【塩竈市】かき小屋で今年の初牡蠣
カテゴリー: 外食:寿司・魚貝類定食
3.11東日本大震災の追悼式の前日、石巻市雄勝町の公民館の上に乗っかっていたバスが降ろされました。なんでこの日なのか、よくわかりませんが、1周年を前にけりを付けたかったのでしょうか。自分の目で見ておきたかったのですが、所用があり、雄勝に向かうことが出来ませんでした。これはテレビの映像をお借りしています。
これは昨年の5月、被災地支援で雄勝に入った時に目にした光景です。その時の詳細はこちらをご覧下さい。
よくこういう被災地に取り残された船やこのようにビルの上に置き去りにされたバスなどをモニュメントとして残そうという発想がありますが、被災地に住む方々は毎日見て暮らさなければならないのです。原爆ドームと違って、これを維持していくには相当の経費も必要でしょう。それに、このバスの会社だってあまり気分の良いものではないでしょう。
追悼式の前日、とんぼ返りで自宅に戻ると娘が春休みで戻ってきていました。毎日ゴロゴロしているのかと思ったら、なんと、七ヶ浜町の被災地でボランティアをしているらしいのです。大学の社会学習ではなく、自分でボランティアセンターを調べて一人で志願したそうです。これには一本取られました。大人になったものです。仕事は七ヶ浜の瓦礫が混じった畑でフルイを使って取り除く作業とのこと。
ちょっと感銘を受けて、何か御馳走すると言ったところ、牡蠣が食べたいと言い出しました。これにも驚きました。私が大好きなので以前よく買ってきたのですが、子供の頃は「絶対無理!」と言って、箸も付けなかったのでした。酒でも呑むようになって、嗜好が変わったのでしょうか。それとも食いしん坊の血筋なのでしょうか。この日は休みとのことでしたので、さっそく、昼飯に牡蠣を食べに出掛けます。
こちらは塩竈のかき小屋さんです。牛たんのたん助もやっている五光食品さんが経営しています。
松島のかき小屋さんは、品薄のため完全予約制で、すでに今月は埋まっていました。
店内には津波による浸水の水位を表示してありました。
発災から4日目にこの周辺を見回りましたが、道路には車と船が入り混じって散乱し、戦場のような状態でした。上の赤い線は店外の水位ですが、大人の肩ぐらいあります。かき小屋さんは修復に半年を要し、昨年の9月に再開したそうです。
かき養殖もまだ一部で再生したばかり。以前のような食べ放題はやっていません。
娘は渋く浜焼き定食。牛たんも食べたいと言うので、私がかき小屋セットを注文して、牛たんを提供します。^^
こちらが浜焼き定食1450円。大振りな牡蠣が5個焼かれています。
震災前に比べると、お高く感じますが、まだまだ貴重な牡蠣なのです。
焼き具合は中心部にさっと熱が伝わったくらいで絶妙。肉汁も殻に溜まっています。
1個頂きましたが、久しぶりの牡蠣に舌も大喜び。牡蠣をこんなに有り難く感じたのは初めてです。毎年、この時期のよく肥えた牡蠣で燻製を作るのですが、2年連続でお預けです。
一方、こちらはかき小屋セット980円。とてもお値打ちです。
カキはフライで2個だけですが、牛たんや蕎麦まで楽しめます。牛たん定食に付き物なとろろもありますが、麦飯ではありません。
カキフライも大振りです。私はソースではなく、芥子にレモン醤油派です。^^
揚げ立ての熱々で中から熱い肉汁が溢れます。やけどに注意。^^
牛たんは利久系の厚切りではなく、ちょっと小ぶりな太助系統の古典的な焼き方です。
観光で松島方面に来られた方には有り難いセットでしょうね。牡蠣と牛たんのコンビネーションに当初、違和感があったのですが、こうして定食として出されると満足度の高い食事になります。
この蕎麦も美味しかった。もちろんそば専門店ではありませんのでつなぎの多い太麺ですが、しっかり熱く、量も十分。
ちょこんと小さなかき揚げも乗っています。副菜である蕎麦にも手を抜いていないのがわかります。
見かけは変わりませんが、すっかり成長した娘に少し嬉しかったりして。。。親バカってこういう状況なのかなと思い始めています。やはり、娘にとって宮城は故郷なのです。震災時も以降も東京にいて復興になにも貢献できないことに少し心苦しさを感じていたのかも知れません。
七ヶ浜に来ているボランティアさんは全国から集まっているそうです。春とはいえ、まだ寒い畑でひたすら作業に打ち込んでいます。中には春休みを利用して青森から沿岸域を復興支援しながら、南下している学生さんもいるらしい。きっと、この国の将来を背負って立つ、頼もしい大人になることでしょう。ヒステリックに瓦礫の受け入れを拒む人もおりますが、この国の住人は本当に素晴らしい。