知り合いの養殖業者さんに頼んでおいたものが手に入りました。あかはたという海藻です。養殖筏には勝手に生えてくるのですが、まず、魚屋さんで売られることはないでしょう。ご覧のとおり、赤褐色でひらひらと旗めくような形をしています。どうやら、あかはたというのはみちのくの方言で、正式にはフダラクやツルツル、ベニスナゴなどの総称のようです。ただ、青森県の八戸であかはたと言って餅に加工する海藻はアカバギンナンソウというまた別の海藻ですね。
この海藻は以前より海で見つけるとその場で口に入れて、その独特の食感を楽しむのですが、今回はちょっと料理にしてみたくお願いしていた次第です。
あかはたはツルツルとした滑らかな表面感と噛んだ時にキクラゲのようなプリプリ、カリカリ感が楽しいのです。
前記のようにあかはたは何種類かの海藻の総称ですので、形も少し異なりますが、このような蘭(ラン)の葉のような形をしたものが美味しいように思います。
葉や根の形状からツルツルという海藻だと思うのですが、きちんと同定しておりません。
いつもは海で食い千切るのですが、今日は料理するために食べやすいように切っています。
野趣も残したいので、少し大振りに切った方が良いと思います。
今回はあかはたのしゃぶしゃぶを考えているのですが、豆腐も入れて湯豆腐風にしています。
同じ海藻の昆布でダシを取り、豆腐は早めに浸してダシを吸わせておきます。
さて、段取りが整いましたので、テーブルでしゃぶしゃぶしていきましょう。
今日はお酒もなしで実にヘルシーな夕餉です。二日酔いじゃありませんよ。^^ 呑まなくても過ごせる日を少しでも増やそうと懸命な努力をしているのです。
あかはたを湯に潜らすと小豆色がさっと緑に変わりますが、ワカメのような鮮やかな緑ではありません。
あかはたはワカメよりも肉質が硬いので、さっと色が変わったくらいでは柔らかくなりません。
今日はポン酢で頂いています。さっと潜らせば、キクラゲのようなカリカリした食感。少し煮ればコンブのようなスコスコした感じになります。
熱の通し具合で食感が変わるのもこの海藻の面白いところです。磯の香りがほんのりするのは若布や昆布と同じです。
翌日の朝、残ったあかはたを味噌汁に放してみました。
ワカメとは違った食感が新鮮です。千切りにして煮えばなにさっと放すのもよいかも知れません。
あかはたを食べるのは宮城では養殖業者さんのごく一部くらいかも知れません。十分に美味しいのですが、ワカメのような柔らかさやコンブのような濃厚な旨味があるわけではないので、昔から売り物にならなかったのでしょう。野山の野草でも、柔らかくアクの少ないものが(アクがあっても美味しいものはアクを抜いて)、山菜として利用され、これらのうち栽培の容易なものは野菜として改良されてきたわけですが、海藻の場合でもあかはたは養殖するまでの価値は見出せなかったのでしょう。いまの時代ならヘルシーな海藻サラダとしてや珍味として普及するのではないかと思いますが、如何でしょう理研ビタミンさん。^^