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岩手遍路(3)盛岡

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

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 3年前の晩夏のように、遠野から北西方向に進路を取り、目指す最終目的地は盛岡です。遠野で暮坪そばを食べ、寄り道しながらゆっくりと走ったのですが、早々15時には石割桜の近くのホテルに着いてしまいました。3年前と違うのは、今回は一人旅であることと盛岡ではちょろりさん夫妻との会食が待っていることです。




 ちょっと時間を先に進めますが、翌朝、いつものように5時に起き、台風の去った気持ちの良い朝の盛岡城址を散策しました。
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内丸の堀端にはキササゲが長い鞘を垂らして揺れています。本丸に登り、三の丸から烏帽子岩を眺めながらゆっくりと下りてきましたが、この後、あんな体験をするなんて、思い起こす度に科学では説明の出来ない何かの力を感じてしまいます。この件は最後にお話しします。




 ちょろりさん達と1月の青森県遠征以来の再会を果たし、最初に訪れたお店はこちら、大人の隠れ家的なダイニングバー、KI・KI-HOUSE (キキハウス)さんでした。
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 フランスを含めた地中海沿岸のラテン系料理を得意としているそうです。しかも、ご主人が釣り狩猟もされ、仕留めた食材もテーブルに乗るというのですから、そそられます。



 
 最初に1杯だけ生ビールを頂きます。もう既に個性が光っています。
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 箸置きに使われているのは半分に割った薬莢です。この後が楽しみですね。



 
 美男美女のちょろりーず、質の高い食通です。このワインの容器が面白い。中に氷が入れられるデキャンタというかキャラフェというのか、それとも滴下式ワインクーラーでしょうか。
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容器の下に注ぎ口があり、グラスを当てて持ち上げるとワインが注入されます。スタンドに取り付けられていて、滴定用のビュレットを連想してしまいます。あ、それと小動物用の自動給水器にもちと似たり。^^




 最初からど肝を抜かれました。雫石川産のアユのテリーヌうるかがけです。
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 もちろん、ご主人が釣られたアユで作られています。この一切れに3尾分のアユが使われていると言いますから驚きです。アユが凝縮した何とも贅沢な一品です。うるか(アユの内蔵の塩辛)が添えられていることもあり、味わいはを強く感じます。すり身の部分もしっかりと締まっていて混ぜ物が多いふんわりタイプとは異なります。これは日本酒とも白いご飯とも合うはずです。

 



 で、日本酒に切り替えます。花巻の川村酒造店の限定販売よ右衛門です。よ右衛門の字は酉+与なのですが、変換できませんでした。
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創業者である川村よ右衛門の名が付けられたシリーズでも比較的新しい赤ラベルの美山錦です。アユのうるかをちょっと舐めて岩手の地酒で流し込む、この上ない悦楽です。




 本日のメインは落ち鮎の塩焼き。もちろんご主人が釣ったものです。
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 最近、雫石川アユが高く評価されているとのこと。このアユは雌ですが、全長25cmもありました。大型のアユが良く釣れる川は水質の良さと餌となる珪藻の繁茂も良好だからこそでしょう。9月初旬なので卵巣も膨らみかけで、肉の旨味もまだ充分に維持されていました。



 名残惜しいのですが、次のお店へと移動します。今度はご主人が仕留めたジビエを食べてみたいです。こちらのお店のデータは以下のとおりです。




KI・KI-HOUSE (キキハウス)
 

・所在地  :岩手県盛岡市神明町1-19
・電  話 :019-654-6050
・営業時間:18:00~24:00(L.O.)
・定休日 :不定休
・駐車場 :なし 
 



 続いて、ちょろりさん達に案内されたお店はお寿司屋さんでした。寿し利さんと申します。
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 盛岡でも人気の寿司屋さんでほぼ満席。ちゃんと予約を入れて置いたそうです。敷居の高いお店ではなく、和気藹々の雰囲気でみなさん楽しそうに寿司を摘み、酒を呑んでいらっしゃいます。



 
 さっそく、どどーんとお造り盛合せです。ご覧下さい、この迫力!
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 カツオ、マグロ、ヒラメ、アジ、ツブ等々、どれも大振りで食べ応えがあります。

 



 お酒は浜千鳥 碧の風 純米吟醸原酒です。宮沢賢治の緑の風に因んで名付けたそうです。
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 もう、お互いかなり酔ってますが、話しが弾んで酒量も上がりっぱなしです。^^




 これは厚焼きですが、だし巻きのように旨味たっぷり。
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 呑むうちに食べたくなる一品ですね。子供時代への憧憬なのでしょうか。



 
 寿し利さんは前沢牛の寿司で有名なのです。帰り際に頂いてしまいました前沢牛の太巻きです。
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さすがに満腹で、ホテルでも食べられません。冷蔵庫に仕舞って翌日、自宅に持って帰りました。軽く味付けた薄切りの牛肉が酢飯とよく合うのです。マヨネーズを隠し味に使っているのがポイントですね。



 寿し利


・所在地 :岩手県盛岡市大通1-7-10
・電 話 :0120-504144/019-651-4144
・営業時間:11:30-14:00 15:00-25:30
・定休日 :不定休
・駐車場 :金田一駐車場と提携1時間無料
 
  




 実はもう1軒行ったらしいのです。カメラはぶれながらも捉えていました。^^
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 Bon courage
さんというお店のようです。courageって、英語で読むとクァレッジで勇気のことですよね。Bon が付いているので仏語ですが、発音を調べるとクラージュ。意味も英語と同じ勇気や度胸。Bon courageがんばれという意味になるそうです。でも、震災とは関係ないと思います。




 ワインを鴨の燻製などで呑んだようですが、情けないことにほとんど記憶がありません。
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 カジュアルにワインを楽しめる良さげなお店なので今度、盛岡に来た時にも寄ってみたいです。そのために、データを残しておきましょう。




 Bon courage(ボン・クラージュ)
 

・所在地   :岩手県盛岡市開運橋通1-41 
・電 話   :019-681-3434 
・営業時間 :11:30~14:00/17:30~翌1:00 
・定休日   :月曜 
・駐車場   :なし 
 



 すっかり、ちょろりさん達のお世話になり、岩手遍路最終日の夜は更けて行きます。それにしても、ちょろりさん達は美味しくて良心的なお店をよく御存じです。ちょろりさんの奥様被災地に派遣されており、いろいろ当時の情報交換もできました。時間をかけて楽しく呑んだお酒は次の日にあまり残りません。写真のデータによりますとホテルには22時には着いていますので健全な酒呑み(どんだけぇ^^)でした。このあと、ぐっすりと眠ります。





 予想通り、次の日はスッキリ目覚めました。日頃の習慣で5時には起床し、小一時間散歩をします。ここは内丸の亀ヶ池、遅咲きのが一輪。
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 冒頭にもありますように盛岡城址を一巡り、石段を下りてホテルに戻ろうと思った時でした。突然、胸が苦しくなり、冷や汗が出始めます。いつもはもっとハードな山道を歩いていますので、これくらいでヘタルはずがないのですが、体に何か異変が起きていることは間違いありません。もしかしたら、これが心筋梗塞というやつでしょうか。そう考えると、なるべく、人目に付く所にいた方が良いだろうと大通りに面したベンチに腰掛けます。


 冷や汗が落ちるのを感じつつベンチで休んでいますと、10分ほどで小康状態になります。この機を逃さず、ホテルに戻り、水分も摂ってベッドに倒れ込んだのです。それから1時間近く寝たでしょうか。あの出来事は一体、何だったんだというくらい胸もスッキリしています。呑んだ翌朝、水分を摂らないで階段を上がり下がりしたからだろうと思って、帰り支度を始めたその時、、、、




         突然、携帯にコールが入ります。




 訃報でした。信じられませんが、前記事でも触れましたように3年前のこの時期、このコースを一緒に辿り、暮坪そばを食べ、暮坪かぶの種を分かち合って栽培した友人が亡くなりました。お互いの子供が赤ん坊の頃から家族での付き合いをしてきただけに動揺が隠せません。後で聞いたところ、私が盛岡城址の堀端で胸を押さえていた時間に彼は帰らぬ人になったのでした。



 これは単なる偶然でしょうか。だとすれば、二つの偶然が重なります。全く意図せず、彼との最後の食事となった暮坪そばを私はちょうど3年後に食べたくなり、彼が旅立つ時間に体調が急変しているのです。後者は彼が別れのメッセージを送って来たのではなく、同じ歳のお前も体を大切にしないとすぐに逝くぞと警告してくれたのだと思いたいのです。このようなブログで友人の他界を書くのは心苦しかったのですが、さんざん考えた結果、彼の友情を形として残しておくことに決めました。

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2011/09/12(月) 05:00 | trackback(0) | comment(12)
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