粕味噌漬け豆腐作り奮戦記
カテゴリー: 料理:農産加工品
これ何だかおわかりになるでしょうか。何かを味噌で和えたように見えますが、実は豆腐を酒粕と味噌と塩麹に漬け込んで熟成させた物なのです。まだ未完成ですので途中の味見ですが、良い塩梅に経過しています。単なる豆腐の味噌漬けではありません。目指しているのは沖縄の豆腐ようや宮崎のねむらせ豆腐のように豆腐自体の食感も様変わりして、甘味も醸成された珍味を作りたいのでです。本来であれば、数ヶ月から半年は掛かるのですが、酒粕と塩麹の力を借りて1カ月で作ろうとしています。
作り方も暗中模索中。今回は豆腐二丁での予備実験となります。これらに塗せるくらいの酒粕と赤味噌、それに塩麹と味醂を少々を用意します。
味醂を加えることで促成仕込みでも甘味が加わるように期待しているのです。豆腐は市販の木綿ですが、少々お値段の高い国産大豆使用の物を二種類選びました。
豆腐は木綿でも90%近くが水分。如何に脱水するかで仕上がりが決まります。
豆腐は横から包丁を入れてそれぞれ二枚に切り分けます。タオルの上にキッチンパーパーを敷いて豆腐を乗せ、 その上にまた、キッチンペーパーを乗せてからタオルの両端を上に被せます。まな板二枚で挟み、軽く重しをします。 最初から重しを掛け過ぎますと豆腐が潰れますので注意して下さい。1時間位経ちましたら、キッチンペーパーとタオルを替えます。これを3回繰り返しますと大体、重量が半分になり、かなり締まって硬くなります。
豆腐を脱水している間に酒粕と味噌を合わせます。今回は酒粕と赤味噌を等量にしてみます。
味醂は大さじ3杯くらいで試してみます。塩麹は大匙2杯くらい。硬いような時は煮切り酒で延ばして下さい。
密閉容器に粕味噌を敷き、ガーゼを被せます。その上に脱水した豆腐、ガーゼ、粕味噌と重ねます。
一段で入りきらないので二段にしています。表面をラップで覆い、あとは冷蔵庫で1カ月寝かせます。この予備実験は11月初頭に開始しました。
一カ月後の11月末、恐る恐る粕味噌床を探ります。うっすらと味噌の色が移った豆腐が現れました。
やはり豆腐のような崩れやすい漬け物にはガーゼが必要ですね。
そして、いよいよ試食です。中までしっかり染み渡っているようですね。
ん~、食感好し、甘味佳し、、、、が、しかーし、塩味が強すぎる。(涙) 一カ月も漬け込んでいるので味噌や塩麹の塩分がかなり効いています。これはまじめに塩分計算して仕込まなければなりません。美味くできたら、有馬記念パーティーで披露しようと思ってだけに予備実験をやって良かったです。まだ、日にちがありますので早速仕込み直しましょう。今度は塩分の少ない白味噌を使います。
私が目標としている沖縄の豆腐ようの成分表示を調べてみますと、ナトリウムが100g当たり800mgとなっていました。これを食塩相当量に換算しますと、
800mg×2.54÷1,000=2.032g つまり2%の塩分濃度ということですね。1ヶ月間漬け込んでいる間に塩分が均等に馴染んで豆腐も粕味噌床も同じになると仮定すれば、
0.02=(0.11M+0.16S)÷(T+K+M+S)
ただし、Mは白味噌、Sは塩麹、Kは酒粕、Tは豆腐の重量、白味噌及び塩麹の塩分濃度はそれぞれ11%、16%です。
ここで、酒粕は300g、塩麹は現在仕込み直し中で30gしかありません。脱水した豆腐は2丁分で320gですので、求めるのは白味噌の重量だけとなります。
従って、
0.02=(0.11M+0.16×30)÷(320+300+M+30)
これを解いて
M=91.111
決定した配合は、脱水豆腐2丁分に対して、白味噌91g、酒粕300g、塩麹30gになりました。味醂は大さじ2杯にして、代わりに甘味のスッキリしたキビ糖を加えました。
さぁ、果たしてこれで美味く仕上がりますでしょうか。。。
予備実験は素直に失敗を認めますが、食べ物を無駄には出来ません。そこで粕味噌豆腐のスープにしました。
賽の目切りの豚肉と適当な野菜を入れて、粕味噌豆腐だけで調味しました。ま、それくらい塩辛かったと言うことですね。^^ でもスープは塩味だけではなく麹と味醂の甘味も加わり、奥の深い味わいとなってます。豆腐は元のように柔らかくなりましたが、中までほんのりと味が残っています。
粕味噌床の方ですが、名残のサンマを漬けてみます。
サンマは内臓ごと焼くのが私の鉄則なのですが、漬け魚にする場合は別ですね。頭を落とし、壺抜きにしました。開かなかったのは、焼く時に腹腔内の脂が落ちないようにの配慮です。
糖分も加わっていますので焦げないようにやや弱火で焼きました。週末から週末まで漬け込みましたが、塩味は大丈夫でしょうか。
漬け込むというより塗した程度なので豆腐のようなことはないでしょう。
塩焼きよりもうっすらと金色がかって焼き上がります。
身も一夜干しくらいに締まって鮮魚の塩焼きとはまるで異なります。味わいも味噌や酒粕の風味が加わってサンマとは思えないような高級感があります。
現在、仕込み直し中の粕味噌漬け豆腐ですが、冒頭のように途中経過は順調です。完成の暁にはパーティーの前菜の一員になる予定です。これを楊枝で削りながら、泡盛をチビチビやるのが最高なんですが、当日は各自お好きなお酒で召し上がって頂きましょう。沖縄の豆腐ようは紅麹で熟成させますので真っ赤ですが、それはそれ。なにせこちらの粕味噌豆腐だって発酵食品3種類で熟成させた豆腐ですので、決してチャラい物ではございません。ご期待下さい。^^