ムール貝の白ワイン蒸し
カテゴリー: 料理:貝類
これは皆様よく御存じのムール貝です。和名はムラサキイガイと申しますが、実はヨーロッパから渡って来た帰化生物なのです。近年、遺伝子解析の結果、フランス人が泣いて喜ぶあのムール貝と日本の防波堤にびっしり貼り付いているあのムラサキイガイが同種であることが判明しています。
宮城県ではムール貝をしうりがいとかしゅうりと呼んでいますが、ヨーロッパほどあまり珍重していません。養殖されているカキやホヤにくっ付いて成長した大きなムール貝がたまに市場に出るくらいです。鮮魚コーナーをまめに巡回していますと発見できますよ。冬から春にかけては産卵に向けて体に栄養が蓄積される時期ですから身も肥えて美味しくなります。
ムール貝はヨーロッパではもっぱらスープやパエージャなどにして利用されます。今日はワイン蒸しを作ります。
エシャロット(なければ玉葱)とニンニクの微塵切りをサラダ油で炒めます。バターを使えば美味しくなりますが、サラダ油でも十分です。
エシャロットが透明になったら、付着物を綺麗に削ぎ落としたムール貝を入れます。
直ちに白ワインを半カップほど加えて蓋をします。
5分ほどして貝が口を開け、中の身に火が通って透明感がなくなったら、貝だけを引き上げます。
残った煮汁はさらに煮詰めて、味を調えます。
皿に盛ったムール貝にこのソースを戻してやれば出来上がりです。
さあ、冷めないうちに頂きましょう。
メインにはなりませんが、前菜代わりでワインを飲むのによいですね。
アサリの酒蒸しよりは食べた感じがします。ヨーロッパの人はこのムールが大好きで専門にこれを養殖もしています。
ちょっと、オサレな食べ方をご紹介します。
このように空いた殻をピンセット代わりにして次の貝の身を食べていきます。これ、パリジェンヌの常識です。
ところで、ムール貝にも雄と雌があります。
左の橙色が雌で卵の色ですね。右のベージュ色のが雄になります。牡蠣もそうですが、よっぽど熟さないに限り、両者の味の区別をできる人はいないでしょう。
宮城県ではアサリの旬は春というより、初夏ですが、ムールは冬から春です。よくスパゲッティボンゴレを周年出しているお店がありますが、この時期みちのくのアサリはまだ身が入りません。冷凍物や輸入物も使わないとやり切れないでしょう。また、産卵後の痩せる時期でもムールを使ったパスタやパエージャを出されることがありますが、季節ごとに美味しい貝を使えばいいのにと思ってしまいます。見栄えや雰囲気って大切なんでしょうけど、消費者も旬はずれの見てくれではなく、実質的なお味で店を選ぶべきでしょうね。