ポモドーリ・セッキ2010
カテゴリー: 料理:野菜・果物
9月に入っても暑い日が続いていますが、この太陽の赤外線をただ暑い暑いと言って逃げ回っているのも芸がありません。この暑さ を使ってPommodori Secchi(ポモドーリセッキ)、つまり乾燥トマトを作ってしまいましょう。日本の夏は湿度が高くドライフルーツなどの乾物を作るのには適さないのですが、猛暑日が3日も続けばさすがに乾きます。乾燥トマトはグルタミン酸が凝縮して様々な料理の旨味食材として使えます。イタリアでは日本の鰹節のような存在ですね。毎日、山ほど採れるトマトを天気予報を睨みながら一気に乾し上げます。
今年、初めて挑戦するのはフルーツトマト(奥の輪切り)のポモドーリセッキ。品種はデルモンテの贅沢トマトで糖度が7~8もあります(通常のトマトが平均5.5)。
そのまま食べても甘くて美味しいのですが、これで乾燥トマトを作ったらドライフルーツのようになるのではないかと期待しました。手前の小さいのはプチトマトです。トマトは必ず横に輪切りか二つに切ってから乾します。トマトの中のゼリーが詰まった部屋を横断するように切るのが上手に乾燥させるコツです。断面には塩をぱらぱらと振っておきます。
翌日の夕方、まずまず順調に乾されています。
プチトマトは小さいのですぐに乾いていきますが、フルーツトマトはまだべっとりしています。ちょっと不安がよぎります。
二日目の昼間です。プチトマトはもう一息で完成です。
カラカラに乾燥させないセミドライも酒の肴になって美味しいですよ。グルタミン酸の旨味と酸味が合わさって深い味わいになります。
一方、フルーツトマトですが、何やら白い物が噴出しています。しかも、まだ、ぐっしょり。
何だろう。糖分が結晶化したのだろうか。それとも、カビだろうか。ちょっと、怖くて口に入れることが出来ません。それに、ちょっと饐(す)えた臭いもします。
さらに、翌日。何ということでしょう。フルーツトマトにはたくさんのお客さまが・・・。背中の白い点々が特徴のシロテンハナムグリさんではありませんか。
美味しそうに食らいついています。そういえば、トマトから甘酸っぱい臭いが発散しています。シロテンハナムグリに良く似た種類でシラホシハナムグリというのもいるのですが、頭の形や白点の形で区別できます。撮影していますと、途中で気付いたらしく、ごそごそと10cmほど這った後、ブーンと飛んで行ってしまいました。
夕方には、日本を代表するコガネムシ科の甲虫、カナブンさんがいらっしゃいました。
実は1頭2頭ではなく、追い払っても追い払っても1時間後には数頭がフルーツトマトに頭を突っ込んでいます。やはり、フルーツトマトの糖分がアルコール発酵、乳酸発酵を経ながら魅力的な臭いを発しているのですね。それにしても我が家の周りにはこんなにコガネムシ類がいたのですね。夜にはカブトムシさんもいらしていたかも。^^
結局、3日たっても乾かないし、気持ち悪いのでフルーツトマトの乾燥トマトは諦めて処分しました。こちらのプチトマトや小型の普通トマトは例年通り綺麗に仕上がりました。
プチトマトには虫も寄り付きませんでした。やはり、フルーツトマトは糖分が多いので、乾燥し難く、虫にとっても美味しかったのでしょう。
虫も寄り付かなかったプチトマトの乾燥トマトですが、一応、130℃で10分ほど滅菌します。
この仕上げの加熱でさらに水分が飛んで、今年の乾燥トマトはチップスのようにカリカリに仕上がりました。これは少し煮込む料理に使って柔らかくしながら、ダシを取りましょう。
このようにベイリーフとニンニクと一緒にオリーブオイルに漬け込みます。
こうしますと、この漬け込み油も炒め物に威力を発揮するのです。
それでは、1週間ほど漬け込んだ乾燥トマトを使ったパスタを作ります。材料はフレッシュトマト、玉葱、キャベツ、パンチェッタ、ニンニク、パスタはlinguine(リングィーネ)にします。
上記のようにちょっと乾燥しすぎたモドーリセッキですので、フレッシュトマトと合わせて煮込んでみます。Wトマトのソースですね。^^
ご存知のように、パンチェッタは豚バラの塩漬けです。でも、これはなんちゃってパンチェッタ。トンカツ用のロースに塩とスパイス・ハーブ類を塗して2週間冷蔵庫で寝かせました。途中で包んだクッキングペーパーを何回も換えています。
1か月くらい寝かせるとアミノ酸等の旨味成分も噴出してきてばっちりなのですが、これは早漬けですね。スパイス類を塗さず、数か月かけて熟成しますとプロシュット風になりますが、本物は豚のモモ肉です。
ニンニクと玉葱の微塵切り、薄切りにしたパンチェッタをポモドーリセッキの漬け込み油で炒めていきます。そこにポモドーリセッキと微塵切りのフレッシュトマトを加えて煮込みます。
乾燥トマトと生のトマトで旨味の相乗効果を狙います。パンチェッタも入りますから贅沢なソースですね。生のトマトも微塵切りにすれば、皮も剥かなくて良いでしょう。
30分ほど煮込みトロトロになったら、塩で味を調整します。
パンチェッタからかなり塩味が出てますので、注意してください。
別のフライパンで小口に切ったキャベツを炒め、ソースに混ぜ込みます。
ソース焼きそばのキャベツが美味しいので、思い付きで入れてみました。キャベツは炒めないで、さっと茹でても良いでしょう。あまり煮込まないでキャベツの歯触りを残します。
リングィーネを愛用の絶対吹きこぼれない山本鍋で茹でてます。
茹で上がったら、ソースにさっと絡めます。
Wトマトのリングィーネ(linguine con pomodoro e pomodori secchi)の完成です。
乾燥トマトとフレッシュトマトの競演です。キャベツの歯触りも変化があってよい脇役となってます。
昨晩、飲んでの遅い帰宅だったので、本日は大人しくワイン1杯だけ。
このソースにはスパゲッティより力強いリングィーネが合いますね。タリアテッレではちょっと重すぎるかも。
今年は初のフルーツトマトでお菓子のような乾燥トマトを目指したのですが、予想外に乾燥しにくく、予期せぬハナムグリやカナブンの来襲により断念せざるを得ませんでした。例年通り、プチトマトは上手く乾せませたので、このような料理になった次第です。これから、今年のような夏が多くなる見込みです。乾燥トマト作りには都合が良いのですが、熱中症や豪雨による犠牲者が増えるのはなんとか避けなければいけませんね。 ← ランキングに登録中です。クリックでご声援お願い致します。
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