青実山椒で手造りちりめん山椒
カテゴリー: 料理:買い魚
昨年の東日本大震災から早1年が経過いたしました。11日には被災地を始め、各地で追悼式典が執り行われ、この1年を振り返りました。復興はまだ緒に就いたばかりですが、確実に進んでおります。しかし、その一番の障害となっているのは山積みされた瓦礫です。現在、東京都と青森県がその処分を買って出てくれていますが、この行為に賛同して頂ける人々や自治体がより多く出てくれることを願うばかりです。
大震災後の食料不足で困っていた時、温かいご支援を頂いた恩師の奥様からこのような青実山椒という山椒の実を炊いたものが送られてきました。
我が家でも朝倉実山椒を植えており、毎年、実山椒の佃煮は作っておりますが、この青実山椒はまだかなり未熟な柔らかい実だけが使われています。
未熟な実山椒は香りや刺激もソフトで食べやすいです。
ところで、山椒の魅力はあの痺れる食味にあります。中国の特に四川ではこの山椒の痺れ味、すなわち中国語の麻を大切にします。痺れも辛味と同じく味の一つなのですね。
実山椒と言えば、ちりめん山椒。大好きなんです。ご飯の最強パートナー。関西のようなよく乾されたチリメンジャコが手に入らないので、解凍物の釜揚げ近いシラス干しで作ってみます。
イカナゴの稚魚であるコウナゴも間もなく獲れる季節ですが、ちりめん山椒はカタクチイワシのシラスでなければなりません。
サッと熱湯を潜らせ、余計な塩分や生臭みを流します。
最近はシラス干しではなく、このようなソフトなシラスが多いですね。柔らかく崩れやすいため取扱注意です。
醤油、味醂、日本酒、水を1:1:3:3で調合した煮汁をシラスがヒタヒタに被るくらい注ぎます。なお、シラスの分量は200gです。
通常、これに砂糖も使うのですが、小さじ1杯ほどの蜂蜜にしました。醤油は大切に使っているanegoさんから頂いた和歌山の濁り醤。色は黒くなりますが味は抜群。
決して掻き回さないようにごく弱火で炊いていきます。
時々、鍋底の焦げ付きを確認します。シラスは柔らかいので形が崩れないように気を遣います。
水分がなくなったら、実山椒を加えてさっくり混ぜ合せます。
さらに軽く火を入れて出来るだけ水分を飛ばします。
粗熱が取れましたら、クッキングペーパーを敷いたザルで水気を吸わせます。
このままでも美味しそうですが、さらに、ペーパーを変えて一昼夜、風に当てて乾燥させます。呉々も猫と鳥には注意して下さい。^^
かなり水分が飛んで、サラッとしてきました。透明感も増しました。ソフト裂きイカくらいの硬さになれば完成です。
噛み締めるごとに旨味がジワッと出て来れば成功です。京都だと醤油の色を抑えて色白に作りますが、みちのくは濃口文化圏ですから、これでよいでしょう。^^
さっそく、ご飯に乗せてワシワシ。旨味の後から山椒の麻味が弾けます。
これのお茶漬けも最高なんです。日本人に生まれて良かったを感じさせる逸品ですね。
この ちりめん山椒の炊き込みご飯が絶品なのです。炊飯用土鍋で炊いてみました。


昆布ダシと塩を足していますが、あくまでシラスからの旨味と山椒の香りが主役です。噛み締めるほどに山椒の香りが鼻腔に広がり、ピリッとした心地よい麻味が破裂します。
未熟な実山椒を炊いた青実山椒は大阪の黄金屋販売(株)さんの製品でした。毎年、山椒の若葉で鰊の山椒漬けを作り、続いて実山椒の佃煮を作ってきましたが、今年からはこのような青実山椒で作るちりめん山椒も我が家の定番に加えましょう。山椒は半日陰で肥料をやらなくても毎年、若葉を広げ、実をたわわに実らせます。庭の片隅にでも植えておきますと大変便利ですよ。山椒の品種なら朝倉実山椒をお薦めします。