これは気仙沼のホテル観洋から魚市場方面を見下ろしている光景ですが、手前の空き地にはまだ津波の爪痕が見られます。隣のシャークミュージアムも建物は残っていますが、まだ、再開の見込みは立っていません。魚市場も地盤沈下で岸壁が下がり、船が着けられない状況に陥りましたが、関係者の懸命の努力で昨年の6月には嵩上げしました。その結果、カツオの水揚げに間に合い、水揚げ日本一の地位を連続15年守り抜きました。
そして、1年後の本日(6月6日)、再び待望の初ガツオが水揚げされたのでした。今年もまたカツオ水揚げ日本一の記録更新になるでしょうか。奇しくもこの日、今年も日本一を目指して第12回「食」と「漁」を考える地域シンポジウムが、ここ、ホテル観洋で開催される運びとなっていたのです。
「食」と「漁」を考える地域シンポジウムは、日本の「食」を支える地域漁業の発展と魚食文化の育成のために全国の港町や水産都市で開催されてきました。
今回で12回目、気仙沼では初めての開催になります。サブタイトルは~今年もカツオ水揚げ日本一をめざして~です。
シンポジウムのパンフには地元の子供が描いたカツオの絵が載せられていました。
シンポの趣旨は単にカツオ水揚げ16年連続日本一だけではなく、復興支援への感謝や放射能の心配がない気仙沼の魚をもっとたくさん食べて頂けるようにアピールすることです。
放射性物質汚染や復興施策に関する講演に続き、菅原気仙沼市長からも気仙沼の復興計画についてプレゼンがありました。
海と生きる気仙沼の復興は津波死0のまちづくりを目指し、レベル1(明治三陸津波)の津波に対応できる防潮堤や河川堤防を設置し、さらにレベル2(東日本大震災)で浸水するエリアを災害危険区域として住宅移転を促進させるとのことでした。
市内の元気な女性達によるリレートークの後に登場した水産庁の上田さん。どう見ても、魚屋さんですね。^^
魚の流通の専門家で、水産業維持や健康増進のための魚食普及は逆効果。魚時々肉のような気張らずもっと簡便に魚を提供しなければ、魚離れは止められないと。カツオの刺身の生臭さを消す方法として塩かつおを提唱されました。これについては、私なりに検証して後日、記事にしてみます。
魚好きな子供達がステージからメッセージを送ります。
練習はしたのでしょうけど、突然マイクを当てられると絶句してしまう子供も出て、それもまた微笑ましかったです。でも、みんな本当にカツオやカジキ、サンマが好きなようでした。
いよいよ、お楽しみの第2部です。シンポ会場からビュッフェスタイルのパーティー会場に移ります。
第2部は気仙沼の魚料理を楽しむ会です。もう、聞いただけで涎が出てきます。^^ メニューにも20品以上の料理が記載されていますね。
気仙沼名産のサメ、メカジキ、サンマなどを使った色とりどりな料理の数々。盛り付けの豪華さに目を奪われます。画像はクリックで拡大します。
右下の巨大な皿には気仙沼の水産加工品も並べてありました。津波の打撃を諸に受けた加工屋さん達も頑張っています。
でもやっぱり、刺身ですよ。本日揚がったばかりの初ガツオを始め、生のメカジキ、マグロも所狭しと盛り込んであります。
初ガツオはまるで餅のような食感、すでに脂もほんのりと乗っていて、旨味も溢れ出します。メカジキも普段食べているものとは別格ですね。コリッとしていて、脂も爽やかです。
そして、これこれ、気仙沼名物メカジキのハモニカ甘辛煮です。もう、ここから動きたくない。^^
ハモニカはヒラメで言えば縁側ですね。体がでかいだけに縁側の筋肉も10cm位あります。鰭を動かす筋だけにしっかりしていて独特の食感です。先日のダービーパーティーでは香草焼きにしてみました。
こちらも気仙沼ならではのもうかの星、すなわちネズミザメの心臓です。
マンボウの湯引きと盛り合わせてあり、ともに酢味噌で頂きます。もうかの星は新鮮なレバー刺のような食感ですが、血生臭さはなくさっぱりと食べられます。
こちらは寿司コーナー。職人さんのにぎり立てが頂けます。実に粋な配慮です。
4点盛りで左からネギトロ、メカジキ、カツオ、ビンチョウ炙りですが、ツメが塗ってあったり、さらし葱とカイワレが盛ってあったり、特設屋台とは言え一手間かけてあります。どれも冷凍ではなく生なのでざらつきがありません。
気仙沼と言えば、フカヒレを忘れてはいけません。
フカヒレスープは3種類ありましたが、これはちょっとピリ辛の四川風。
もちろん、お酒もありますよ。気仙沼の地酒、男山の大吟醸蒼天伝と角星の大吟醸喜祥です。
素晴らしい肴に素晴らしい地酒、夢のような時間が過ぎていきます。
こんなのもありました。宮崎県の海洋高校が作ったマグロの缶詰です。一つ一つにメッセージが書いてありました。ツナサラダとして頂きます。
なんでここにあるのかと言えば、宮宮コンビで以前から交流のある宮崎県ですが、今回は宮崎海洋高校が航海実習で被災地気仙沼を訪れ、気仙沼向洋高校と交流を深めたのでした。その際のお土産として海洋高校の生徒が作ったツナ缶を持ってきてくれたのでした。絆のツナ缶です。
成功裏に閉幕した第12回「食」と「漁」を考える地域シンポジウム。震災直後には修羅場であったこの地でこのようなイベントが開催できるなんて考えも及びませんでした。しかも、気仙沼の魚料理を一堂に会した第2部の計らいに気仙沼人の心意気を深く感じ取ることができました。気仙沼人は女性も元気です。震災にまげねぇどと強い意志を表明されました。これも新鮮な魚を食べてきた人たちだからなんでしょうね。日本人にとっては魚、米、野菜、そして時々肉が心身ともに健康になれる食事の基本なのでしょう。