フィデウアFideuaについての考察(3)
カテゴリー: 料理:麺類
前々記事において、スペインのフィデウアはパエリアのお米を細かいパスタに替えたものであり、パスタのパエリアPaellia de Pastaであることを説明しました。日本で広まっているスパゲッティやスパゲッティーニを長いまま、もしくは二つ折り程度で作るフィデウアもどきはフィデウアとは呼べず、スペイン人のためにも煮詰めスパもしくは煮染めスパとでも言うべきでしょう。私たちも海外で紛い物の日本料理を見ると悲しくなりますし。
とはいえ、長いままのスパゲッティやスパゲッティーニをパエリア風に料理した日本のフィデウアもどきもパスタ料理として見れば、ソースも要らずフライパン一丁で出来るので私のような単身赴任者や独身者には便利です。パスタ重量と適正な水分量は前記事の実験結果を参考にして頂きたいと思いますが、スパゲッティーニ(1.4mm)なら重量の3倍量ですね。
今回は気仙沼の食材を使った煮詰めスパをご紹介いたします。一品目は名残のマツモを使いました。
私の部屋の玩具のようなキッチンでも簡単に作れます。行儀は悪いのですが、食卓にフライパンごと運んで頂きます。保温性があり、後片付けも楽ちん。
材料は1.4mm(茹で時間6分)のスパゲッティーニ80~100g、食欲に合わせて下さい。^^ スープは粉末コンソメと椎茸粉を使いました。水分量はパスタの3倍(80gなら240ml)ですね。
マツモの他にシラス干しも使います。仕上げにオリーブオイル少々。スープの塩分が濃縮されますので、塩は要りません。
マツモもとうとう名残です。この時期を逃すとあとは乾燥物しかなくなります。十分に味わっておきましょう。
チャキチャキとした歯触りと上品な滑りが素晴らしい海藻です。マツモは水でよく洗い、汚れと塩分を落とします。適当に千切っておきますが、あまり小さく刻むと歯触りが楽しめません。
フライパンで分量の水を湧かします。沸騰したら粉末コンソメと椎茸粉を加えます。
コンソメは塩分が入っており、最後は水分がなくなりますから、ごく薄味のスープになるように調製します。
半分に折ったスパゲッティーニを投入。標準ゆで時間6分ですが、7分半ほどで水分がなくなります。
たっぷりのお湯で茹でるのと違って、25%くらい時間が長くなります。パスタ同士がくっつかないように時々、掻き混ぜます。水分が少なくなってからあまり強く掻き混ぜると粘りが出てしまいます。
水分が飛んでパスタがチリチリ鳴り出したら、すかさず、マツモと半量のシラス干しを加えます。味を確認してからオリーブオイルを少し垂らして艶を出します。
見る見る茶色いマツモが鮮やかな緑になっていきます。シラス干しの塩分も加わりますので、スープはごく薄味でよいのです。
残りのシラス干しを天盛りして完成です。
食卓でフライパンごと頂きます。テフロン加工なので金属製のフォークは使わず、箸で食べています。^^
続いて、もう一品。気仙沼特産のメカジキを使ったクリーム系の煮詰めスパです。
クリーム系ですが、生クリームもバターも使いません。メカジキ一切れにホウレンソウ一株。粉末コンソメに隠し味の味噌少々。仕上げに摺り下ろした柚子の皮を振り、名残の香りを楽しみますので、ニンニクは使いません。今日は茹で時間8~9分のスパゲッティーニなので心持ち水分も多めにします。
最初に一口大に切り、塩で軽く味付けたメカジキをオリーブオイルで炒めます。
これは中まで火を通してフライパンから取り出します。洗い物を少なくしたいのでクッキングペーパーに乗せておきます。余分な油も取れますし。
スパゲッティーニ80gに2.5倍量の水分(200ml)を加えますが、その2/3(130ml)を牛乳に置き換えています。
最初から牛乳だけで煮ていきますと焦げ付きやすくなります。この茹で汁には粉末コンソメだけ入れて隠し味の味噌は後から加えます。スタートが水分基準の3倍ではないのは後から牛乳を追加するからです。
水分が飛んで少し粘りが出てきましたら(7~8分位)、牛乳を40ml程加え一気に煮詰めます。これで水分が麺量の3倍となります。硬めのパスタなので3倍で足りなけでば、さらに足します。
この時、味噌とホウレンソウも加えて仕上げにかかります。このパスタは少し掻き回して粘りを出した方がクリーム系の味わいになります。
最後に炒めたメカジキを乗せて、摺り下ろした柚子皮をパラリと振れば完成です。
クリーム系ですが、味噌と柚香で和風な味わいになります。
緑と黄色で春の山里のイメージですね。
同じくフライパンのままで頂きます。今宵はこれが酒の肴です。^^
家に帰った時ぐらい普通のパスタを作ればいいのに妻にもこの煮詰めスパを食べさせたくて今日は2人分作ります。
今日はフリーズドライのミネストローネを使ったロッソのスパゲッティーニになります。
がっつり食べたいので1人100g。従って、水分量は200g×3=600mlとなりますね。
スープの具だけではちょっと寂しいのでハムやシメジ、人参なんかも足しています。
昔なつかしナポリタン風のスパとなりました。
ただ、甘いケチャップ味ではなく、スッキリとしたミネストラ味です。パスタから出る適度な粘りがソースの役割も果たしてくれています。
3回に亘ってパスタのパエリア=フィデウア・フィデオで遊んでみましたが、大変勉強になりました。出来ることならスペインの名誉のためにもこの記事のような煮詰めパスタにフィデウアという料理名を用いないでもらいたいものです。これはこれで美味しいので、なにか名称を付けてあげたいですね。このような調理が出来るのはパスタが製造過程で塩分を使わないからでしょう。乾し饂飩や冷や麦でやったら、塩辛くて食べられないのではないでしょうか。
繰り返すようですが、 フィデウアやフィデオは米を細かいパスタに置き換えたパエリアです。ロングパスタを良さを味わうには、やはりキチンと茹でて、ソースとともに味わってあげるべきでしょう。