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頼まれ仕出し料理人

カテゴリー: 料理:買い魚

 ひょんなことから、イワナニジマスを養殖する養鱒業に関係のある方から、イワナの試食会をやるので刺身を作ってくれないかと頼まれました。なにもこんな素人に頼まないでプロに頼めば良いものを・・・と思いましたが、プロに頼めばお金が掛かりますからね。それに、今回のイワナはただのイワナじゃないそうで、全雌三倍体というバイオテクノロジーの産物とのこと。種なしスイカやブドウと同じく、卵や精子を作らないので、イワナの産卵期であるこの時期でも美味しく食べられるが特徴らしいのです。その味にちょっと興味もあったので刺身造りを引き受けました。
 



 骨皮付きのフィレーが4枚提供されました。2枚が味・肉色とも優良でこれを使って欲しいとのこと。あとの2枚は練習用です。
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 イワナ
の粘液はもの凄い。このままでは皮を剥ぐことも出来ません。フィレにはなってますが、包丁とタワシで擦り取り、丹念に水洗いしてからさく取りをしていきます。かなり脂は乗っているようです。端切れを食べてみましたが、特に臭みはなく、ちょっとカンパチかシマアジのような味わいです。海水魚より少し身の柔らかさを感じましたので、食塩水にさっと浸して締めることにしました。
 



 さらに、一方を昆布締めにして、味の変化を付けてみることにします。
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 濡れ布巾に包んで戻した昆布に挟んで一晩置きました。9時までにお届けしないといけないので、朝の5時から調理に取りかかります。
 



 こちらは薄作りを主体に昆布締めイワナを花造りで盛り込みました。
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 上に付いている石は、実はオブジェであって本物ではありません。知り合いの陶芸家が焼いた作品で、料理の皿ではないのですが、私がもらうとこうなります。^^ 岩脇に薄造りで流れを造り、川岸に花を配置しました。秋に食べられるイワナを強調するために、紅葉をこれに散らしています。
 




 もう一方は、皿鉢風にぎっしり盛り込んでいますが、にぎり寿司とそぎ造りがメインです。
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 カンパチやシマアジを連想させたので、もしかしたら、伊豆諸島や小笠原で食べられている島寿司がいけるのではと閃きました。島寿司はづけにした白身を山葵ではなく、芥子で握った寿司です。比較のためにそのままの刺身も山葵で握って添えました。
 




 さて、これを無事に配達すれば、私の任務は完了です。
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 まるで仕出し屋さんごっこですね。^^ いつもより運転が3倍くらい慎重でした。
 





 御礼にお酒を頂きました。新潟の高橋酒造の大衆酒、百年樹長陵です。
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新潟の酒は2000円以下の本醸造でも美味しいのが特徴ですと、新潟の地酒専門店都屋さんの会長が言っていたのを思い出しました(関連記事)。
 




 余ったさくを晩酌用に捌きます。血合が実に美しい。黙って出せばタイだと思うのではないでしょうか。
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 かつて渓流釣りにはまっていた頃にイワナもずいぶん食べましたが、刺身にしたことはなかったですね。十分な脂の乗りは養殖物だからかも知れませんが、くどくなくさっぱりとした脂です。
 





 宮城のイワナで新潟の酒を頂きます。本醸造はぬる燗がいいですね。
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 楽しかった仕出し屋さんごっこを思い出しながらイワナを味わっています。でも、朝が早かったのですぐに眠気が襲ってきました。
 





 これは甘辛く炊いたイワナのアラ煮です。
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 イワナのアラ煮なんて初めてです。魚体も50cm位ありましたので、肉もたっぷり。煮汁にもかなり脂が浮いていましたので、刺身も美味しいわけです。
 



 この全雌三倍体イワナはこれから宮城県内の養鱒場で生産されていくそうです。温泉宿でこれが食べられるようになったら、新しい名物になるでしょうね。山の中でマグロ甘エビが出されて興醒めすることがありますよね。それがイワナの刺身だったら旅の思い出も広がることでしょう。刺身だけではなく、様々な料理にも適性がありそうですので、イワナづくしも新しい名物料理になる可能性があります。






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2010/11/07(日) 05:00 | trackback(0) | comment(4)
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