ、側面に貼られたQRコードにより各店舗に届けられます。通い箱は使う度に洗浄滅菌されてこちらに戻ってきます。確かに使い捨ての紙箱は勿体ないですよね。
あら、なんと、お土産に揚げ蒲鉾3品も頂いてしまいました。
海老キャベツ、我が家のさつま揚げと我が家の野菜天です。佐藤常務さんが色々な食べ方で召し上がって下さいとのことでしたので、早速、帰って試してみましょう。
まずは180℃位のオーブンでさっと焼いてみます。
電子レンジもありかなと思いましたが、香ばしさも出してみます。
野菜天はおろし醤油で、さつま揚げは芥子醤油と柚子胡椒で試してみます。
柚子胡椒以外はごく普通の食べ方ですね。意外なのは柚子胡椒が揚げ蒲鉾によく合うのです。
こちらは変化球。海老キャベツに中濃ソースとマヨネーズ、さつま揚げをピッツア風に焼いてみました。少し焼き過ぎました。^^
ソース+マヨの食べ方は海老キャベツのラベルにも推奨してあります。私は芥子マヨの方が合うのじゃないかなと思いました。ソースは味が強過ぎて全体が支配されます。ピッツアソースがなかったので、さつま揚げにはマスタードを塗り、ケチャップにオレガノの代わりの五香粉を混ぜて重ね塗りし、鯖水煮缶をほぐして乗せています。ナチュラルチーズもなかったので粉チーズを振っています。本当に手抜きピッツア風ですが、ケチャップに五香粉は新しい味の発見でした。これは後日、再挑戦してみる価値があります。
本日は妻が里帰りでいないので酒の肴だけの夕餉です。でも、ちゃんと野菜も添えていますよ。
さすがに揚げ蒲鉾を一人で4枚はきびしいので、半分を翌日の弁当に使いました。^^ それにしてもマルブンさんのお好み揚げや野菜天は野菜がしゃきしゃきで堪らんですねぇ。ただ、揚げ立てのあの味を知ってしまうとどうしても比べてしまいますね。^^
日持ちが短い無添加の揚げ蒲鉾にこだわっているマルブン食品さん。佐藤常務さんとは30年来のお付き合いをさせて頂いておりますが、工場内に潜入したのは初めてのことです。衛生管理にも徹底的な配慮がなされ、すり身の配合と野菜の扱いに並々ならぬこだわりが感じられました。それに、フライヤーから取り上げたばかりの揚げ蒲鉾の美味さ。これと出会えただけでも見学会に参加した甲斐がありました。でも、知らなかった方が幸せだったのかも知れません。是非、工場の前で揚げ立て蒲鉾を販売してくれないかなぁ。ワンカップ持って、そこに張り付きます。^^
先日、五香粉+ケチャップがいい感じでしたので、マルブンさんのバラ売り野菜天を使って作り直してみました。今回はガラムマサラとの比較をします。
トマトケチャップをトマトピュレ-に替えて味を爽やかにしました。さらにトッピングはオニオンスライスとチーズだけにしています。野菜天には野菜がたっぷり入っていますので、トッピングにあまり余計な物は必要ありません。
結果ですが、先日、トマト味に五香粉は斬新でいいなと思ったのに、ガラムマサラと比較すると、五香粉の個性が鼻に付きます。どちらも似たような成分の複合香辛料なのですが、決定的に違うのは五香粉の八角(スターアニス)です。どうも、八角はトマトやチーズには合いにくいようです。
揚げ蒲鉾で始まったスパイス遊びですが、日本の食品との相性になにか法則性が見つけられそうです。これは面白そうだ。和食と各種スパイスの相性を徹底的にスクリーニングしてみたくなってきました。体にも応えそうですが、いつか週末にやってみましょう。^^
マルブン食品株式会社 http://www.marubun-s.com/ecshop/
・所在地 :宮城県塩釜市新浜町3-16-15
・電 話 :022-365-3125
・問合せ時間 :08:00~18:00
・問合せ曜日 :平日
・E-mail :info@marubun-s.com