7月中旬頃のことですが、自宅で寝ていると、庭のウッドデッキの方からトン、ト、ト、ト、ト、、、というネズミか鳥が降り立った足音のような怪音が聞こえたのです。その時は気にも留めなかったのですが、その翌週もやはり深夜に聞こえた時には少し気味が悪くなりました。それも、一晩に数回に増え、音も確実に大きくなっているのです。
翌朝、ウッドデッキを点検します。1円玉くらいの小さなカキの実が数個落ちていました。なるほど、これか。
このウッドデッキは昨年の震災前の1月末に完成したのですが、その冬にカキの枝を強く剪定したので、昨年は実が1粒もならなかったのです。ウッドデッキが出来る以前からカキの実は未熟なうちに落ちていたのでしょうが、地面では部屋の中まで響くような音にはならなかったのでしょう。
我が家のカキは平核無(ひらたねなし)という品種で樹齢20年。庭の真ん中にどんとそびえ立ちます。
二階の天井に届くくらいまでに育ちました。どんどん成長するので毎年、冬に枝を少し切り詰めます。
8月下旬になりますと、実の大きさも500円玉より大きくなり、落ちる音もタン、タン、タタタタンと鳴り響くようになりました。
多い時で一日に10個近く落ちる時があり、これは病気ではないかと不安になります。このペースで落ちていったら、全部なくなってしまうように思えます。
さらに10月に入りますと、収穫時の大きさの8割程度となり、落ちた時の音はドン、ドン、ドドドド。。。とかなりの迫力になりました。きっとご近所にも響いていることでしょう。^^
落ちるペースはかなり治まってきて、一日2~3個になりました。昨年は実らなかったため今年は大豊作となり、落ちる実も多く感じたのかも知れません。それに今まで落下柿を気に留めたこともありませんでしたし。ただ、昨年、亡くなった愛犬は元気な頃、昼間はこのカキの木の下にリードで繋がれていました。もしかするとこのカキの実爆弾を何度か食らったのではないかと哀れになりました。
11月に入りますと、少しずつ実が黄色く色付いてきました。
この頃には数日間で1、2個の落下までに落ち着きました。もう後、2週間くらい収獲が始まりそうです。
11月中旬になり、やっと初収穫の日を迎えました。
実の数が例年よりはるかに多いにも関わらず、実の大きさは逆に大きくなってます。とても1回では処理し切れませんので、1週間ごと3回ほどに分けて収獲し、最後に残った実は木で熟させてから、柿酢にしたいと思います。
1回でこれくらい収獲できます。この日は100個ほど。
カキの木の下をウッドデッキにしましたので、夜中に怪音を聞くこととなりましたが、収獲は安全に出来るようになりました。足場がよいので脚立が安定します。
我が家のカキは渋柿なのでそのままでは食べられません。そこで、大半は干し柿にします。
そのため、実に付いた枝をT字型に切り揃えてから皮を剥き、軒先に吊します。鳥もよく知っていて、渋が抜けた頃についばみに来ます。
1週間で食べ切れる分だけ、アルコールで渋抜きをします。
アルコール度数35度以上の焼酎やブランデーなどでヘタを湿らし、さらに霧吹きでスプレーしてから袋に密閉します。熟し方にもよりますが、5、6日で様子を見て食べ始めます。甘柿より渋を抜いた渋柿の方が甘味が強いのです。
平核無(ひらたねなし)は渋柿の王様とも呼ばれ、渋抜き後の甘みが強く、種がないので安心してガブッとかぶりつくことができます。種で増やすことができないので接木苗で増やします。山形県の庄内柿もこの品種ですね。この地方では以前はお湯を使って渋を抜く湯ざわしという方法が一般的でしたが、商業的には日持ちに難があり、遠くへの輸送ができませんでした。
その後、この品種を普及させた酒井調良という元庄内藩士が大正年間に学者の知恵も借りて、焼酎による渋抜き法を完成させました。さらにその後、調良の子供たちは炭酸ガスによる渋抜き法も開発します。柿に対するこだわりと探究心が継承される一族だったようです。この庄内柿の伝道師、酒井調良の胸像が鶴岡公園の荘内神社参道にありますよ。