これがアサツキ(浅葱)と言っても宮城県民にはにわかに信じがたいですね。普通、アサツキというとスラッとした緑の小葱を思い浮かべます。ところが、これが山形、特に庄内地方で言うアサツキなのです。以前、呑み友であり、庄内出身のanegoさんが、この変わったアサツキを紹介していました。その記憶がありましたので、先日、山形県天童市の道の駅に立ち寄った時、ああこれか!と思わず買って来た次第です。今回はこれを色々料理して楽しんでみましょう。
天童市の国道13号にある道の駅は愛称でわくわくランドと呼ばれています。温泉もあり物産販売所や書店もあって半日は過ごせそうです。
この日は山形市の息子の引っ越しを手伝った帰り道。温泉に浸かっている時間がなかったので、サンピュアでお土産物だけを探してみます。
生産者直売の農産物を始め、果物の加工品、地酒まで取り揃えてありますよ。
売り場の端には蕎麦や定食が食べられるコーナーもありました。
フルーツ王国山形を代表する果物はさくらんぼとラ・フランス。家族におしどりのミルクケーキ、ラ・フランスバージョンとラ・フランスのソースを購入。
私には六歌仙のにごり酒を仕入れました。訪韓以来、マッコルリのようなにごり酒に惹かれるようになりました。^^
そして、初めて出会った山形の春のアサツキです。ワンパック198円でしたが、思わず3パックも買ってしまいました。
家族で色々な料理を楽しむにはこれくらいは必要なのですが、細君からは案の定、また、そんなに買って来てぇ、、、の労いの言葉を頂きました。
じっくり眺めてみますと、どれも根が曲がっています。雪の下で圧迫されて育ったからでしょうか。
実は庄内の春アサツキは、芽が出始める年明け頃から畑より掘り出され、トレーに並べてハウスの中で1週間ほどさらに芽を伸ばさせます。従いまして、太陽の方向に芽が伸びようとして、このような形になります。その後、ひげ根を取り除き、良く洗って出荷されます。切らなくてもよい長さなので、そのまま料理に使えて便利ですね。
極寒期の青菜が不足する時期に少しでも緑の物をと考えた結果、産み出されたものなんでしょうね。こういう思い付きを農産として普及させ、季節の旬味として定着させた山形県民に敬意を表します。
まずは、そのままさっと湯がいて、ダシ醤油で頂きます。
緑の葉の部分と白い球根が同時に味わえます。葉の部分がしゃきしゃきとよい歯触りで、球根からねっとりとした甘さが広がります。でも、やはり葱の仲間ですね。後からピリッとした刺激も伝わってきます。
続いて、定番の酢味噌和えでは、当たり前なので韓国風に酢コチュジャン(チャジャン)和えを作ります。
韓国から持ち帰ってきたコチュジャンを酢で延ばし、甘めの白みそと辛さをマイルドにするためにマヨネーズを少々加えます。
こんな感じになります。コチュジャンの赤味が華やかで春らしい酢味噌和えとなりました。
芥子酢味噌和えのように適度な辛みも加わった和え衣がアサツキのワイルドな味わいとよく合います。
こちらは、中華風にエビとキクラゲと卵の炒め合わせです。
これも春らしく華やいだ色合いを意識して作ってみました。エビから旨味が出ますので、味付けは塩だけで十分です。卵は最初に粗めのスクランブルにし、取り出しておいて出来上がり際に戻します。
今宵は山形のアサツキで天童の六歌仙にごり酒を煽ります。
それぞれ、異なる味付けですが、どれもアサツキの旨味と歯触りを楽しめます。
次の日の朝は、残しておいたアサツキで味噌汁を作りました。これもいいもんですね。アサツキの甘味が味噌とよく合います。
煮干しでしっかりダシを取って味噌を溶き、沸騰寸前にアサツキを加えて、再び沸騰したら火を止めます。
たまたま、立ち寄った天童の道の駅で見つけた山形式のアサツキ。anegoさんの情報がなかったら、たぶんエシャロットかなんかだろうと通り過ぎていたでしょう。隣の県である山形ですが、まだまだ知らない食材があるものですね。このアサツキは庄内周辺が主産地のようですが、山形県で広く食べられているようですね。プロでもないのに、こういう地元に根付いた食材に巡り会えると無上の喜びを感じるのは私だけでしょうか。^^

