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胡麻豆腐検証

カテゴリー: 料理:穀・粉類

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 今年もお盆がやってきます。みちのくにとっても、我が家にとっても今年のお盆は特別です。お盆と言えば、本来、精進料理でご先祖のをお迎えするものですが、昨今はあまりこだわる人がいなくなったようです。確かにベジタリアンでない限り、お盆といえども植物性100%の料理が続いては物足りないかも知れません。それは、現代人に限ったことではなく、先人たちもあの手この手の工夫をされたようです。



 その中でも胡麻豆腐は英知の結晶と言えましょう。胡麻のエキスを吉野葛で凝縮した醍醐味は精進料理の華ですね。とろりとコクのある味わいは誰しもうっとりさせる魅力があります。 最初に謝ります。全く不謹慎なのですが、お許し下さい。精進料理の代表である胡麻豆腐動物性のものを混ぜるなどを恐れぬ行為なのですが、どうしてもお盆の前に決着を付けておきたかったことがことがあるのです。

  




 それは胡麻豆腐吉野葛ではなく、ゼラチンで固めたらどうなるか?




 です。スィーツを作り慣れている方なら、瞬時にイメージできるのでしょうが、両者の違いを食べ比べて際立たせたいのです。こんなことはお盆中には出来ませんので事前にやっておきたかったのです。






 本来の胡麻豆腐は胡麻に吉野葛と昆布だしが主材料ですが、吉野葛ゼラチンに置き換えてみます。
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 分量は純正胡麻豆腐の場合、胡麻100gに吉野葛50g、これに昆布だし300mlですが、吉野葛をゼラチン5gに変換したものも作って比較します。


 



 吉野の本葛は手前のように白い塊となっています。片栗粉とは違って強い粘性を発揮します。
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 葛は私たちの身近に見れらる野草ですが、現在、葛粉を使うことはほとんどなくなってしまいました。この背景には片栗粉の普及があるのかも知れません。料理のとろみ付けに葛粉を使うのはいまや料理店ぐらいでしょう。ただ、その片栗粉も今ではカタクリの澱粉ではなく、ジャガイモのが使われています。


 



 吉野葛は擂り鉢で擂って微粒子にしておきます。ゼラチンは水少々を加えてしとらせます。
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 吉野葛を擂りますと、きゅっきゅっと鳴って純度の高さが感じられます。

 


 まずは、胡麻を擂っていきます。精進の心に反しますが、ちょいと楽をしてハンディーミキサーでウィーン。2種類の胡麻豆腐を作りますので、分量は二倍です。
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 本来、胡麻豆腐はゴマを小一時間気長に擂り鉢で擂り続けなければならず、その手間が禅寺の修行にもなっていたくらいなのです。不謹慎が続きますが、お許し下さい。でも、市販の練り胡麻使って作るよりは手間をかけています(見苦しい弁解)。
 

  





 胡麻が細かくなって脂が出てしっとりしてきましたら、昆布だしを少しずつ加えさらに撹拌します。
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 それを裏漉しで濾していきます。さらに滑らかにしたい時はサラシで濾して下さい。絞り粕ももう一度撹拌して二番汁も回収します。


  




 いよいよ加熱工程です。胡麻エキスを二等分し、一方に吉野葛の粉末を加えてから弱火にかけ、ただただ気長に練っていきます。もう一方にはゼラチンを沸騰手前まで温めて溶かし込んでおきます 。gomatofu10.jpg
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 胡麻豆腐は擂りに加えて、この練りも重要な要素となります。焦げ付かないよう付きっ切りで30分以上練り続けますと滑らかさと艶が出て参ります。こうしてみますとゼラチンの方は練りの作業もなく手抜きに見えます。それでも、美味しければもらい物ですが・・・。^^

 


 両者を熱いうちに固め型に流し込みます。吉野葛の方(左)はトントンと叩いて空気を抜きます。粗熱が取れましたら冷倉庫でじっくり冷やします。
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 この時点で色合いに差が見られています。右のゼラチンの方がやや白っぽいですね。加熱時間の違いが引き起こしたのでしょうか。

 


 数時間後、いよいよ判定です。手前が純正胡麻豆腐。後方がゼラチンで固めたもどきです。
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 胡麻豆腐自体には薄い塩味を付けてありますが、美味しく頂くために昆布のだし醤油をかけています。作り方は昆布だし4に醤油1、味醂0.5をさっと煮て、よく冷やしておきます。山葵も必須アイテムですね。


 



 まずは正統派の胡麻豆腐。いつものように、フルフルとか弱いのですが、口に入りますと意外とネットリ、そして濃厚なゴマの香りが広がってトロリンと喉に落ちています。
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 飽食の現代人が食べてもうっとりと魅了されるのですから、精進料理の中でも格別の存在であることがよくわかります。作り方の原理は簡単ですが、自分でも納得のいく会心の出来に仕上げるのは実に大変なことなのです。


 




 さて、今回の課題であるゼラチンで寄せた胡麻豆腐もどき。見た目は似てますが切り口にシャープな角が出来ます。プルプルした感じは良いのですが、口に入れた時のネットリ感が丸でなく、すぐにツルリンと落ちていきます。
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 この食感、あれですよあれ。オーブンで焼いた本物のプリンではなく、インスタントのプリン。あれよりは濃厚なコクが広がりますが、食感が胡麻豆腐とは程遠く、いわば胡麻プリン。そう考えれば、容認できますが、これを胡麻豆腐の新作とか、胡麻豆腐の兄弟とかとは決して言うことが出来ません。断面をよく見ますと、下の方が透明ですが、これは固める時の上側です。純正と違って粘性を高めながら固めるのではなく、静置しながら冷やすので胡麻の粒子が沈殿してしまうのでしょう。

 



 まずまず、お盆前に懸案事項がすっきりと片付いて良かったです。結論として胡麻豆腐は吉野の本葛でなければならないということです。大概の料理ですと食材変換しても、それなりに新しい料理にはなるのですが、胡麻豆腐だけは完成度が高いだけに紛い物の追従を許しません。もちろん、胡麻豆腐とは関係なしに、ゼラチンで固めたもどきを胡麻プリンとして食べたらきっと美味しいのでしょう。ただ、見た目が似ているだけに胡麻豆腐が脳裏をかすめた瞬間、イミテーションゴールドになってしまうでしょう(古)。^^

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2011/08/10(水) 20:05 | trackback(0) | comment(8)
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