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椎茸粉でシミュレーションバラエティー お試しかっ!

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 薬膳料理教室
堀先生より、乾燥椎茸の粉末(以下、椎茸粉という)をたくさん頂きました。乾燥椎茸生産日本一の大分県の産品です。かんぶつマエストロでもある堀先生は全国の生産地とネットワークがおありです。さて、この椎茸粉、どうしましょう。存在は知っていましたが、実際に使うのは初めてです。いつものように特性把握のための調査から入りましょう。^^


 

 まず、形状ですが、粒度の組成にバラツキがあるようです。埃のような微粉末に1mm位の細片が混じっています。
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 これは妙ですね。もしかしたら、メッシュによる振り分けをしていないのかも知れません。それとも、さっと溶けやすい微粉末に後からじわっと旨味が出てくる細片を混合したところに意匠があるのでしょうか。いずれにしましても、この特性は後の利用に大きく影響しそうです。粉を舐めてみますと、デリケートな旨味に仄かな甘味を感じます。




 続いて、お湯に溶かして飲んでみます。いわゆる椎茸茶ですね。
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 う~ん、椎茸の香りが戻って素材の持ち味が発現されますが、旨味は昆布の粉である昆布茶に比較しますとかなり弱いですね。魚の節粉もダシの代表ですが、もっと複雑な味がします。このデリケートな旨味をどう料理に生かすが鍵になりそうです。出来れば、陰の脇役や黒子としてではなく、椎茸粉ならではの料理を作ってみたいものです。





 まずは節粉のイメージで塩水につけた山芋の賽の目に塗してみました。山芋節粉塗しは私の好きな酒肴です。
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 これは外してしまいました。形状の観察でも触れましたが、粒の粗い細片がカチカチ歯に当たるのです。それもかなり硬い。微粉末だけだったら上手くいくのかも知れませんが、これを家庭で篩えば、かなりロスが出てしまうでしょうね。これは出だしから難航しそうです。





 それならば、水分で湿らせれば、カチカチもなくなるだろうと思い、キュウリの漬物肉じゃがに使ってみました。
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 キュウリの漬物は1.5%の塩と椎茸粉を一緒に漬けたのですが、思ったほど旨味を感じられません。これが昆布茶だったらグッと美味しくなるのですが。試しに入れてみた肉じゃがですが、これはいつもの肉じゃがよりグッと美味しくなってます。この両者の違いはなんだろう。



 
 もう一つ、漬物ついでに作った山形の郷土料理だしですが、こちらは先ほどのキュウリの漬物と違って椎茸粉が美味さをアップしてくれています。
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 一体、どういうことだろう。まったくタイプの異なる肉じゃがだしでは、椎茸粉がプラスに働いているのに、ただのキュウリの漬物では引き立ちません。もしかすると、このだしには醤油を使っていますので、醤油との組合せが椎茸粉の旨味を引き出すのでしょうか。



 食品化学の専門書を紐解いてみますと、椎茸などキノコ類の旨味成分は核酸の分解物であるグアニル酸とされています。同じ核酸分解物イノシン酸アデニル酸がありますが、こちらは主に肉や魚に含まれます。そして、これらの核酸系の旨味はアミノ酸系旨味物質であるグルタミン酸アスパラギン酸と組み合わされることで相乗効果を発揮するとされています。


 グルタミン酸を多く含む食品の代表は昆布チーズお茶などで、アスパラギン酸野菜類です。そして、両者を豊富に含むのが醤油味噌などの大豆発酵食品です。この核酸系アミノ酸系両者の組合せは、我々日本人は吸い物や味噌汁の調理法として古くから身に付いています。欧米ではフォンやブロードのようにスープストックでも肉類のイノシン酸を野菜類のグルタミン酸アスパラギン酸と併せています。


 ただ、日本人にとっては、アミノ酸系核酸系は対等ではないようです。我が家には足を入れさせませんが、現在、市販されている化学調味料はほとんどがグルタミン酸90%以上に数%の核酸系旨味物質が加わる構成となっています。日本料理ではグルタミン酸の昆布ダシを基本に、鰹節や椎茸の核酸系旨味を補って、さらに醤油や味噌でグルタミン酸を加えるという味付けが定着してきたようで、われわれ日本人にもその味が染み付いているのでしょう。






 そこで、椎茸粉核酸系旨味と野菜や醤油のアミノ酸系旨味を取り合せて料理してみます。まずは、椎茸粉入り野菜たっぷりの豆腐ハンバーグ醤油餡を絡めます。
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 これは文句なしの美味しさです。ハンバーグから溢れた汁には椎茸の旨味もたっぷり。これにとろみを付けて餡としました。もちろんカチカチ感も残っていません。




 続いて麺類を三連発。まずは焼うどんですが、茹でめんをほぐす時にお湯に溶いた椎茸粉を使いました。
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 調味の段階で椎茸粉を振り入れますとどうしても細片のカチカチが気になります。そこで、スープとして麺にも旨味を吸わせています。味付けはもちろんアミノ酸系旨味である醤油を用い、相乗効果を狙っています。





 次は中華のあんかけ焼きそばです。具材を炒め、最後に水に椎茸粉と醤油、オイスターソース、片栗粉を溶いた調味液を回しかけて味ととろみを付けます。
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 焼きそば用の麺はレンジでチンした後、軽く塩をして、油を敷いたフライパンで押し付けるように焼いて、両面をこんがり、カリッと仕上げます。両面黄(リャンバンフォワン)のテクニックですね。途中で掻き回してはなりません。





 椎茸の旨味が野菜や醤油のアミノ酸系旨味で引き立って、1+1が3以上の美味しさになってます。
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 カリッとした麺に旨味たっぷりのあんかけ焼きそばには練り芥子とお酢が付き物です。途中で味に変化を付けながら食べ進みます。





 最後は行くを偲んでぶっかけ素麺です。だしは昆布と椎茸粉で両系の旨味を合体させます。
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 日本の麺類のつゆに昆布干し椎茸が使われるのは古くからの習わしです。鰹節が蕎麦つゆに使われるようになったのは江戸時代中期以降でそれまではこのような精進つゆが使われていました。それに合わせたわけではありませんが、具や薬味もみんな精進になりました。それでも十分に美味しいのです。





 さて、ここまでは既に干し椎茸として利用されてきた料理の変形ですね。これで終わったら料理愛好家としての名折れです。^^ 数々試した中で人にも薦められるオリジナルな椎茸粉料理をご紹介しましょう。もちろん、どれもアミノ酸系と椎茸の核酸系旨味の相乗効果を考えた料理です。




 
まずは簡単、きのこ飯です。具にも食感を意識してエノキダケを使いました。スダチの一絞りがアクセント。
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 ご飯を炊く時に椎茸粉ダシ昆布、エノキダケの細々を加え、色合いを淡く仕上げたいので醤油は少なめにして塩で味を決めます。アミノ酸系のグルタミン酸は昆布からたっぷり出ますので醤油は少なめでも大丈夫。ゴタゴタと何種類ものキノコを使ったきのこ飯も美味しいのですが、椎茸粉とエノキで簡単に作るきのこ飯も味わいが深いですよ。気仙沼の部屋でも時々やってます。





 
もう1品。りゃん亭さん風に呼べばトマトです。^^ 醤油昆布は使っていません。では、何のグルタミン酸を使ったのでしょう。
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 実は完熟トマトグルタミン酸がたっぷりなのです。ですから、パスタソースとしてイタリアで古くから使われてきたのですね。そこに目を付けました。完熟トマトをじっくり炒めて水分が出て形が崩れ始めた頃に椎茸粉を振り入れ、塩胡椒で調味します。最後に溶き卵を回しかけ、半熟状態で供します。これをご飯に乗せればイタリア風卵丼(いや中華風か)。パスタに乗せても美味しかったです。チーズもグルタミン酸が豊富なのできっと合いますね。





 
添加物の入っていない本物の椎茸粉を試してみたい方は中野屋さんのHPをご参照下さい。
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商品紹介のコーナーに椎茸粉があります。お値段はお問い合わせのようです。 





 旨味の世界って、奥が深いですね。今回は大変勉強になりました。たぶんこれは堀先生から私に与えられた宿題だったのではないでしょうか。核酸系の旨味物質グアニル酸は単体ではかなりデリケートな味なのですが、日本人に染みついたアミノ酸系旨味物質グルタミン酸と合わさると相乗効果で実に素晴らしい味わいになります。日本人は古くからそれをやって来たのですが、明治以降に次々と科学的な証明がなされていきました。



 ただ、化学調味料のようにそれらの結晶配合物は、ともすると、自然の持ち味をわからなくさせたり、調理技術の低下を招きます。知らないうちに加工食品を通じて摂取はしているのですが、家庭ではなくても済むものですので、なるべく使わないようにしたいですね。化調を多用した料理はハッキリ言って不味いです。特に後味の悪さは、体が本能的に拒絶します。それも感じなくなったら、それこそ、化調の弊害と言えるでしょう。
 

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2011/09/30(金) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

スダチ風味のヴィシソワーズ

カテゴリー: 料理:野菜・果物

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 ご承知のようにヴィシソワーズ冷製ポタージュのことで、ジャガイモやポロ葱などを主な材料としています。季節はになってしまいましたが、暑い日にはピッタリのスープです。以前、薬膳料理教室堀桃先生が、鶏肉のソテーにカボス風味のクリームソースを添えたのを作っておられました(関連記事)。なるほど、クリーム系に柑橘類の香りは面白い、デザートではなく料理に組み込めば色々楽しめそうと思いました。




 そこで、今回はスダチ風味ヴィシソワーズを作ってみようと思いますが、バターや生クリームたっぷりのフランス式ではなく、オリーブオイルと豆乳でヘルシー&ローカロリーのヴィシソワーズにしました。その方がカボスの爽快な香りも引き立ちますので。上の写真のスダチの皮は決してシャネルを意識したわけではなく、日本料理の柚子輪を真似した単なる遊びです。^^





 まず最初にベースとなるブロード(スープストック)を作ります。面倒な鶏ガラではなく、ササミを使います。
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 セロリやパセリの葉っぱなどは糸で束ねたブーケガルニではなく、ガーゼにくるんだ方がばらけなくて便利です。鶏のササミは粗めに刻んでおきます。市販の顆粒粉末スープを使う場合でも、鶏挽肉ササミを少し加えますとグッと自然な味わいに近づきます。




 アクを取りながら決して沸騰させないように40分ほど煮て行きます。
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 鶏ガラですと前処理を怠ると途端に臭くなりますし、小一時間は煮なければなりません。多めに作って冷凍しておくと便利ですね。ダシを取ったササミも後でちゃんと利用します。




 ブロードを取っている間にヴィシソワーズの本体を調理をします。
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 ジャガイモとポロ葱替わりの玉葱、セロリ少々が主材料です。これにスダチを2個ほど使います。豆乳は無調整の濃いものを用意します。これで大体4人分です。




 玉葱とセロリを弱火で炒め、しんなりしたら細切りのジャガイモ(水晒しておく)を加えて透明感が出るまで炒めます。
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 玉葱は飴色にまでは炒めません。それに呉々も焦げ付かないようにいたしましょう。仕上がりの色が悪くなりますので。




 炒めた具材を濾したスープに加えて柔らかくなるまで煮込みます。
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 白ワインを半カップほど加えますとスッキリした味わいが加わります。



 
 煮込んでいる間にスダチを準備します。 
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 皮は擂りおろし、果汁も絞っておきます。





 柔らかくなった具材をスープごとブレンダー(ミキサー)にかけてから、濾していきます。
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 フレンチのシノワは持っていませんので、裏漉しを使っています。




 豆乳を加え、塩で味を調えます。最後にスダチの果汁を加えます。
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 このあと、冷蔵庫でよく冷やして完成です。




 スープ皿に盛って、おろしたスダチの皮をパラパラ。
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 それでは独りブランチをテーブルで頂きましょう。スダチの風味が効いたヴィシソワーズは実に爽やか。暑い日のブランチに最高です。




 今日はヴィシソワーズが主役ですが、甘くないフレンチトーストが主食になります。
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 独りブランチもこれが最後となりますので、白ワインも付けちゃいました。^^ 



 
 これはスープを取った後の鶏のササミや人参をシメジやコーンとカレー粉とケチャップで炒めたリユース料理です。
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 たしかにササミの旨味は抜けていますが、ツナのような食感が残っていますので、ケチャップの甘味とカレーの香りを補って副菜にしました。




 フレンチトーストは砂糖を使わず、粉チーズを加えた卵・豆乳液に浸けて焼きました。炒めた秋茄子とともにペスト(バジルペースト)で頂きます。
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 ペストは塩分が強いのでフレンチトーストもナスにも塩分はかなり抑えています。ペストは毎年作っていますが、最近の記事ではこちらに作り方を載せています。
 
 


 今回は豆乳を使っていますが、ミルク系と柑橘類の風味はよく合うことがわかりました。ただ、豆乳と雖もタンパク質の溶液ですから時間が経つと、スダチ果汁の酸によって凝固が始まります。ですので、ヴィシソワーズを保存する時は果汁を加えず、利用する直前に加えましょう。それによって、香りの鮮度も良い状態で供することができます。冷たいスープも今月一杯でしょうか。これからは温かい料理が恋しくなる季節に変わっていきますね。



 そういえば、今年の夏はやたら豆乳が飲みたくて、毎日のように飲んでました。薬膳堀先生に話したら、火照った体を冷まそうという生理的欲求から来るそうです。火照りは暑さによる体温上昇なのか、長く続いた独り暮らしのためか・・・それはともかく、豆乳を摂ると体調も良くなりますね。ただ、イソフラボンは女性ホルモンと類似した働きをするとされているので、やっぱり、それで治まったのかなぁ。^^

2011/09/27(火) 05:00 | trackback(0) | comment(10)

対決 カボス VS スダチ

カテゴリー: 料理:野菜・果物

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 薬膳料理教室
堀桃先生から大分県のカボスと徳島県のスダチを頂きました。今までそれぞれ別々に使っていましたので、同時に風味を比較することもありませんでした。折角の機会ですので、それぞれの特性をしっかり把握してみたいと思います。カボススダチもユズから派生した近縁種ですのでよく似ています。ちなみに上の写真の左側5個がカボスで右側の7個がスダチです。通常、市販されているサイズはカボスが直径4~5cmに対し、スダチが3.5~4cmと小さいので区別できますが、小ぶりのカボスと大きめのスダチを区別できる人はそう多くはないでしょう。


 


 両者の形態上の相違点を探索すべく、じっくり観察します。上がカボスで下がスダチです。大きめのカボスは表面の細かなディンプルが少し広がって疎らになったように見えますが、小さなカボスでは差がありません。
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 決定的な違いは、かつて花のめしべが飛び出していた痕跡のある果頂部、俗にいう尻の部分ですね。カボスは中心を取り囲むように膨らんでいますが、スダチでは菊の紋章が平らに浮き出ている感じです。





 果肉の色は少し、スダチの(右)方が緑色がかっていますね。
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 従って、果汁もスダチの方が緑色が強いです。果汁をそのまま、味わってみますと、味自体は大きな差がありませんが、香りが決定的に違います。カボスには何か金っ気臭いような独特の匂いがあります。一方、スダチは心地よい鼻を抜ける爽快な香りですね。ライムとも似ているかな。香りの差ですから、鼻を摘まんで味わえば途端に差がなくなります。





 焼酎の水割りに使ってみました。香りの少ない甲類で試しました。
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 やはり、爽やかなのはスダチ(右)ですね。ただ、スダチは果実が小さく、果汁もあまり取れないので輪切りにしたものを何枚か入れて、皮からの香りも使った方がよいでしょう。両者の香りの差は繊細なので、揚げ物や焼き魚などに使うと特性がハッキリしなくなるかも知れません。




 そこで、サンマの塩焼きで両者を試します。
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 ところで、サンマを焼く時には腹を裂いてはいけません。腹を割くと身の水分や旨味も抜けやすくなり、パサつきます。そのまま焼くことにより、内臓を取り巻く脂肪も身に回って、ふんわりと仕上がります。これは比較実験をしておりますので、こちらをご覧下さい。なお、内蔵を食べる食べないは嗜好の問題ですが、棒受け網で漁獲されたサンマは飲みこんだ多数のが胃内に溜まっていることがあり、これが口の中で広がりますとかなり不快です。





 さて、結果ですが、やはり予想通り口に入れた瞬間は香りの差を感じますが、噛んでいくうちに酸味だけしか感じられなくなります。
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 サンマの香りや脂の影響でスダチの爽やかな香りも感じられなくなり、どちらを使っても同じですね。




 ついでに、サンマの刺身でも試してみました。
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 これが意外な結果となりました。刺身に垂らす場合は、スダチよりカボスの方が相性がよいのです。スダチでは爽快な香りがライムのようで、日本の刺身にはきつすぎます。南米のセビッチェでしたら、スダチでも良いかも知れませんが、日本の刺身には合いにくいように感じました。一方、カボスは柔らかい醸造酢のような感じで、酢の物のようにすんなり受け入れられます。





 結果を取りまとめます。私の好みとしては以下のとおりとなります。

   用途\種類  カボス  スダチ
焼  酎 
サンマ塩焼き
サンマ刺身 





 カボススダチ。それぞれ別々だったら、気付かなかった様々な特性が見えてきました。結論として、爽快な香りを楽しむならスダチで、脂の多い魚の塩焼きや鶏の揚げ物などに使うのであれば、どちらでも良いのですが、果汁たっぷりのカボスの方が便利ですね。ただし、繊細な味を楽しむ刺身では、スダチの爽快な香りは合わないように思えました。よくフグの刺身にはポン酢醤油が添えられますが、ポン酢の材料も柚子、橙、ユコウ、カボス、スダチなど様々な柑橘類が使われます。中には柑橘系の強い香りを持つものもありますが、醤油と合わされ寝かされるうちに尖った香りが円やかになるので、サンマより繊細なフグの味を邪魔することがないのでしょう。


2011/09/24(土) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

つまみ菜の味噌汁

カテゴリー: 料理:野菜・果物

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 日に日にの気配が濃くなっていますね。池の畔のシュウメイギク(秋明菊)が可憐な花を咲かせ始めました。強い草花で勝手にどんどん増えています。その割に品格もあり、もまん丸で可愛いのです。





 ヤブラン(藪蘭)も穂のような淡い紫の花を立ち上げています。秋到来のサインですね。
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 なんだか、蕾が九重(仙台銘菓)みたいで、食べられそうですね。^^ 花が終わると黒っぽい実を付けますが、こちらは小鳥の餌になってます。


 

 これ何の花だかわかりますか。小さくて黄色い花が疎らに咲いています。
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 これはモロヘイヤの花なのです。逞しい野菜にしては控えめな花です。


 


 やっと、唐辛子が色付いてきました。
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 一株植えておきますと、実が20~30本採れます。よく乾して一年分の唐辛子として保存します。なお、葉っぱは先日の記事のように佃煮にして楽しみます(作り方)。




 今年は残暑が厳しく、秋冬野菜の播種も遅れました。
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 大根や蕪がやっと双葉を出し始めました。


 


 30cm間隔に5~6粒播けば良いのですが、種が余るの10位植えています。でも、すぐに間引きしないとカイワレ大根のようになってしまいます。
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 丈夫そうな芽を4本ほどに残して抜き取ります。この後、本葉が出た頃に1本に絞り込みます。なんだか、一次試験、二次試験みたいで切ないですね。^^



 間引いた芽も立派な野菜ですので大切に頂きます。
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 大根、聖護院蕪、つぼみ菜、ルッコラ等が混ざっています。私の子供の頃はこのような間引いた芽をつまみ菜として、八百屋さんの店先にも水の張った桶に入れられて売られたものでした。母親がよくこれの味噌汁を作ってくれました。カイワレ大根などが出回る前のことです。





 で、さっそく、昔懐かしつまみ菜の味噌汁を頂きます。
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  シャッキリした歯触りが子供の頃の記憶を呼び起こします。あんまり野菜は好きではなかったのですが、これは、また作ってとよくせがみましたっけ。 




 カイワレ大根と違って地面で太陽の光をたっぷり受けて育っていますので味も濃いですね。
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 当然、無農薬栽培だからこそ、安心して頂けます。その代わりヨトウガ(ヨトウムシ)やカブラハバチの幼虫との戦いが始まるのです。





 農業として栽培する場合は、害虫退治をいちいち手で摘まんではやってられません。そのため、播種と同時に薬剤の粒を撒きますので、つまみ菜の残留農薬も気になります。もっとも種子も伝染性の病害を防ぐために薬剤処理がされていまので、スプラウトにするのは不安ですが、野外で育てたつまみ菜ならまず大丈夫でしょう。  

2011/09/21(水) 05:00 | trackback(0) | comment(2)

【塩竈市】りゃん亭で再開

カテゴリー: 未分類

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 心地よい秋晴れの朝ですが、近年、珍しい位にお酒が残っています。でも、二日酔いではなく、ほのぼのと楽しい余韻で顔がポッポしています。どうやら相当呑んだようです。実は昨晩はブロ友の皆様との震災以来初めてのオフ会だったのです。会いたかった会いたかった会いたかった方々だけに羽目がすっかり外れてしまったようです。嬉しくて楽しいひと時だったのですが、恥ずかしながら後半は記憶が曖昧です。カメラが捉えた画像を素に記憶を整理してみます。


 震災後の半年、目の回るような日常でしたが、やっと落ち着いてきたので、ベガサポ顧問より集まるべと勅が発せられました。単身赴任の私は何かと慌ただしいので、今回はanegoさんが幹事役を買って出てくれました。被災地の活性化を願って、被災地にお金を落とそうということで塩竈市が開催地に選ばれます。そして、隠れた味処として知られるりゃん亭さんを会場にすることが決まったのでした。りゃん亭さんは以前の記事でもご紹介しておりますが、元 Madam Rien(マダム・リャン)というフレンチレストランのオーナーシェフが民家を改装して居酒屋をやっています。




 今回集まって下さった方々はベガサポ顧問風写さん、タイガーさん、なぜか落ち込んでいるユケチュウさんanegoさんおおさん(たぶん〇の順)。おおさんは千葉県の成田から駆け付けてくれました。 


 


 会場となりましたりゃん亭さんには、3年ぶりの訪問。外観は裏町のアパートですが、エントランスは踏石や敷石があって持て成しの雰囲気を高めてくれます。
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 りゃん亭さんは、塩竈でも海岸に近く、周辺は浸水していますが、少し地盤が高かったようで津波の難を逃れています。でも、地震による損害はあったでしょうね。




 
 和室がオープンキッチンのダイニングになってます。
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 今回はその隣の一室をお借りしました。ここも和室ですが、テーブルと椅子が置いてあります。



 
 前菜はフォアグラにクリーム状の卵をかけた逸品。
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 ソテーされたフォアグラはまだ熱く、日本料理でいう卵の素のような餡が冷たくて温度のコントラストが面白いです。




 続いてヒラメのカルパッチョ風です。
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 からし菜とルッコラの辛味が心地よいインパクトを与えてくれます。




 ベガサポ顧問が持って来て下さった一ノ蔵の発泡酒
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 日本酒の発泡酒として、すず音は話題となりましたが、黒豆と黒米を使ったバリエーションが出ていたのですね。知らんかったわ。




 それに合わせたわけではありませんが、イタリアのスプマンテMalvasia Secco(辛口)をお願いします。
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 イタリアではコース料理をスプマンテだけで通すこともありました。ラテン系の方々はビールがぶ飲みのアメリカ人を揶揄しますが、スプマンテだって同じですよね。^^




 ここで羹として、豚のトマト煮が出てきました。
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 この脂の美味しい豚はどこぞの銘柄豚なのでしょうか。塩分が限りなく抑えられていて素材の持ち味が活かされています。こういう味付けを見習わないといけないなぁ。血圧高いのに、どうしても塩を使い過ぎてしまいます。

 


 
 ワインをメルローに替えました。Simon di Brazzan(シモン ディ ブラッツァン)です。
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 カベルネ・ソーヴィニョンより芳醇でまろやかな味わいが特徴のメルロー、スイスイ入るのが怖いです。ラッツァーノ地区で100年以上前からブドウ栽培とワイン醸造を営んできたシモン家の名作です。


 
 強肴のように後半で出てきた3品。
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料理名はわかりませんが、鶏胸肉とセロリの温製マリネ、インゲンと人参のナムル風、ピーマン二種の炒め物だったと思います。



 
 学校の先生のようなマダムにワインのサーブを直伝され、すぐに習得するユケチュウさん。
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 最初、落ち込んでいましたが、すっかりいつもの明るさを取り戻してくれました。^^ ヨカッタ




 ここでタコがドドンと登場。りゃん亭名物タコとナス(まんまやん^^)です。
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 蛸の下には皮を剥いて加熱したナスが潜んでいます。食感のコントラストを考えた佳品です。和食っぽい味付けと記憶していますが、だんだん、記憶が怪しくなってます。




 留めは牛肉のチャーハンです。これには全員が唸りました。漬物も添えられて、口を直してくれます。
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 バターライスの上に薄切りステーキがどやというほどに乗っています。中性脂肪も気にせず、ワシワシ掻き込みます。文句なしの美味しさです。美味しく食べれば、健康になれる。ダァ~!!

 



 デザート二品です。
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 たしかカシスか何かのシャーベットとアイスクリーム。それとりゃん亭名物アップルタルトです。




 皆さまお疲れ様でした。半年ぶりの再会でしたが、なんだか何年かぶりで会ったような気がしました。前回、お会いした時から今までの間に数年分以上の出来事が凝縮しているからかも知れません。このあと、もう1軒行ったのですが、皆さま無事に帰還されましたでしょうか。一番危ないのは私なんですが、今日は布団で目が覚めました。^^ すっかり甘えて、とことん酔わせて頂きました。ちょろりさん達とは時間差がありましたが、併せればいつものオフ会です。皆さま、本当にありがとうございました。たっぷり充電も出来ました。この余韻をエネルギーにして復興に向けて頑張りま~す。

 

 



隠れた味処
  りゃん亭http://www.d9.dion.ne.jp/~kikuta7/


・所在地:宮城県塩釜市旭町7-8
・電 話:022-367-4600 
・営業時間:17:30~23:00 
・定休日:日・祝祭日  
・駐車場:1台

2011/09/18(日) 10:00 | trackback(0) | comment(10)