宮城県漁協組合員慰霊祭
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ご遺族とともに鹿野農林水産大臣をはじめ、本県選出国会議員の方々、系統団体、行政機関の関係者が参列し、厳かに、そしてしめやかに式が執り行われました。お付き合いさせて頂いていた組合員の方々も犠牲になっており、感極まる慰霊祭となりました。残された我々は一日も早い復興発展のために全力で努力しなければと心を新たに致しました。
入院中の父親がだんだん食欲を失い病院食をほとんど食べなくなりました。腎臓も弱っているので塩分を控えた食事が出されるのですが、それが耐え難いらしいのです。点滴はしていますので最低限の栄養は何とかなっているのですが、食べないことには回復はしません。かなり、げっそりしてきましたので先生からも何か好きなもの少しだけと許可が出ました。それで父親からのリクエストは葉唐辛子の佃煮だったのです。
今年は唐辛子の成長が少し遅れ気味、暑さと水不足によるのでしょうか。
例年、唐辛子の実が赤くなって収穫が終わった残りの葉っぱの有効利用として佃煮にしているのですが、まだ実が小さいうちに葉っぱを取ってしまったら、ますます、成長が悪くなりそうです。ですが、添加物の入った市販のものより手作りの方が美味しいので、3分の1くらいの葉を摘み取ります。
これくらいあれば、小瓶一つ分は出来るでしょう。
手作りですから防腐剤は使いませんので日持ちもしません。それに、食べ過ぎても体によくないのであまり多くない方がよいのです。
まず、よく洗った葉っぱは下茹でしてアクを除きます。
葉っぱの緑が濃くなって、へなっとなるくらいで岡揚げします。
調味料は醤油と味醂だけで、砂糖は使いません。すっきり辛めに仕上げます。
ピリッとした辛味を付けるために青唐辛子の輪切りを2本分くらい加えます。
煮詰め始めてから15分ぐらい経過しました。
だいぶ色が濃くなってきましたが、まだ緑色が残っています。日持ちさせるために、さらに水分を飛ばします。
30分くらい経過して、このように煮詰まれば完成です。
最後の方は焦げ付きやすいので、絶えず底を掻き回していなければなりません。手間のかかる作業です。
熱いうちに熱湯で滅菌した瓶に詰めます。
もう1本は以前にご紹介したキュウリの佃煮です。作り方はこちらをご覧下さい。
病院に届ける前にちょっと味見。
唐辛子独特の凛とした香りとピリッと来る辛味がご飯とベストマッチ。これならば、誰でもご飯が進みます。
さっそく、見舞いかたがた、病院に届けてきましたが、食事時ではなかったのでちゃんとご飯を食べたか見届けることが出来ませんでした。付き添っている母親によるとしっかり食べていたとことで安心しました。手間のかかる佃煮ですが、これくらいで親孝行になればた易いものです。今年の3月下旬に亡くなった義父も塩分を控えた病院食を食べることが出来ず、最後の1カ月は医師の了承の上で大好きな寿司ばかり食べていました。治る見込みのない病気でしたので、この選択は正しかったと思います。自分も最期が近づいて好きな物を食べてよいと言われたら、一体何をリクエストするでしょう。あまりに多すぎて絞り込めません。^^
3年前の晩夏のように、遠野から北西方向に進路を取り、目指す最終目的地は盛岡です。遠野で暮坪そばを食べ、寄り道しながらゆっくりと走ったのですが、早々15時には石割桜の近くのホテルに着いてしまいました。3年前と違うのは、今回は一人旅であることと盛岡ではちょろりさん夫妻との会食が待っていることです。
ちょっと時間を先に進めますが、翌朝、いつものように5時に起き、台風の去った気持ちの良い朝の盛岡城址を散策しました。
内丸の堀端にはキササゲが長い鞘を垂らして揺れています。本丸に登り、三の丸から烏帽子岩を眺めながらゆっくりと下りてきましたが、この後、あんな体験をするなんて、思い起こす度に科学では説明の出来ない何かの力を感じてしまいます。この件は最後にお話しします。
ちょろりさん達と1月の青森県遠征以来の再会を果たし、最初に訪れたお店はこちら、大人の隠れ家的なダイニングバー、KI・KI-HOUSE (キキハウス)さんでした。
フランスを含めた地中海沿岸のラテン系料理を得意としているそうです。しかも、ご主人が釣りや狩猟もされ、仕留めた食材もテーブルに乗るというのですから、そそられます。
最初に1杯だけ生ビールを頂きます。もう既に個性が光っています。
箸置きに使われているのは半分に割った薬莢です。この後が楽しみですね。
美男美女のちょろりーず、質の高い食通です。このワインの容器が面白い。中に氷が入れられるデキャンタというかキャラフェというのか、それとも滴下式ワインクーラーでしょうか。
容器の下に注ぎ口があり、グラスを当てて持ち上げるとワインが注入されます。スタンドに取り付けられていて、滴定用のビュレットを連想してしまいます。あ、それと小動物用の自動給水器にもちと似たり。^^
最初からど肝を抜かれました。雫石川産のアユのテリーヌうるかがけです。
もちろん、ご主人が釣られたアユで作られています。この一切れに3尾分のアユが使われていると言いますから驚きです。アユが凝縮した何とも贅沢な一品です。うるか(アユの内蔵の塩辛)が添えられていることもあり、味わいは和を強く感じます。すり身の部分もしっかりと締まっていて混ぜ物が多いふんわりタイプとは異なります。これは日本酒とも白いご飯とも合うはずです。
で、日本酒に切り替えます。花巻の川村酒造店の限定販売よ右衛門です。よ右衛門のよの字は酉+与なのですが、変換できませんでした。
創業者である川村よ右衛門の名が付けられたシリーズでも比較的新しい赤ラベルの美山錦です。アユのうるかをちょっと舐めて岩手の地酒で流し込む、この上ない悦楽です。
本日のメインは落ち鮎の塩焼き。もちろんご主人が釣ったものです。
最近、雫石川のアユが高く評価されているとのこと。このアユは雌ですが、全長25cmもありました。大型のアユが良く釣れる川は水質の良さと餌となる珪藻の繁茂も良好だからこそでしょう。9月初旬なので卵巣も膨らみかけで、肉の旨味もまだ充分に維持されていました。
名残惜しいのですが、次のお店へと移動します。今度はご主人が仕留めたジビエを食べてみたいです。こちらのお店のデータは以下のとおりです。
KI・KI-HOUSE (キキハウス)
・所在地 :岩手県盛岡市神明町1-19
・電 話 :019-654-6050
・営業時間:18:00~24:00(L.O.)
・定休日 :不定休
・駐車場 :なし
続いて、ちょろりさん達に案内されたお店はお寿司屋さんでした。寿し利さんと申します。
盛岡でも人気の寿司屋さんでほぼ満席。ちゃんと予約を入れて置いたそうです。敷居の高いお店ではなく、和気藹々の雰囲気でみなさん楽しそうに寿司を摘み、酒を呑んでいらっしゃいます。
さっそく、どどーんとお造り盛合せです。ご覧下さい、この迫力!
カツオ、マグロ、ヒラメ、アジ、ツブ等々、どれも大振りで食べ応えがあります。
お酒は浜千鳥 碧の風 純米吟醸原酒です。宮沢賢治の緑の風に因んで名付けたそうです。
もう、お互いかなり酔ってますが、話しが弾んで酒量も上がりっぱなしです。^^
これは厚焼きですが、だし巻きのように旨味たっぷり。
呑むうちに食べたくなる一品ですね。子供時代への憧憬なのでしょうか。
寿し利さんは前沢牛の寿司で有名なのです。帰り際に頂いてしまいました前沢牛の太巻きです。
さすがに満腹で、ホテルでも食べられません。冷蔵庫に仕舞って翌日、自宅に持って帰りました。軽く味付けた薄切りの牛肉が酢飯とよく合うのです。マヨネーズを隠し味に使っているのがポイントですね。
寿し利
・所在地 :岩手県盛岡市大通1-7-10
・電 話 :0120-504144/019-651-4144
・営業時間:11:30-14:00 15:00-25:30
・定休日 :不定休
・駐車場 :金田一駐車場と提携1時間無料
実はもう1軒行ったらしいのです。カメラはぶれながらも捉えていました。^^
Bon courageさんというお店のようです。courageって、英語で読むとクァレッジで勇気のことですよね。Bon が付いているので仏語ですが、発音を調べるとクラージュ。意味も英語と同じ勇気や度胸。Bon courageでがんばれという意味になるそうです。でも、震災とは関係ないと思います。
ワインを鴨の燻製などで呑んだようですが、情けないことにほとんど記憶がありません。
カジュアルにワインを楽しめる良さげなお店なので今度、盛岡に来た時にも寄ってみたいです。そのために、データを残しておきましょう。
Bon courage(ボン・クラージュ)
・所在地 :岩手県盛岡市開運橋通1-41
・電 話 :019-681-3434
・営業時間 :11:30~14:00/17:30~翌1:00
・定休日 :月曜
・駐車場 :なし
すっかり、ちょろりさん達のお世話になり、岩手遍路最終日の夜は更けて行きます。それにしても、ちょろりさん達は美味しくて良心的なお店をよく御存じです。ちょろりさんの奥様も被災地に派遣されており、いろいろ当時の情報交換もできました。時間をかけて楽しく呑んだお酒は次の日にあまり残りません。写真のデータによりますとホテルには22時には着いていますので健全な酒呑み(どんだけぇ^^)でした。このあと、ぐっすりと眠ります。
予想通り、次の日はスッキリ目覚めました。日頃の習慣で5時には起床し、小一時間散歩をします。ここは内丸の亀ヶ池、遅咲きの蓮が一輪。
冒頭にもありますように盛岡城址を一巡り、石段を下りてホテルに戻ろうと思った時でした。突然、胸が苦しくなり、冷や汗が出始めます。いつもはもっとハードな山道を歩いていますので、これくらいでヘタルはずがないのですが、体に何か異変が起きていることは間違いありません。もしかしたら、これが心筋梗塞というやつでしょうか。そう考えると、なるべく、人目に付く所にいた方が良いだろうと大通りに面したベンチに腰掛けます。
冷や汗が落ちるのを感じつつベンチで休んでいますと、10分ほどで小康状態になります。この機を逃さず、ホテルに戻り、水分も摂ってベッドに倒れ込んだのです。それから1時間近く寝たでしょうか。あの出来事は一体、何だったんだというくらい胸もスッキリしています。呑んだ翌朝、水分を摂らないで階段を上がり下がりしたからだろうと思って、帰り支度を始めたその時、、、、
突然、携帯にコールが入ります。
訃報でした。信じられませんが、前記事でも触れましたように3年前のこの時期、このコースを一緒に辿り、暮坪そばを食べ、暮坪かぶの種を分かち合って栽培した友人が亡くなりました。お互いの子供が赤ん坊の頃から家族での付き合いをしてきただけに動揺が隠せません。後で聞いたところ、私が盛岡城址の堀端で胸を押さえていた時間に彼は帰らぬ人になったのでした。
これは単なる偶然でしょうか。だとすれば、二つの偶然が重なります。全く意図せず、彼との最後の食事となった暮坪そばを私はちょうど3年後に食べたくなり、彼が旅立つ時間に体調が急変しているのです。後者は彼が別れのメッセージを送って来たのではなく、同じ歳のお前も体を大切にしないとすぐに逝くぞと警告してくれたのだと思いたいのです。このようなブログで友人の他界を書くのは心苦しかったのですが、さんざん考えた結果、彼の友情を形として残しておくことに決めました。
岩手遍路と題しておきながら、進路を内陸部へ向けています。お遍路は本来、四国の辺地(海岸線)を巡り歩くものですが、今回の岩手遍路では陸前高田から海沿いに北上し、釜石から遠野へと西進します。目指す先は遠野市立博物館。でも、民話の世界に浸るためにやってきたのではないのです。
現在、遠野市立博物館では、文化財を救え!~東日本大震災と文化財レスキュー~と題して企画展示をやっているのです。
5月に石巻市雄勝へ支援に行った際(関連記事)、法務局の方々が、ドロドロになった文書を丁寧に復元している作業を見て感銘いたしました。この展示では文書だけではなく、生物標本の復元も扱っているとのことで、大変関心があったのです。瓦礫の下から回収した泥まみれの標本をどうやって復元するのでしょうか。貝殻や魚類標本でしたら、よく洗って乾燥または液浸すればよいのでしょうが、昆虫や剥製は手強いでしょうね。
これは実演ではなく、パネルですが、濡れた文書はキッチンペーパーに挟んで脱水されます。
確かグレードの高い古文書は、この後、フリーズドライで復元する様子をテレビでやってましたね。いずれにしましても濡れた文書は、カビとの戦いで一刻も早い処置が必要です。
期待した生物標本ですが、オオムラサキの復元標本が1点展示されていただけでした。
修復方法についても解説がなく、ちょっと、残念でした。でも、全国の博物館が三陸沿岸の文化財を救うため、懸命に努力されていることは大変有り難いことです。心より御礼申し上げます。
文化財レスキューの展示は予想より少なく、15分ほどで見終わってしまいました。少し、習俗展示の方にも巡ってみましょう。関心事はもちろん食文化です。^^
これはかつての遠野の食事です。左の膳が晴れの食事で右の膳が褻(け)の食事です。晴れはもちろん晴れの日の晴れで儀式全般も指すようです。けは日常と言うことになりますが、展示物を見ますと一汁二菜のようです。こんな料理が食べられるレストランが館内にあっても良さそうです。けの食事の方は、オプションで惣菜を追加できるようにすれば、良いのではないでしょうか。
こちらはかつて遠野で食べられていた魚です。樹脂製のイミテーションですが、大変よく出来ています。
内陸部なので鮮魚は冬場に運ばれ、タラやドンコ、ナメタガレイなど冬の魚が主体となります。イワシやカレイの干物などはもう少し気温が高い季節でも運べたのでしょう。遠野は漁港がある釜石や大船渡からは直線距離で40Kmほどですが、途中、険しい峠もあり輸送は楽ではなかったはずです。
食べ物の展示を見ていましたら、おなかが空いてきました。以前から行ってみたかったちょっと変わった蕎麦屋さんを訪ねます。
遠野の市街地から国道283号を少し釜石方面に戻ったところにあります。現代和風な佇まいで何屋さんかちょっと見当が付きませんね。
看板には遠野そばと中華そばの店とあり、バリバリの生蕎麦専門店ではありません。
でも、生蕎麦も中華そばも自家製麺で、特に生蕎麦は遠野産の玄そばを1分間に16回転以下で挽いているそうです。店名のばんがりとは思い切りということで、左下のキャラクターは店主の阿部勝司さんがモデルのカツシ君だそうですが、ご主人はこんなスネ夫みたいな感じではなく、もっと恰幅の良い優しそうなおじさんでした。^^
地元の方は中華そばとのセット物を頼まれるようです。中華そばも美味しそうですが、何だか今日は無性に暮坪かぶで蕎麦を食べたいのです。
この季節、蕎麦も暮坪かぶも一年で一番保存期間が長くなる時期で不利なことは承知なのですが、暮坪かぶも土中保存で辛みは失せていないとのことでしたのでお願いしました。暮坪はカブなのですが、蕎麦の薬味として使えるくらいの辛みがあります。
これが暮坪ざる800円になります。
山葵や葱は使わず、おろした暮坪かぶで頂きます。
暮坪かぶはやや粗めに擂り下ろしてあります。
大根のように水分がなく、ボソッとしています。一口食べると辛み大根と同じ鼻に来る刺激が広がります。久々に味わうこの辛み、以前の記憶が蘇ります。そうだ、3年前にもこの季節に来て、暮坪そばを食べたんだっけ。
副菜にはフキの煮物とキュウリとキャベツの浅漬け。
この辺が同じ田舎そばでも山形系とは違いますね。山形の漬け物山盛り、きくらげの浸し物も豪快で好きなんですが。
蕎麦は藪と田舎の中間くらいの色合いです。二八か外一くらいでしょうか。
間もなく新蕎麦という季節ですから、香りはあまり感じられません。
これこれ、これがやりたかったのです。
蕎麦に暮坪かぶをちょと乗せて、つゆを落ちないよう注意を払います。田舎蕎麦ですからつゆは薄め、たっぷり付けてすすり込みます。
残ったつゆに暮坪かぶを入れて、蕎麦湯を注いで頂きます。
構図を考えているうちに危うく溢れてしまうところでした。^^
さて、食後は少し花巻方面に走ったところにあります道の駅風の丘に立ち寄ります。大きなダウンウインド・マグナス型風車が目印です。
この辺りは寒風と呼ばれるくらい風の強い地域とのこと。駅名を寒風の丘しますと、冬は誰も来なくなりそうなので風の丘にしたそうです。風の丘ですとナウシカにも通じるようなメルヘンチックになりますね。
この後、旅も続くので見るだけのつもりでしたが、ちょっと気になるコーナーを発見。
全ての酪農商品に多田克彦と書いてあります。誰だろう。。。多田克彦って。花畑牧場の田中義剛みたいなタレントでしょうか。調べてみますと、(有)多田自然農場を経営する社長のことで、牧場経営だけではなく、アイスクリームやチーズケーキなどの洋菓子や豆腐や納豆などの加工食品の製造販売もやっているその世界では有名な人物らしいです。詳しくは多田自然農場のHPをご覧下さい。
とても気になったので、あまり甘くなさそうなこれを試してみることに。
チーズプリン(180円)ですって。こだわり自然農場のチーズプリン。相当期待できそうです。
あらま、これは凄い。レアチーズケーキとプリンの中間体ですね。
もう少し甘さを控えた方が上品かなとも思いますが、私は平均的な甘味嗜好の持ち主ではありませんから、これでいいのでしょう。プリンの滑らかさとチーズケーキの濃厚なモッタリ感の両方が楽しめます。
岩手遍路の二番目の目的地である遠野で食べた暮坪そば、実はこれが始めてではありません。3年前にも釜石から遠野経由で盛岡に旅したことがありましたが、やはり、暮坪かぶでざるそばを食べています(関連記事)。その時、暮坪の魅力に憑かれ自分でも栽培してみたく、種を購入したのでした。
この時、一緒に旅した友人は、私よりかなり後になって菜園を始めましたが、几帳面な性格で雑草一本も残さず丁寧に抜き取り、庭園のような畑を作っています。この暮坪かぶの種を二人で分け合って栽培に挑戦したのでした。ですが、仙台平野で育てた暮坪かぶは結局、特有の辛味が出せませんでした。このことは次の記事に関連しますので覚えておいて下さい。
先日、岩手県の釜石に用事があり、気仙沼から国道45号を車で北上しました。唐桑から県境を越えて岩手に入りますと、ほどなく、気仙川の河口部に行き着きますが、過去の記憶にある風景とのあまりの違いに声も出ませんでした。ここ陸前高田の被災状況はテレビで何度も伝えられ、だいたいは想像出来ていたのですが、現実ははるかに悲惨でした。写真の壊れたユースホステルのそばにすっかり有名になった一本松が見えますね。
地元では奇跡的に残ったこの老松を復興のシンボルとして、一本松プロジェクトを展開しています。樹齢200年以上の7万本の松林と綺麗な砂浜が2Kmも続いた高田松原を再生させるために頑張っているのです。でも、7万本の松の中でたった1本が残るなんて、何か神懸かり的なものを感じますね。この強い松の遺伝子を受け継いだ苗を育てて徐々に植林していく計画です。
気仙川に架かる仮設橋を渡り、市街地があったエリアに進みますと、すっかり遠くまで見渡せるようになってました。
瓦礫は何カ所かに集められ、巨大な山となってます。あまり高く摘みますと、中の圧力で自然発火するそうです。先日、気仙沼で瓦礫の山の火事騒ぎがあり、現在、24時間体制でパトロールを行っています。国土地理院の浸水範囲概況図を見ますと、陸前高田では津波が気仙川を6Km近く遡ったことがわかります。
上はアパートのようですが、4階まで津波が通り抜けています。下は海と貝のミュージアムですが、やはり内部は大破したようです。
以前はここを通るたび、この洒落た博物館が高田松原を背景に一際目立ったのでした。貝殻の展示だけではなく、コンパクトな水族館としても人気がありました。回収された展示物は文化財レスキューによって復元作業が続けられています。
陸前高田のある広田湾を過ぎると、次は宮城の雄勝湾のように細長い大船渡湾です。やはり湾奥部の被害は甚大でした。
同じリアス式海岸でも、岩手は宮城より山が急峻で平坦部も少ないため、全般的に浸水区域もに小さいのですが、陸前高田と大船渡だけは群を抜いています。大船渡駅近くの地元スーパーマイヤは建物は残りましたが、果たしてここで営業を再開できるのでしょうか。
こちらは大船渡魚市場。上屋の2階まで津波に襲われたようですが、建物はしっかり残っています。
地盤沈下もあったようですが、気仙沼魚市場より早い6月初頭には水揚げが始まりました。水揚げされる魚の大半は宮城の生簀から逃げ出したギンザケで毎日数トン、定置網が復旧しますと十数トンの水揚げが続いております。逃げ出したギンザケは無主物ではなく、遺失物だと思うのですが・・・。ギンザケ養殖業者も紛失届けを出している訳ではありませんが、逸走した家畜は遺失物法の対象となるのです。お互い被災者ですので、事を荒立てても仕方がありませんが、海に生きる者同士ですので八戸のような感謝の表明があってよいと思うのです。
南三陸町以北の国道45号を走っていますと、このような標示をよく目にします。
震災前は気が付かなかったのですが、ある一定の高度になるとこのような津波浸水想定区域から外れる案内があり、また、下がるとここまでがここからという標示になります。宮城県内で注意深く見てみたのですが、今回の大津波の浸水範囲もだいたいこの想定区域と一致していました。
しばらく走って、釜石の魚市場に着きましたら、巨大な貨物船が陸に乗り上げたままになっていました。
釜石魚市場でも地盤沈下による冠水が見られました。現在、ここは使われておらず、1Kmほど湾口よりに離れた新浜町に第2魚市場を応急整備して、8月4日から水揚げが始まりました。3年前、ちょうど同じ頃にここを訪れた時(関係記事)には、サバやスルメイカが何トンも水揚げされていましたが、今年は漁船や定置網の復旧もまだまだで1/10程とのこと。
釜石の楽しみと言えば、呑兵衛横丁。これは3年前に訪れた時の写真です。
同じサイズの電照看板が整然と並んでいますが、どのお店も個性的でした。その時の記事はこちらです。
その跡地です。なんと、お店の下はドブだったのです。
まさにドブ板横丁だったのですね。また、ひとつ、昭和のノスタルジーが消え去りました。
昭和のノスタルジーと言えば、橋上市場。2003(H15)年に45年の歴史を閉じて、釜石駅前にサン・フィッシュ釜石としてオープンしました。
以前のように水産物を主体とした店舗が入っていますが、かつての雰囲気とはまるで異なります。学生時代に何度か訪れ、牛乳瓶に詰まった生ウニを買うのが楽しみでした。もちろん、今でも買えますし、それを食堂に持ち込んで新鮮なウニ丼を楽しむことも出来ます。でも、今日のお昼は訳あって、海鮮ではなく中華なのです。
釜石の隣町、大槌町で人気の中華料理店が津波で流され、ご主人も負傷したのですが、ファンの期待に応えて釜石で復活を果たしたのでした。
そのお店は鳳蘭亭(ほうらんてい)と申しまして、釜石駅から国道238号を西へ約5Km走った野田町にあります。国道に面した喫茶店風なお店なのですぐにわかりました。このお店ちょっと変わってまして、勝手に中に入れません。女性の店員さんに内ドアの外で待つように指示されました。でも、中には空席がいくらでもあるのです。
20分ほど待ってやっと店内に入れてもらいますと、正面の壁に値段の書かれていない献立表がど~んと目に入ります。
でも、テーブルにはちゃんと普通のメニューがありましたのでホッとします。色々気になる献立もあるのですが、初めてのお店なのでお店の看板メニュー、来々麺にしましょう。でも、キム飯は見当が付くのですが、醤肉飯ってなんだろう。あ、それと目立たない小さな黒板に冷やし系の麺類が3品ほどありました。
席に着いてから供されるまでの時間は普通でした。これが来々麺690円。味噌ラーメン風に擂鉢で供されます。
豚の薄切りにキャベツ、もやし、豆腐を炒め合わせた具が乗せられているのですが、粒の揃った上質なナメコが入るのが特徴的です。豆板醤の赤もよいアクセントになってます。味付けはやや甘みが強いのですが、スープと混ざっていくうちに複雑に味変します。スープは最初、ほんのりと魚の香りを感じました。
麺は細打ちの多加水麺で少し縮れがあります。麺にはそれほどこだわりを感じません。
具にナメコが入っているので、食べ進むうちにスープにとろみがついて、麺との絡みも良好です。ボリュームも見た目以上にあり、満足感は得られます。
人気のあるお店だけに、到着したのが平日の12時ちょうどだったにも関わらず、駐車場はほぼ満車でした。最初に30分以上かかりますがよいですかと先制パンチ、それでも折角来たのだからのんびり待ちましたが、食べ終わって店を出たのがほとんど13時でしたので、お急ぎの方は昼時を外された方が賢明でしょう。
鳳蘭亭さんの接客が大槌町時代からこのようだったのか知る由もありません。外ドアと内ドアの間には椅子も用意されているのですが、中には待ちきれず、怒って帰って行く方もおりました。店内は決して満席ではないだけに不思議です。おそらくランチタイムには、1回戦しかお客をこなしていないと思います。もしかしますと、負傷されたご主人がまだ完全には回復しておらず、スピーディに調理をこなすことが出来ないため入店制限をしているのかも知れません。
鳳蘭亭
・所在地 :岩手県釜石市野田町2-14-29
・電 話 :0193-25-2030
・営業時間 :11:30~14:00/17:30~21:00
(ただし、スープがなくなり次第終了)
・定休日 :月曜日
・駐車場 :あり