三陸海の幸勉強会 ホヤ三昧 in 七ツ森
カテゴリー: 料理:甲殻・軟体・ほや

イタリア関連の記事が続いたので、日々の記事が溜まってしまいました。ホヤも名残の候になってしまいましたが、これは8月下旬に開催したホヤをテーマにした三陸海の幸勉強会の様子です。会場は旭ヶ丘の料理教室七ツ森さんです。有名な浅野先生の教室ですね。
ホヤ養殖も復興途上なのでこの時期には4年子は品切れで、レモンサイズの3年子が主体となってしまいました。
いつものように料理実習に先立って、ホヤに関する講義をさせて頂きます。豆坊の青木さんが美味しい挽き立て淹れ立ての珈琲をサービスして下さいます。m(..)m


ホヤの体の仕組み、生活史、水中での様子、養殖の仕方、捌き方などホヤにちょっと詳しくなって頂いてから料理に取りかかります。本日の献立は以下の通りです。レシピはこの記事の最後に記載します。
【お献立】
お造り 保夜の水貝風
主 菜 子持ち保夜(茹で卵印籠)
御 飯 保夜ご飯
浅野先生の野菜料理4品
※ ホヤに保夜の字を当てているのには訳があります。精力剤的な効果を期待してこの字を使っている方もおりますが、平安時代中期、まだ平仮名も片仮名もなかった頃、ほやという音に当てた万葉仮名がこの保夜だったのです。ですから表音文字であり意味はありません。
まずはホヤを裁いていきます。殻の中の海水であるほや水も大切な食材。ボールにガーゼを敷いて固形物は取り除きます。。


口に相当する入水孔の下部をやや深く切り、あまり強く絞らないようにほや水を回収します。伊達政宗も推奨したようにこれもホヤ好きには堪らない調味液です。
最初に保夜ご飯を仕掛けます。

ホヤ水や調味料で煮たホヤの煮汁を薄めてご飯を炊きます。ホヤの身は炊き込んだ場合と後から混ぜ込んだ場合の違いを比較するために両方の炊き方でトライします。殻からもダシが出ますので一緒に炊き込みます。
こちらは子持ち保夜の下準備です。


半熟茹で卵をホヤの身で包むのですが、小ぶりの三年子なので、皆様、苦戦しております。
それでも何とか炊き上げますとホヤの身が締まってきっちり包まれました。


半熟卵を使っていますので、調味液で炊いてもまだ黄身がしっとりしています。時間があれば、半熟卵もじっくり冷やし、70℃位の調味液でゆっくり炊けば、もっと半熟に近付けることが出来ます。
続いて、保夜の水貝風です。好みの海藻やキュウリなどを浮かばせます。


裁いたホヤの身を氷を張ったほや水ベースの食い酢に泳がせます。食い酢は飲める程度の味加減にするのがポイントです。
保夜ご飯も炊き上がりました。

大葉の千切りを天盛りして食卓に運びます。
即興で浅野先生がホヤの味噌焼きを作って下さいました。


これで純米酒でも呑めたら最高なんだけどなぁ。。。
さて、出来上がったホヤ料理と浅野先生の野菜料理を卓上に並べて試食の開始です。

結構盛り沢山になっていますね。ホヤ好きには堪らない光景でしょう。^^
浅野先生の野菜料理4品です。




トマトと紫玉葱のサラダ、キュウリの即席カクテキ、青ネギとコーンと若布と薩摩揚げの中華風和え物、気仙沼のなまり節とキュウリのさっと炒めです。
さて、皆様でかんぱーーい。でも、お茶なんですよねぇ~。TT

さて、昨年から生産量も復活してきた養殖ホヤですが、韓国輸出が出来ないために復興が加速化しません。科学的根拠を無視した一歩的な措置に日本政府はWTOへの提訴に踏み切りましたが、今後どうなることでしょう。このままでは来年はかなり生産過剰になる懸念もあります。我々も復興への支援として少しでも多く食べて行きましょう。
【ホヤ料理のレシピ】
保夜の水貝風
【材料】 『4人分』
殻付きホヤ 4個
海藻サラダ 一つまみ
キュウリ 1/2本
レモン 1個
プチトマト 4個
ダシ昆布 名刺大2枚
日本酒 大さじ2
味醂 大さじ1/2
角氷 20個
【作り方】
① 殻付きボヤは入水孔(+の突起)を切り落としホヤ水を回収する。
② レモン半分を絞り果汁にする。酒と味醂は混合して煮切っておく。
③ ①のホヤ水をガーゼで漉して、②を調合してやや薄めの吸い酢にする。
④ ホヤの殻を外し、内臓や糞を綺麗に掃除して一口に切る。
⑤ 鉢に5cm角の昆布を敷き、③のホヤ吸い酢、④のホヤ、海藻、キュウリ、レモン、プチトマト等を適宜に切って盛り込み、氷を放つ。
※ 水貝とは、生の鮑を塩洗いして身を締め、角切りにして氷を入れた塩水に浮かせた涼やかな料理。三杯酢などで食べる。
※ 吸い酢とは、だし汁などを加え、飲める程度に酢の割合を控えて作った合わせ酢。懐石の向こう付けなどに用いる。
子持ち保夜
【材料】『4人分』
殻付きホヤ 4個
茹で卵 4個
醤油 大さじ2
日本酒 大さじ2
味醂 大さじ1
塩蔵ワカメ 10g
爪楊枝 適当
【作り方】
① 殻付きホヤは二つの水管を根元から切り落とし、殻に切れ目を入れて身を取り出す。裏返して内臓や糞を綺麗に掃除しておく。
② 半熟ゆで卵を作り、殻をむいておく。
③ ①に②を詰め、爪楊枝で止めておく。
④ 調味料を合わせて煮立て同量の水で薄めて70℃程度に冷ましてから③を入れる。
⑤ 転がしながら低温でホヤの身が縮むまで煮付け、そのまま冷ます。
⑥ 水で戻したワカメを適宜に切り、⑤の煮汁で和える。
⑦ 皿に⑥を敷き、縦二つに切った⑤を並べる。
※ 半熟ゆで卵 は冷蔵庫から出し立ての卵を小鍋に入れ、ひたひたに被るくらいの
水を注ぎ、強火にかけて沸騰するまでゆっくりと箸で回す。沸騰したら火を弱めて
6~7分茹で、その後、直ちに流水で冷やし、殻全体にヒビを入れてから水中で殻
を剥く。
保夜ご飯
【材料】 『4人分』
殻付きホヤ 2個
米 2合
薄口醤油 大さじ1
日本酒 大さじ1
自然塩 少々
ダシ昆布 名刺大1
大葉(青紫蘇) 2枚
【作り方】
① 米はよく研いでザルに揚げておく。
② 殻付きボヤは入水孔(+の突起)を切り落としホヤ水を回収する。
③ ホヤ水は半カップほどガーゼで漉し、塩以外の調味料を合わせる。
④ ホヤの殻を外し、内臓や糞を綺麗に掃除して幅1cmに切る。殻も綺麗に洗っておく。
⑤ ③を煮立てて④を加え、熱が通ったら、ザルに空け身と煮汁に分ける。
⑥ 炊飯器に①の米、ダシ昆布、⑤の煮汁を加え、味加減をして水を定量に整える。塩味が足りない場合は自然塩で調整する。
⑦ 炊き上がったら、⑤のホヤの身を混ぜ合わせる。
⑧ 茶碗に盛り、大葉の千切りを天盛りする。
※ ホヤの色を目立たせるために薄口醤油を香り付け程度に使う。塩味はホヤ水と塩で補う。