前記事では青森の伝統的なラーメン、すなわち、カタクチイワシの焼き干しを使ったあっさりスープの中細縮れ麺を紹介しましたが、この記事ではそれとは対極をなすこってり系の過激なラーメンを取り上げます。俗にこってりと言いますと、白濁豚骨や背脂チャッチャ系を指しますが、青森の場合は濃厚白濁豚骨に煮干しの強い風味が加わります。
この新分野がいつ青森に侵入したのかはわかりませんが、焼き干しの上品な香りではこってり豚骨スープに打ち負かされますね。それに対応できるのは、やはり癖のある煮干しでしょう。しかしながら、濃厚白濁豚骨と煮干しの組み合わせ、かなりインパクトがあろうことは想像に難くないですね。^^ その典型的なお店を2軒ご紹介いたします。
最初は、メキメキその腕を上げている長尾中華そばさんです。
新青森駅から青森駅近くのホテルまでの雪中行進の途上で寄りました。青森西バイパスに面したガーラタウン・青森ウェストモール(複合ショッピングセンター)の一角にあります。立地から見ても車で来るお店ですね。^^ 雪に埋もれていますが、7時から朝ラーもやってます。
温室的な二重扉が多い青森で近代的なデザインの店構えです。実は元中国料理店だったそうです。
紺地に白字の看板も粋ですね。2009年8月に青森中央インター近くのショッピングモールからこちらへ移転してきたそうです。
席に着いたのが10時頃、遅めの朝ラーです。時間も中途半端なのでお客もまばらでした。
風景写真を撮りながら雪中行進した後なので、レンズが曇って大変でした。拭いた瞬間にショット。
長尾さんではこってり系にこくという冠詞をつけて呼びます。こく煮干し、こく鰹。。。
しかも、こってり系だけではなく、あっさり系もあるのです。さらに、両者のハイブリッドであるあっこくなんてのもあるんですよ。ところで、こちらのメニューはよく出来ていますね(クリックで多少拡大します)。座標で商品のこくや味の濃さの相対的関係がわかるようになっているです。こういう数学的な整理は好感が持てますね。^^
朝ラーではあるのですが、この店の看板である進化し続けるこってり系のこく煮干しを頂きます。
良い面構えですねぇ。煮干しの香りが強烈に立ち上ります。スープは流行のWスープなんてもんじゃありません。天下一品並のとろみとそれに劣らぬ強さの煮干しなんですが、決して嫌味は感じず、むしろ、円やかです。 具には2種類の煮豚と極太メンマ、山のような晒し葱。この葱のしゃきしゃき感が実によい口直しになるのです。
麺は手打ち、中太、細から選択できますが、これは中太麺です。
これのむっちりした食感が堪らなくよいのです。このスープに細麺では実にアンバランスでしょうね。
医者から怒られそうですが、久々にスープまで完食。体を犠牲にしても飲み干したい美味しさでした。
前評判から煮干しで殴りつけられるような無骨な味を想像していましたが、強い香りに反して意外と優しい味でした。もっとも、私が毎日、煮干しの味噌汁を飲んでいるほどの煮干し好きなので、そう感じたのかも知れません。強く過ぎると感じる方のためにハイブリッドのあっこくが用意されているのでしょう。
続いて、さらに強烈なこってり煮干しのお店です。あっさりラーメンの旬麺さんの近くにあります田むらさんです。
元は生蕎麦屋さんだったそうです。言われてみれば、店構えもそんな感じですね。青森のラーメン屋さんは自家製麺の割合が高いようですね。
昼過ぎに入りましたので、ほぼ満席。人気の高さを目の当たりにします。
家族連れが多く、老若男女に親しまれているようです。
券売機には比較的多くのの献立がありますが、主軸はあっさり煮干しと鬼煮干しです。
これらに味噌やつけ麺、ざるなどのバリエーションが加わります。鬼煮干し。。。すごい名前です。闘う覚悟で食べなければならないようですが、もちろん、挑戦します。風写さんは煮干しこく味噌をオーダー、比較できるので楽しみです。
こちらは煮干しこく味噌。
もやしと葱の白と糸唐辛子の赤が品のよい美しさを表しています。
それに比べると、鬼煮干しは同じ値段ながら、少し殺風景。
よく見ますと、表面の脂が膜状に固まり始めています。むむむ、確かに鬼、これを食べたら、しばらく野菜生活をして血液を正常化しなければなりませんね。^^ 果敢にもスープを啜りますと、煮干しの様々な風味が全て強調されている感じです。上記の長尾さんと違って、酸味や苦味も活かされているようです。
名前は鬼でも煮豚の大きさはサービス満点。まるで肉料理のようです。
青森は伝統的に煮豚を厚めに切ったり、このように大きなものが使われるのでしょうか。値段から考えても庶民の味方です。
麺は弱い縮れの太麺です。癖あるスープにも負けない強さがあります。
スープとの相性はこれでよいのでしょうが、強い味の連続に多少疲れます。こちらにも茹でもやしが乗っていますと、途中で舌を休ませることが出来るのですが・・・。
青森の煮干し・焼き干しをベースにした伝統的ラーメンに濃厚白濁豚骨が加わったこってり系のラーメンが出来上がったのはいつの頃なのでしょう。ご当地ラーメンブームで青森のあっさり魚だし系ラーメンが世に知れると同時に、こってり豚骨系ラーメンも雪崩れ込んできたのかも知れません。いずれにしましても、青森のラーメンはあっさりとこってりの両極が楽しめることが常識となりつつあります。これがあと10年もするとこれも伝統となってしまうのでしょうね。
魚ダシ系のあっさりラーメンが伝統だった青森にも、流行りのつけ麺も入ってきていました。次は青森で今話題のつけ麺をご紹介いたします。
長尾中華そば
・所在地 :青森県青森市三好2-3-5 ガーラタウン内
・電 話 :017-783-2443
・営業時間 :7:00~21:45(金曜 11:00~)
・定休日 :不定休
・駐車場 :あり
田むら
・所在地 :青森県青森市緑3-4-12
・電 話 :017-722-8667
・営業時間 :11:00~16:00(日・祝~18:00)
・定休日 :水曜
・駐車場 :あり
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