今年もニシンの山椒漬け
カテゴリー: 料理:水産加工品
また、今年も木の芽の季節が参りました。木の芽、すなわち山椒の若葉は実に清々しい香りです。庭の片隅に植えた朝倉山椒、実家で鉢植えにされていたものですが、人の丈ほどになりました。我が家では毎年、この木の芽をたっぷり使って会津の郷土料理、身欠きニシンの山椒漬けを仕込みます。この美味究真を始めてから、これで3回目の山椒漬けづくりとなりました。
待ちに待っていた木の芽が一斉に吹き出しました。
肥料をやるわけでもないのに、毎年、立派に葉や実を付けてくれます。
枝先のまだ柔らかい葉を摘み取っていきますと辺り一面に柑橘系の香りが立ち込めます。
この若葉の香りは個性的なためか、田楽や和え物に使う木の芽味噌、調味液に刻み込む木の芽焼き以外にこれを積極的に使った料理はあまり知りません。
さて、漬け込む身欠きニシンですが、ソフトタイプではなくがっちり乾されたハードタイプを求めます。
ソフトタイプは食べやすいのですが、噛むほどに味わいが出てくるのは断然ハードタイプです。
米の研ぎ汁に一晩漬けて、柔らかくなったら付着している鱗や汚れをきれいに掃除します。
鰓蓋や尾の付け根の硬い部分などを切り取り、長さを揃えます。米の研ぎ汁を使うのは、酸化した脂を取り除くとされているからですが、現在の冷凍保存された身欠きニシンは以前ほど脂が酸化することはないでしょう。
身欠きニシンがちょうど入る容器に山椒、ニシン、山椒と積み込んでいきます。
鷹の爪を適宜に散らし、酢と醤油を同量で合わせた漬け汁を注ぎます。甘味が欲しい場合は味醂を適当に加えます。
ラップを被せ、その上にポリのトレーを乗せ、さらに重しをします。
重しはよく洗った石でも構いません。最低4~5日は漬けましょう。味見をして味が薄いようなら調味液を足し込みます。その際、身欠きニシンの順序を変えて、均等に漬かるようにします。
さて、1週間経った身欠きニシンの山椒漬けです。今年は美味く漬かりましたでしょうか。。。
この瞬間が緊張します。ニシンの干し具合や品質で微妙に仕上がりが異なるからです。
今年も美味しく漬かりました。山椒の香りがなんとも言えません。
噛み締めるとじゅわっとニシンの脂と酸味が溢れます。この取り合わせがなんとも絶妙なんです。
これはご飯のおかずにも良いのですが、やはり日本酒の肴でしょうね。飲兵衛の意見ですけど。^^
会津では専用の陶器の漬け鉢に大量に漬けて、農作業のたばこ(休息)にお茶請けとして摘んだそうです。鄙びた風味ながら豊かな味わいを感じます。
少し前ですが、山椒漬けを仕込んだ頃に頂いた山菜です。
コシアブラとコゴミですね。そいえば、山菜を採りに行くことがなくなりました。これも加齢現象なんだろうか。。。
コシアブラは天ぷらにコゴミは胡麻和えで頂きました。
コシアブラはタラノキと同じウコギ科特有の香りがいいですね。さっぱりしたコゴミには胡麻でコクを補うのが美味しく食べる知恵ですね。
今年もまた、身欠きニシンの山椒漬けを味わうことが出来ました。。。と書きますと、余命幾ばくもな感じですが、一年待ちに待って旬の食べ物を心から味わうのが大好きなんです。保存食も作っておりますが、あまりの季節外れに味わうのは無粋ですね。山椒漬けも半月ぐらいのうちに食べてしまわないと味が劣化していきます。それに冷凍してまで食べる物ではないでしょう。また、次の木の芽のシーズンまで、心待ちにして食べるから感動も大きいのです。

