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【塩竈市】まぐろ丼で今年を振り返る

カテゴリー: 外食:丼・オーバーライス

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 今年もあと僅かとなりました。大震災直後には様々な方々より支援物資や励ましのメッセージを頂戴いたしました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。年が変わったらあの大震災が実は夢でした。。。とは参りません。今後も復旧復興への弛まぬ努力が必要です。

 
 上の写真は暗い雲が覆っていてちょっと憂鬱な塩釜港ですが、鏡のように波静かで船ものんびりと浮いています。でも、よく見ますと対岸には空き地が目立ちます。いま私は塩釜港の最奥部にありますザ・ビッグ塩釜店(旧マックスバリュ塩釜店)の屋上から海を見下ろしています。塩釜港は島々に囲まれた松島湾の中にあり、外海に面した地域より津波の被害は少なかったとされています。しかし、震災直後の海岸通りには、船と車が入り混じって散乱しており、まるで映画の一シーンでも見ているようでした。発災から9カ月半が経過し、現在、どのようになったでしょう。



 
 
 youtubeにアップされている塩釜に押し寄せた津波の映像をお借りして、現在と比較します。上はタイトル「東北地方太平洋沖地震 津波 塩竈港」の一コマです。
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この動画は逃げ遅れたワンボックスカーが流されていくシーンもあり、かなりショッキングでした。現在は道路もすっかり元通りになってますが、遊歩道のあった公園にはまだ爪痕が見られます。ところで、この白いフェンスは震災前と変わっていないと思いますが、背丈ほどあり、基礎に足をかけて手を伸ばして撮影しても下のようにしかなりません。上の映像ではかなりフェンスから飛び出しており、この方はフェンスを乗り越えて撮影したのでしょうか。

 



 こちらは、定期船の発着ターミナルであるマリンゲート塩釜の外階段から内陸部を撮ったもので、タイトル「大地震!塩釜マリンゲート3階より、車が流されてる・・」との比較です。
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駐車場の車が次々と道路の奥に流されて行きます。この道路の突き当たりは公園になっているのですが、震災直後、たくさんの車が重なり合っていました。道路も駐車場も綺麗に復元されましたが、この周辺には被災の激しかった倉庫や家屋がまだ見られました。

 



 マリンゲートの1階部分はショッピングゾーンでしたが、津波で浸水し、まだ完全復旧されていません。
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 テナントの皆様は待合いスペースに仮設店舗を設置して復興市として営業を再開しています。カニやカキ、鯨にホヤの塩辛なんかが美味しそうでした。



 
 2階の飲食店は今月から金・土・日・祝日に限り夜間(~21:00)も営業を再開したそうです。
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 上はイタリア料理のプレア・マリーナさん、下はすしやの山考さんです。夜も営業開始ということは、呑みに来れるということですね。^^





 マリンゲートから本塩釜駅に向かう途中の駐車場には被災したお店の方々が仮設店舗で営業しています。
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 中小企業基盤整備機構が建設した仮設店舗「しおがま・みなと復興市場」です。全部で20区画、鮮魚店が主体ですね。
 

 


 塩竈から45号線を少し松島方面に走ったところにある越ノ浦の直売所の方々もこちらで頑張っていました。
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 越ノ浦では船が45号線も越えて、JR仙石線の軌道にまで打ち上げられていました。当然、4軒あった直売所も大破しました。 





 さらに歩いて、ホテルグランドパレス塩竈の向かいにありますプチパレビル1階の塩竈まぐろ直売・食堂さんに向かいます。グランドパレスの向かいのプチパレ。^^
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 近海生まぐろを専門に販売されているヤマコ武田商店さんが3年前(2008年4月)にオープンさせたまぐろ専門店です。やはり、浸水によってしばらくお店も閉じたままでした。


 

 数種類のまぐろ丼がありますが、一番人気は生まぐろの中落ち(剥き身)が乗ったまぐろ丼です。
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 お値段も680円とリーズナブル。


 
 
 こちらが生まぐろのまぐろ丼です。この時期ですとひがしもの(メバチマグロ)でしょう。
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 吸い物もアラではなくマグロの切り身が使われてます。



 
 剥き身もたっぷり乗ってまぐろ好きには堪らない丼です。
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 剥き身と雖も生まぐろですからね。肉に透明感と艶があります。


 
 
 実は今日の私は漬けの炙りも乗った二色丼にしてみました。
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 お値段は100円アップになりますが、味の変化が楽しめます。


 

 
 お約束の周囲鑑賞です。と言いましても裏と表だけですけど。
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 剥き身の丼だけを食べ続けますと途中で味の変化が欲しくなる時がありますが、そんな欲求を満たしてくれる二色丼です。




 
 塩竈も沿岸部のお店はかなり被災が激しく、このまぐろ直売・食堂さんのように元の場所で元気に営業再開したお店はあまり多くはありません。本塩釜駅付近のシャッター街もさらにシャッターが増えたように見えます。ただでさえ経営が苦しかった上に地震や津波による店舗の損壊は致命傷になった可能性もあります。


 塩竈には離島、船の発着場、寿司、生マグロ、酒蔵、鹽竈神社といった人を集める資源に恵まれています。これらをトータルにコーディネートした街作りが必要なんでしょうね。それも上から目線ではなく、観光者、旅行者の目線でのニーズを把握することが重要です。中途半端な水族館を造るより駅から歩いて行ける場所に仲卸市場を移転させるのも活性化に効果があるかも知れません。青森の古川市場のようにのっけ丼のシステムも旅行者にとっては嬉しいものです。




 みなさま、今年もお世話になりました。よいお年をお迎え下さい。我が家は義父と愛犬を亡くしましたし、大震災の年でもあるので正月は慎ましく過ごさせて頂きます。 


 
 
 


 塩竈まぐろ直売・食堂 http://shiogamaguro.jp/restaurant.html#mu01



・所在地  :塩竈市海岸通4-1 プチパレビル1階
・電 話    :022-366-8968
・営業時間  :11:00~19:00(平日~16:00)
・定休日    :年中無休
・駐車場    :なし

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2011/12/30(金) 05:00 | trackback(0) | comment(6)

【気仙沼市】復興屋台村 気仙沼横丁

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

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 気仙沼
で過ごす休日に安波山から望む気仙沼湾は実に穏やかに煌めいております。今年は日本の歴史において、また、私の人生においても忘れることのできない年となりました。あれから、9カ月が過ぎ、あのような悪夢があったことを忘れている時間も多くなりました。被災地で働いていてもそうですから、被災のなかった地域の方々にはもう過去の出来事となりつつあるのかも知れません。



 でも、2万人近い尊いを瞬時に失うという歴史的な惨事に遭遇した私たちは、この悲劇を繰り返さないためにも次の世代、また次の世代へと語り継いで行かねばなりません。それと大震災の後に何が使えて何が役に立たなかったか、さらに何を備蓄しておくべだったか、喉元過ぎても熱さを忘れないようにしましょう。何百年に亘り、言い伝えを忠実に継承した神社仏閣は沿岸部でも被災を逃れている所が多く見られます。産業活動を考えますと沿岸の平地が便利ですが、住居は高台に置くべき事を示唆しています。



 さて、この大震災の年が過ぎゆく前に現在の気仙沼の状況を記録しておきたいと思います。9カ月が過ぎてここまで片付いたと見るか、9カ月で出来ることはこれだけかと見るか、評価は様々あると思いますが、現実を記録しておくことは、今後、いつどこで起こるとも知れない大震災の復旧に資するものと考えます。




 

 これは安波山の登り口に近い気仙沼の鹿折地区です。最も湾奥にあるこの地区は、大型漁船がいくつも陸地に乗り上げました。
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 津波で破壊された燃料タンクの油に火が付き、陸上にも類焼した地域です。3月11日の夜には自衛隊のヘリからの中継が流れました。現在もまだ、大きな船が被災した住宅の横に取り残されています。





 ここは大島へ渡るフェリーの発着所、エースポートの角となる魚町の交差点です。後方のレトロな建物は酒造メーカーの男山本店さん。写真左上の絵は被災前の本店です。 
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 資材不足のためか、交通量が多いにもかかわらず、未だに信号は復旧しておらず、全国から派遣された警察官が手信号で捌いています。男山本店さんは歴史的な建造物ですが、津波で1階と2階の部分が潰れて3階部分だけがそのまま残りました。幸い酒蔵は海岸より200mほど離れており浸水しなかったので、銘酒伏見男山は今も生産が続けられています。写真中の絵は男山本店さんのHPより引用させて頂きました。 




 

 エースポート前の道路はこのように70cmほど嵩上げられました。
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 しかし、側溝を通じて満潮時には海水が入ってきて道路以外は海になります。嵩上げ道路以外の所へ行くためには潮が引くまで待つしかありません。




 
  エースポート背後の南町周辺ですが、かなり空き地が目立つようになりました。
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 倒壊した店舗もまだ全部撤去されず、震災直後の痛々しい姿が所々で見られます。


 




 南町交番の所までやってきました。前方に紅白の幟旗がいくつも見えますね。
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 いっぱい車も集っています。被災した地域に何やら元気なオーラを感じます。


 
 
 ここは去る11月26日にグランドオープンいたしました復興屋台村気仙沼横丁です。
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 プレハブの横丁風屋台村です。私が拙い文章で説明するより、公式サイトの宣伝文を引用しましょう。
 
      3.11で店を失った店主たち。店はない、包丁すら流された。
    でも「腕」はある。

    そんな店主たちが、再起をかけて挑む屋台村での奮闘。
    思うように調理器具も揃わないけれど、それでも「おもてなし」
    の心と、港の味は健在。

 



 それでは、ご案内しましょう。赤提灯が連なる夜の街の雰囲気ですが、ランチタイムにも営業しているお店も多いのです。
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 ラーメンや手打ちうどん、寿司に韓国料理まであります。16の屋台風飲食店(3店準備中)に6つの水産物・農産物販売店で構成されます。



 
 まぐろ中落ち丼800円に惹かれてこのお店に吸い込まれます。
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 元マグロ漁船の料理長だった菊池さんが腕を振るいます。夜の部ではマグロの漁師料理やマグロ漁船ならではの珍味で酒が呑めるそうです。



 
 店に入りますと思いっきり居酒屋でした。^^
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 と、いきなり先客が「おーい、お客さんだよ~」。。。えっ! どうやら、漁師仲間のたまり場にもなっているようです。すぐに奥さんが出てきて、「今朝は寒かったねぇ~」。まるで常連さんのように扱ってくれました。



 

 もちろんお目当てはまぐろ中落ち丼です。
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 味噌汁と香の物も付いてます。他のお客様も大体こちらを頼まれているようですね。



 
 あれ、、、ずいぶん白っぽい剥き身ですねぇ。これがマグロだとしたら、ビンチョウかキハダか。
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 ところがどっこい、脂も適度に乗って、肉質もぷりんとした硬さがあります。なんだろう、食べたとことのない剥き身です。



 
 醤油を垂らしながら食べ進みますが、この剥き身の謎が深まります。
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 ご飯は酢飯ではなく普通の白飯ですが、この大量の剥き身には白飯の方が合っています。それにしてもこの歯応えの正体は何だろう。帰り際に奥さんに、「あのぉ、今日の中落ちはビンチョウでしょうか?」と尋ねると、奥さんもわからなく、親方が「メカだ。」と一言。


 な~るほど、頭の中にメカ、すなわちメカジキの剥き身という想定が全くなかったです。ですから、あの強い食感と脂が同居したのですね。いやはや、確かに世間では、カジキのことをカジキマグロとも言いますよね。意表を突かれた美味しさでした。^^




 

 どーしても、この横丁の夜を知りたくて、寒空を眺めつつ3Kmほど歩いてきました。要するにここで呑んでみたいということですね。^^
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 夜は周りの悲惨な光景が闇に隠れて、お祭りのような華やぎを感じます。



 
 まさに呑兵衛横丁の雰囲気を演出してますね。
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 赤提灯にすぐ反応してしまうのが、呑兵衛の性ですね。^^ でも、実にありがたい。この横丁がなかったら、単なる被災した空き地だったわけですから。
 


 

 
 どのお店も魅力的で迷ってしまいます。今日はご当地グルメの気仙沼ホルモンワインが楽しめる狼煙(のろし)さんに入ってみます。
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 他にも暖簾をくぐりたいお店がたくさんあるのですが、一人で梯子していると無事に帰れなくなる危険性がありますので、お店選びも慎重になります。^^



 
 どちらのお店も店内の造りはパターンが決まっているのですが、装飾は経営者が工夫を凝らします。
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 こちらはテーブルとカウンターにコンロを乗せて、洒落た焼肉屋さんの装備ですね。



 
 壁には気仙沼ホルモンの宣伝が。カラフルな味わいが魅力とか。
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 そういえば、震災後に気仙沼に来てから気仙沼ホルモンを食べていませんでした。気仙沼ホルモンは味噌で下味を付けた数種の内臓を焼いてキャベツと一緒に食べるのが特徴です。



 

 白モツだけではなくレバーや他の内臓も混ぜられています。一人前たったの450円。
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 こちらのマスターである小山さんは岩手県の有名なステーキチェーン店で働いていました。震災前から気仙沼に住み、岩手県のお店に通っていたそうですが、地元の復興のためにこの屋台村に参加したそうです。肉の仕入れやホルモンの処理は身に付いていますので、すんなり開業できたようですが、この仮設店舗の後のことはまだ考えていないと仰ってました。


 

 加熱具合が部位により異なるので、焼け具合を見極めながら食べて行きます。
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 ホルモンには味が付いていますので焼けたらそのまま食べられます。キャベツの千切りにちょいとソースをかけて、焼けたホルモンと一緒に食べるのが気仙沼流らしいのですが、ソースなしでも十分に美味しいですよ。


 

 ワインはお奨めのMISIONES D RENGO (ミシオネス・デ・レンゴ)。最近、チリでめきめきと頭角を表してきたワイナリーですね。
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 ミシオネス
は、高い品質の割にリーズナブルな価格なので、今後、日本でも人気が出るでしょう。エチケットのデザインも斬新です。これはメルローですが、スッキリしていてホルモンの後を追うのにぴったりです。

 


 もう一皿、豚バラ肉550円を塩胡椒で頂きます。
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 中高年には危険な食べ物ですが、万遍なく広く食べるのが長生きの秘訣とか。もちろん、腹8分目ですが・・・。肉のアラキドン酸は、至福物質を作るのでしばし、幸せになれますし。こちらでは門崎丑という銘柄牛も頂けます。小山さんが以前に働いていたお店の看板商品ですね。


 

 ここで、ハイボールに切り替えて、バラ肉を楽しみます。
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 脂身がコリッと締まって、甘さを感じます。きっと、どこかの銘柄豚なのでしょう。教えて頂いたような気もしますが、失念しました。^^ ホルモンや焼き肉をランチにも食べたいとのリクエストが多いのですが、仕入れからホルモンの前処理までをすべて一人でやっているため、とてもランチまでやっているゆとりがないそうです。




 

 横丁の中央は中庭のような広場になっていて、この季節、電飾ツリーがそびえます。
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 どのお店も18時を過ぎる頃より混雑してきました。それと、驚いたのですが、他のお店からも気仙沼ホルモンのオーダーが入りました。お店間で献立のやりとりもあるようです。こういうのって、横丁ならではの連携プレーですね。


 

 昼間はこの横丁の周辺も津波の爪痕が目立ちますが、夜になりますと別世界です。被災地域の中にポッとがともったようで心が温まります。是非、復興支援を兼ねて気仙沼の味覚を楽しみにいらして下さい。呑むためには宿が必要になります。ですが、現在は復興支援の方々が全国から集まり、予約が難しくなっています。取れないわけではありませんので気長に探してみて下さい。ランチタイムであれば、駐車場もありますのでドライブがてらにどうでしょう。
 

 


 復興屋台村気仙沼横丁事務局  http://www.fukko-yatai.com/


・所在地  :宮城県気仙沼市南町4丁目2-19
・電 話  :080-1692-8000

 


 大漁丸


・電 話  :090-2888-2011、090-7562-3515
・営業時間 :11:30~14:00/17:00~22:00
・定休日  :年中無休



 狼煙(のろし)


・電 話  :非公開
・営業時間 :17:00~23:00
・定休日  :水曜

2011/12/28(水) 05:00 | trackback(0) | comment(10)

【北海道函館市】イザベラ・バードも訪れた街(5/5)

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 函館
の旅も今日でお終い、午前中には出発して気仙沼へと帰ります。その前に朝の函館を散歩します。どんよりとして寒々とした天気ですが、函館山も見納めです。函館山は元々、島で漂着した砂により砂州でつながったのでしょう。イザベラ・バードも明治11年にこの地を訪れていますが、海辺は貧しい漁村で、西洋人の住む住宅は坂の上にあったとしていますので、函館山の麓に洋館や教会が建てられていたのでしょう。神戸や横浜でも西洋人は好んで高台や山麓に家を建てていました。坂道の不便さより眺めを重視したのでしょう。それとも、津波の恐怖を知っていたのでしょうか。



 ここ函館でも今回の東日本大震災による津波が押し寄せており、一部が海水に浸ったそうです。津波は震源に近い砂州の東側ではなく、西側(函館山から見下ろした時の左側)のベイエリアを襲っています。今まで紹介してきました金森赤レンガ倉庫群函館朝市が冠水しました。こちら側の地盤が低いためでしょうか。


 

 この船はかつての青函航路に就航していたJRの連絡船、摩周丸です。
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2代目の摩周丸が現在、博物館船となって係留しています。現役時代は鉄道の貨車を一度に48両も積んだそうです。


 


 さて、帰りもまた トノサマバッタのような789系スーパー白鳥に乗り込みます。hakodate5-3.jpg
 
函館と新青森を2時間ちょいで一日8往復しています。


 
 


 青函トンネルに入り、景色も見えなくなりましたので、お昼ご飯にいたします。
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函館夜景物語という海鮮五目ちらし寿しです。五稜郭の食事処四季海鮮旬花さんの商品です。値段は失念してしまいましたが、1000円以下だったと思います。謳い文句は、百万ドルの夜景と呼ばれる函館の夜景を金箔と海鮮で表現。。。だそうです。


 


 うわぁ、これは美しい。本当に金箔が散りばめられています。彦摩呂っぽいですが、夜景というより万華鏡ではないでしょうか。^^
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 赤系統
のカニ足、エビ、イクラ、酢蓮、黄色の錦糸卵と賽の目の厚焼き、白いイカが全体を三つに仕切り、金箔が豪華絢爛さを醸し出します。これは眺めているだけでも楽しめますね。食べ始めると様々な味が次から次へと口の中に現れて実に華やかでした。こんな煌びやかな弁当を海面下240mで食べているのもまた、不思議な感覚です。



 

 続きまして、これらは函館で買ってきたお土産です。
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 甘いものは細君も控え気味なので職場用。一番下にある黒い恋人、完全に石屋製菓さんの白い恋人のパロディーですね。そう言えば、吉本興業が販売していた面白い恋人というお菓子(ゴーフレット)については商標権の侵害として訴訟を起こしてましたよね。面白い恋人だってパロディーじゃないでしょうか。そもそも、白い恋人だってフランスのグルノーブルで行われた第10回冬季オリンピックの記録映画白い恋人たちから頂いたのでしょ。大阪人のパロディーに目くじら立てていたら、中国や韓国に行けませんよ。^^

 


 私が気に入ったのは、イカ徳利とイカにチーズを詰めた珍味。
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 イカ徳利は古くからありますが、これでお酒を呑むのは初めてかも。函館を思い出しながら味わいましょう。


 

 イカ徳利には高めの熱燗を入れて、イカの旨味を十分に酒に移します。
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 ちょっと、ぷ~んとスルメの香りが立ち昇りますが、出汁の利いた熱燗は格別ですね。ふやけた徳利とお猪口はさっと炙って頂きました。



 
 これはチーズいかという商品です。ベタなネーミングですが、なかなかどうして、今までにない味わいです。
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 のしイカとチーズフードを組み合わせた珍味はよくありますが、小型のスルメイカをしっとりとさせたままチーズを鋳込んだものは初めて見ました。チーズフードも美味いと思ったら、カマンベールチーズも加えていました。カップ酒の友の珍味というより、オードブルにも使えそうな品格もあります。
 



 駆け足のように過ぎ去った函館での3日間、仕事の合間でしたが、様々な味覚を体験できました。今回で函館は3回目となりますが、今までは旅の途中に立ち寄っただけで1日以内のステイでした。イザベラ・バードが立ち寄った明治11年、函館も西洋人がかなり滞在しており、宣教の他に農業や土木の技術指導でも多数の外国人が招へいされています。従って北海道も少しずつ西洋化が始まっていた時代ですが、でもそれは函館札幌周辺でのことだったようです。室蘭を経て、白老、苫小牧と進むにつれて、寒村とアイヌの集落が混在し、鵜川を渡り、平取に到達しますとアイヌ民族の世界が残されていました。




 しばらくアイヌの集落に滞在して親しくなった彼女アイヌが新政府には内緒でと、彼らの大切な場所に案内します。それは、なんと源義経を祀った神社だったのです。義経アイヌに優しかったという理由で大切にしているとのこと。彼女に詳しい説明はなかったようですが、実はこの神社を建てたのは寛政10(1798)年、幕府の命を受け蝦夷地の探検にやって来た近藤重蔵という侍だそうです。衣川で敗れた義経は実は死んではおらず、蝦夷地から大陸に渡って成吉思汗(ジンギス・カン)になったという伝説(現在では否定的)もありますが、義経神社の建立は幕府の蝦夷地進出に当たってのアイヌ民族懐柔策の一つであったとされています。



2011/12/26(月) 05:00 | trackback(0) | comment(4)

【北海道函館市】イザベラ・バードも訪れた街(4/5)

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

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 函館
二日目の夜です。今日の仕事は満足いく出来でした。こちらの趣旨も伝わったようです。なにせ、この日のために2カ月くらいかけて着々と準備してきましたから・・・。そんなわけで、今宵は自分にご褒美です。たった一人のご苦労さん会をウニ料理専門店でしめやかに執り行いたいと思います。^^




 こちらのお店はうにむらかみさんと申しまして、函館朝市裏側の寂しい所にあります。
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 ですが、ウニ専門の加工会社直営店とのことで、ミョウバンを使わない無添加エゾバフンウニが目玉商品です。




 サッポロクラッシックでまずは疲れた喉を湿らします。
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 突出しはカニの卵とじでした。店内は明るく、2つのボックス席、広めの小上がり席にホールのテーブル席。カウンター席はないようです。こういう座席構成の場合、一人客はつらいのですよ。まだ、時間が早いのでテーブル席を独りで陣取りました。

 
 席についてびっくり。ホールの片側は全面ガラスの扉になっていて、道路が丸見えです。歩いている人も良く見えます。歩いている人からもよく見えます。夏だったら開けっぴろげでイタリアのトラットリアみたいな感じになるのでしょうか。冒頭の写真をよく見ると、店の横も道路で車も止まってますね。ちょっと大衆的で安心しましたけど。^^




 これはうに醤油漬525円。持ち帰りもできますよとのこと。
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 札幌に本社があるウニ加工会社の直営店ですので、剥きウニを含めて、ウニ加工品は一括して工場で作られているのかも知れません。



  
 これには日本酒以外を合わせるのは無粋ですね。そこで、千歳鶴の生酒、札幌の地酒ですね。
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 うにの醤油漬けをひと舐めして、生酒をグビリ。まさに呑兵衛冥利に尽きるひと時です。ウニは醤油の塩味と相まってさらに甘味が強調されるようです。




 続いて、こちらの名物、うにグラタン680円です。
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 こちらはキタムラサキウニを使っていますね。




 ウニはトッピングだけでなく、中からもどんどん掘り出されます。
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 濃厚なベシャメルに濃厚なウニの味が合わさって、1+1が2以上の味わいとなってます。




 そして、仕上げはこれ。うに丼のS(スモール)1680円です。
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 フノリの味噌汁と香の物が付きます。専用醤油を垂らしながら頂きます。
  




 この見事に並んだ王冠のようなエゾバフンウニ。しかも、ミョウバンを使わない無添加です。
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 キタムラサキウニより小粒ですが、色がオレンジに近く、味も濃厚です。不味いはずがありません。語るだけ野暮ですので、どうぞ、じっくり眺めて食欲中枢を刺激して下さい。^^





 早いもので、明日には函館から宮城に戻ります。最後の晩はこの時とばかりにミョウバンレスのエゾバフンウニを堪能いたしました。宮城ではもっぱらキタムラサキウニしか漁獲されませんし、津波の影響でウニの減っている水域もあるようですので。ウニは地中海沿岸のヨーロッパや南米でも食べられますが、このような繊細な料理は見られません。日本に生まれて、日本の海の幸を味わえる喜びを子々孫々に継承するためにも、荒れた海や弱った資源を復元していくことは今を生きる我々の責務でしょう。




 うにむらかみ函館本店
       
http://www.uni-murakami.com/hakodate/index.html


・所在地  :北海道函館市大手町22-1
・電 話  :0138-26-8821
・営業時間 :11:00~14:30/17:00~22:00
        (4月中旬~10月 7:30~)
・定休日  :水曜日
・駐車場  :なし

2011/12/24(土) 05:00 | trackback(0) | comment(6)

【北海道函館市】イザベラ・バードも訪れた街(3/5)

カテゴリー: 外食:丼・オーバーライス

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 昨晩は軽めに呑んだので、快適な朝と食欲を迎えます。ホテルは朝食付きなのですが、折角ですので函館朝市で朝ご飯を探してみたいと思います。函館朝市はJR函館駅のそばにある巨大な店舗の集合体です。広さは全体で約1万坪(3ha)、塩釜仲卸市場の駐車場まで含めた面積と同じですね。


 店舗数は隣接する個人商店まで入れて280店舗(塩釜367店舗)です。幾つかの組合に分かれてゾーンが定まっているのも塩釜と同じ。ただ、販売されているのは水産物だけではなく、青果や米、生花や衣料品まであります。それは函館朝市の成り立ちが終戦直後、農家の方々が換金のために野菜などの立ち売りを始めたことにあり、その後、近郊の露天商も集まって拡大していったためです。詳しくは詳しくは函館朝市オフィシャルサイトをご覧下さい。





 こんなのもありました。スルメイカの釣り堀です。本格的にイカ角を使うのですが、いわゆる引っ掛け釣りのようです。
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 釣り上げたイカは1杯、1000円~1500円で買い上げ、その場で刺身にしてくれます。面白そうですが、朝からイカ1杯も食べたら、それでお終いになってしまいますね。これも一人旅の不便さです。




 函館朝市の駅側には海鮮丼が食べられるどんぶり横丁市場があります。
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 横丁と言っても建物の中ですので、雨が降っていても大丈夫。全部で20店舗の海鮮食堂が並びます。でも、なんで横丁のあとに市場を付けるのでしょう。朝市自体が市場を意味していますし・・・。

 



 どんぶり横丁市場の謳い文句、「平成17年春にスタイリッシュに函館朝市の表玄関として生まれ変わりました。」のとおり、国分町の呑み屋ビルのように煌びやか。^^
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 どの店舗も彩り豊かな海鮮丼のサンプルをショーケースにズラッと並べております。見ていても楽しいのですが、どの店も似たり寄ったりで、どこに入ってよいのか判断に苦しみます。





 その中で少し異なるオーラを発しているお店が目に止まります。一番奥でこじんまりした小さなお店です。
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 あけぼの食堂
という店名は大衆食堂風なのですが、味の匠と銘打って無添加のウニが自慢とのこと。本能に導かれて暖簾をくぐります。





 本当に狭いお店です。カウンター席4つを入れても12席。メニュー的には他のお店と変わりません。
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 ただ、写真では小さくと読めませんが、メニューの左上には無添加のバフンウニを使った丼が載せてあります。





 悩みましたが、無添加エゾバフンウニとイクラが楽しめるウニイクラ丼をご飯少な目でお願いしました。
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 ワカメの味噌汁と香の物が付いて1,800円くらいだったかな。朝からちょっと贅沢ですが、今日の仕事が上手く行きますように気合を入れます。ウニには専用の醤油をかけて頂きます。





 この黄金のようなウニと光り輝くルビーのようなイクラ。いつまでも眺めていられそうです。^^
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 宮城では漁獲されないエゾバフンウニ、しかもミョウバン処理をしていないので、ねっとりとした甘味が広がります。ご主人自身も浜育ちで、ミョウバンを使ったウニは食べられないそうです。イクラも薄味で皮が軟らかい。筋子を自分で解したのでしょう。確かな仕事を感じます。良い店に巡り合いました。





 次の日の朝もまた、あけぼの食堂さんに出向きます。この日はさっぱりとイカ刺定食です。
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 副菜も3品ついて1100円でした。イカは丸々1杯分はありますね。




 
 イカは生きている時はこのように身が淡い べっこう色をしています。
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 コリコリというよりカリカリに近い歯触りです。この食感、震災前の釜石魚市場魚河岸食堂さんで食べて以来です。震災後にあの食堂も訪ねてみましたが、跡形もなかったです。





 イカの足は順繰りこのような煮物で供されます。
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 後方のフキの佃煮もよい味のアクセントでした。


 
 函館では二日ともあけぼの食堂さんで朝食を頂きました。真面目そうで、大人しいご主人でしたが、ぽつりぽつりお話していくうちに、私が気仙沼から来たと伝えると、急に懐かしそうに「私も行ったことがあります。ゑびす振舞で美味しい料理を食べました。あそこは大丈夫だったのですか」・・・私はしばし回答できませんでした。ゑびす振舞さんがあった湾奥エリアは鹿折地区とともに最も被災が激しかったからです。






 正直に現実をお伝えしました。現在のゑびす振舞さんはこのような状況になっていると・・・。
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ゑびす振舞
さんは気仙沼でもレベルの高い料理屋さんでした。本物の味を見極められるあけぼの食堂のご主人も美味しいと言っているのですからなおさらです。そういえば、anegoさんもゑびす振舞さんを利用されていましたね。残念ですが、まだ、再建の見通しも立っていない状況です。




 函館朝市は駅に近い立地から観光客をターゲットとして進化してきた市場です。従って、あらゆる面で観光地モードなのは否めませんが、翻れば観光客でも安心して楽しめる市場と言えるでしょう。その点からすると、塩釜仲卸市場は一般人の誘致も盛んにしていますが、玄人の世界の緊張感も残っており、観光は余力でという感じがありますね。どちらの路線を選択するかは成立や立地条件で決まるのでしょう。




 あけぼの食堂


・所在地  :北海道函館市若松町9-18
・電 話  :0138-27-0502
・営業時間 :6:00~15:00
・定休日  :水曜日
・駐車場  :共同あり

2011/12/21(水) 05:00 | trackback(0) | comment(8)