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【南三陸町】さんさん商店街 DE キラキラ丼復活

カテゴリー: 外食:丼・オーバーライス

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 南三陸町志津川
に来ています。左手に見える赤い鉄骨は全国的に有名になりました南三陸町役場の防災対策庁舎跡です。屋上に避難した町職員ら約30人のうち、助かったのは僅か10人という悲劇の現場です。ここは海から約500メートル離れていますが、巨大津波は3階建ての庁舎屋上をさらに2m超える高さに達したそうです。街のガレキは海辺の松原公園などに集められましたが、基礎だけが延々と続く景色を見ると復興への道のりはまだまだ果てしないと思わざるを得ません。





 ここは街中を流れる八幡川を海から1.7Kmほど遡った所です。ここでも海水を被ったが枯れています。
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 この後ろに県合同庁舎や消防署があったのですが、3階まで津波に襲われています。


 
 消防署の裏手に今年2月、南三陸さんさん商店街がオープンしました。
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 被災した地元の飲食店や小売店30店舗が軒を並べる仮設商店街です。駐車場の入り口が初めてだとちょっとわかりにくいのが残念です。


 
 商店街は大きく3つのゾーンに分かれており、飲食店はオレンジ色のおひさまゾーンにあります。
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 南三陸の看板、キラキラ丼も食べることが出来ますよ。キラキラ丼は四季折々変わりますので、内容についてはさんさん商店街のHPでご確認下さい。



 こちらは中央のさんさん広場です。
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 梅雨の合間ながら太陽がさんさんと降り注ぎます。




 志津川で大活躍中のヤマウチ鮮魚店さんと明治13年創業の蒲鉾の老舗及善商店さんもこちらに入っております。
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 ヤマウチさんは商工団地の店舗に次いでの2号店ですね。




 志津川の生蕎麦と言いますと、4代続く老舗の京極さんが有名です。懐かしいあの店舗ももうありません。
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 茶そばのような緑がかった麺と棒揚げの天ぷらが特徴です。ここに復活できたのは嬉しい限りです。




 フードコートを取り囲むように飲食店が並びます。キラキラ丼は4軒のお店で食べることが出来ます。
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 このシーズンはウニですね。春はメカブと春野菜、夏がウニ、秋は秋刀魚や穴子、晩秋から冬はイクラが具材の主役になります。




 今日は地元素材にこだわる志のやさんでキラキラウニ丼を頂きます。
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 実は先日、釣りの師匠である七ヶ浜のセブン翁が仕事で志津川に来られました。電話で美味いものが食べられるお店を教えて欲しいとのことだったので、さんさん商店街のキラキラウニ丼をお伝えしました。それで、あるお店に入られたそうですが、ウニがミョウバン臭かったそうです。まさかと思いましたが、海産物は食べ尽くされてきた御仁だけにショックでした。そこで、地物にこだわる志のやさんで確認してみたのです。



 お付き合いで一応お品書きにも目を通しますが、入店前からキラキラウニ丼に決めています。^^
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 しかし、お値段は2千円(汗)。。。東京スカイツリーから飛び降りたつもりで贅沢な昼食を味わいましょう。



 これが志のやさんのキラキラウニ丼です。丼はやや小ぶりで直径が13.5cmでした。^^
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 ウニの占有面積は全体の80%程でしょうか。ウニに添えてあるのは厚焼き風の蒲鉾でした。




 ピンぼけご容赦ですが、ウニは小振りながら一舟分ぐらい使われているのではないでしょうか。
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 ウニは震災以来初めてです。と言いますか、ウニ丼は震災前でもそうやすやす食べられるものではありませんよね。緊張感が走ります。^^



 食べようとしますと、店員さんがを進めるのです。おっ、なるほどと思ったのですが、これはアジシオではないですか。。。
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 せっかくのウニにグルソー(グルタミン酸ナトリウム)かけるのはちょっと。。。せめて、藻塩か自然塩でしょう。でも、店員さんがじっと見ていますので一振り。確かに、醤油の香りに影響されない分、ウニの風味は生きますね。




 だけども、私は山葵を溶かし込んだ醤油を少しずつ垂らして掻き込むのが大好きなのです。
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 ウニの濃厚な甘さが口いっぱいに広がります。この甘味がウニの魅力ですね。ミョウバンを使ったらこうはとろけないでしょう。




 おまけですが、副菜は坪漬け風の漬物と切り干し大根の煮物でした。
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 味噌汁にはすり身団子と豆腐が入っていました。

 



 沿岸部の被災地にも二度目のがやってきます。街の姿は変わってもは四季折々の旬味を提供してくれます。まるで何事もなかったように。そして、私たちはを恨むことなく、いつものように舌鼓を打っています。



 それにつけても恨むべきは原発事故さすがに三陸沿岸では常磐海域程の影響はありませんが、風評被害は深刻です。検査結果が不検出でも宮城県産は扱わないという量販店もあるそうです。



 一体、って何だったのでしょう。被災地の復興には地元産業の回復が不可欠です。買い支えてあげてこそなのに、検査結果より産地名で差別する量販店消費者が風評被害を助長し、被災地復興を阻害しているのです。罪な連中です。

 

 
 季節料理 志のや
(南三陸さんさん商店街 http://www.sansan-minamisanriku.com/


・所在地  :宮城県南三陸町志津川字御前下59-1
・電 話   :0226-47-1688
・営業時間 :11:00~14:00/17:00~22:00
・定休日  :不定休
・駐車場  :商店街共用

2012/07/13(金) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

料理教室に行ってきました

カテゴリー: 料理:買い魚

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 以前もお邪魔したことのある堀先生薬膳料理教室に参加しました。私には志津川からギンザケを仕入れて運ぶ任務があり、当日も技術指導のお手伝いををさせて頂くことになっています。10年くらい前までボランティアで料理教室の講師をやっていたのですが、準備にかなりの時間と労力を要するので現在まで休止状態が続いていました。でも、やっぱり楽しいなぁ、みんなでわいわい料理するのって。




 この日の献立は養殖ギンザケワカメが主材料となります。どちらも生産者のみなさんが懸命の努力により震災以降に復旧させました。
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 ワカメ
の生産量は震災前の70%以上にまで回復したとされています。本日はワカメを提供して下さった十三浜の生産者の方々も調理に加わっています。一方、ギンザケはまだ水揚げが続いていますが、50%程度の復旧見込みです。ただ、ギンザケは昨年、水揚げ直前で被災しており、出荷に1年間ブランクが生じたため、市場を外国産サーモンに奪われ、価格が低迷しています。養殖物はセシウムも不検出だし、被災地復興のためにも以前のように利用して貰いたいものです。


 ところで、ギンザケワカメの料理も過去にずいぶんご紹介してきましたが、ブログ内検索をかけるより、「サエモン ギンザケ」「サエモン ワカメ」でググった方が迅速かつヒット数も多く出てきます。^^




 さて、本日のお献立は、、、


   和え物   新ワカメと新玉葱の鯖味噌衣和え
  箸休め   ノンオイル銀鮭のパリパリ皮煎餅
  吸い物   葛打ち銀鮭とワカメのすまし汁
  主 菜   冷製銀鮭の薬膳棒々鶏ソース
  御 飯   サーモンライス(洋風手こね寿司)


 の5品です。ギンザケワカメを堪能できるメニューとなります。これらのレシピはこの記事の文末に記載します。




 本日の会場は五橋の仙台市福祉プラザです。23名の皆さんが4班に分かれ、連係プレーでガンガン作っていきます。
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 ご飯を1升5合炊きましたが、調理実習室の炊飯器は電気なので1時間もかかりました。これの待ち時間が想定外でした。




 仙台放送さんの取材もあり、実習生の皆さんも緊張気味。菅原ディレクターが参加の動機をみんなにインタビュー。
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 安全な水産物のPRに仙台放送さんが共感して下さいました。なんでもかんでも水産物が汚染されているわけではありません。正しい知識を身につけて健全な食生活を送りましょう。



 
 まず、新ワカメと新玉葱の鯖味噌衣和えが出来上がりました。
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 鯖の味噌煮缶を使ってコクのある和え衣にしています。ワカメがいくらでも食べられるお惣菜です。




 続いて、銀鮭のパリパリ皮煎餅です。油で揚げず、レンジでチンして作ります。パリッと仕上がったら軽く塩をします。これ、ビールのあてに最高。
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 ギンザケのフィレから出た副産物の有効利用ですね。時間は掛かりますが、中落ちもこの方法で骨煎餅になりますよ。




 吸い物は葛打ち銀鮭とワカメのすまし汁です。
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 葛打ちしたギンザケはつるりとした食感。ワカメとの色の対比もなかなか佳いですね。




 こちらはサーモンライス、つまり銀鮭を使った洋風手こね寿司です。
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 彩りも楽しみたいので、醤油は使いません。大葉ではなく、パセリと玉葱の微塵切りを加えて味わいも洋風にしました。




 本日のメインディッシュ、冷製銀鮭の薬膳棒々鶏ソースです。
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 油を使わず生野菜もたっぷり添えてヘルシーなメインとなってます。




 盛り付けにはそれぞれの個性が表れます。彩りと配置が重要です。ナルトのように見えるのは、イタリアのキオッジャ地方発祥のビーツです。
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薬膳棒々鶏ソースは微塵切りの長葱と生姜をたっぷり使って食べるソースとなってます。漢方的な効能は伺いませんでしたが、葱と生姜と胡麻と来れば、体にがっちり効きそうですね。




 2時間近く掛かってしまいましたが、全品完成です。結構なボリュームですね。
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 これにワインがあったら、どんだけ嬉しいことか。^^




 さ、お楽しみの試食です。冷凍ではない生のギンザケは如何でしょう。
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 十三浜のワカメも歯応えがしっかりしていて上質です。和え物、汁物、サラダと何にでもすぐに使えるのが塩蔵ワカメの便利なところ。





 宮城県でも肉食性の魚類は100ベクレルを超える種類が出ていますが、それらの漁獲はすでに自粛しており、流通に乗ることはありません。万が一、消費地で検査に引っ掛かれば、食品衛生法により罰せられますし、何よりも生産地の信頼を失ってしまいます。養殖生産物に比べて、天然魚は扱いが難しいのですが、店頭に並んでいる魚は安心して召し上がって下さい。幸い養殖生産物は魚食性のギンザケでも配合餌料で育てられますのでセシウム不検出です。養殖生産物の検査結果は宮城県漁協が公表しておりますし、各県の天然魚貝類の検査結果については水産庁のHPで最新情報が得られます。
 
 
 

  


         銀鮭と若布を使った初夏のお献立


■■■ 作り方(4人分) ■■■


 ◆ 新ワカメと新玉葱の鯖味噌衣和え      
     材料:塩蔵ボイルワカメ・・・30g
        新玉葱・・・・・・・・大1個
        鯖味噌煮缶・・・・・・1缶
        練り芥子(小さじ1)、マヨネーズ(大さじ2)、
        レモン汁(小さじ2)、粉山椒
     ① ボイル塩蔵ワカメを水で戻して水気を絞り、小口に切っておく。
     ② 新玉葱はスライスしておく。辛ければ水晒しする。
     ③ 鯖味噌煮缶の骨を取り除き、擂り鉢でよく擂る。これに練り芥子、
       マヨネーズ、レモン汁、粉山椒を加えてよく混ぜ合わせる。柔ら
       かめに調製する。
     ④ ①②を③で和える。

 ◆ ノンオイル銀鮭皮のパリパリ煎餅
     材料:銀鮭の皮、塩胡椒
     ① 料理の際に出た銀鮭の皮を名刺サイズに切る。
     ② 皿に貼り付け、電子レンジで5分ほどチンする。
     ③ 庫内の水蒸気を扇ぎ出し、皮を裏返してさらに5分チン。
     ④ よく乾かしてから軽く塩胡椒する。

 ◆ 葛打ち銀鮭とワカメのすまし汁
     材料:銀鮭刺身大8枚、塩蔵ボイルワカメ10g、塩、薄口醤油、
         粉山椒、昆布だし、片栗粉、白髪葱、
     ① 薄めの刺身サイズの銀鮭に軽く塩と粉山椒を振って少しおく。
     ② ①に片栗粉を塗す。
     ③ 昆布だしに塩と薄口醤油少々で調味する。ワカメを戻す。
     ④ 沸かした③に余分な粉を落とした②を入れてサッと加熱する。
     ⑤ ④を戻したワカメと椀に盛り、白髪葱を天盛りする。

 ◆ 冷製銀鮭の薬膳棒々鶏ソース 
     材料:銀鮭切り身・・・・・・4枚
        長葱(1本)、生姜(微塵切り大さじ3分)、白胡麻(大さじ3)、
        練り胡麻(大さじ2)、レモン汁(大さじ1)、パセリ(4枝)、
        塩蔵ボイルワカメ20g、レタス(半玉)、黄パプリカ(1個)
        キュウリ1本、薄口醤油、砂糖少々 
   ◇棒々鶏ソース
     ①  葱と生姜は微塵切りにしておく。生姜の皮と葱の葉は銀鮭
        ボイル用にとっておく。 
     ②  擂り鉢で煎った白胡麻をよく擂り、これに①と練りゴマを混ぜ
        合わ せる。
     ③  醤油、砂糖、レモン汁で調味し、ポッタリとした感じに仕上げる。
   ◇冷製銀鮭
     ①  銀鮭の切り身は2%程度の塩水に生姜の皮、長葱の青葉、
        パセリの軸、ベイリーフを加えたヒタヒタの茹で汁で茹でる
        (蓋をしたフライパンで)。
     ② 粗熱が取れるまで鍋ごと冷ましてから崩れないように取り出す。
       ※ 茹で汁は濾して回収し、サーモンライスを炊くスープとする。
     ③ 皮や小骨を取り除き、冷蔵庫でよく冷やしておく。
   ◇盛り付け
     ① 水気を拭いたギンザケを中央に置き、棒々鶏ソースをかける。
     ② 周囲を戻したワカメ、パセリ、レタス、パプリカ、キュウリ等好み
        の野菜をあしらう。

◆ サーモンライス(洋風手こね寿司)
     材料: 銀鮭切り身・・・・・・二切れ
        米・・・・・・・・・・3合
        スープ3カップ(上記のギンザケの煮汁)、オリーブオイル(大さじ1)、
        レモン汁(大さじ3)、パセリ微塵切り(大さじ1)、玉葱微塵切り
        (大さじ2)、塩、砂糖少々        
     ①  塩とオリーブオイルをスープ+水に加えて薄味のご飯を炊く。
     ② 銀鮭の薄めの刺身にし、塩を塗して20分程置き、レモン汁に浸す。
     ③ 炊けたご飯に砂糖を加えたレモン汁を振り入れよく撹拌し、冷ます。
        調味は寿司飯程度にする。
     ④ ③のご飯に②の酢締め銀鮭とパセリと玉葱の微塵切りを混ぜる。
        銀鮭は崩れても良い。

2012/07/10(火) 05:00 | trackback(1) | comment(10)

簡単真空調理で柔らかジューシー鶏胸肉

カテゴリー: 料理:肉・卵・乳

  実はこの記事は6月上旬には書き上げていたのですが、アップしようと思った矢先、ためしてガッテンで同じような内容の番組をやってくれたのです。これではタイミング的に二番煎じだし、パクリとも思われそうなので仕方なく延期しました。それだけでは悔しいので、この番組で紹介された技術以上のことをやろうと改良を重ねてきました。


 何のことだか、わかりませんよね。ご説明いたします。鶏肉の話題なのですが、もしモモムネかどちらか選べと言われたら、私は健康をさて置いてモモを選んでしまいます。それはムネ肉がパサついて美味しく感じられないからです。それでも昨今、カロリーや栄養の面からもムネ肉をもっと利用しないといけないなぁと思っていました。


 そのような時にこれだ!と思ったのが、真空調理だったのです。驚いたことにここまではためしてガッテンとまるで同じストーリーだったのです。違うのは真空調理器が高額なので別の方法に番組は展開します。私は簡易真空調理法の検討に進みます。ただ、番組から得られたムネ肉処理の使える技術は利用させて頂いて改良を加えることにしました。





 以前、コンフィ(油浸低温調理法)を耐熱ナイロン袋で試した時、加熱調理に使えるジップロックバッグがあるといいのに。。。とぼやきましたが、なんと、知らないうちに発売されていました。
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 これでピンと来たのです。このジップロックバッグはレンジ用ですが、100℃以下の湯煎調理にも十分使えるはずです。ジッパーも付いてますので出し入れも楽で、液漏れもないでしょう。コンフィも肉を柔らかく仕上げることが出来るのですが、油浸しで加熱しますので、ムネ肉を食べる意味がなくなります。




 そこで、ムネ肉山椒の葉を加えた塩麹を塗してレンジ用ジップロックバッグに収容し、60~65℃の低温で湯煎しようとしたのです。
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 タンパク質が熱変成を始めるのも60℃前後なので、最小限度の加熱と風味の封じ込めで柔らかさと旨さの一石二鳥を狙ったのです。




 その後、ためしてガッテンで紹介された加熱前にムネ肉に水分を吸わせる技法も取り入れて改良しました。
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 包丁の背で格子状に叩いたムネ肉をさらに楊枝や竹串でブツブツ刺していきます。この処理が終わったムネ肉レンジ用ジップロックバッグに収容し、大さじ1杯の塩麹と大さじ2杯の水を加え、よく揉み込みます。こうすることでムネ肉が水分を吸い込み加熱しても瑞々しさが維持されるのです。30分位置いて馴染ませてから最後に、ビニールチューブで脱気しますが、多少、空気が残って問題ありません。




 さて、いよいよ加熱ですが、60~65℃を保って湯煎するにはガスコンロだと付きっきりになり、絶えず水を加える必要があります。そこで、炊飯器の登場です。
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 我が家の炊飯器は保温温度が約70℃なのですが、ガスコンロよりは安全です。時々、水温を測定すれば大丈夫でしょう。スタートは内釜に65℃の湯を満たします。そこへレンジ用ジップロック入りのムネ肉を収容します。




 内釜の水温の推移ですが、以下のように経過しました。
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 最初に水温を65℃に設定したのですが、鶏肉の温度で水温がにわかに下がります。ガスコンロではないので急に加温できません。その後、水温は徐々に上昇を続け、1時間後には65℃に達しましたので、お湯を少し抜いて水を加えます。60℃まで下がりましたが、再び若干上昇し、90分を経過した時点で点検のため開封しました。最初の水温降下を防ぐには冷蔵庫から出したばかりのムネ肉ではなくある程度室温に馴染ませてから使った方が良さそうです。




 90分後の状況ですが、楊枝を中まで差してで温度を確認しますと十分にが通っています。
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 この時点で加熱終了を判断しました。バッグには塩麹と鶏の旨味が凝縮したスープも出来ています。これはソースとして使いましょう。




 暑い日だったので、今回は良く冷やして冷製にしました。
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 鶏のスープにはゼラチンが溶け出ているので冷ましているうちに自然と固まってきました。適度な濃度になるまで冷やし、木の芽の微塵切りを足して皿に並べたムネ肉に垂らします。




 ここでもためしてガッテンの技法を取り入れました。ムネ肉の切り方ですが、筋繊維を細断する方向、すなわち筋繊維に直交するように切り分けます。
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 ムネ肉筋繊維は平行には走っておらず、上記のように場所によって切る方向を変えるのが柔らかく食べるコツだそうです。




 これらの技法を駆使して完成させた『鶏ムネ肉の冷製塩麹山椒柔らか蒸し』です。
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 途中、65℃に達しましたが、まずまず、期待通りの出来となってます。水分も保持され、口の中で自然にほろける柔らかになってます。塩麹の旨味と山椒の香りも利いています。これならモモ肉から一辺倒じゃなくてムネ肉へも難なく移れそうですね。^^





 今後の改良の余地もあるかと思いますが、現時点での作り方を整理いたしますと、、、



 ① 鶏ムネ肉を包丁の背で格子状に叩き、竹串や楊枝で満遍なく刺します。
 ② レンジ用ジップロックに収容し、塩麹大さじ1、水大さじ2と香辛野菜(山椒、生姜、大葉、バジルなど適当に)を加える。
 ③ 密封してからよく揉み込み、水分をムネ肉に吸わせる。その後、チューブやストローで脱気する。
 ④ 保温モードにセットした炊飯器に70℃の湯を張り、③を入れる。
 ⑤ 蓋をして、時々水温計で測定し、60~65℃を保つように水温調整しながら90分加熱する。
 ⑥ ムネ肉の筋繊維を断ち切るように薄き切りし、スープをソースとしてかける。(温製の場合、ソースは煮詰めて濃度を出す)



 このレシピで、あのムネ肉が商品として出せる逸品に仕上がるはずです。温冷どちらでも美味しいのですが、よく冷やして翌日以降にハムの代わりにパニーノ(イタリア式サンドイッチ)で食べるのも良かったです。炊飯器によって加熱出力が異なりますので、水温を測りながら調節をして下さい。でも、65℃に温度設定が出来る電動ポットがあると便利でしょうね。甘酒も作れますし。完全ではありませんがこのようななんちゃって真空調理もやがては家庭に浸透してくるのではないでしょうか。慣れるまで多少手間はかかりますが、肉や魚が今まで体験したことのないような味わいに変身するのですから。

2012/07/06(金) 05:00 | trackback(0) | comment(6)

塩カツオをさらに美味しく

カテゴリー: 料理:買い魚

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 この人物は水産庁加工流通課情報技術企画官の上田勝彦氏です。どう見ても官僚ではなく、漁師か魚屋の風貌ですよね。^^ そうです。彼こそが今話題の魚食伝道師ウエカツさんなのです。実際、水産庁に入庁する前には漁師経験もあるそうです。先日、気仙沼で開催された第12回「食」と「漁」を考える地域シンポにおきまして、彼流の魚食普及論を元気に訴えておられました。その中でちょっと気になる一説があったので、私の探求心がムクムクと。。。^^



 「現代人は刺身、特に生臭いカツオが苦手という人が多い。」
 「確かに灰色になったカツオは尚更だが、塩カツオにすれば美味しくなる。」
 「塩カツオは四半身にたっぷり塩を塗して少し置き、水で洗い流せば出来上がり。」



 まるで三段論法みたいですが、肝心なのは塩カツオの作り方。これでは単なる塩洗いではないですか。本来、塩カツオは保存食です。常温でも保存できるくらいの塩漬けで、昔の塩が吹き出す新巻鮭のような物でした。現在も市販されているのかわかりませんが、私が小さい時は東京でも見かけました。やたら塩辛く、子供ながらも美味しいとは感じられませんでした。


 百歩譲って、漁船員が船の中で作る即席塩カツオでも四半身に塩を塗して数日置き、塩辛いので薄く切ってで食べています。塩でがっつり締めて生の刺身とは異なる食品になっているのです。ですから、塩を塗してサッと洗ったものを塩カツオと呼ぶところが腑に落ちないのです。でも世間ではこれを塩カツオと呼んでいるのかと思い、ググってみますと。。。。


 なんとNHKのあさイチという番組(2012年5月23日放送)で、塩カツオを紹介していました。気になるその作り方は、、、



 ① 切り身を流水でさっと洗い、ふきとっておく。これだけで生臭みが軽減されます。
 ② 粗塩をまんべんなく振りかけて、そのまま10分ほどおく。切り身から水がしみ出てきます。 この時ににおいの成分も一緒に出て行きます。
 ③ 塩を水で洗い流して、水分をふきとれば出来上がり。


   ※このまま刺身で頂いてもおいしく食べられますが、いろんな料理の材料としても使えます。



 というもの。まるでウエカツさんと同じじゃありませんか。それもそのはず、この番組のゲストとしてウエカツさんが出演し、塩カツオの作り方を解説していたのでした。これには大笑い。要するに塩カツオとは呼んでいますが、生臭みを取るための作業であることがわかります。これでは本物の塩カツオが不憫です。


 でも、わかりやすいネーミングで魚臭さを取り除き、魚離れを抑制しようというコンセプトは賛同できますね。ただ、塩カツオですと出されて、明らかな刺身との違いを感じることが出来なければ、塩カツオと名乗るのは邪道でしょう。そこでサエモン流塩カツオをご紹介しましょう。塩分の摂り過ぎには注意しなければならないお年頃ですので、昔のような塩カツオではなく、ライトな即席塩カツオです。




 またまた、序論が長くなりましたが、サエモン流塩カツオの作り方をご紹介します。用意するのは刺身用のカツオの四半身です。
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 小振りですが、うっすらと脂が乗って美味しそうです。敢えて灰色になったカツオを選ばなくても結構です。^^




 ウエカツ流との比較をしたいので、半分に切ります。
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 同じ四半身でも前方と後方では脂の乗りや食感が異なりますので、切り口近くの身で食べ比べます。


 

 
 まずはウエカツ流。塩をたっぷり塗し、10分置いてから浄化水で洗い流します。
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 どちらの作り方でも塩は味を左右しますので、天日干しの自然塩を使います。ラップに包んで冷蔵庫で少し寝かせます。たぶん、こうすることで表面近くの塩分が身に馴染むように思ったからです。




 一方、サエモン流ですが、塩を塗して3時間置きますので、少し控え目にします。〆鯖の作り方でもご紹介している紙〆法を併用するのが私の意匠。
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 紙はキッチンペーパーを使用し5枚ほどできっちり包みます。これを冷蔵庫に収容し、軽く重しをして3時間置きます。塩分を減らしても紙の吸水力でカバーするのです。滲み出る生臭い汁がカツオに触れないのも利点です。3時間経ったら、同じく塩を洗い流し、水分をよく拭き取っておきます。




 出来上がった塩カツオ。手前が紙〆を併用したサエモン流。後方はウエカツ流
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外見にはほとんど差が見られません。




 ところが、平造りにして箸で挟むと違いがわかります。サエモン流はやや硬くプルプルしません。
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 そうです、外見は変わりませんが、脱水率が異なりますので、グッと締まるのです。




 これらを異なる薬味で食べ比べます。薬味はおろし生姜、茗荷+青葱、練り芥子です。
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 もちろん塩カツオですから、醤油は使いません。そのまま食べるのです。それが塩カツオが普段の刺身と異なる点です。その点からすると、ウエカツ流塩味が物足りません。脱水も少ないので、食感は通常の刺身と変わりありません。

 一方、サエモン流は口に入れるともっちり感が強く、明らかに別物であることが瞬間的にわかります。個人的にはもう少し塩を多く塗して塩味を増してもいいかなと思いますが、減塩が求められていますので我慢しましょう。これであれば、即席塩カツオを名乗っても文句は言われないでしょう。なお、おろし生姜や茗荷などは相性抜群なのですが、練り芥子醤油と合わせないと良さが発揮できないように感じました。




 それで考えたのですが、即席塩カツオの食べ方として、このような香辛野菜のっけをご推奨いたします。
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 香辛野菜
は土佐造りによく用いられる青葱、大葉、茗荷、新玉葱などでよいのですが、この場合ニンニクは強すぎますので使いません。なお、生姜は絞り汁を最後に上から回しかけます。もちろん塩カツオですから、そのまま香辛野菜と一緒に食べますが、途中で漁船員風にに浸けて食べても変化があってよいですね。ただ、甘味塩味の入った市販のポン酢は味が濃くなり過ぎますので塩カツオには止めましょう。
 



 整理しますと、塩カツオの美味しさを引き出すためには、10分程度の塩塗しでは脱臭にしか過ぎず、料理としての塩カツオに仕上げるには、さらに脱水が必要です。そこで、減塩も意識して紙〆を併用するわけです。これにより、刺身と異なる食感が得られて塩カツオという料理として成り立つのです。私は鯖の刺身にもこの手法を使っています。生臭みを消すだけではなく、身を締めるためです。なお、この記事ではウエカツさんに対抗してより美味しい即席塩カツオを提案しておりますが、現代人への魚食普及には簡便性が求められますので、彼の戦略はもちろん評価しております。今回は美味究真のスタンスから即席塩カツオを捉えたものであり、目的が違うことをご理解願います。

2012/07/03(火) 05:00 | trackback(0) | comment(10)