前記事では釣ってきた貴重な獲物であるネウ(アイナメ)の捌き方をご紹介しました。今回はいよいよ、料理らしくなりますよ。ネウで献立を考える場合、少なくとも刺身の他に焼き物または揚げ物と煮物か汁物は取り入れたいですね。ネウはたった1尾だけですが、身だけではなく、兜やカマ、鰭や内臓など個性のある材料が揃いましたので料理の幅も出す事が出来ます。それでは、さっそく取りかかりましょう。
捌いたネウはこのような状態となってます。
三枚おろしの片身は刺身用、もう一方は焼き物用、中落ちやカマは潮汁に、鰭はカリカリに焼いて煎餅にしてみたいと思います。
まず最初に刺身ですが、この時期のネウはまだ脂もなく、旨味も薄いので昆布締めにします。
皮を引いたフィレーを昆布に挟んで昆布の旨味を吸収させます。昆布は上等なものでなくても結構です。乾燥している昆布を濡れ布巾などに包んで柔らかくしてから挟み込みます。決して水で洗ったりしないで下さい。昆布の表面に結晶化している旨味が流れてしまいます。
3時間ほど昆布で締めますとネウの身はうっすらと飴色になり、昆布の旨味がたっぷり染み込んでいます。骨抜きで小骨を取ってから薄作りにしました。
昆布に水分も吸収されて、ねっとりとした食感になっています。多少、塩気も移っていますので、生醤油ではなく、煮切った酒で割り醤油にするとよいでしょう。なお面倒な小骨取りを省略する作り方もあります。詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
続いて中落ちや兜などのアラ料理ですが、通常、味噌や醤油で味付けしたアラ汁になるのですが、今日は塩だけで潮仕立てにしてみます。アラは湯通ししてヌメリを落としておきます。
潮汁の場合は塩だけの調味になりますので、臭みが隠せません。そこで、兜や鰭など粘液が覆っている表皮の部分は事前に熱湯をかけて白くなったらこすり落としておきます。こうしますと、汁に生臭みが移りません。
昆布締めに使った昆布をさっと洗って、酒を加えた水で煮出し、沸騰したら滑りを落としたアラを加えます。
今日は沖縄の中身汁のように胃袋の千切りも入れています。これがよい食感のアクセントとなります。仕上げに塩で味を決めますが、塩は天日干し塩を使うことをお薦めします。特にこのようなシンプルな料理では塩が大きく影響します。
次は本日のメインとなります焼き物ですが、春らしく菜の花焼きにしてみます。まだ、脂の乗りが今一なのでこのような変わり焼き物もよいでしょう。鰭(ひれ)や皮はごく軽めの塩と胡椒を振って一緒に天板に並べます。
ネウのフィレーには軽く塩をしておきます。リング上にしたら、爪楊枝で止めて形を固定します。卵2個をよく溶き、塩胡椒で軽く調味します。卵液を1/4位を取り分けておき、残りに前記の潮汁を冷ましてから小さじ1杯加えて半熟のスクランブルエッグに仕上げます。よく冷めましたら、取っておいた卵液と青菜の細々を混ぜ合わせて、ネウのリングに詰めてガレット風にします。
オーブンを200℃にセットし、15分ほどで焼き上げます。
鰭の胡椒焼きもカリッと焼き上がったことを確認します。まだのようであれば、ネウのガレットを取り出した後に再加熱します。
こんな感じでネウの菜の花焼きが出来上がりました。胸鰭の胡椒焼きを添えますと何となく春らしくふわふわ飛んでいるように見えませんか。^^
スクランブルエッグはオーブンでも再度加熱されますので、潮汁(ダシ汁)を加えて硬くならないように配慮しました。この菜の花焼きはタラやカレイなどの他の白身魚にも応用できます。
こちらも鰭や皮の胡椒焼きです。黒胡椒が利いた一種の骨煎餅ですね。
油で揚げていないのでヘルシーなおつまみです。魚1尾を料理しますとこのような副産物も手に入ります。
魚ばかりですと栄養のバランスが崩れますので、菜園のつぼみ菜のお浸しと厚揚げやコンニャクの煮物も作りました。
つぼみ菜のお浸しには庭の土筆を含め煮にして天盛りしています。煮物は弁当にも使えるようにたっぷり作っています。
たった1尾の貴重なネウを楽しみながら料理4品に仕上げてみました。
春をイメージしたネウの料理。。。だけどもだけど、これをたった一人で食べるのはあまりに悲しすぎますね。^^
今週末には東京から奥さんと次男(15歳雑種)を回収してきます。これでやっと新年度の家族の体制が整います。ただ、鎹(かすがい)である子供はいなくなりましたので、次男だけが頼りです。今後は夫婦で共通の趣味を作りながら、ぼちぼちとやっていくつもりです。