気仙沼メカジキ料理② ハモニカの香草焼き
カテゴリー: 料理:買い魚
気仙沼の個性的な郷土料理ベスト3には、このハモニカが必ず入るでしょう。一升瓶サイズの魚の中落ちにも見えますが、これはメカジキの背びれの下の縁側に相当する部分なのです。厳密に言いいますと、鰭を動かすための坦鰭骨とそれに張り付いた傾斜筋になります。これを気仙沼で扱っているお店はカマより少なくなります。私は前記事と同じく、仮設商店街さかなの駅に入っている鮪専門店(株)カネマさんにお願いしました。
メカジキの背びれは体の割りに小さいので、縁側も幅はありますが、短くてこのような形をしています。
右端に黒い皮が少し付いていますが、ここは頭に続く首筋辺りに相当する部分です。皮の周辺もゼラチン質で旨いのですが、表面が少しざらつくので残す人が多いですね。
ハモニカも前記事のカマ大根のように煮付けたり、単独で甘辛く煮て食べることが多いのですが、今回は香草焼きにいたします。
いつだったか、気仙沼の居酒屋でニンニク風味のハモニカの塩焼きを食べたことがあったのですが、それがむしゃぶりつくほど旨かったのです。そこで、ニンニク風味にローズマリーやセージの香りもプラスして、塩味はクレージーソルトを使うという作戦に出てみました。ハモニカは食べやすい大きさに切っていますが、カマと違って骨の継ぎ目に刃を入れれば難なく切り分けられます。
摺り下ろしたニンニクとクレージーソルトを塗して、ハーブ類も一緒に袋詰めにします。
こうして2~3時間起きますと、味や香りもよく馴染んでくれます。ローズマリーとセージは丈夫なハーブで冬も枯れることなく、一年中使えて便利です。庭の片隅に植えてありますが、20年近く経って木のようになってます。時々、取り木や挿し木で更新すると樹勢もよくなります。
こちらが180℃オーブンで20分かけて焼き上げたハモニカです。
漬け込んだハーブ類も一緒に炙ってさらに香りを付けています。野菜類も一緒に焼いて彩りと味の変化を加えます。
ハモニカの端っこを持ってチュッパチュッパとしゃぶりつくのが醍醐味です。その姿がハモニカを演奏するようだからと命名されたとも言われますが、真相は不明です。こんな食材が楽しめるのもメカジキがコンスタントに水揚げされる気仙沼魚市場があってこそです。震災による地盤沈下を乗り越え、暫定的な嵩上げで昨年早々復活した気仙沼魚市場。今も昔も港町気仙沼の中核的存在ですからね。ここが復活しないと街も復活しないのです。