旬の鱸(すずき)を梅でさっぱり
カテゴリー: 料理:釣り魚
牡鹿半島でフッコが釣れました。残念ながら釣り人は私ではなく頂き物です。ご承知のようにスズキはブリと並ぶ出世魚でセイゴ-フッコ-スズキと成長につれて名称が変わります。セイゴのサイズは地域によりまちまちで、30~40cmまでとされているようですが、スズキは60cm以上とほぼ統一されています。
スズキは水質汚濁に強く、かつての汚染が酷かった東京湾でもよく釣れました。ところが、ことごとく重油臭が強くてとても食べられた代物ではありませんでした。宮城に帰ってからも旧北上川の河口辺りで釣ったことがありましたが、たまに臭い個体にも遭遇しました。やはり、港湾施設や漁港の近くのスズキは信用できません。
このスズキは全長53cmでしたのでフッコに相当します。少し痩せ気味ですね。猛暑により食欲が落ちたのでしょうか。^^
夏のスズキは本来、脂も乗って美味しいのですが、果たしてどうでしょうか。仙台新港や貞山運河で釣れたものだったら、丁重にお断りしたのですが、牡鹿半島産となれば期待が大です。
とりあえず、三枚に下ろします。さて、どのようにして頂きましょうか。
仕事から帰った後なので、あまり手の込んだことは出来ません。同時進行で3品ほど拵えてみましょう。暑さ真っ直中なので梅干しや梅酢を使ってさっぱりと仕上げたいと思ってます。
まずは、定番のお造りですが、かなり脂が乗っていますので、レモン〆めとそぎ造りにします。
そぎ造りは梅肉、つまり、叩いた梅干しをちょいと乗せて食べてみるつもりです。
もう一つの半身は梅酢を塗りながら焼いてみます。
梅酢はかなり塩分が強いので漬け込むわけにはいきません。塩を振らない変わりに梅酢の塩分と酸味で調味しようという企みです。
こんな感じで焼き上がりました。途中、刷毛で梅酢を3回ほど塗ってます。
あしらいはスダチと梅酢漬けのミョウガです。
残ったアラですが、このところ、コチュジャンでメウンタンばかり作っていましたので、今日は和風に潮汁です。
これにも仕上げに梅酢を加えています。白髪葱とスダチを浮かせました。なお、スズキは生物濃縮の模範のような魚なので肝は食べません。
さて、ちょっと遅い夕餉となってしまいました。
スズキの味がとても気になります。ちょろりさんから頂いた小久慈焼きの片口とぐい呑みは大のお気に入り、冷酒を飲む時には大抵登板します。
まずはお造り盛り合わせです。鮮度抜群で身が締まってますが、脂もほどよく回って甘味を感じます。
梅肉やレモンの酸味で食べることにより、脂が適度に中和される感じです。
梅酢の付け焼きも想定以上に美味しかったです。
上品な白身に梅酢の酸味が加わって,夏向きの焼き物となりました。
兜や鎌も一塩して一晩おき、朝に焼いて頂きました。
目の下の筋肉がシコシコして堪らないのですよ。脳天の筋肉もほじくって頂きます。
スズキは東京湾でトラウマになっていて、釣れてもあまり口にすることがなかったのですが、釣り場を選べばこんなに美味しい物だと言うことがよくわかりました。古くから夏の旬味の代表格だったわけで、海が汚濁されていなければ鯛や平目に匹敵する高級魚だったのですね。スズキは汚濁海域で生活すれば、臭いとなってその経歴がわかりますが、むしろ、カレイ類やマハゼのようにどんな汚れた水域に棲んでいても臭わない魚の方が怖いような気がしてきました。もっとも自然に恵まれた宮城に帰ってまで、工場地帯や生活排水が流れ込むような水域で釣り糸を垂れることはまずありませんが。 ← ランキングに登録中です。クリックでご声援お願い致します。