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青実山椒で手造りちりめん山椒

カテゴリー: 料理:買い魚

  昨年の東日本大震災から早1年が経過いたしました。11日には被災地を始め、各地で追悼式典が執り行われ、この1年を振り返りました。復興はまだ緒に就いたばかりですが、確実に進んでおります。しかし、その一番の障害となっているのは山積みされた瓦礫です。現在、東京都青森県がその処分を買って出てくれていますが、この行為に賛同して頂ける人々自治体がより多く出てくれることを願うばかりです。




 大震災後の食料不足で困っていた時、温かいご支援を頂いた恩師の奥様からこのような青実山椒という山椒の実を炊いたものが送られてきました。
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 我が家でも朝倉実山椒を植えており、毎年、実山椒の佃煮は作っておりますが、この青実山椒はまだかなり未熟な柔らかい実だけが使われています。


 
 未熟な実山椒は香りや刺激もソフトで食べやすいです。
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 ところで、山椒の魅力はあの痺れる食味にあります。中国の特に四川ではこの山椒痺れ味、すなわち中国語のを大切にします。痺れ辛味と同じく味の一つなのですね。





 実山椒と言えば、ちりめん山椒。大好きなんです。ご飯の最強パートナー。関西のようなよく乾されたチリメンジャコが手に入らないので、解凍物の釜揚げ近いシラス干しで作ってみます。
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 イカナゴの稚魚であるコウナゴも間もなく獲れる季節ですが、ちりめん山椒カタクチイワシのシラスでなければなりません。




 サッと熱湯を潜らせ、余計な塩分や生臭みを流します。
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 最近はシラス干しではなく、このようなソフトなシラスが多いですね。柔らかく崩れやすいため取扱注意です。




 醤油、味醂、日本酒、水を1:1:3:3で調合した煮汁をシラスがヒタヒタに被るくらい注ぎます。なお、シラスの分量は200gです。
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 通常、これに砂糖も使うのですが、小さじ1杯ほどの蜂蜜にしました。醤油は大切に使っているanegoさんから頂いた和歌山の濁り醤。色は黒くなりますが味は抜群。




 決して掻き回さないようにごく弱火で炊いていきます。
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 時々、鍋底の焦げ付きを確認します。シラスは柔らかいので形が崩れないように気を遣います。




 水分がなくなったら、実山椒を加えてさっくり混ぜ合せます。
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 さらに軽く火を入れて出来るだけ水分を飛ばします。



 
 粗熱が取れましたら、クッキングペーパーを敷いたザルで水気を吸わせます。
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 このままでも美味しそうですが、さらに、ペーパーを変えて一昼夜、風に当てて乾燥させます。呉々も猫と鳥には注意して下さい。^^




 かなり水分が飛んで、サラッとしてきました。透明感も増しました。ソフト裂きイカくらいの硬さになれば完成です。
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 噛み締めるごとに旨味がジワッと出て来れば成功です。京都だと醤油の色を抑えて色白に作りますが、みちのくは濃口文化圏ですから、これでよいでしょう。^^




 さっそく、ご飯に乗せてワシワシ。旨味の後から山椒麻味が弾けます。
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 これのお茶漬けも最高なんです。日本人に生まれて良かったを感じさせる逸品ですね。




 この ちりめん山椒炊き込みご飯が絶品なのです。炊飯用土鍋で炊いてみました。
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 昆布ダシと塩を足していますが、あくまでシラスからの旨味と山椒の香りが主役です。噛み締めるほどに山椒の香りが鼻腔に広がり、ピリッとした心地よい麻味が破裂します。



 未熟な実山椒を炊いた青実山椒は大阪の黄金屋販売(株)さんの製品でした。毎年、山椒の若葉で鰊の山椒漬けを作り、続いて実山椒佃煮を作ってきましたが、今年からはこのような青実山椒で作るちりめん山椒も我が家の定番に加えましょう。山椒は半日陰で肥料をやらなくても毎年、若葉を広げ、実をたわわに実らせます。庭の片隅にでも植えておきますと大変便利ですよ。山椒の品種なら朝倉実山椒をお薦めします。
 

2012/03/15(木) 05:00 | trackback(0) | comment(4)

東日本大震災から1年・・・最大の遺惨・・・

カテゴリー: 未分類

 いま、被災地の追悼式典会場ではサイレンとともに黙祷が行われました。この記事を黙祷後の3月11日14時48分にアップされるようにして参列しています。


 

 改めて犠牲になられた皆様のご冥福を祈り、様々な被災を受けられました皆様にお見舞い申し上げます。




 あの東日本大震災から1年が経過しました。昨年の今頃は余震に怯え、ライフラインを断たれた中で、日々、情報収集に奔走していました。職場が壊滅したため被災しなかった関連機関に身を寄せながらの活動でした。集まった仲間は家や車を失った者もいましたが、みんな緊張のためかモチベーションが高く、積極的に仕事を見つけて飛び回っていました。沿岸部はどこも瓦礫の山で、一回りしてきますと長靴は黒い泥で重たくなりました。



 当時、妻が介護のため里帰り中で日中の給水を受けられず、また、開店し始めたスーパーの行列にも並ぶことができなかったのが不便でした。なにせ、電気が来てませんので、仕事が終わる夕暮れ時にはもう販売ができないのです。食べ物は冷蔵庫の在庫で食いつなぎ、詳しい原発事故情報もないままに飲用ではありませんでしたが雨水や池のも利用していました。その頃の状況はこちらに記しておきました。



 今回の大震災による総被害額は16兆円とか25兆円とかと試算されていますが、大きな震源に近かった宮城県が最も大きな割合を占めています。ただ、これには現在も進行している福島県第一原発事故による被害額は加算されていません。昨年末に冷温停止状態になったとされる原子炉ですが、すでに撒き散らされた放射性物質、特に半減期が30年と長いセシウム137は今後、我々にどのような影響を及ぼすのでしょう。


 食べ物関連のブログをやっている以上、この問題を避けて通るわけには行きません。私は放射線医療の知識はありませんが、専門家と言われる方々のサイトを読み込んでいくうちに、どうも立場によって同じ事象でも解釈が異なることが気になり始めました。特に人体への影響についての判断が大きく異なるのは国民としても信じる拠所がなくなり、たいへん不安になります。




 ご承知の方も多いと思われますが、今年(2012年)の4月1日から食品に含まれる放射性物質の規制が暫定値から以下のように改正されます。この図はセシウムについての規制値です(単位:ベクレル/Kg)。 
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 放射性物質のうちヨウ素131は半減期が8日のため、現在は問題にならないでしょう。ここでは、セシウムについてだけ示しています。厳密に言えば、セシウムも半減期2年の134と30年の137がありますが、長く尾を引くのは当然ながらセシウム137です。環境放射能の測定結果からはセシウム137の割合は大体6割となっています。


 今回の規制値の改正は事故後に暫定規制とした年間の内部被曝線量5ミリシーベルト1ミリシーベルト以下となるように、許容放射線量をそれぞれの食品や飲料水に振り分けたものです。でも、この国の被曝制限値は元々内部と外部を併せて1ミリシーベルトだったはずですが・・・。それはともかく、暫定基準値と今回の改正値には4~20倍の開きがあります。つまり、一挙に1/4~1/20に厳しくするのですが、実効性を伴うのでしょうか。


 セシウムのリスクについては後に触れますが、体に悪い影響を与えるから規制を設けるのであって、消費者としては少なければ少ないほど安心なのですが、この規制により食品が生産できなくなるエリアが広がり、被災地の復興にブレーキがかかることも懸念されます。文部科学省放射線審議会でもこの規制は、必要以上に厳しすぎるとの意見もあったそうです。でも、この新しい規制は一体どのくらい厳しいのでしょう。他国の規制と比較してみます。





 最初に飲料水に関する諸外国の規制値と日本の暫定値及び新規制値を比較してみました。
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 EUの1000ベクレル(Bq/L)が異端的に高いのを除けば、日本の新基準はアメリカやドイツほどではないにしろ、WHO(コーデックス委員会)やカナダの基準に匹敵します。EUチェルノブイリ原発の事故以来、放射性物質の規制を実行可能な数値に引き上げたそうです。ただ、日本から輸入するものについては日本暫定基準に合わせており、ダブルスタンダードに陥っています。しかも、チェルノブイリを抱えるウクライナでさえ規制値が2ベクレルですから・・・。いずれにしろ、日本の飲料水に関する改正基準は世界に通用するものでしょう。




 続いて、食品ですが種々の項目を載せていますので煩雑ですが、日本の一般食品および牛乳・乳幼児食品の新基準は世界的に見てもかなり厳しいものであることがわかります。
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文部科学省放射線審議会で必要以上に厳しすぎるとのコメントがあったことも頷けます。WHOやFAOの合同食品規格委員会であるコーデックスですら、1000ベクレル(Bq/Kg)であり、今月までの日本暫定基準(一般食品500、牛乳・乳製品200)よりも高いのです。


 このままでは被災地の農業、畜産業、水産業はどうなってしまうか心配です。東電は賠償すると公言していますが、この新基準が施行されても対応できるのでしょうか。もっとも公的資金と言う被災者からの税金も投入されるのは目に見えており、それに加え早くも電気料金の値上げも予定されています。





 ところで、改正基準年間内部被曝線量1ミリシーベルトに抑えるとしていますが、この値はどれくらい安全なのでしょうか。何人かの専門家に共通する次 のような解説を見つけました。


  広島、長崎やチェルノブイリの被曝データから100ミリシーベルト以上では発癌のリスクと相関があるが、それ未満では自然発生の癌のリスク中に隠れて全く見えなくなる。



 
というものです。これには少し説明が必要です。私たちは平常時でも一生に被曝する自然放射線量が160ミリシーベルトとされています。上記の100ミリシーベルト以上という被曝量は自然放射線量に生涯に亘って追加される分のことです。従って、この度の原発事故により、追加される新たな被曝が問題になります。


 もし、今回の改正基準で食べ物による年間内部被曝線量1ミリシーベルト以内に押さえられたとしても、これに外部被曝線量を加算しなければなりません。宮城県内の時間当たりの
空間線量(空間線量率)は県南で0.3マイクロシーベルト/h(μSv/h)、山沿いで0.2、平野部で0.1位となっています(2011年10月初旬)。これを年間被曝線量に換算しますと、

 山沿い;0.2μSv/h×24時間×365日=1752μSv=1.752mSv
 
 同様に県南2.628、平野部
0.876


  となります。従って、新基準となっても宮城県内で生活すれば、年間総被曝線量は最大で3.628ミリシーベルトと見積もれます。発癌との相関が出始める生涯追加被曝線量100ミリシーベルトは単純に計算すれば、100÷3.628=27.56年、つまり約28年で超えてしまうことになります。


 ただ、よく考えれば、日頃、私たちが食べる食品が全て汚染されているはずもなく、食糧自給率が約40%(カロリーベース)の日本では外国産の食材や食品が多くを占めることになり、年間1ミリシーベルトに達するはずがありません。

 さらに、空間線量も屋内にいる時や乗り物で移動している時間なども考慮すると半数以下になるはずで、しかも、セシウム137は半減期が30年であり、日に日に空間線量は減っていくはずです。複雑なので計算はしませんが、ざっと見積もっても生涯追加被曝線量が100ミリシーベルトを超えるのは新生児でも平均寿命以上になるものと推定されます。




 では、警戒区域も設定されている福島県はどうなっているのでしょう。
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 国・自治体による高さ1m・0.5m計測を中心とした放射線量マップを見ますと、原発から北西の飯館村にかけては20~40μSv/hとなっており、これを年間に換算しますと、なんと、176~350ミリシーベルトとなり生涯追加被曝線量100ミリシーベルトを軽く超えています。このような地域は概ね警戒区域となり立ち入り禁止措置が講じられていますが、計画的避難区域にもその範囲は及んでいます。


 計画的避難区域は国として避難を求めていますが、拒否したり一時帰宅しても罰則はありません。なんだか、そんな悠長なことでは済まされないように思われます。過日、再放送されたNHKの『汚された大地で ~チェルノブイリ20年後の真実~』やベラルーシ共和国のバンダジェフスキー博士がチェルノブイリ原発事故における人体への影響を調べた『
人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響』(茨城大学名誉教授久保田護氏による翻訳の内容要約)などによりますと原発事故後、癌患者や心臓病患者が増加していることが報告されています。
    

 チェルノブイリ原発事故は福島と同じ最悪のレベル7ですが、国の試算では早い段階で福島の放射性物質の放出量はチェルノブイリ1/10と推定されています。ですが、その後も何度かの放出があり、現在までに一体どのようになっているのでしょうか。チェルノブイリでの強制移住区域は土壌のセシウム137148万ベクレル/㎡以上ですが、福島県内の
土壌汚染マップを見る限り、これを超える地点が警戒区域の中はもちろん、外にも存在します。 




 ただちに健康に影響を与えるものではない。。。よく聞いた言葉ですが、裏返せば時間とともに健康被害が出るということです。チェルノブイリと同程度の放射能汚染に曝された子供たちが心配です。このような中で、東北大の川島隆太先生プレゼン資料は大変わかりやすく不安を解消してくれます。文章をお借りますと、


 現在、40歳代後半から50歳代の全世界の人々は、大気圏内核実験による放射能汚染により、放射線感受性が高い乳幼児~小児期の長期間に、セシウムストロンチウムに汚染された空気を吸い、水を飲み、野菜や魚や肉を食べて成長したのに、この世代の発癌確率が高いことを示すデータは存在しない。  
 
 現状(事故後)での環境被曝や食べ物による内部被爆を合わせた影響はタバコアルコール排気ガス等の環境汚染による発癌の影響よりも圧倒的に低く、コーヒー携帯電話の電磁波などによる発癌の影響と同じ。
 



 というものです。さらに、
気象研究所も1950~1960年代には米ソ、イギリスが大気圏内で核実験を行っており、東京では放射性物質を現在の10万倍浴びていたとも報告(図示)をしています。ですが、よく図を見ますと、福島原発事故直後100万~1000万倍に跳ね上がっています。余談ながら、私は1960年頃に東京で幼児期を過ごしておりますが、今のところ癌は見つかっておりません。でも同じく育った妻は一昨年、甲状腺癌の摘出手術を行いました。



 冒頭でも漏らしましたように、ハッキリ言って何を信じてよいのかわからなくなります。こちらをご覧の皆様には記事中でリンクを張った各サイトを是非ご一読なされ、ご自分が信じられる方向を探して頂きたいと思います。人体に関する問題は長期的なモニタリングが必要ですが、現在、福島の陸上だけではなく、海や魚貝類も汚染され、漁業が出来なくなっている現状をまずは真摯に受け止める必要があります。チェルノブイリを先例とすれば、警戒区域はこの後、20年は人が住むことができないでしょう。その周辺では漁業農業畜産業も消失してしまうのです。快適な原子力エネルギー生活のツケはあまりに大きなものでした。今日は改めて、東日本大震災の遺惨の大きさを考えさせられる1周年となりました。


2012/03/11(日) 14:48 | trackback(0) | comment(4)

メカブの芯であれこれ(後編)

カテゴリー: 料理:海藻

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 メカブ
フルーツのスリーショット、こんな光景は日頃、見ることはないでしょうね。^^ 前編前記事)で知り合いのワカメ養殖業者の方よりメカブの芯の料理法を開発するように頼まれて、悪戦苦闘している状況をお伝えしました。硬くて渋くて通常捨てる部分を何とかしろと言うのですから難問です。よく下茹でしてから塩麹に和えて寝かせたものは美味しかったのですが、佃煮しますと元の硬さに戻ってしまうことがわかりました。コウジカビの何らかの酵素が利いたのかも知れません。酵素と言えばフルーツ酵素の宝庫です。そこで、今回の実験になったわけです。





 メカブの耳の部分(成実葉)を切り離しますと硬い芯が残ります。これを何とかして食べるのです。
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 前編のように一旦下茹でしますが、約20分でまだ少し硬いくらい、30分も茹でますと柔らかくはなるのですが、食感が悪くなります。ですので、茎若布の食感を残しつつ、料理する必要があります。





 今回はフルーツの中でも肉を柔らかくする時に効果を発揮するパイナップルキウイフルーツを使います。本当はパパイン酵素を含むパパイアが有望なんですが、日頃手に入れ難いですしね。
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 生のパイナップルにはブロメライン、キウイフルーツにはアクチニジンという酵素が含まれて、ともに硬い肉の前処理に使われます。ただ、ワカメのような海藻に有効かどうかはまだ試したことがありません。





 まず、それぞれのピュレーを作ります。こういう時に役立つのがハンディーミキサー。少量でも処理できるのでとても便利です。
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 どちらも美味しそうですね。このまま、ヨーグルトに入れたり、シャーベットにしたくなります。^^





 茹で上げたメカブの芯を薄切りにし、3つに区分してパインキウイを混ぜた区と何もしない区(対照区)を用意しました。
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 それぞれをラップで覆い、1日冷蔵庫で寝かせます。その後、対照区(無処理)の芯と食べ比べて判定しようという企てです。メカブの芯を前回より強火で茹でたら、一皮むけて白くなりました。^^


  
  そして、1日後。。。


 
 パインキウイのピュレーに和えたメカブ芯を元の状態のものと食べ比べます。
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  ピュレーが判定に影響しそうなので、よく洗っています。手前の皿の右がキウイ漬け、左がパイン漬けです。奥の無処理と比べるとどちらも白濁して透明感がなくなっています。早速、食べ比べてみましたが、キウイ漬けは効果なし。しかし、


 パイナップルはメカブの芯を柔らかくする


 ことが判明しました。パインに含まれるブロメラインが作用したのか、それとも他の成分によるものかよくわかりませんが、パインのピュレーはメカブの芯の軟化にも効果がありました。ただ、ブロメラインの作用だとすると加熱した缶詰のパインでは駄目でしょう。この酵素は熱に弱いのです。生パイナップルも安くなり、今回使ったパインも丸々1個で200円もしませんでしたので、是非、生パインをお使い下さい。





 さて、この効果をどう料理に応用するか。ピュレーに醤油や塩を入れただけでは物足りなさそうです。そこで前編同様、塩麹の登場です。
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 両者を混合すると酵素の働きにどう影響が出るかわからないので、最初にパイナップルのピュレーで和えて寝かし、後から塩麹を調味料として加えることにします。塩麹の複雑で奥の深い味に助けてもらいます。





 試行錯誤で完成したメカブ芯の塩麹和えパイン風味です。
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 塩麹
の甘塩っぱい味にパインの酸味が加わり、乙な味わいです。お通しにさっと出したら、きっと話題に花が咲くでしょう。





 もちろん、メカブの耳(成実葉)も有難く頂きます。今回は簡単に湯がいてダシ醤油をかけ、長葱の細々を盛っただけです。
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 メカブ
もとろろまでに細かくせず、食感も楽しめる大きさに切っています。酒の肴にも丁度いい。^^




 大震災の津波でワカメ養殖は壊滅的な被害を受けましたが、ワカメを生産する他県の支援や国の災害復興予算で急速に回復しつつあります。震災直後には、まさかここまで復旧するとは想像も出来ませんでした。なにせ、養殖筏や船も、何もかもがなくなったのですから。浜では震災後の初収穫も順調に続いており、先月末にはボイル塩蔵ワカメの初入札も行われました。ワカメ養殖はカキやホタテより低コストかつ短期間で収入が得られるので、養殖復興のエースなのです。今回は震災前にワカメ養殖をやっていない方々も参入して協力しながら生産しています。今年はまだ量も少ないので少し高めですが、お店で宮城県産ワカメを見かけましたら、復興支援のお心で買って頂けると助かります。m(..)m

2012/03/07(水) 05:00 | trackback(0) | comment(6)

メカブの芯であれこれ(前編)

カテゴリー: 料理:海藻

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 気仙沼から戻ってみますと、雛人形が飾られていました。我が家のはささやかな一段飾り、パッと出せてサッと片付けられるのがメリットです。^^ 一昨年、が東京の大学に進学してから、初めて雛人形が光を浴びます。昨年は妻が介護で里帰り中でもあり、独り暮らしの私はこれの存在すらも忘れていましたし。そして、雛祭りの翌週にあんなことが起ころうとは全く予期せぬことでした。





 さて、今日の話題ですが、これです。旬のメカブですね。でも、メカブ料理ではありません。
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 ワカメ養殖も生産者の方々の懸命の努力で1年のブランクもなく、水揚げを迎えています。知り合いのワカメ養殖業者の方から、初物だから食べろと頂きました。ただし、宿題が言い渡されました。




 ワカメの葉っぱ部分の中芯である茎ワカメは柔らかくて様々な料理や加工品に使われますが、根元のメカブの芯は通常、硬くて食べません。これを何とかしろというのです。
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 勿体ないが口癖の私でもさすがにこの部分は捨てていました。以前も食べようとトライしたことはありますが、硬いし渋いし、ハッキリ言って不味いのです。でも、メカブを加工する際にこの芯が大量に捨てられるそうです。




 硬さを和らげるには徹底的に加熱するか、酵素の力を借りてメカブのの組織を破壊するのが良さそうです。実験ですから量は少なめで試してみます。
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 思い付いたのが、塩麹の麹黴が作り出す酵素です。アミラーゼやプロテアーゼの他にワカメの芯を分解する何かの酵素も出していないかと期待したのです。もう一つは通常よりしつこく煮て、ピリ辛の佃煮にしてみようと思い立ちました。佃煮と言いますと黄ザラがよく使われますが、スッキリとさせたいので味醂の甘味に水飴を足して艶を出します。




 まずは下茹でですが、納得が行くまで茹で倒します。^^
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 大体20分茹でて齧ってみたらなんとか行けそうなので岡揚げしました。もう少し、茹でても良かったかなぁ。




 これは茹でたを薄切りにして人参塩麹に和えてみようとしているところです。塩麹を漬け床ではなく、和え衣として使います。
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 塩麹はかなり塩っぱいので多くは使えません。味を見ながら慎重に加えます。よく合えたら、2~3日は寝かせます。この間にの力でをさらに柔らかくしようという企みですから。塩麹にする前のがあれば、良かったのですが突然のリクエストで対応できませんでした。




 こちらは佃煮ですが、下茹でが長いという以外、通常と作り方はあまり変わりません。
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 メカブの芯を縦に半分に切ってから、さらに薄く切っていきます。この時点で齧ってみると。少し硬めですが、さらに煮詰めるので何とかなるでしょう。





 醤油、味醂、酒を等量合わせ、3倍の水で薄めます。水飴を小さじ1杯と鷹の爪少々加えた調味液で炊いていきます。
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 煮詰まって、艶が出てきたら出来上がりです。

 


 塩麹和えは狙い通りでした。残滓とされていたメカブの芯がちょっと洒落た珍味に変身です。
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 塩味が心配でしたが、人参や芯からも水分が出て丁度良いくらいに仕上がっています。和えた時点より心持ち芯も柔らかくなっているようです。これは胸を張って報告できるでしょう。






 こちらは佃煮ですが、逆に煮詰める前より硬くなったような気がします。
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そうか、塩分や糖分の浸透圧で芯の水分が抜けて硬くなってしまったようです。カリカリした佃煮なっています。歯が丈夫な人なら歯応えを楽しめるかも知れませんが、あまりお薦めできません。やはり、下茹でをさらに徹底して、薄切りにしてから柴漬け福神漬けにする方が良さそうです。






 もちろんメカブの方も美味しく頂きました。生ビンチョウの漬けと海かけ丼にいたしました。
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 擂った山芋をマグロをかければ山かけですが、メカブのとろろをかけるので海かけです。^^ メカブはさっと湯がいた後、包丁でトントコ刻んで粘りを出します。滑りやすいので要注意。ミキサーでも作れますが、少量ずつやらないと強烈な粘りでモーターに負担をかけます。メカブとろろには薄口醤油で軽く味を付けています。





 残滓とされているメカブの芯。かなり手ごわいですが、少し特性が見えてきました。下茹でを30分ぐらいして、繊維を断ち切るように薄切りにし、塩麹和え各種漬物にするのが良さそうです。佃煮では一旦柔らかくなった芯をまた硬くしてしまうことも判明しました。もしかすると、アクチニジンパパイン等のフルーツから抽出される酵素を使えば、柔らかくできるかも知れませんが、そこまでやったら、料理ではなく加工の範疇に入ってしまいますね。私はあくまで料理愛好家ですので、薬には手を出しません。^^ でも、キウイやパイナップルの果汁を使って実験してみる価値はありそうです。 で、後編に続きます。

2012/03/04(日) 05:00 | trackback(0) | comment(10)

気仙沼名産ふかひれスープで中華丼

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 このような具の入ったとろみをご飯にかけた料理を何と呼びますか? 私は東京にいた時は子供の頃から中華丼(どん)と呼んでおり、それ以外の名前があることも知りませんでした。ところが、宮城に来て中華飯(はん)と呼ぶ人がいるのを知って、とてつもない違和感を感じました。は何か気取った感じでしっくり来ないのです。でも、よく考えてみると、この料理は東京でも決してで供されることはないのですよ。


 中華丼 or 中華飯と呼ばれるこの料理、名古屋以西では中華飯がメジャーで、東京や横浜中華街では圧倒的に中華丼なのですが、宮城ではなぜか中華飯が存在するのです。関西で修業した料理人がみちのくに広めたのでしょうか。でも、この料理、当の中国にはないそうです。強いて訳せば什錦蓋飯(五目とろみ汁かけ飯)になるそうですが、このような料理の名称には中国ではが付くので中華飯の方が正統かなとも思い始めています。

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 ググってみると、中華丼が5,440,000件、中華飯が5,500,000件でほぼタイですね。ところが、あるアンケートによると中華丼が84%で圧倒的勝利なのです。もっとも全国均等に回答が得られたか不明ですが・・・。これと同じ現象が天津丼にも存在します。もちろん私は今でも天津丼と呼んでいますが、天津飯と呼ぶ地域もあります。ただ、天津飯に関しては名古屋出身の漫画家、鳥山明さんがドラゴンボールでテンシンハンというキャラクターを登場させたことにより、天津地域にも天津飯が広まっているようです。



 話題が大きく逸れました。本日は中華丼が話題ではなく、ふかひれスープなのです。上の中華丼風の料理は気仙沼名産のふかひれスープで作ったふかひれ丼(飯)なのです。





 気仙沼はサメの水揚げが日本一。石渡商店さんもふかひれ加工の老舗の一つでしたが、大川の川端にあった工場は津波で壊滅しました。
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 現在は全国からのファンドを募り、プレハブの仮設工場で操業しています。郊外に新工場を建設中で今年の7月には完成予定です。





 こちらが石渡商店さんの人気商品、ふかひれ濃縮スープです。がんばろう気仙沼のロゴ入りです。
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 200g入りのレトルトパックで840円。高いようにも感じますが、高級スープが3~4人前作れます。気仙沼市内のスーパーや物産店で購入できますし、石渡商店さんの通販サイトもあります。





 冒頭のように今日はこれでふかひれ中華丼を2人前作ります。味を壊さない具材としてタケノコキクラゲを足します。
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 この他に作り方の指示に従い、卵と胡麻油も用意ました。中華餡はスープより少し多めに作りますので、味ととろみの調整用に塩と片栗粉も待機させておきます。^^





 濃縮スープを500mlの水で伸ばし、煮立ったら具材を入れ、水溶き片栗粉を少々足して中華餡の濃度にします。
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 味の調整をして再度煮立ったら、よく溶いたを箸を使って細長くに垂らします。スープだとよく掻き回して、素早く垂らすと綺麗な糸状のかき玉になるのですが、中華餡は濃度が高いので回りません。そこで回すように細く垂らして塊が出来ないように注意します。仕上げに胡麻油で香りを足します。




 
 ではなく皿にご飯を盛り、特製ふかひれ餡をかけてふかひれ中華丼の完成です。天に畑の蕾菜を盛りました。
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 伝統のふかひれ文化は津波で流されることなく、しっかりと再生に向かっています。気仙沼復興の味ですね。





 具沢山の中華丼も嬉しいのですが、こっちはなにせふかひれスープがベースですからね。格が違います。^^
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 以前からふかひれスープを頂く時、これにご飯を入れて食べたいなと思っていました。そこから生まれたふかひれ中華丼です。





 副菜も中華で整えました。手を抜いて冷凍品の春巻きと鶏空揚げです。
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 添えは生フノリ入りのコールスロー(マヨ抜き)と青菜の浸し物です。





 気仙沼にはもう一軒、ふかひれスープを作っている会社があります。気仙沼ほてい(株)さんです。
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 ほていさんの会社は気仙沼湾の奥にありましたので、3つの工場がことごとく破壊されました。石渡さんと同じく仮設工場で生産を続けております(HP)。こちらのふかひれスープはスタンダードな中華味、さっぱり塩味の北京風、豆板醤の風味でピリッと辛い四川風の3種類があります。写真は四川風です。お値段はなんと税込315円です。安かろう不味かろうではなく、こちらの方が好きだというファンも多いのです。石渡さんの製品と成分表示の比較しますと、840円の石渡さんの方がビーフエキスやら野菜エキス等の旨味成分が多く使われていました。ただ、どちらもふかひれを発見するのに苦労が要りますけど。^^

 
 
 


 気仙沼の加工屋さんは実に逞しい。復興計画による土地利用が示される前に規制が掛かっていない地域に工場を再建したり、ファンドを立ち上げ自ら支援を求めたり、国の支援を待たずに復旧しています。現行法では民間企業を直接復旧支援する仕組みがなく、共同利用という形での支援が原則となります。大きな民間企業は多くの人を雇い、多くの関連企業も養っています。この復旧こそが地域の復興に必要なのですが、共同利用グループ化といったひねりが伴います。気仙沼のふかひれ文化も未曽有の災害を乗り越えて復旧しつつあります。両方の会社とも通販サイトがありますので、是非、ふかひれ製品をお求めになって、買い支えて頂きたいと思います。     m(..)m




 石渡商店       http://www.ishiwatashoten.co.jp/index.html

 気仙沼ほてい(株)  http://www.kesennumahotei.co.jp/

2012/03/01(木) 05:00 | trackback(0) | comment(4)