(9) 伝統的マッコリ居酒屋
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前記事に引き続き、慶尚南道の晋州市からのレポートです。慶尚大学のJ先生と仕事の後に一杯やろうということになり、何が飲みたいと訪ねられたので、マッコリ(マッコルリ)と即答しました。日本では女性にも人気のマッコルリですが、韓国ではあまりメジャーではないようです。韓国で普通に飲まれているのは焼酎(ソジュ)やビール(メクチュ)だそうです。それでも、晋州には伝統的なマッコルリ専門店があるそうで、案内して頂きました。
そのお店は晋州市の国分町のようなメインストリートから少し入った薄暗い通りにありました。
なんだか、病院か理髪店のようなエントランスなんですが、マッコルリを飲ませる居酒屋なんだそうです。
店内も不思議な装飾で、日本の海の家のような東南アジアの大衆食堂のような空間です。
やり手のオモニが店を仕切っており、てきぱきとオーダーをこなしていきます。
お酒はマッコルリの他にもあるそうですが、今宵はマッコルリで通します。
ハングルですが、左端の민족주が民族酒という意味でマッコルリなどの伝統酒のことだそうです。
当然ながら、居酒屋さんでもお酒をオーダーしますと、料理(パンチャン)は勝手にどんどん出てきます。
キムチやナムルはパンチャンの必須アイテムで今まで登場しなかったお店はありません。日本の沢庵や白菜漬けでもここまでは登場しませんね。
マッコルリはこのような鉢で供されます。1升は軽く入っているようです。これでたったの6000W(480円)。
もうお気付きですか。白濁していませんね。こちらのお店ではマッコルリの上澄液を飲ませてくれるのです。早い話がどぶに対して清酒なのですが、絞ったのではなく上澄みなのです。それでも完全に澄み切ったわけではなく、霞がありますね。色も少し黄ばんでいます。
本来、マッコルリはマッ(粗く)+コルリ(絞る)という意味ですから、上澄みはマッコルリには入らないのでしょう。このお店では民族酒と掲げてありますので正しい標示してますね。
このように柄杓(ひしゃく)と言いますか、お玉と言いますか、大きなレンゲのような匙で茶碗のような盃にすくい分けます。この大匙、かつては瓢箪(ひょうたん)を縦に割ったものだったようです。
なんとも大胆な光景です。度数の違いはあれ、日本のお猪口と徳利がままごとのように見えてしまいます。肝心のお味ですが、市販のマッコルリより雑味や匂いも強く、味噌で言えば、農家で作った田舎味噌のような感じです。上澄みにも係わらず、上品さに欠ける垢抜けない味なのですが、それが不思議と好感触なのです。
マッコルリはせいぜい高くてもアルコール度数が8%程度なので、すいすい飲めてしまいますが、大量に飲むと当然ながら後でまとめて酔いが襲ってきます。こちらのお店のマッコルリは開放的に作っていますのでガスが抜けていますが、ボトルや缶に詰められた物は微炭酸になっていて、これまた、飲み口が良いのです。
酒の肴もどんどんエスカレートしてきます。オカラの入ったチゲのようなコンビジや具沢山のチヂミが出てきました。
いくら何でも無料ではなく、きっと酒代に含まれているのでしょうね。これが韓国のスタイルなのですが、何度経験してもやはり途中で不安になります。コンビジは豆腐を作っているお店ではよく出てきます。この店ではきっとスンドゥブ(おぼろ豆腐)も美味しかったのでしょうね。
これこれ、思い出しても辛さが口を襲います。焼いた干し鱈に唐辛子だくの餡をかけたような料理ですが、辛いのなんのって酔いが覚めましたよ。^^
目の前でオモニが鱈をハサミで切って骨を抜いてから、よく混ぜてくれます。この料理、ミョンテチンというらしいです。
こちらも激しく唐辛子していますが、生エイの和え物でカオリチンという料理です。
韓国ではエイがよく食べられます。このカオリと呼ばれるアカエイだけでなく、日本の北海道や東北でも食べているガンギエイの仲間(ホン)も市場にたくさん並んでいました。この後、ソウルでこのホンの壮絶な料理に出会うとは、この時は全く知るよしもありませんでした。^^
日本ではマッコルリというと、どぶろくのような白濁した物という認識でしたが、このお店のような上澄みを飲ませるお店もあることを今回の訪韓で初めて知りました。結局、マッコルリの鉢を数回お代わりし、料理も7~8品出されても、一人当たり1000円くらいだったように記憶しています。驚きの安さですね。それにコンビニやスーパーにもペットボトル入りや缶入りのマッコルリも売られており、それがお茶より安かったりするのです。いやいや、韓国は飲兵衛にとって天国ですよ。^^
