呑み仲間で山形県庄内地方ご出身のanegoさんより、郷里の食べ物をあれこれお裾分け頂きました。手前の皿は小真木大根の沢庵、瓶詰めが山菜シャクの切り和え、奥の皿にはくどき上手で有名な羽黒町亀の井酒造さんの酒粕です。本日はこれらを使って夕食の献立を考えてみたいと思います。これらを前にしてしばし、瞑想。^^
まず、最初に小真木大根の沢庵ですが、「漬かり過ぎて塩辛いかも・・・」とのことでしたが、薄く切ればご飯にちょうど良い加減です。
小真木大根は庄内の伝統野菜です。細長く、生では辛味が強いので蕎麦の薬味にも使われるそうです。干しますと家庭用のホース位の細さになりますが、普通の大根以上にパリンパリンの歯応えがあります。anegoさんによりますと、庄内の正月にはこれのハリハリ漬けが付き物だそうです。普通、ハリハリ漬けと言いますと、割干し大根や切り干し大根を用いますが、庄内では干した小真木大根を輪切りもしくは銀杏切りにして漬け込むのだそうです。
anegoさんが小真木沢庵のキンピラを紹介しておりましたので、油に合うなと直感しました。そこで歯応えが残る程度の微塵切りにして胡麻油少々とご飯に混ぜ込みます。
小真木沢庵のパリパリを相性の良いご飯と油に合わせてみたのですが、ご推察の通り、これは韓国料理ですね。
韓国から持ち帰った乾海苔がまだ残っていますので、キムパブにしようという企てです。
韓国海苔はこのように無造作に藁で縛って売っていました。右のように漉き方もラフで隙間だらけです。もちろん、日本の乾海苔のように隙間がなく、密に漉いた海苔も売っていましたよ。これは岩海苔と言うことなのですが、刻み方の粗い養殖海苔のように思えます。
具は小真木沢庵の細々だけのキムパブです。手前はしゃぶしゃぶ用の豚スライスでこのご飯を包んだ肉巻き飯です。
海苔巻きは仕上げにごく薄く胡麻油を塗って、白胡麻を振りかけます。肉巻き飯は韓国語でテジコギパブでしょうか。って言いますか、こんな料理が韓国にあったかな。
続きまして、山菜のシャクの切り和えは清々しい風味を活かすために豆腐と組み合わせます。
木綿豆腐は厚さに2cmに切り、まな板に並べて重しをして脱水しておきます。シャクは野人参や山人参と呼ばれ古くから利用されてきた山菜です。セリ科特有の香りが命です。宮城でも半日陰の沢沿いなどに自生しており、我が家ではよく春菊替わりに天ぷらで食べてきました。このシャクを湯がいてから刻み胡麻とともに味噌に混ぜ込んだものが庄内流の切り和えのようです。
豆腐が締まったら、軽く塩胡椒し、弱火のフライパンでじっくり焦げ目を付けていきます。
手前は前出の小真木沢庵入り肉巻き飯です。同じ作業で味の移らない場合はこのようにまとめて一遍にこなしています。
豆腐ステーキに香り豊かなシャクの切り和えを乗せて出来上がり。
豆腐はシャクの香りを邪魔しませんので、春の香りを存分に楽しめます。暖かい日なら冷や奴に乗せてもよいのですが、寒い日には温奴や豆腐ステーキの方が有り難いですね。
さて、羽黒町亀の井酒造さんの酒粕は漬け物衣と汁物にしたいと思います。
酒粕はレンジにかけて柔らかくし、同量の白味噌とよく摺り合わせていきます。お湯を加えながら右のようなペースト状になるまで摺り合わせます。亀の井さんですから、酒米は山田錦か雄町でしょうか。最近はさらに多種な酒米で醸造されてますので酒粕の味も様々なのでしょうね。
これは近所のスーパーで買った甘塩ギンザケの端切れなのですが、カマや尾柄部も入って200円。お得でした。
カマは粕汁用にして、切り身は粕漬けにしたいと思います。
酒粕と味噌を摺り合わせた漬け衣をラップに塗って、切り身を並べて右のように包み込みます。
これは2・3日寝かせた方が美味しいので、今晩には間に合いません。
粕汁にはカマの部分と適当な野菜を見繕って作ります。
今月から夫婦二人なのですが、いまでも作る量の加減がピンと来ません。たぶん多めに作ってしまうのでしょう。
田舎ダシのパックでダシを取り、煮えにくい根菜類から入れて、鮭やキノコ類を加えたら、酒粕味噌で調味して最後に葉菜やネギを散らします。
この粕汁、原料が良いため会心の出来です。クリームシチューのように円やかで滑らか。それでいて、いわゆる酒粕臭さが全くありません。
今晩は庄内の味覚を少しアレンジして3品拵えてみました。和韓折衷の献立ですが、ご飯、おかず、汁物に満遍なく庄内を散りばめたつもりです。
テーブルに着きますと健康ヲタクの細君は開口一番「緑がない」。慌てて畑のつぼみ菜を取ってきて湯通して添えましたよ。^^
こちらは後日のギンザケの粕漬けです。これもスッキリした甘さが秀逸な粕漬けとなりました。
美味しいお酒を醸造する酒蔵の酒粕は、やはり美味しいのです。これを使った粕漬けが不味いはずがありません。
anegoさんのお陰で庄内の味覚を一度に3つ楽しむことが出来ました。普段だと酒屋に吹っ飛んで行って、くどき上手でも仕入れてくるところですが、昨晩は宴会で午前様。本日は数少ない休肝日です。それでも酒粕はほんのりとアルコールが感じられますので体は満足してくれたようです。って書きますと、まるでアル中ですね。^^ 呑み間隔を広げる努力が必要とされるお年頃ですので、少しずつ精進して参りたいと思います。

