気の弱い方はご覧にならない方が良いかも知れません。な~んて、最初から脅かしてしまいましたが、ご覧の写真は韓国でコムジャンオ、日本ではヌタウナギと呼ばれる原始的な魚類です。名前にウナギと付きますが、口が吸盤のようで顎がなく、かなり遠い類縁関係になります。深海に生息し、目が退化しており、捕まえると大量の粘液を出すので、日本では厄介者扱いとなってます。ただ、秋田では焼いたヌタウナギを棒あなごと称して珍重しているそうです。
このコムジャンオ、韓国の釜山の名物で古くから庶民に親しまれてきたようです。写真のように肌色のと黒いのがいますが、それぞれ、和名でヌタウナギとクロヌタウナギです。秋田ではクロヌタウナギを食べるそうですが、韓国ではヌタウナギの方に人気があります。これらヌタウナギの仲間は以前、メクラウナギと呼ばれていましたが、日本魚類学会は2007年、差別的な言葉を魚名からなくすために、メクラウナギをヌタウナギと呼ぶよう推奨しています。
ヌタウナギは円口類というグループに所属しますが、このグループにヤツメウナギも含まれます。川で漁獲されるヤツメウナギは日本では古くから強壮食品として珍重されてきましたので、きっと、ヌタウナギも食べるとバリバリ元気になるのでしょう。^^ 勇気を持ってトライしてみましょうか。
ここは釜山でも有名なチャガルチ市場周辺の露店街です。コムジャンオ(ヌタウナギ)を扱うお店が多いのでコムジャンオ通りとも呼ばれています。
似たような海産物を扱う露店が延々と軒を連ねていますが、競合しないのでしょうか。特約店への配達でもあるのだろうかと心配になります。
コムジャンオ通りには、その場で調理して食べさせてくれるお店も随所に見られます。
日本の保健所だったら営業許可を出さないだろうなぁと思える調理環境ですが、こういうの好きなんですよ。^^ 終戦後の日本の闇市にもこのように料理を提供する露店があり、それらが日本人を飢えたお腹を癒してくれたのでしょうね。よく父親が話していましたね。
ヌタウナギを扱っている露店ではたいてい水槽が置いてあって、中に何本も活けてあります。
この光景は蛇が苦手な方には辛いかも知れませんね。まぁ、ウナギかアナゴだと思えば、どってことないのですが、長物全般が嫌いな方もいらっしゃいますから・・・。
すでに皮を剥いたヌタウナギを店頭に並べているお店もあります。
皮も内臓も取られてもしばらく動いているのですよ。とてつもない生命力です。なるほど滋養強壮に良さそうです。
店頭で一盛り購入すると、その場で調理してくれます。まず最初に炭火で焼いていきます。焼かれながらもうごめくのがちょっと抵抗ありますね。^^
蒲焼きとは違うようです。この料理、以前は皮ごとワラや松葉で黒焼きにして、一気に皮をずるっと剥いたそうです。観光客も多いのでこのようなスマートな調理法になったのでしょうか。
焼き終わったヌタウナギは、今度はアルミ箔の上で炒め煮にされます。味付けはニンニクと醤油のようです。
まるでアウトドアクッキングようです。確かに露店ですからアウトドアですけど。フライパンを使わずアルミ箔で炒めるのが斬新ですね。日本人向けに唐辛子で真っ赤にしなかったようです。
さっそく、出来立てのコムジャンオ・ポックン(ヌタウナギの炒め物)を味わってみましょう。
アルミ箔が鍋と皿の兼用になっており、使い捨てですから洗わなくて済むのです。まあ、確かに合理的ですけどね。^^
ウナギやアナゴより肉厚で、特に臭みも感じません。硬さも適度で心地よい弾力があります。どんな料理にも使えそうな身ですね。
なんだ、こんなに美味しいのなら日本でももっと食べればいいのに。現在、常磐沖でもヌタウナギを捕っているようですが、全て韓国向けとなっています。
所変われば品変わるですね。水産物消費大国日本でもヌタウナギは秋田の男鹿地方ぐらいでしか食べられていません。肉質は良いのにあまり利用されないのは、漁獲した後の粘液処理が面倒だからでしょうか。男鹿でもヌタウナギを捕る漁師さんがもうほとんどいなくなって幻の魚になりつつあるそうです。海外から膨大な水産物を輸入して消費している日本ですが、自国の未利用資源を有効活用するのが先のような気がします。日本海のノロゲンゲは漁師さんの賄いから観光資源にまで出世しました。ヌタウナギもこれを見習って日本で出世させて上げたいですね。
追記:anegoさんの情報によりますと山形県庄内地方でも由良アナゴと言って食べていたそうです。
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