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意外に美味 キュウリの佃煮

カテゴリー: 料理:野菜・果物

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 先日、いつもキュウリを差し上げているお隣さんが、 「頂いたキュウリで作ってみたので食べてみて。」と上の写真のような食べ物を持ってきて下さいました。一見、キュウリの古漬けを調味液に漬け込んだものように見えたので、「漬け物ですか?」と伺うと、なんとこれはキュウリの佃煮とのことです。まさか、なにかの間違いだろうと思いつつも、喜んで頂きました。一口、食べてみるとカリカリとキュウリの歯応えがあり、とても佃煮のように煮込んだものとは思えません。立ち話でさらりと伺った作り方でさっそく、再現してみることにしてみます。




 菜園のキュウリももう終盤戦ですが、まだ、これくらいは採れます。
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 ブルーム付き、シワシワ、トゲトゲの四葉系キュウリです。漬け物には最適なのですが、佃煮は作ったことがないのでわかりません。




 まずはキュウリの塩揉みを作ります。暑さ2mm位の輪切りにし、2%の塩をして1時間ほどおきます。
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 佃煮ですから、事前に余計な水分を取り除いておくのでしょうね。キュウリは脱水後にもさらに目減りするでしょうから、5本使って作ります。塩は後々の味にも影響しますので、天日干しの自然塩を使いましょう。



 
 1時間もしますと、水分が出てしんなりとします。このまま食べても十分美味しいのですが、先に進みます。
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 ぎゅっと絞って水分を除きます。このキュウリのエキスも勿体ないですね。冷麺にもでも入れて味わいたいくらいです。^^



 
 絞っただけではまだ、水気が取り切れないので、内緒で文明の利器を使います。^^
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 水気を絞ったキュウリをキッチンペーパーとガーゼにくるみ、洗濯機で脱水をかけました。後でよく水を流しておきましたので、問題ないでしょう。


 



 脱水機は威力絶大、こぢんまりと圧縮されたキュウリをいよいよ煮詰めていきます。佃煮ですから、醤油と味醂がベースとなりますが、を加えるのが特徴らしいのです。調味料の分量はキュウリ5本分ならそれぞれ大さじ1杯くらいでしょうか。
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 お隣さんは鷹の爪生姜を使っておりましたが、同じでは面白くないので、我が家でよく使う実山椒の佃煮を生姜に代えて使います。それと、最後に塩昆布を混ぜるのがポイントとのこと。塩昆布料理は今やたら流行ってますが、注意しないと添加物だらけの曲者では、かえって味を損ないます。




 塩昆布以外の材料と調味料を鍋に入れて、弱火で炒りつけるように炊いていきます。
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 加熱しすぎると、カリカリとした歯応えがなくなってしまうのではないかと、チェックしながらの調理です。加熱時間を短くするためにも、脱水をがっちりやっておくことは理に適ってますね。15分くらいで緑色が飛んで醤油の色に染まっていきます。味見をしながら歯応えとの兼ね合いで仕上がりを判断します。塩昆布も入りますので、味は薄めでもよいのです。




 最後に塩昆布を混ぜ込んで旨味を添加します。
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 白い粉が見えなくなるまで、よく混ぜて半日ほど馴染ませた方が美味しくなりました。




 実山椒の風味が利いたぴりっと辛いキュウリの佃煮が出来上がりました。
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 かなり炒り付けているのですが、カリカリとした歯応えはまだ残っています。面白ですよね。どう見てもこれはキュウリの調味漬けですが、しっかりと炊いてあるのです。




  一応、冷蔵保存しますが、日持ちしそうなので、タッパーに詰めて気仙沼にも持って行きます。
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 これはご飯が進みます。最近、気仙沼の部屋でも一合炊きの炊飯器でご飯を炊くようになりましたので、夏の朝にはこのような惣菜が嬉しいのです。





 半信半疑で作ってみたキュウリの佃煮ですが、見た目も食感も味わいも古漬けキュウリのたまり漬けのような感じでした。前処理の脱水作業を入れても2時間以内には出来てしまう保存性の高いお惣菜です。キュウリ5本分でも片手で一掴みくらいになりますので、食べ切れないくらいの収穫があった時や破格で山盛りのキュウリが手に入った時には重宝な料理です。ただ、佃煮と言いますと、塩分を摂り過ぎてしまうのではとの懸念もありますね。



 計算してみますと、醤油は大さじ1(15ml)で17g、塩分濃度が15%なので、使われた塩分は2.55gとなります。塩昆布も10g使えば、塩分も2.3g追加になり、全体で塩分(食塩換算)が5gほどになります。成人の1日当たり推奨塩分摂取量は10g未満、高血圧の人では6g未満ですから、10日で食べれば特に問題とならないでしょう。むしろ、外食や麺類などで摂取する塩分の方が圧倒的に多く、例えばラーメンカップ麺一杯完食すれば6~7gの塩分となり、高血圧の人はこれで一日分の塩分量に達します。私も震災後しばらく、カップ麺生活をしていたことがあり、その頃から血圧も跳ね上がってしまいました。本日、お医者様に出向いたところ、さらに減塩節酒運動を強化するよう申し渡されてきました。(涙)
 

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2011/08/31(水) 05:00 | trackback(0) | comment(10)

サッシェとなばめし??

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 この小さなテトラパックのような物はサッシェと申します。サッシェ(sachet)はフランス語で小さな袋の意味ですが、中に乾燥ハーブやスパイス、エッセンシャルオイル(精油)を含ませた布切れ等を入れた匂い袋のことも指します。これらは薬膳料理教室の堀桃先生達が気仙沼の避難所の方々に提供するため手作りされたものです。残念ながら、これらを届けに来られた時は石巻へ出張になり、お会いできませんでしたが、きっと、三陸道か国道346号ですれ違っていたはずです。



 気仙沼では一時、クロバエが大発生してその駆除に追われていましたが、現在は嘘のように見当たりません。感染研の専門家によると、これは死滅したのではなく、暑さを嫌って山で避暑しているだけで、また、涼しくなると街に戻って来るそうです。そこでサッシェの登場ですが、サッシェは単なる匂い袋ではなく、昆虫忌避作用のあるハーブを使えば、虫よけとしても役立つのです。ハーブは食材としての関心しかなかったので、このような日常生活への応用は新鮮味を感じます。

 



 私の気仙沼の部屋用に2種類のサッシェを頂きました。
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左は蝿や蚊に効果のあるシトロネラ(Citronella)という精油も染ませたサッシェで穴の開いた網戸のそばに吊るします。柑橘系の香りが部屋全体を爽やかにします。右は匍匐性の昆虫に効くサッシェで、クローブやラベンダーの香りを強く感じます。こちらは窓のないトイレに置きました。





 実はサッシェだけではなく、いろいろな食品も送って頂きました。堀桃先生誠にありがとうございます。m(..)m
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 大分県の椎茸加工食品や芽ひじきにバジル入りのマスタードまで入っていました。大分県って乾燥椎茸の生産が日本一なんですって。





 すごく気になるのが、なばめし?? 一体なんだべ。それにお相撲さんの写真が妙なインパクトを与えています。
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 解説を読みますと、なばとは大分県の方言で椎茸のこと。なばめしは乾燥椎茸や筍を炊き込んだご飯のことで右の袋は炊き込みご飯の素でした。ならば、カレーもなばカレーにして欲しかったなぁ。でも、名ばかりーなんて意地悪く呼ばれる危険性もありますね。^^ お相撲さんの写真は大分県の乾燥椎茸が優勝力士に贈呈された時の物です。





 まずはなばめしですが、どうしても土鍋で炊きたかったので自宅で作りました。sache6.jpg
 懐かしい香りの炊き込みご飯です。干し椎茸の香りがほんわり漂います。炊け具合もばっちり、やはりご飯は土鍋ですね。炊飯用土鍋はサイズや規格が様々、こちらをご参考に。





 味の染みた椎茸がたっぷり入っています。
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 お味ですが、少し甘めで酢を打てばお稲荷さんのご飯に使えそうです。おかずなしで何杯も食べられそうな怖さがあります。^^




 
 これはキュウリの浅漬けなのですが、震災前に摘み取って乾燥されたフノリも一緒に漬け込みました。
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 こうしますと、フノリから粘りが出て、キュウリとよい具合に馴染みます。フノリのチャキチャキとした食感も楽しめますし。





 三合も炊いてしまったので、気仙沼へ弁当としても持って行きます。
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 気仙沼に戻る時は朝5時出発。通常、朝食は抜くか、部屋についてから出勤前に何か軽く食べるのですが、今日はパーキングエリアで休憩しながら頂きます。





 一方、きのこカレーの方ですが、気仙沼で頂きました。今どき珍しい一合炊きの炊飯器です。もちろん昭和の産物です。
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 これは妻が嫁入り道具に持って来たものですが、ご飯は炊いたことがなく、日本画の(にかわ)を溶かすために使っていたそうです。一人暮らしの現在、これで朝食用に0.5合を毎朝炊いています。効率が悪いのですが、電子レンジが部屋にはないので温めなおしが面倒なのです。





 レトルトのきのこカレーを温めて皿に盛り付けます。
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 濃度はやや薄目ですが、粉っぽさがなく煮込まれた野菜による自然な濃度です。香りもよろしくカレー自体に期待が持てます。何でも九州ではテレビCMで有名だそうで、あのギャル曽根も絶賛だとか。





 期待通りカレーのルーは文句なし。野菜の甘さを感じます。辛さは甘口なので私には少し物足りないかな。
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 カレーの具には10円玉から500円玉くらいの肉厚な乾し椎茸がゴロゴロと入っています。椎茸好きには堪らないですね。煮込まれた乾し椎茸が肉のようです。ただ、原材料には豚肉、玉葱、人参と記載がありますが、形は見当たりません。よく煮込まれてすっかり崩れているのでしょう。あくまで椎茸のカレーですから、これで良しなのです。





 付け合せのサラダには、同じく送って頂いた芽ひじきも使いました。
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 これお気に入りの料理なのですが、戻したひじきに、山芋の賽の目と冷凍枝豆やコーンを混ぜてポン酢で和えた物です。素材缶の豆類を使うこともあります。山芋の粘りが全体を上手くまとめてくれます。





 むさい男部屋にハーブッセンシャルオイルの香りが漂います。クロバエが山の避暑を終えて戻って来るにはまだ間がありますが、寝苦しい夜には玄関ドアも少し開けて風を通しているため、どうしてもが入ってきます。蚊取り線香は喉が痛くなるのでシトロネラの効果に期待したいところです。



 市販の虫よけにはDEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)と呼ばれる化学物質がよく使われているのですが、これはアメリカ陸軍がジャングル戦用に開発したもので、民生用には1957年から使用開始されています。現在、それより1000倍もの効力をもつ物質が発見されたそうですが、環境や人に悪影響がないかまだ実証されていません。いくら効いても日常的にケミカルな物を吸っているのはあまり心地よいものではありませんね。

2011/08/28(日) 05:00 | trackback(0) | comment(10)

夏には鶏の煮凝り

カテゴリー: 料理:肉・卵・乳

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 煮凝り(にこごり)
は冬場にカレイなどの煮付けの煮汁が、翌日にゼラチンの作用で固まったものを指しますが、これがあまりに美味しいので、冬以外でも作っています。魚だけではなく、鶏手羽煮凝りが絶品です。炊き立てのご飯に乗せるとみるみる溶けて、濃厚な旨味がご飯に染み込みます。完全に溶けてしまう前に口に放り込みますと、冷たくちゅるりとした煮凝りと暖かいご飯との対比がえも言われぬ美味しさなのです。




 なぜ鶏手羽かと言いますと、ゼラチンの素となる皮や筋が多いのと、骨を一緒に煮込みますので美味しいだしが取れるからです。
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 300ml位の煮凝りを作るのに鶏手羽が5本くらい使います。多いように思えますが、途中で骨を取り去りますと意外とがさが減ります。




 手羽以外の材料は基本的には醤油味醂生姜です。
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 ただ、真夏の茹だるような暑さの中で食べる関係上、この季節は少しさっぱり感と刺激を加えます。さっぱり感は梅干しで、刺激は実山椒の煮汁を使います。山椒は痺れる刺激を意味するが特徴です。花椒をたっぷり使う本場四川の麻婆豆腐もと辣の組み合わせが美味しさの秘訣です。分量は梅干し1個、実山椒の煮汁大さじ半分くらいです。もちろん、梅干し実山椒を入れなくても美味しい煮凝りは作れます。

 


 今回は300ml分の煮凝りを作りますので、最初に水300mlに醤油、味醂、実山椒の煮汁で程好い味に調製し、これを倍の水で薄めてから火にかけます。梅干しからも塩分が入りますので加減しましょう。
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 煮汁が沸騰する手前ですべての材料を投入します。蓋をしないで水分を飛ばしながらコトコト弱火で煮込んでいきます。




 40分ほど煮込みますと、手羽に箸がスッと入るようになります。
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 この間、アクや脂をすくい取ります。脂は取り切れなくても後に効率的に取れますのであまり気にしないで下さい。




 すっかり煮込まれて柔らかくなった手羽を取り出し、を抜いて肉だけを集めます。
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 これだけで酒が呑めるなという感情を押し殺して、次に進みます。^^





 集めた肉を濾した煮汁に戻します。生姜や梅干しも取り除きます。
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 適当な固め容器に流し入れ、室温になるまで冷まします。これを冷蔵庫で冷やば煮凝りになるのですが、夏場は室温でどんどん溶けてしまします。それはそれで美味しいのですが、形をもう少し維持したい場合は、煮汁が冷めないうちに粉末ゼラチン3gを水でふやかしてから溶き込みます。今回は撮影に多少時間がかかるので室温でも溶けないように粉ゼラチンを使っています。




 冷蔵庫できっちり冷やした煮汁は完璧な煮凝りとなってます。
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 煮凝りの表面に脂が白く固まりますので、クッキングペーパーなどで拭き取ります。





 まずは適宜に切って溶き芥子で頂きます。
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 鶏の旨味が凝縮したこの逸品には、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキー等、どのような酒種にも合ってしまう威力があります。暑い日の夕餉に、これを一口、そして溶ける前に酒で流し込む。もう、極楽以外の何物でもありません。





 このような食べ方も好いですよ。サラダに乗せた鶏の煮凝り。よく混ぜて頂きましょう。
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 最近、このようなゲル化調味料にフランス語のジュレと称して商品化しているものがありますが、日本には伝統的な煮凝りがあるのです。これにレモン汁でも垂らせば、さらにさっぱりと頂けますよ。




 でもね、やはり、煮凝りとの最高のマリアージュはご飯なんですね。
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 旨味たっぷりの煮凝りがご飯に染み込んでいこうとする出鼻を挫いて、ワシワシと掻き込みます。生きてて良かったを感じる瞬間です。





 夏の常温ではテーブルで5分もしないうちに溶けてしまう煮凝りですが、その儚さも美味しさの一因です。粉末ゼラチンで強化して切り口が凛とした煮凝りも夏には見栄えが良いのですが、ズルズルでもご飯とすぐに馴染む煮凝りが日本人本来のソウルフードだったはずです。食欲の落ち気味な残暑の朝食も煮凝りがあれば、効率的にエネルギーの補給ができますよ。私も時々、週末自宅で作って、気仙沼の部屋にせっせと運んでおります。

2011/08/25(木) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

十三浜の様子

カテゴリー: 外食:蕎麦

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 十三浜
は志津川湾と追波湾に挟まれた一帯で、旧北上町の沿岸部です。現在は合併して石巻市に組み込まれました。恵まれた岩礁と北上川から運ばれる栄養で海藻類が良く繁茂し、それを餌にするアワビやウニも豊富です。ワカメ養殖も盛んで質の良い製品ができるので有名なのです。この十三浜、震災以来一度も足を入れていませんでした。隣の志津川や雄勝はよくテレビで放映されるのに、人口の少ない十三浜の漁村はあまり取り上げてもらえなかったように記憶しています。土曜日の昼前に気仙沼を出発し、自宅に帰る途中で志津川から十三浜を回って見ることにしました。


 


 志津川湾の南岸、戸倉の各浜を過ぎると神割崎のキャンプ場が見えてきます。昼時なのでちょっと休憩していきましょう。木々の合間から見える海の綺麗なこと。
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 三陸海岸の魅力は、この水の透明度なんですよね。学生の頃、遊びに来て、沖縄以外にもこんな綺麗な海があるのかと感激したものです。




 あれ、それにしても人影がありませんね。夏休み真っ盛りの土曜日だというのに被災地だから敬遠されているのでしょうか。
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誰もいないキャンプ場ほど寂しいものはありません。一体どうしたと言うのでしょう。陸前高田の薪ですら怖がられるのですから、それより、福島第一原発に近い宮城は諸に汚染地域として見られているのでしょか。このところ稲わらや牛肉の汚染が問題となっているだけに観光地としての魅力も失せたのでしょうか。


 お盆休みを利用してボランティアにやってくる方々もいれば、魂を慰め、国の安寧を願うべき五山の送り火を被災者の心を踏みにじるただの焚き火にしてしまった人たちもいます。原発事故は離れれば離れるほど恐怖感が増幅するように思えます。西日本から見ればみちのく全体が放射能汚染されているように見えるのでしょう。

 





 すると、トイレにこんな貼り紙が。なんと、まだ、水道が復旧していないのです。
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 震災から5ヶ月以上が経過してもこの周辺は水道が使えないのです。これではキャンプ場もオープンできませんね。考え過ぎだったかも。^^



 
 さて、お昼になりました。車の外気温計を見ますと、げっ、36℃を示しているではありませんか。壊れたんだろうか。この気温、日本では生まれて初めての体験かも。
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 そんなに暑かったのか。たしかに長い時間外にいますとクラクラしてきます。29℃設定の冷房がビリッと涼しく感じますからね。木陰に車を止めて、今日は車中食、とても外では食べられません。




 さて、お昼なんですが、十三浜では売店もやっていないだろうと予測して志津川で買っておきました。
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 以前の記事で紹介したセブンイレブン天王前店移動販売車からプレハブの店舗になっていたのです。商品も種類もぐっと増えて利用しやすくなりました。


 


 今日のお昼は冷やしとろろそばです。これで390円、まだ、しっかり冷えています。
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 パックのトロロの他にキュウリの千切りや刻み葱に海苔まで付いています。茹で立てではないけれど、このような過酷な環境でも冷たい蕎麦が食べられるのは贅沢なことですね。




 涼味を楽しんでまた、走り出します。小指(こざし)の手前から旧道に入りますと、倉庫や加工場の残骸だけになった漁村が目に飛び込んできます。
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 この細い谷状の集落はかなり上の方までやられていました。津波がかなりの高さまで駆け上ったようです。三陸沿岸ではこういう光景をよく見ます。




 相川の手前で道路の法面が崩れている箇所があり、車を降りて海を覗き込むと真っ茶色です。
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 崩れた所から今でも土砂が流れ込んでいるようです。これでは岩の表面が汚れて海藻の繁殖に影響が出てしまうでしょうね。




 相川に着いて呆然、家も漁協も郵便局も何もかもなくなっていました。
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 こういう光景は見慣れていたはずなのですが、思い出のある所が激変しているとそう簡単に受け入れることができないのです。




 驚いたのはこちら。青いパワーシャベルの辺りから対岸の中腹に陸橋が架かっていたのですが、跡形もありません。
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 歌津の海岸にもこのような陸橋がありましたが、ことごとくひっくり返されました。阪神淡路大震災の阪神高速のように地震で倒れたのではなく、津波で大破したのです。とてつもないパワーです。間近で見ていると背筋が寒くなってきます。




 さらに南下します。どのトンネルも電灯が消えて真っ暗です。まだ、電気も復旧していないようです。
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 夜はかなり怖いでしょうね。電灯のないトンネルは昔、山間部でよく見ましたが、不気味なものです。見ようによっては天井に不思議な模様が。




 ここは北上川河口に近い白浜海水浴場の背後地です。残った家は僅かですが、その家もダメージが大きそうです。
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 小さな浜ですが、あまり込まないのでお気に入りでした。夏以外は投げ釣りの好ポイントでもありました。おそらく瓦礫が流れ込んで釣りにならないでしょう。




 北上川の河口域に入りました。正面は2005年の石巻市との合併翌年に建てられた木造建築の石巻市北上総合支所です。
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公民館も併設する複合施設であり、津波の際の指定避難所でもありました。来る宮城県沖地震に想定される津波を考慮して海面より6.5m高く設計されたのですが、不幸にも50名とも70名とも言われる非難された方々のほとんどがなくなっています。想定外のこととはいえ、ここ以外にも指定された避難所を信じて、そこで動かずに亡くなれた方々があまりにも多過ぎます。




 北上総合支所から北上川沿いに土手道を遡りましたが、釜屋大橋の1Kmほど手前で通行止めとなり迂回路に入ります。ここで十三浜巡りは終わりとなります。
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 はっきり見えませんが、対岸の山の左端辺りが、津波で児童の7割に当たる74人が死亡並びに行方不明となった大川小学校です。  





 震災後初めて訪れた十三浜でしたが、今まだに水道や電気が完全に復旧していないようです。と言いますか、ライフラインを復旧させるべき集落や町がなくなっています。今後、この地域の復興をどうすべきなのか考えさせられます。それでも、壊れた漁港には津波を逃れた漁船が何隻も泊めてありましたので、じわりじわりと漁が再生するのでしょう。また、いつか同じような津波がやってくるのかも知れませんが、今回の教訓を活かして、人の犠牲が最小限になるような仕組みを作るべきです。ほとんどの神社仏閣が助かっているように。

2011/08/22(月) 05:00 | trackback(0) | comment(8)

菊池牧場の無塩せきソーセージ

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 少し前のことになりますが、盛岡のちょろりさんからクール便が届きました。開けてみますと、各種ソーセージが収まってました。これは以前にも頂いたことのある菊池牧場(岩手町)ソーセージではありませんか。材料にこだわり、無添加で本物の味を届けるために冷凍での発送となるのです。これは堪りません。さっそく、一通り頂いて見ましょう。^^





 ソーセージの下からは菊池牧場からのメッセージも出てきました。
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 ご主人は本場ドイツで修行を積まれたのですね。ゲゼルと言えば、マイスターの次のレベルでしたね。それでも、マイスターの下で見習いから始めて、3年以上の修行を積まないとゲゼルにはなれないそうです。





 それぞれに張られている食品表示を見ますと、いずれにも無塩せきソーセージと書かれています。
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 無塩せきとは何でしょう。詳しい説明は以前の記事をご覧下さい。掻い摘んで解説しますと、無塩せきとは、原料肉の塩漬けの過程で亜硝酸ナトリウム硝酸カリウム等の発色剤や着色料を使わない製造方法のことです。さらに菊池牧場では防腐剤も使わない本物の無添加ソーセージなのです。


 無塩せきソーセージはピンク色にはなりません。肉本来の色に仕上がります。いつの頃からか、日本人はハムやソーセージはピンク色をしているものと認識させられました。滑稽なのは魚肉ソーセージまで塩せきの畜肉ソーセージやハムに似せてピンクに染められていることです。タラコがピンクなのと同じで自然の薄茶色した食品より赤みがかった食品の方が売れたのでしょう。



 説明書きによりますと、フランクフルトなどの太めのソーセージは解凍後沸騰手前の湯に5分ほど浸けて、ウインナーなどの細身はフライパンで炒めて食べると美味しいとのこと。
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 フランクフルトは熱湯に入れてしまいますと、破裂してせっかくの肉汁が抜けてしまうことがありますので要注意。ウインナーも焦げ過ぎないように火加減に気を配りましょう。




 さて、今日のブランチは室内で。外は34℃の灼熱地獄なんです。
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独り暮らしだと昼からワインを飲めるのがいいですね。イタリアや南米でのランチを思い起こします。こうしてアル中の領域に踏み込んでいくのでしょうか。^^




 まずはウインナーブラートブルストなどのフライパンで焼いたソーセージ。
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付きっきりで焼きましたので、ちょうどよい具合に焼けています。まだ、あっつ熱です。




 マスタードをちょいと乗せてカプッ。ほどよい硬さです。
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 最近の日本では粗挽きでパリンと折れるやや堅めのソーセージが人気ですが、本来、ソーセージはよく擂ったきめの細かい口当たりなのですね。スモークがないので、肉本来の味わいが感じられます。





 こちらはふっくら温まったバイストブルストフランクフルトソーセージです。
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 これらはレモン汁だけでさっぱり頂いてみましょう。




 本場、ドイツではこのように皮を外して食べるのだそうです。
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 確かにこれらのソーセージの皮は噛み切れないくらいしっかりしています。肉汁が勿体ないくらい溢れ出ます。これもまた、肉がファインで滑らかです。堪えられませんね、この美味さ。見た目の美しさや保存性に囚われず、真っ当に作るとソーセージはこんなにご馳走になるのですね。




 スープ代わりのガスパッチョとマフィンを添えました。
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 さっと焼いたマフィンにソーセージを挟んで食べようかなと思ったのですが、この美味しさは純粋に楽しむべきと感じ、口直しにちぎって食べました。





 我が家の夏の定番、ガスパッチョです。トマトやキュウリなどの夏野菜をたっぷり摂ることが出来ます。
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 作り方は至って簡単。ミキサー(ブレンダー)と夏野菜があれば、取りあえず出来上がります。私のなりのこだわりを申せば、キュウリは皮を剥き、緑色が加わらないようにします。緑色とトマトのが混ざりますと、少し食欲の落ちる色合いになります。ソーセージは無塩せきで自然色がよいと絶賛していたのに、色を気にするのは矛盾するかもね。^^


 ニンニクは好みですが、隠し味程度が良いでしょう。玉葱は必須だと思います。あと、あれば、セロリの白い茎を少々入れますと香りが締まります。濃度を出すためにパンの欠片と調味は塩とオリーブオイルでお好みに。後は冷蔵庫でとにかく良く冷やしておくことです。出来ればカップも一緒に冷やしておきましょう。




 

 本物の美味しさを知っているちょろりさんの見立ては間違いありません。菊池牧場無添加ソーセージは岩手の誇りですね。スローフード運動ではないですが、大量生産で保存性の高いソーセージと違って、高くはなりますが、本物の味を守っていくことを忘れてはなりません。そして、子供達にこそ本物の味を知ってもらうことは将来のソーセージのためにもとても大切なことだと思うのです。
 

2011/08/19(金) 05:00 | trackback(0) | comment(12)