塩麹入り西京焼きと西京蒸し
カテゴリー: 料理:肉・卵・乳
冷蔵庫の野菜室を整理していますと、一番底からジップロックのコンテナーが発掘されました。こ、これは。。。大震災前に仕込んだ塩麹の残りではありませんか。その後のドタバタですっかり忘れていました。恐る恐る蓋を開けてみますと、上に茶色い水は溜まっていましたが、香りは麹そのもの。素晴らしい、1年も放っておいたのに、他の微生物の繁殖を抑え、麹黴ワールドを守り抜いたのです。大した奴です、ニホンコウジカビAspergillus oryzae は。異常がないので大切に使ってみます。
以前、西京漬けの床に塩麹を加えると、西京いや最強だと誰かに教わったことがありました。^^
そこで、西京味噌が近くで手に入らないので甘めで減塩の白味噌に塩麹を混ぜ込んで、ギンザケと豚ロースを漬けてみたいと思います。西京味噌は京都で造られる白味噌のことで、地域団体商標登録はされていないようですが、京都府味噌工業協同組合では品質管理のため厳しい基準を設けております。
宮城県の養殖ギンザケは津波で全部逃げ出しました。この時期ですと脱走ギンザケではなく、チリギンでしょう。
豚のロースは所々、包丁で叩き、筋の硬そうなところを断っておきます。
塩麹と白味噌は1:2位で混合し、柚子皮の擂り卸しを香り付けに加えました。
このようにストックバッグに薄く塩麹入り西京床を塗った食材を収容します。塩麹が入っていますので味噌が減塩でも塩分は強くなります。厚みにもよりますが、漬け込みは数時間で良いでしょう。
漬けっ放しだと塩辛くなりますので、すぐに食べない時はこのように味噌床を落としてラップにくるんで冷蔵保存します。こうやって、気仙沼に持って行きます。
味噌床も2~3回は使えますが、水っぽくなったら諦めて捨てましょう。味も変わってきますし。
気仙沼の部屋では焼き魚が出来ないので、フライパンで焼いていきます。
塩麹と白味噌の糖分で焦げやすいので注意しましょう。皮目もフライパンの縁に押し付けて、パリッとさせましょう。
良い具合に焦げ目が付きました。養殖ギンザケなので結構オイリー、自らの脂でカリッとソテー出来ました。
茹で蓮根の梅酢漬けも家から持って来ました。焼き魚は出来なくても雰囲気だけはそのつもりです。よく、蓮根の穴の周囲だけがやたらピンクの添え物を見かけますが、作り方を想像しますとゾッとします。
一方、豚ロースはちょっと時間がかかりますので、焦げ付き防止にクッキングシートを敷いてソテーします。
こうすると洗い物も楽になりますしね。
温野菜も添えて、独り淋しく頂きます。でも、酒を呑めばすぐ楽しくなります。 ^^
カリカリ焦げた所も美味しいですよね。シートを敷いても焦げ目は十分に付けられます。
こちらは自宅で作った塩麹入り西京味噌漬けチキンです。
鶏ももの骨ごとぶつ切りを数時間漬け込みました。
漬け込んだ鶏ももを白菜と一緒に柚子風味で蒸して行きます。
白菜の茎の部分は拍子木に切り、葉はざく切りにして下に敷き詰めます。鶏ももを並べて、柚子皮を3枚ほど散らします。
20分ほど強火で蒸し上げて、鶏の塩麹入り西京蒸しの完成です。
鶏には塩麹と白味噌の甘味が食わって、上品なハムのような味わい。白菜にも鶏の旨味が染み込んでまるで煮浸しのようで決して脇役とは言えません。
塩麹を白味噌と組み合わせるとにより、西京焼きとも塩麹焼きとも違う新しい味に出会えました。焼き物だけではなく蒸し物も絶品です。考えてみると、味噌も塩麹もコウジカビが使われた発酵食品、よく合うはずですね。米の甘味に大豆のアミノ酸が加わった塩麹味噌は日本ならではの最強の調味料と言えるのではないでしょうか。よく市販の塩麹には、甘味料やら酸化防止剤、はたまた旨味調味料まで使ってある物もあり、これでは自然食品の塩麹を使う意味がありません。麹さえ手に入れば簡単に作れ、この記事のように冷蔵庫で放置しても使えますので、塩麹は自分で作りましょうね。
作り方は簡単、米麹300gに塩100gをよく擦り混ぜ、水300~350mlでよく溶いて密閉容器に入れ、常温で10日ほど置き、麹が溶けてきたら使えます。その後は冷蔵庫で保存します。今回は1年物を使ってますが、保存中に異常を感じたら未練なく捨てて下さい。それと、米麹にも色々あります。信頼できる麹屋さんでは、ちゃんとした食用米に麹黴を植え付けますが、いい加減な米麹は屑米を使っていますので、ご注意を。