知人より立派なアナゴを頂きました。そう言えば、もうアナゴの夜釣りのシーズンですよね。このところ、週末も何かと仕事が入り、釣りにも久しく行ってませんでした。新鮮なアナゴ、有り難いですね。しかも、すでに開いてあります。まったく神のような方です。^^
アナゴは前処理次第で仕上がりが変わります。鰭を切り取りますと口触りがよくなります。
そして怠ってはいけないのが、ヌメリ(粘液)取り。包丁でしごいて何度もヌメリを取り除きます。最後にたわしでよく洗います。ここで手を抜くと生臭い料理になってしまいます。
まずは、沢煮を作ってしまいましょう。いわゆる江戸前の寿司の煮アナゴですね。
醤油、味醂、日本酒を水で薄めた煮汁で20分ほど落し蓋をして弱火で炊いてきます。アナゴには味があまり付かないように薄味の煮汁にしておきます。
炊き上がったアナゴはヘラなどを使って慎重にまな板に並べます。
炊き上がりは非常に柔らかいので箸で摘まんだりしますと崩れます。なま板に乗せましたら、冷めないうちに平らに伸ばして形を整えます。つまみ食いをしたい欲望と必死に戦っています。^^
残った煮汁を沸騰させ、いわゆるツメを作ります。
醤油が多いと辛くなりますので、味醂を加えたりして味を調えます。とろりとしたら出来上がりです。
酒が飲めない細君用にアナゴ丼を作りました。
1尾半分のアナゴが乗っています。ご飯とアナゴにツメを垂らして粉山椒をぱらり。お寿司屋さんで食べたら1500円は下らないでしょうね。^^
私は酒の肴にもなるアナゴの押し寿司にしました。
関西の焼きアナゴの押し寿司とは違って、江戸前のとろりと崩れる煮アナゴで作った押し寿司も佳い物です。
こちらは白焼き、山葵醤油で食べるのが定番ですね。
腹部の小骨が硬そうだったので、骨切りをしたのですが、これがよくなかった。水分が抜けて少しパサついてしまいました。アナゴの小骨はよく噛んで食べればよいのです。
ここまで来たら、アナゴの天ぷらも作ってしまいます。これは山椒塩で頂きます。
どれもアナゴの美味しさを引き出す料理です。今夜はアナゴ尽くしの夕餉にして、思う存分楽しみます。
アナゴ料理のオンパレード。じっくり味わって頂きます。
アナゴは料理によって、その味わいが大きく変わる魚です。煮アナゴのほろりと崩れる食感と白焼きの脂が滲んだカリッとして食感・・・同じ魚とは思えないような変わりようです。
本日の晩酌には、山形県天童市水戸部酒造の酔芙蓉出羽燦々(大吟醸)です。
大吟醸の割にはリーズナブルなお値段が魅力です。リンゴのような香りと純米酒ならではのコクのある味わいがアナゴの濃い味にも負けていません。
毎年、夏にはアナゴの夜釣り行って、釣ったアナゴの料理を堪能するのですが、今年は自分で釣らずにアナゴを頂いてしまいました。^^ 本当にアナゴは美味しい魚です。宮城県ではアナゴをハモと呼びますので、関西でよく食べられいるハモ(鱧)とごっちゃになって面倒なことになることがあります。宮城には万葉の時代以前から都人が往来していますが、みちのくに分布しないハモを恋しがって、アナゴをハモと呼んで代替にするようなことはなかったでしょう。アナゴはつかむとたまに噛みつくことがありますので、食むが変化してハモになったという説もあります。しかしながら、どれも今一、信憑性に欠けますね。

