伝統的果実酢 柿酢を醸す 【完成編】
カテゴリー: 未分類
昨年末(12月上旬)、庭の柿の木に取り残された熟柿が鳥にも食べられず、落下して潰れ始めましたので、なにか有効な利用法がないものかと調べていましたら、お酢が作れることがわかりました。そこで、さっそく、枝に残った柿を回収して仕込んでみました。ここまでの作業は【仕込編】をご覧になって下さい。この記事ではその後の柿の変化と完成までの作業を報告いたします。
熟柿はヘタだけ取って、甕に収容し、木ベラでよく突き潰しました。その後は床下収納で保管し、2~3日ごとによく掻き回しました。
すでに床下は最高温度が10℃を下回っており、雑菌やショウジョウバエが繁殖する心配はほとんどないのですが、掻き回す木ベラは火炎消毒してから用い、保管中の甕はすっぽり入るナイロンバッグで密閉しました。この写真は仕込んでから1週間経過したものですが、 柿ペーストいいますか、ネクターといいますか、ただの甘いだけの流動体で柿の以外の味は何も感じられません。
ところで、この柿は平核無しという品種で渋柿なのですが、落とすと潰れるくらいに熟すと渋が抜けているのですね。今まで口にしたことがなかったので全く気付きませんでした。鳥も食べるわけです。
これは、仕込から2週間目の状態です。見かけはほとんど変わっていないのですが、やや泡立ちがあり、ヨーグルトとセメダインを混ぜたような臭いがします。
嘗めてみますと、もう既に酸味を感じます。ということは、柿の糖分を原料として酵母菌がアルコール発酵を行い、そのアルコールを酢酸菌が酢に変化させ始めているということになります。この酸味が発生する前がいわゆる柿ワインの状態だったのに、味見し損ねました。^^
酢酸の生成が始まれば、後は頻繁に掻き回さなくても大丈夫です。これは仕込から3週間目です。表面が少し乾燥して膜状になってます。
膜を突き破ると下から透明な液体が湧き上がってきます。まだ、セメダインのような臭いはしますが、酸味はさらに強まってきています。でも、 まだまだジュースのようで快適に飲めます。
これは仕込から約2ヶ月経過した状態です。表面の膜は黒ずんできましたが、腐敗臭は全くありません。酸味も十分に醸成されお酢らしくなってます。
少し早いかも知れませんが、待ちきれずに酢の抽出を行います。
丼の上にザルを置き、その中に3重にしたガーゼを敷いています。絞らないで自然落下で液体を回収します。
晒しの袋に入れて絞れば手っ取り早いのでしょうけど、何となく不純物が多くなるような気がして、こんな気長な方法を取ってます。
2時間ほどしましたら、丼一杯ほどの柿酢が回収されました。
雑味のない透き通った良いお味です。酸っぱいのですが、まだまだ甘みもあり、ちょと薄めれば美味しく飲めそうです。
一番搾りに続いて、今度は目の細かい布地の袋に入れて、上から軽く重石をします。
この二番絞りで、さらに2カップほど回収されました。
一番、二番絞りを合わせて900ml位の柿酢が抽出できました。原料の柿は20個で約2Kgですから、だいたい45%の柿酢が出来るのですね。
この柿酢、ポリフェノール豊富で健康によいらしいのです。しかも、酸味もまろやかで香りも穏やか。慣れると原液でも飲めるようになりますが、胃の弱い人は薄めた方がよいでしょうね。
柿酢は初めて作ってみましたが、こんなに簡単なら来年は桶で作ってみようかな。近所の庭先に全然利用されずに朽ち果てていく 柿の実がよく見られます。観賞用に植えているのかも知れませんが、熟してボトボト落ちる頃になったら、譲ってもらおうかな。^^ 甘みがほどよく残った柿酢は様々な料理にも使えそうです。次の記事では柿酢の持ち味を活かした料理をご紹介します。

