復興ワカメの収穫が終わりました
カテゴリー: 料理:海藻
昨年の今頃はどこの浜も瓦礫が山のように重なり、海には絡み合った養殖施設が空しく漂っていました。あれから1年、復興の手始めにワカメ養殖を選んだ生産者の方々は見事にそれを成し遂げました。全国のワカメ生産県からの支援も受け、自らも残ったメカブから種を取り、種苗を確保しました。
例年よりは半月ほど遅れての水揚げとなりましたが、品質は上々で高値で取引されました。最終入札も5月にずれ込みましたが、トータルで平年の70%ほどの生産にまで漕ぎ着けました。昨年の今頃にはとてもこのような回復を想像も出来ませんでした。
まだ、個人ごとの生産ではなく、すべてが共同作業によって進められます。海から刈り取ってきたワカメは1m以上もありますが、それらを共同でボイル塩蔵ワカメに加工しています。
葉先や根元などを切り取ったワカメは大きな釜でボイルされ、色が変わったら直ちに冷水で冷やされます。
加熱し過ぎますと色が悪くなるので、手際の良い作業が要求されます。
水切りされたボイルワカメは回転するドラムの中で岩塩が塗されます。
この後、重しをして脱水し、市販の塩蔵ワカメに仕上がるのです。
今日は簡単に出来、子供も喜ぶ新ワカメと新玉葱の和え物をご紹介します。写真は4人分の材料です。
ポイントは和え衣にサバの味噌煮缶を使う所です。従って、少し甘めの和え物になります。塩蔵ワカメは1人分で10gほど。他には新玉葱、マヨネーズ、練り芥子も揃えて下さい。酸味が欲しい時はレモン汁を加えます。
ワカメを水で戻している間にサバの味噌煮の骨を除き、擂り鉢で擂り潰します。
滑らかになってきましたら、マヨネーズと芥子を加えてさらに摺り合わせます。少し柔らかめになるようにレモン汁か水で延ばします。あれば木の芽(山椒の若葉)を刻んで加えますと初夏らしい清々しさが出てきます。
和え衣が出来ましたら、適当に刻んだワカメとスライスオニオンにかけて木の芽を天盛りします。
正直に言いますと、この盛り付けは見栄えは良いのですが、ワカメと衣の馴染みが良くありません。
やはり和え物は良く和えてから盛り付けるのが正統ですね。
味は一様になりますが、素材と衣がよく馴染み、ご飯にもお酒にも良く合うお惣菜に仕上がります。新玉葱のシャリシャリ感と新ワカメの食感が見事なコンビネーションとなっています。
現在、三陸沿岸ではワカメの生産が終了し、カキは牡蠣小屋用の水揚げが今月末で終わります。それらに代わって、ギンザケの水揚げが盛んに行われています。やがて、ホタテガイの水揚げも始まるでしょう。浜の人たちは実に逞しい。身内や財産を失った方も多いのに、生産現場には笑い声も響きます。
宮城県でもセシウムに汚染された魚類が漁獲され始め、魚種によっては操業自粛を余儀なくされていますが、養殖生産物は現在のところ不検出です。土壌が汚染された地域の野菜や山野草は今後も除染しない限り、不安がつきまといますが、本県では海水中のセシウムがほとんど検出されなくなりましたので、海面養殖生産物は現在、安心できる食品の一つと言えるでしょう。