真鱈の真子の煮付け方
カテゴリー: 料理:買い魚
これは一体何でしょう。二匹のナマコのようにも見えますが、上が繋がってます。官能的でもあり、グロテスクでもあり、なんとも不思議な物体です。実はこれは真鱈の真子、つまり卵巣ですね。同じタラでも助宗鱈(スケトウダラ)の卵巣はお馴染みのタラコで、色は食紅で染めてありますが、皮(卵巣膜)も薄く透明です。大型になる真鱈の卵巣はこのようにごつく、色や模様も不気味です。
裏返しても同じで黒いタイツをはいたヒップのようですね。^^
この真子はもっぱら卵粒を絞り出して醤油漬けにしたり、加熱すると膜が破れてパラパラになるので、糸コンニャクと炊き合わせたり、金平ゴボウに混ぜたりして食べられていますね。
今日は真鱈の真子の姿煮をご紹介します。
まず、両足?をガーゼでしっかりと巻き上げます。^^
さらに全体をかっちりガーゼで包み込みます。なんだか、妙に痛々しいですね。^^
子供の頃に見た「ジョニーは戦場に行った」を思い出し、なにか熱い物が込み上げてきます。それでも、料理は続けます。^^
日本酒、味醂、醤油の混合液を水で倍量に薄めた煮汁に生姜の薄切りを何枚か加えます。
ガーゼ巻きの真子をそっと入れてから火を点けます。決して、沸騰した煮汁には入れないで下さい。急に加熱しますと膜が破れてしまいます。落とし蓋をして、沸騰の手前まで来ましたら、あとはストーブの上にでも乗せてじっくり40分ほど煮含めます。その後、煮汁のまま一晩置きます。ちょっと、目を離した隙に瞬間的に沸騰してしまいましたが、果たして大丈夫でしょうか。
一晩置いて完全に冷ました真子のガーゼを恐る恐る解いてみます。
卵巣の形は維持していますが、所々、膜が破けています。ちょっと油断して沸騰させたのが原因でしょう。
右足先端の崩壊と両膝外側の裂傷が認められます。^^
ガーゼを巻いていましたので、傷口から卵粒が放出されることはなく、全体が硬くまとまっています。
このように切り分けることが出来るくらい固まっています。
黒い卵膜とは裏腹に淡いベージュの断面が綺麗です。
こんな感じで盛り付けて酒のアテにしてみましょう。
このところ一生懸命利用しているセブン爺さんが育てたちょろぎ漬けを添えています。
大きな固まりを頬張りますと口の中でモサつきます。^^
ゆっくり良く噛んでよく味わいましょう。酒で口の中に残った卵粒を洗い流します。
どちらかというとご飯のおかずの方が向いているかも知れませんね。
スケトウのタラコの煮付けより、卵粒が細かく、ばらけ易いのですが、ご飯がそれらをまとめてくれます。
前記事の白子に次いで、体に悪そうな物ばかり食べているなと感じておられる方も多いと思います。魚卵はビタミンB1、B2、E等が豊富で利点もあります。特に血中コレステロールを下げるタウリンも含まれますが、生憎、コレステロール自体も高いので食べ過ぎは控えましょう。ただ、含有率は卵黄の4分の1程度、鶏レバーと同じくらいですので、あまり過敏になる必要はないと思います。