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隠し味を愚考する

カテゴリー: 未分類

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 3月10日のことですが、震災関連のTV番組を渡り見ている途中で、ほこ × たてという番組を一瞬通過しました。その時、絶対味覚という言葉がチラッと耳に入りましたので慌てて戻りました。普段は見ることのない番組ですが、研ぎ澄まされた味覚の持ち主が一流料理人の隠し味を見破ることが出来るかという対決らしいのです。




 これは見ないわけには行きません。
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 絶対わからない隠し味の料理を作るのは東京・渋谷にある「スーツァンレストラン陳」の料理長で菰田(こもだ)欣也さん。師匠はあの陳建一さんです。一方、絶対味覚の持ち主は栃木県の酒蔵「仙禽」の十一代目蔵元 薄井一樹さん。対決前に5種類のフルーツが入ったミックスジュースの材料をすべて言い当て、5種類のにぎり寿司のネタを外したシャリだけ食べて、それも見事にネタを言い当てたのには土肝を抜かれました。


 対決はエビチリ(豆乳)炒飯(アボカド)麻婆豆腐(イチゴジャム)の3品で、( )内の隠し味を当てるものです。それぞれ隠し味なしの皿も用意されました。勝負の行方はあまり興味がなかったのですが、絶対味覚を標榜する薄井さんが3品とも隠し味入りの方が美味しいと評価しいている点に興味が引かれました。(ちなみに勝負は2対1で菰田料理長の勝ち)


 料理って奥が深いですよね。味覚の鋭い人間でもわからないくらいに加えられた隠し味によって美味しさが増すのですから。ただ、その正体を明かした瞬間に、それはもう隠し味ではなくなってしまうのではないでしょうか。プロ秘伝の味付けに使われる意外な調味料や食材が隠し味であって、公然の事実となってしまっては明かし味曝し味ではないでしょうか。^^


 それとも、使われていることがわかっていても、そのものの味を舌や鼻が感じなければ隠し味を名乗れるのでしょうか。いつものように探究心に火が点いて、呑みながらあれこれ愚考してみました。まず、定義を確認しておきましょう。


 
 隠し味 (出典: フリー百科事典ウィキペディア)


 隠し味(かくしあじ)とは、調理の際に主要な食材以外の材料(目立たない程度であり、たいていは微量)を加え調味する技法、またはその材料を指す用語。それ自体が料理に必要なものではないが、加えることでその他の食材の風味を引き立てたり、料理のアクセントとして用いられることが多い。隠し味は味の決め手になることが多く、料理店などでは秘伝とする場合が大半であるが、最近では店主が雑誌やテレビなどで公表するケースもある。



 なんだ、料理人自らが隠し味をバラしているのではないですか。曝された隠し味元隠し味なんですかね。料理番組なんかでも、「ここで昆布茶を隠し味として加えます。」 なんて指導している先生もいますが、全然、隠してないし。。。何かおかしいですよね。そこで、ちょっと、私なりに分類・整理してみました。


◆◆◆ 秘伝レベルによる分類 ◆◆◆


一級隠し味
 
料理店などの秘伝の隠し味で、一般人は食べてもその存在は気が付かない。そもそも、秘伝なので、その調味料や食材がなんであるかも世に知られていない。


二級隠し味
 
一級隠し味であったが、TV番組やネットで明かされたり、盗まれて曝された元隠し味。一般人の世界ではまだ一級隠し味で通用することが多い。前記のエビチリに豆乳や麻婆豆腐にイチゴジャムなど。


三級隠し味
 
世間のレシピなどにもよく記載される少量で効果覿面な調味料や食材。最近よく登場する塩麹や魚醤なんかがそうかも。前面にはでないけど黒子として活躍する結構知れ渡った特効薬。


四級隠し味
 
本来、不必要なものであるが、手抜きとして使われる調味料。使っていることを隠しておきたい闇味。ラーメンの化調や旨味のなさを誤魔化す甘味。入れ過ぎると、あかんラーメンや残念煮魚に落ちぶれる。



 こんな分類作業を進めているうちにあることに気付きました。一級隠し味は知る由もありませんが、二級・三級隠し味でもその目的が異なるのではないかということです。美味しくするという大命題は同じでも、旨味を増すのか、コクを出すのか、円やかにするのか、爽やかにするのか等の中命題が存在しますね。これも自分なりに例示してみますと、


◆◆◆ 目的による分類 ◆◆◆


【旨味付加系】
  魚醤、蝦醤、塩麹、昆布茶、酒盗、塩辛、アンチョビー、オイスターソース   
  使用例:ラーメン(魚醤)、パスタ(昆布茶)、キムチ(塩辛)


【コク出し系】
  ナッツペースト、芝麻醤(練り胡麻)、腐乳、甜麺醤、チョコレート
  使用例:味噌ラーメン(ナッツペースト)、カレー(チョコレート)


【円み出し系】
  ミルク、クリーム、豆乳、アボカド、バナナ、バター、マヨネーズ
  使用例:エビチリ(豆乳)、炒飯(アボカド)、肉じゃが(バター)


【爽や付加系】   
  ケチャップ、ジャム類、チャツネ、タマリンド、カルピス、ミント 
  使用例:カレー(ジャム類)、鯖味噌煮(カルピス)



 それに辛酸甘鹹の基本味を付加するのに、唐辛子砂糖を使うのではなく、旨味や複雑な他の成分を伴った食材を使うことが隠し味になっているという場合もありますね。なお、隠し味は見破られてはならないので、液体や半流動体は溶かし込めますが、固形の場合は予めペースト状にして使うのが一般的です。


◆◆◆ 基本味による分類 ◆◆◆
 

【辛 味】   寒ずり、柚子胡椒、タバスコ、豆板醤

【酸 味】   トマト、チャツネ、タマリンド、梅干し、梅酢、柿酢

【甘 味】   ジャム類、メープルシロップ、蜂蜜、味醂、黒糖、干柿

【塩 味】  魚醤、蝦醤、塩麹、昆布茶、酒盗、塩辛



 ただ、このようにスパッとは分類できず、梅干しは塩味も伴うし、ジャムには酸味の強いものもあります。いずれにしましてもこれらの隠し味は、基本味の背景にある複雑な成分の旨味に期待する部分が大きいと思います。特に(ひしお)類はタンパク質分解物や核酸系の旨味に溢れています。本来、は食品の保存方法として発達しました。製塩が普及し始めた縄文時代晩期から弥生時代には様々な食品が塩漬けにされ、その結果、肉醤魚醤草醤穀醤などが生み出されます。穀醤のうち大豆を原料としたものは味噌醤油に発展しています。


 


 味噌醤油は現代では隠れもしないごく当たり前の和風調味料となっていますが、これらを洋食やエスニックにこっそり使ったら、これも立派な隠し味になります。
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 私は従前より味噌醤油ボロネーゼグレービーには当たり前に使ってきました。その逆で例えば、タイのカピ(蝦醤)を煮物やラーメンなどに使ったら、黙っている限り一級隠し味になるでしょう。でも、この記事に書いてしまいましたから、ただいま二級隠し味に格下げとなりました。^^




 ところで、コトルのひゃくさんが得意な和食へのスパイスの応用ですが、これは隠し味でしょうか。
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 風味や香味という言葉があるように香りは切っても切れない一心同体ではありますが、は舌の味蕾や痛点で感じるもので、香りは鼻腔奥の嗅細胞で識別されます。だから鼻が詰まれば香りも薄れます。従って、微かに感じるか否かの線で使うスパイス隠し香と呼んで区別したいですね。もし、これは〇〇〇の香りだと誰でも気付けば隠し香ではなくなります。




 最後に、隠し味は隠されているから、ロマンがあるのです。
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 この味噌汁は何か違う、この炒飯はなんでこんなに円やかなんだというように、謎めいているのも美味しさの一つです。プロの料理人の皆様はお店や業界の財産を、不用意にメディアに売り渡すのは止めましょう。自分たちの地位にも影響しますよ。プロにしか出せない味があるからお金を出して食べに行くのです。




 今回は隠し味についてあれこれ愚考して参りましたが、まだまだこなれておらず、中途半端な形で終わってしまいます。ここまで読んで下さった皆様、誠に申し訳ありません。理屈っぽい人間なので、何でも追求して法則性原理を見い出さないと気が済まないのです。この隠し味論は、もう少し熟成させて、具体例で実証しつつ、いつかの日か料理教室においてプレゼンさせて頂きたいと思っております。

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2013/03/28(木) 05:00 | trackback(0) | comment(2)

クリチバーニャカウダってなんぞや?

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 ここは仙石線陸前高砂駅そばにあるJA仙台農産物直売所たなばたけ高砂店です。今日は重要なミッションがあり、開店早々に駆け付けました。そのミッションとは今、巷で大人気のある食品を入手することなのです。その食品は県内各所の直売所や物産展に出没するのですが、販売開始からほどなく売り切れで、しかも製造が追い付かず、幻の味と呼ばれています。^^




 さすが、JA仙台の直売所だけに野菜の豊富なこと。
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 でも、今日は野菜は置いておいて、ひたすら幻の食品を探し回ります。




 見付けた!!こ、これです。ねの吉ファームさんのクリチバーニャカウダ
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 クリチとはクリームチーズの略称です。バーニャカウダはご承知のようにイタリアはピエモンテの熱いディップソース。チーズホンジュのように卓上で温めつつ、これに野菜を浸して頂きます。バーニャカウダはニンニク、アンチョビー、オリーブオイルから作られますが、それにクリームチーズが混ざり込んできてますので、不味いはずがないのです。




 こちらはねの吉ファームさんの定番。情熱クリチ誘惑クリチです。
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 誘惑クリチはデザートにも使えるようグラニュー糖とバニラビーンズが入っています。厳密に言いますと、ねの吉ファームさんのクリチ非熟成チーズでレモン汁で乳蛋白を凝固させますので、カッテージチーズになります。でも、牛乳の他にヨーグルトやクリームも使われてますので、そんじょそこらのカッテージではありません。上質な豆腐のようにしっとり滑らか。


 そうそう、ねの吉ファームさんのブースで綺麗な店員のお姉さんに「あの~写真撮らせて頂いてもよろしいですか?」と了解を求め、次の瞬間クリチを撮り始めたのでさぞ驚いたのではないでしょうか。できれば、「クリチかよ!」と突っ込んでもらいたかったなぁ。^^




 これが瞬売必至のクリチバーニャカウダ。今日はこれをいじり倒します。^^
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パルマーレ。。。洒落たネーミングですねぇ。 湘南のイタリアンレストランに因んだのでしょうか。




 まずは定番のバーニャカウダ式食べ方で様子を見ます。
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ディップは熱々が鉄則ですので、チンしておきました。すると、凝固した乳蛋白が縮んでオリーブオイルが分離してきました。よく描き混ぜてからディップしましょう。




 ニンニクの香りとクリーミーなチーズが良い具合に引き立て合ってます。
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ただ、ディップにしては塩味が弱いかな。これだとたっぷり浸け過ぎて消費が早くなりそうで心配。^^ バーニャカウダよりクリーミーなので、生野菜もバクバク食べられそう。




 チーズとニンニクとくれば、これでしょう。シーザーズサラダにしてみます。
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 最初に塩とレモン汁を野菜に混ぜてからクリチバーニャカウダで和えて行きます。クルトン乗せて出来上がり。パルメジャーノのように香りも強くなく、穏やかなシーザーズに仕上がっています。野菜との相性は無敵ですね。^^




 今度は炭水化物系で試してみましょう。薄めのトーストに乗せてクロスティーニ風。
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 これは想像通りの美味しさです。トーストにしたのが正解でした。滑らかなクリチにはカリッとしたクリスピーなパンがよく合います。ニンニクの香りもトーストにぴったり。




 続いて、五穀米のおにぎりを醤油で焼いてクリチバーニャカウダを乗せてみました。
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  以前、食べたカマンベール入り焼きおにぎりが絶品だったので試してみました。香ばしい醤油味にもニンニクの香りが合うんですね。こりゃいいわ。




 シーズン到来のホタルイカを合わせてみます。
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 情熱クリチだったら、絶対、山葵醤油で頂きますが、ニンニクが入っていますので、この香りのままで頂きます。一見和風の和え物のようですが、食べてビックリが楽しい話題の一品になるかも。^^




 こちらは温製でクリチバーニャカウダ入りアヒージョ
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 多めのオリーブオイルでホタルイカを低温で温めてからクリチを混ぜ合わせます。高温で炒めるとホタルイカが破裂しますので要注意。こりゃパンにもご飯にもよく合いますわ。トーストに乗せてパーティーのピンチョスにも最適ですな。これから5月までがホタルイカの漁獲時期、クリチとの出逢いを是非楽しみましょう。


 
 

 今年は本当に貴重な名残の牡蠣。ハーフシェルにクリチバーニャカウダを乗せてさっと焼いてみました。
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 殻付き牡蠣は酒で蒸して、さっと熱が通ったら右殻(平らな方の殻)を外し、クリチバーニャカウダを乗せてオーブンのグリルか魚焼きコンロでさっと焦げ目を付けます。生のハーフシェルから焼きますとクリチの下に生臭味が残ります。

 この料理はただのクリームチーズだけだと、たぶん味が呆けたでしょう。ニンニクとアンチョビーがマイルドさをよくフォローしています。 因みに焼き上がってから、チャイブパプリカの細々を彩として飾っています。紅しょうがではありませんよ。^^ 




 あれこれ、楽しませてもらったねの吉ファームさんのクリチバーニャカウダ。あんまり美味いんで一瓶なくなってしまいました。そのまま食べてもちょうど良いくらいなんですもん。やっぱりさ、もう少し塩味を強くしてくれないと、あっという間になくなっちゃいますよ。ただ、焼きおにぎりなんかには薄めの味じゃないと濃すぎるし、消費者が塩味をコントロールしながら食べる方が合理的かな。星野さん、よく考えたね。^^
 




ねの吉ファーム http://nenokichi.com/


・所在地   :宮城県 仙台市若林区伊在字屋敷47
・電  話  :090-5837-6413
・営業時間  :11:00 ~ 17:00
・定休日   :不定休
・駐車場   :なし




JA仙台農産物直売所 たなばたけ 高砂店



 所在地   :仙台市宮城野区福室2-7-30
電 話   :022-388-7318
営業日   : 10:00~18:00
定休日  :水曜日、年末年始
駐車場  :あり

2013/03/25(月) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

 最近はまっている料理

カテゴリー: 未分類

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  今回の記事はとりとめのないものになりますが、ご容赦下さい。本来、ブログというものは、とりとめのない日々の雑感を書くものなんでしょうけど、私の場合、気合いが入り杉で、毎回を作品にしなければという脅迫観念に駆られています。^^


 この日はいつもより少し早く気仙沼を出発し、今まで通ったことのない一般道を使って仙台に向かいました。上の写真は志波姫辺りから見えた栗駒山塊。こういう広々とした風景は三陸沿岸の生活では見ることが出来ません。大海原はいつでも見れますけどね。


 さて、仙台で仕事を終えて、夜道を気仙沼にとんぼ帰りかとも思ったのですが、日の出も早くなり、気温も上がってきたので自宅に寄って、明日、早朝に戻ることにしました。


 自宅に帰ると妻がいません。あ、そうだ、今日は仕事の日でした。午後8時過ぎまで帰ってきません。突然の帰宅でもあり、晩飯も用意されている様子がないので、冷蔵庫を物色し速攻で取り掛かります。


 まず、第1品。定番の白和えのように見えますが、実は中華風です。
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 ニンニクの芽(花茎)、人参コンニャクに下味を付けるため、割ダシ醤油で炊いておきます。和え衣は、白胡麻、水気を絞った木綿豆腐までは和風と変わりないのですが、これにラー油オイスターソース八角藻塩を加えて摺り合わせます。衣が少しオレンジになるので白和えと言っても良いのか疑問ですが。。。ピリ辛、八角風味が斬新です。




 第2品は叩きゴボウの胡麻まぶしです。これもちょっとひねってあります。
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 擂り粉木で叩いたゴボウをいつもより甘めに炊いて、擂り胡麻を塗していますが、シナモンを加えてます。最近、コトルのひゃくさんの影響で新たな香りとの組み合わせを探索しています。甘めのゴボウとシナモンは実によく合います。シナモン肉桂ですから和菓子にも使われていますしね。お茶請けにも佳いかも知れません。




 第3品は冷蔵庫にあるものを塩麹で炒め合わせてみました。
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 豆苗、青梗菜、水煮筍に冷凍の烏賊と海老を使いました。旨味調味料を使わなくても、塩麹だけで十分美味しく頂けます。




 第4品はアボカドカマンベールの天ぷらです。酒肴にもお惣菜にも最適です。
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 突然の帰宅なのでツマミ用にとアボカドカマンベールを買ってきましたが、お総菜になるとは想定外でした。でもこれ、本当に美味しいのです。酒の肴には藻塩で、ご飯とならちょいと醤油を垂らして頂きますと口福感に溢れます。^^




 この天ぷらの中をお見せしますと、このように涎が出る光景となります。^^
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  両者ともとろけるほど柔らかく、特にカマンベールはポタージュのようです。それらがカリッとした衣で包まれているのですから、口の中での起きるハッピーな出来事が容易に想像できますよね。^^




 仕事を終えた妻が戻り、遅めの夕餉が始まりました。
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 こうして見ますと、野菜中心の献立ですね。下戸の妻は五穀米で食事を、私は晩酌を開始。




 本日のお酒は先日、料理教室七ツ森浅野先生から頂いた一ノ蔵の特別純米酒です。ありがとうございます。
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 ラベル右上の酒林(杉玉)をモチーフにしたロゴマークをデザインされた方と最近、友達になりました。ところで、うちのは大学で醸造学を勉強しているんですが、どこかの蔵元に就職させてくれないかなぁ。^^



 留守宅に突然、帰宅して1時間で夕飯を拵えました。体より頭をフル回転させて同じ作業を同時に進行させれば、無駄のない仕事が出来ます。今回は野菜類の下煮や胡麻擂りはまとめてやっています。そして、当然ですが冷めても良い料理から完成させ、天ぷらだけは妻が帰ってから揚げるばかりで待機していました。



 このアボカドカマンベール天ぷらはちょっとカロリー高めですが、秀逸ですよ。これらに合うを是非ひゃくさんに探してもらいたいと思います。それと和食に合うスパイス探しの旅、始まったばかりですが最高の出逢いを見付けたいと思います。




 おまけですが、妻が生徒さんのご父兄から頂いた知る人ぞ知る郡山餅店草餅です。
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 強いヨモギの香りが鼻腔に広がります。きな粉も粗めでしっとりとしています。草餅と餡の入った草大福が包まれていましたが、私は草餅の方が純粋にヨモギの香りが楽しめて好きですね。そう言えば、我が家のヨモギもそろそろ顔を出すはず。今年はフーチバージューシーの他に草餅も作ってみましょう。ヨモギについての基礎知識(見分け方)は是非こちらをご覧下さい。




郡山餅店


・所在地   :宮城県仙台市太白区長町4-3-14
・電 話   :022-248-0870
・営業時間  :7:30~15:00
・定休日   :木曜日
・駐車場   :店の前にスペースあり

2013/03/21(木) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

三陸海の幸(冬編)料理教室第2弾@旭が丘

カテゴリー: 料理:買い魚

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  被災地の生産物は震災後に供給のブランクがあったため、顧客が他の仕入れパイプを作ってしまったものもあり、それが復興のネックになっている場合があります。特に加工品では顕著で国内の他産地や海外からの取り寄せに置き換わっています。もう生産が再開したものはちゃんと元のように買ってもらいたいものです。被災地の産物を買い支えて、ご支援願います。今日は名残冬の味覚をご紹介します。もう陸上はなのですが、海の冬は最低水温期を迎える2月~3月になります。



 前回の美里町での教室に続きまして、三陸海の幸料理教室を3月9日に旭ヶ丘の料理教室七ツ森さんで開催致しました。
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 夏のギンザケ特集以来、こちらでの開催は2回目となります。まだ、新築してから2年でピッカピカです。




 開会に先立ちまして、まめ房の青木さんが挽き立て淹れ立てのコーヒーを振る舞って下さいました。
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 青木さんはお店が忙しいのにコーヒー豆と道具を携えて私のプレゼンを聴きに来て下さいました。ご馳走様、そしてありがとうございました。




 調理実習に入る前に1時間ほどPPプレゼンをさせて頂きました。
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 内容は今回の調理実習で作る料理の蘊蓄と使いますか、水産物の資源生態や食材としての特性及び塩竈の藻塩のPRと製塩の歴史などのご紹介です。




 本日はこちらの4品を作って頂きます。
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 献立は以下の通りですが、レシピは美里町の教室の記事(こちら)でご覧下さい。  

  汁 物  藻塩を使った塩竈汁
  
  刺 身  ホタテガイの刺身漁師風
  
  揚げ物  カキフライを柚子ポン酢おろしと藻塩で
  
  御 飯  三陸ビビンバ 冬バージョン




 まずは塩竈汁のサンマを3枚におろしてもらいます。
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初めての方からプロの方まで様々な方がお集まりです。お互い教えつ、教えられつで助かります。サンマは味噌や生姜、長葱とともに叩き合わせ、つなぎに卵と片栗粉を入れてます。これを調味した昆布ダシに落としてつみれにします。




 塩竈汁には真鱈の切り身と豆腐も入り、最後に長葱を放って火を止めます。
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 味付けは塩竈の藻塩と日本酒だけです。塩竈汁なので潮仕立てです。




 みなさま、ホタテガイの殻開けに苦戦しておられます。
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 専用ヘラを貝殻の内側に沿って差し入れ、貝柱が少しでも殻に残らないよう慎重に取り組んで頂きました。女性にはかなり力の要る仕事に感じたはずです。でも、これで殻付きホタテの刺身を家族に食べさせてあげることが出来ますね。




 ヒモや真子白子も丁寧に掃除して、殻に盛り込みます。
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 貝柱は片側の殻に付いたままです。これに醤油を垂らしながら、スプーンで掻き取って食べ進むのです。筋肉を横断するようには切っていませんので、抜群の食感が楽しめるのです。




 続いて、カキフライも順調に揚げ終わりました。
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 これをタルタルやソースではなく、ポン酢おろしと塩竈の藻塩で味わって頂きます。カキ本来の旨さが感じられるはずです。




 続いて、三陸ビビンパの盛り付けです。盛り付けは楽しい仕事ですよね。
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 昆布と焼いた魚の骨や皮で取ったダシで炊いたご飯にメカブトロロやギンザケのほぐし身、イカ素麺などを盛り込んでいきます。




 南三陸のキラキラ丼のようにイクラを散らしてゴージャスに仕上げます。
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ビビンパと名付けていますが、モデルとなっているのは新潟の五郎飯こちら)です。納豆の代わりに海の納豆、メカブトロロを使っています。




 さあ、食卓に並べて頂きましょう。
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 皆さんお疲れ様でした。お腹一杯召し上がって下さい。




 完成品のラインナップ。何度も出てきてすみません。^^
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 いつ食べても、活ホタテの美味しさは筆舌に尽くし難いですねぇ。白身の魚なら翌日の方が熟成して旨味が出てくるのですが、貝類は活きていても甘味が口の中に広がります。カキフライもちゃんとポン酢おろしと塩竈の藻塩で召し上がって頂きました。タルタルの旨さやソースのスパイスに隠されていたカキ本来の風味を感じられたはずです。




 三陸ビビンパは綺麗な海鮮丼に見えてもコンセプトは五郎飯ですから、混ぜ混ぜして頂きます。
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 バラバラの具材をメカブがねっとりとまとめてくれるので食べやすいのです。箸の場合は、どうしてもワシワシになってしまいますので、スプーンやレンゲで食べた方がスマートです。




 こちらの教室の食器は大和町の陶芸家の方に焼いてもらったものなのです。
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 浅野先生のこだわりが随所に見られる教室でした。普段のレッスンはこちらでご覧下さい。




 今回で三陸海の幸(冬編)料理教室は終了し、初夏に向けてメニュー開発に取り組みます。四季折々の海の幸をなるべく持ち味を活かした料理・食べ方でご紹介していきます。この料理教室、被災地復興促進の一助になればとボランティアで続けております。週末に日帰りできる範囲であれば、どこへでも駆け付けますのでお気軽にお問い合わせ下さい。5~6人から20名まで対応可能です。


 受講生のお一人が、実に見事なレポートをアップされております。ぜひ、そちらもご覧下さいませ。

  三陸海の幸を学ぶ@料理教室七ツ森(おとしぶみ) 


 
 今回、真剣に取り組む皆様の表情がとても素敵だったので、ぼかしませんでしたが、もし支障がある場合はコメントもしくはご連絡下さい。すぐに訂正いたします。




 料理教室七ツ森
 http://cooknut.net/


・所在地    :仙台市青葉区旭ケ丘2-38-9(地下鉄旭ヶ丘駅より徒歩8分)
・電 話    :022-718-7260
・カリキュラム  :上記HPで確認
・駐車場    :あり(4台)

2013/03/18(月) 05:00 | trackback(0) | comment(5)

山形在来作物勉強の旅(4/4)よみがえりのレシピ反省会

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

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 山形の在来作物を掘り起こし、その伝承を図るために制作された映画よみがえりのレシピ。久々の感動でした。その余韻に浸りながら、山形からの帰路に着きます。なんてこと言いながらも帰路のバスでもしっかり飲んでいるのです。他のお客様に迷惑が掛からないよう、離れた一番後ろの席でこそ〜っと反省会やってます。^^ このお酒は先日、おおさんから頂いた麒麟山の手拭い包み越淡麗吟醸。いつ開けるか、考えながら過ごしていましたが、今がその時です。やはり、日本酒な方と呑まねばなるまい。^^




 呑むことを想定して用意されたとしか思えないanegoさんの鶏燻製。
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 青森県の製品とのことですが、レバーと砂肝、どちらも秀逸です。特にレバーがとろけるようで見事。もしかしたら、軍鶏ロック白レバーでしょうか。




 バスを広瀬通で降り、我らの母屋に向かいます。^^
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この二人、酒が入るにつれて活性化します。燃料は酒らしい。それは誰でも同じか。。。




 
 国分町のコトルさんで反省会の続きです。
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 席に着くそうそう、映画の感想発表会。4月に仙台でも上映されるから是非見てねと、執拗に勧めまくります。




 前菜はスープと野菜スティックから選べます。
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  スープはミラノのミネストラのようで具沢山。ワインはがっつりフルボディなやつを選んでもらいます。メニューは2013年2月末現在。




 コトルさんの看板、野菜のおばんざい(お惣菜)。これは5点盛りです。
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 それぞれ、材料も味付けも違っているので、箸を付けるごとに舌が喜びます。一見、家庭料理のように見えますが、そこはひゃくさん、いわゆる野菜のおばんざいをモディファイしているのですが、弾け過ぎないよう絶妙な制御をしています。今まで出逢ったことのないおばんざいスパイスの融合は誰でも出来るものではありません。カフェランチで培った技術とセンスなんでしょうね。




 これは凄かった。ホタルイカの塩辛です。
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 ちゃんと目と嘴も取ってあって、ごく少量の腑を集めて作ってあります。こりゃ日本酒でしょう。




 ということで、天遊琳の特別純米酒。塩辛には至高のマリアージュ。
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三重県のタカハシ酒造さんのお酒です。伊勢神宮に奉納する御神酒も謹醸している伝統のある蔵元です。




 これも日本酒に最高。焼き明太子です。
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 そう言えば、しばらく焼いたタラコを食べていなかったような気がします。子供の頃の弁当に入っていた懐かしい味です。黒皮の辛味大根と合わせると塩味が和らぎますね。




 〆はカオマンガイというタイのご飯もの。カオはご飯、ガイは鶏です。
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 茹で鶏と野菜がオーバーライスされ、エスニックな風味のタレがかけてありました。東南アジアでは広く見られるご飯もので華僑が多い地域では海南鶏飯と表記されますね。




 反省会は途中からぶんたろうさんも参戦し、壮絶な時が経過したようですが、いつものように最後の方は記憶が途切れとぎれです。でも、よみがえりのレシピの感動は時が経った今でも薄れることはありません。在来作物の伝承を通じて、地域の絆と伝統文化の大切さを改めて考えさせられました。



 世界中がアメリカナイズされていく中、日本の文化に誇りを持って守るべきものは守っていきたいものです。たぶん、来月の仙台上映も観に行ってしまうかも知れません。とすれば、映画館リピートは大学受験直前の燃えよドラゴン(リピート3回)以来です。
  
 それって、アメリカ映画やろが。。。(正確には香港のコンコルド・プロダクションとワーナー・ブラザーズの合作ですけど。 ^^)

 



 Home Bar kotor (コトル)


・所在地   :仙台市青葉区一番町4-4-3あむーるビル2F
・電 話   :022-395-9968
・営業時間 :18:00~24:00
・定休日  :日曜・祝祭日





【追 記】

 その後、再訪いたしました。その時のアルバムです。ほんのりクミンの香りがする和え物や野菜の彩にひゃくさんの磨かれた感性が伺えます。飾り付けも過剰じゃなく、本当に毎回、勉強させられます。
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この夜は各界で活躍される魅力的な方々との会食。自分の業界とはまた違った刺激や情報が得られます。友人は幅広く持つに限りますね。などと言いつつも最後はになってしまうのですけどね。^^   

2013/03/14(木) 05:05 | trackback(0) | comment(2)